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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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201775215分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

76日付で信濃毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。

 

大学生ら15人が死亡した昨年1月の長野県軽井沢町のスキーバス転落事故について、事業用自動車事故調査委員会は5日、死亡したT運転手=当時(65)=の運転ミスが原因とする調査報告書を公表した。

 

背景には、運行会社「E社」(東京都羽村市)の安全を軽視した事業運営があるとし、同社がT運転手に法定の適性診断を受けさせ、運行前に十分な経験を積ませるなどすれば、「事故を未然に防ぐことができた可能性がある」と厳しく指摘した。

 

報告書では、T運転手の無謀といえる運転が浮き彫りになった。

 

現場までのカーブが連続する約1kmの下り坂を、ハンドル操作中心で走行。

時速約50kmから約95kmまで、ほぼ一貫して加速しており、調査委は「通常では考えにくい運転」と表現した。

 

この下り坂では、一般的に、エンジンブレーキを活用できる4速のギアで走行するが、T運転手は減速比の小さい5、6速かニュートラルで運転したとみられ、補助ブレーキを使用しなかった。

フットブレーキもほとんど踏まず、遠心力で車体が傾いてセンターラインをはみ出すなど,コントロールを失っていった。

 

調査委は、関係者への聞き取りや書面の精査で、同社のずさんな安全管理体制を解明した。

 

E社は、参入したスキーバス事業を拡大し、運転手が足りない状況が続いたと指摘。

運転手の適性診断や健康診断をせず、点呼しないことが常態化していたなど、安全を軽視して経営していたとして、「輸送の安全に関する多くの問題点が複合して事故発生リスクを高めた」と分析した。

 

T運転手は、直近の勤務先で受けた任意の適性診断で「突発的な事象への処置を間違いやすい傾向がある」として、特に注意が必要だと指摘されていた。

適性診断は道路運送法で義務付けられていたが、同社は事故16日前にT運転手を採用後、診断自体を受けさせず、過去の結果も確認していなかった。

 

報告書は、適性診断をしていれば以前と同じ結果が出て、運転手にする可否を判断したり、十分な教育や経験を積ませたりして、事故を防げた可能性があったとした。

 

実際は、T運転手が15年12月29日の時の採用面接時に、大型バスには不慣れで「見習い運転で少し走らせてもらいたい」と要望。

E社は翌30日に、別の運転手が同乗して確認する「研修」をしただけで、大型バスを運行させた。

調査委は、T運転手が大型バスの運転に、少なくとも5年程度のブランクがあった可能性を指摘。

大型バスの運転や山道走行の経験が十分でないT運転手に運行経路や休憩地点を任せ、注意や指示を伝えていなかった点なども、事故発生リスクを高めた要因とした。

 

 

【用語解説】軽井沢スキーバス転落事故

 

平成28年1月15日未明、長野県軽井沢町の国道18号碓氷バイパスの入山峠付近で、県内のスキー場に向かっていたツアーの大型バスが道路脇に転落し、大学生13人と乗員2人の計15人が死亡、26人が重軽傷を負った。

 

県警は今年6月、業務上過失致死傷容疑で「E社」の社長ら2人を、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑でT広運転手を、それぞれ書類送検した。

 

 出典

 『事故調「運転ミス原因」 運行会社が安全軽視、調査報告書公表』

 http://www.sankei.com/affairs/news/170705/afr1707050031-n1.html

 『「運転手の適性把握せず」 軽井沢バス事故で調査委が報告書』

 http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170706/KT170705ATI090010000.php

 

 

76日付で毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。

 

【主な事故原因】

▽急な下りの左カーブを時速約95kmで走行し、カーブを曲がりきれなかったと推定

▽エンジンブレーキの活用など十分な制動をせず、コントロールを失った可能性

▽運行会社による運転手への健康診断、適性診断の未実施

▽運転手は大型バスの運転に5年程度のブランク。
運行会社は十分な教育をせず

▽事業拡大に運転手の育成が追いつかず、運行会社は安全軽視の事業運営

 

【貸し切りバス事業者向けの主な再発防止策】

▽運転手の運転技能の確認

▽適性診断の実施と、運転特性に応じた適切な指導監督

▽運行経路に応じた運転手への安全な運転方法の教育

 

【国交省向けの主な再発防止策】

▽バス事業者への監査制度の充実強化と、法令違反の是正状況の確認

▽民間機関を活用し、年1回程度、バス事業者の安全管理状況をチェック

 

※事業用自動車事故調査委員会の報告書に基づく

 

出典

『長野・軽井沢のスキーバス転落 バス運行「安全軽視」 適性診断行わず 事故調報告』

https://mainichi.jp/articles/20170706/ddm/041/040/155000c

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

○この事例は今回初掲載。

 

○公表された報告書は下記参照(全77ページ)。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikochousa/pdf/1641103.pdf

 

 

 

 

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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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