2016年10月2日0時18分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大雨が降った際、冠水による危険が潜むのがアンダーパス(立体交差で地下を通る道路)だ。
国交省によると、全国に約3500カ所あるとされ、愛知県清須市では、9月20日、車が水没して女性が亡くなる事故が起きた。
自治体も対策に乗り出すが、専門家は、「運転手自ら通行を避ける判断を」と訴える。
アンダーパス冠水に関係する事故は、全国で起きている。
栃木県鹿沼市では、2008年8月、軽乗用車が東北道の下を通る市道の冠水で水没し、運転していた女性が死亡した。
栃木県は、事故後、県管理のアンダーパス全30カ所の側壁に、冠水時の水位を示した線を記した。
自動遮断機が設置されているのは1カ所だけだが、増設を検討しているという。
大阪府豊中市は、6月、市管理の全4カ所に遮断機を設けた。
水位が上がると、道路脇に収納された風船のような棒が空気で膨らんで進路を塞ぐ。
棒には「冠水通行止め」と書かれている。
もともと、全アンダーパスに電光掲示板を設置していたが、13年の大雨で車が進入してしまった。
市道路維持課は、「掲示板見落としによる誤進入を防ぎたい」。
各所には監視カメラも設けられ、職員がいつでもどこでもスマートフォンで冠水状況を確認できるという。
愛知県管理の道路でも、8月2日、豪雨による冠水のため、4カ所で計7台が立ち往生した。
冠水の危険がある26カ所に、遮断機は設置されていないという。
「危険水位になった際、迅速に対応できる遮断機の設置を検討する」と担当者は話す。
死亡事故を受け、10月上旬までに、冠水情報を知らせる標識に異常がないか、緊急点検も実施する。
冠水した道路に入ってしまうと、どんな危険があるのか。
関西大学の石垣泰輔教授(防災水工学)によると、車は水深30cmほどでエンジンが停止する。
下り坂だと、そのまま最深部に流される恐れがあり、水深60cmほどになると、水圧でドアが開けられなくなるという。
石垣教授は、「アンダーパスのような低くて狭い空間だと、急速に水位が上がる。遮断機を設けても、ゲリラ豪雨だと間に合わない可能性がある」と指摘。
「運転手は事前に危険な場所を把握し、大雨が降ったら通らないようにする。仮に水につかったら、水位が上がる前にすぐに車を捨てて逃げるべきだ」と話す。
愛知・清須の事故現場
事故が起きたのは、台風16号が接近した9月20日午後6時半ごろ。
線路下をくぐる県道で浸水した車が見つかった。
車内から女性が意識不明の状態で助け出されたが、翌日、死亡が確認された。
アンダーパスを車で通りかかり、水につかったとみられる。
その時、運転席から何が見えたのだろうか。
9月23日、車両発見と同じ時間帯に現場を車で通ってみた。
すでに日は暮れ、街路灯が片側1車線の路面を照らす。
女性が右折して県道に入った駐車場を通過してから3秒ほどで、当時、冠水していた範囲の端にかかった。
下り坂が始まってから、約5mの地点だ。
車内にいる女性が見つかった最深部まで、さらに約65m。
ただ、道路は向かって急な左カーブで、見通しが悪い。
当日の夕方以降の最大雨量は、1時間当たり70ミリ超。滝のような雨で、一層視界が限られた可能性もある。
女性は運転を続けたのか、それとも途中から車が流されてしまったのか。
愛知県によると、最深部の水深は3mに達していた。
当時、現場近くには、県から交通誘導の委託を受けた建設会社の作業員3人がいた。
大きなエンジン音に気づいて振り返ると、駐車場から出てきた車が冠水していた場所に向かっていくのが見えたという。
当時、アンダーパスの手前に設置された冠水を知らせる電光掲示板は故障していた。
「女性がいつ水に気づいたのか分からない」。県の担当者は言う。
出典
『アンダーパス、水位急上昇に注意 大雨で水没の危険』
http://digital.asahi.com/articles/ASJ9V5281J9VOIPE017.html?rm=585
(ブログ者コメント)
愛知県清須市の事例は、下記参照。
2016年9月20日 愛知県清須市で冠水した道路に通行止め区間の内側から車で進入した女性が死亡、現場はカーブで見通し悪く入口の電光掲示板は修理依頼中だった、先月にも同様トラブル
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6315/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。