2019年2月26日1時37分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高齢者が運転する電動アシスト自転車の死亡事故が後を絶たず、「特性をよく理解して利用してほしい」と専門家らが呼びかけている。
筋力が衰えても楽にスピードを出せる利点がある一方、通常の自転車より車体が重く、加速やブレーキなどで注意が必要。
認知能力の低下によって事故回避の操作が遅れてしまう恐れもあるという。
2018年8月、愛知県春日井市の信号機のない市道の十字路交差点で、電動自転車に乗った男性(当時93)が出合い頭にタンクローリーと衝突。
頭を強く打ち、搬送先の病院で亡くなった。
警察によると、交差点の手前で男性に一時停止義務があったが、止まらずに進入。
ぶつかる直前、自転車のブレーキをかけたが間に合わなかったとみられる。
「本人も予期せぬスピードが出て、認知能力の低下も相まって間に合わなかった可能性がある」(捜査関係者)
電動自転車は、加速でペダルを踏み込む際、電動モーターによる補助を得られ、通常の自転車より少ない力で時速20km以上のスピードを出すことができる。
モーターによる補助力は、最大で人がこぐ力の2倍。
10kmを超えると補助力は徐々に下がり、道路交通法に基づき、24km以上では補助が働かないようになっている。
慣れないうちは、思った以上にスピードが出てしまう恐れがあるほか、車体が20~30kg程度と重いため、ブレーキをかけて止まるまでの距離が長くなったり、低速で不安定になったりする。
また、ペダルに足を乗せただけで補助力が働いて急発進する危険もある。
警察庁によると、電動自転車が当事者となった人身事故は18年、全国で2243件発生。
過去5年間で1.7倍に増えた。
死者が出たのは46件で、うち37件の運転者は65歳以上だった。
死亡事故に占める65歳以上の運転者の割合は近年、8~9割で推移している。
事故の増加を受け、東京都は18年度から、65歳以上を対象にした講習会を開催。
電動自転車に試乗してもらったうえで、
▽ヘルメットを着用する
▽片足で乗る「ケンケン乗り」をしない
▽車体が重くスピードが出やすい
といった注意点を伝えている。
警察庁の事故統計を分析している公益財団法人「交通事故総合分析センター」(東京)の西田特別研究員は、「年をとって認知能力が落ちると、急ハンドルや急ブレーキなど衝突回避の適切な操作ができず、電動自転車のスピードに対応できない恐れもある」と指摘。
「購入を検討する高齢者には、行政やメーカー、自転車店などが特性をきちんと説明して理解してもらうことが重要だ」と話している。
【18年の国内販売66万台】
電動アシスト自転車は1993年に国内初の製品が発売され、経産省によると、2018年の国内販売台数は約66万7000台。
08年と比べると約2.4倍になった。
幼い子供を抱えるファミリー層に加えて、「近年は高齢者の利用も広がっている」(東京都の交通安全担当者)。
高齢者の自動車事故の増加が社会問題となり、運転免許を返納する人も増えるなか、代替の移動手段の一つとして電動自転車が選ばれているとみられる。
栃木県足利市や松江市など、運転免許の返納を勧める代わりに電動自転車の購入に数万円の補助金を交付している自治体もある。
出典
『電動自転車、高齢者の事故相次ぐ 加速に注意を』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41742980W9A220C1CC1000/?n_cid=NMAIL007
(ブログ者コメント)
高齢者を含めた電動自転車運転時の事故は、本ブログでも何件か紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。