2018年4月17日18時4分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福島第一原発の事故をめぐり、東電の旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で、東電の津波対策の担当者が先週に続いて証言した。
担当者は、事故の3年前にまとめた津波の想定をもとに防潮壁を作っていたとしても、浸水は防げなかったと説明した。
東京地裁で開かれた7回目の審理では、先週に続いて、当時、東電で津波対策を担当していた社員が証言した。
この中で、事故の3年前に想定していた津波と東日本大震災の津波との違いについて聞かれ、「実際の津波の方が規模が大きかった。巨大な地震が連動して起きるという科学的な知見はなかった」と答えた。
また、事故の後、平成20年の想定をもとに防潮壁を作っていた場合についてシミュレーションしたところ、浸水は防げなかったという結果が出たと説明した。
一方で、「浸水の程度は違っていた」とも証言した。
【「運転停止もありえる」 危機感を証言】
先週に続いて証言した東電の社員は、福島県沖で巨大な津波が起きるという想定は取り入れざるを得ず、対策が取れないまま公表に至れば原発の運転の停止もありうるという危機感を持っていたことを証言した。
社員は、平成19年ごろから、地震や津波などの最新の研究の成果をもとに原発の安全性を再検討する「バックチェック」という作業に関わっていたが、これまでの裁判で、福島県沖でも巨大津波が起こる可能性があるという政府の地震調査研究推進本部の見解を取り入れ、対策を取るべきだと考えていたと証言している。
これに関連して、被告人の弁護士から、対策を取るまでの間は原発の運転を停止すべきと考えていたか問われると、「そのようには考えていなかった。バックチェックでは、原発の運転停止は義務づけられていなかった。切迫性もなかった」と述べた。
その一方で社員は、「場合によっては、運転継続が難しくなる可能性もあると考えた」とも証言した。
具体的には、平成20年7月に東電は、内部の検討で津波対策を保留したあと、福島県沖で巨大な津波を想定するかどうか、改めて専門の土木学会に検討を依頼していた。
しかし社員は、その結果がまとまって公表された時点で、対策工事が完了していない場合には、なぜ完了していないのかなどと問われる可能性があると考えたという。
さらに、事故の4日前、平成23年3月7日に社員が原子力安全・保安院と面談した際、審査官から、土木学会の検討結果が公表された時点で対策が完了できていないと「即アウトになりかねない」と言われたとする東電側の記録の意味について聞かれ、社員は「プラントを停止することだと思う」と答えた。
また、記録の中では、バックチェックを通して安全性を再検討させる立場の保安院の審査官が、社員に対して、土木学会が検討結果を公表する前にはバックチェックの審議を終えてしまうか、対策が完了したあとにバックチェックの最終報告書を出すべきだと提案したとされていることが明らかにされた。
これについて社員は、「自分たちからは回答しなかった」と述べた。
出典
『「防潮壁作っても浸水」東電社員が証言 原発事故刑事裁判』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180417/k10011407161000.html
(ブログ者コメント)
今回と同じ担当者が前の週に証言した内容は、本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。