2017年11月28日16時59分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東急田園都市線の二子玉川駅で、今月17日、電車がホームにいた視覚障害のある男性の白いつえをドアに挟んだまま発車していたことがわかった。
男性は無事だったが、東急電鉄は「確認を徹底するなど再発防止に努めたい」としている。
東急電鉄によると、今月17日、東京・世田谷区にある東急田園都市線の二子玉川駅で、下り電車がホームにいた視覚障害のある男性の白いつえをドアに挟んだまま発車した。
男性がつえから手を放したためけがはなかったということだが、電車はつえを挟んだ状態で次の二子新地駅まで運行したという。
当時、男性は運転士に近い先頭車両付近のホームにいて、電車内の乗客に各駅停車か急行かを尋ねていたということで、男性がドアから離れたのをホームの一番後ろにいた車掌がモニターで確認し発車したが、つえが細かったためモニターで確認できず、ドアに物が挟まったことを検知するセンサーも反応しなかったという。
また、運転士も気がつかなかったという。
東急電鉄は男性に謝罪するとともに、折れたつえを弁償したという。
二子玉川駅には来年2月にホームドアが設置予定で、東急電鉄は「ホームドアの設置など視覚障害のある方の事故防止の対策に取り組んでいるが、確認を徹底するなど再発防止に努めたい」とコメントしている。
東急電鉄によると、トラブルがあったのは今月17日の午後4時45分ごろで、男性は車両のドアの近くに立って、電車内の乗客に各駅停車か急行かを尋ねていたという。
この電車は、男性が乗りたかった各駅停車だったが、男性の質問に対し乗客から返答がなかったため、男性は乗るのをあきらめてドアから離れたという。
車掌は、男性がドアから離れるのをモニターで確認し発車したが、白いつえが細かったため、つえが挟まったことをモニターで確認できなかったという。
東急電鉄は20年あまり前に、すべての駅のモニターを白黒からカラーに変更したが、二子玉川駅のモニターはハイビジョン化されておらず、画像が粗いため確認できなかったという。
また、当時は朝夕のラッシュ時ではなかったため、ホームには駅員や警備員はいなかったという。
東急電鉄は先月と今月、朝の通勤・通学の時間帯に田園都市線が電気系統のトラブルで長時間止まった問題を受け、老朽化が進む田園都市線の地下部分について、設備の緊急点検を行うといった再発防止策を今月16日に発表していた。
今回のトラブルは、この発表の翌日に起きたもので、報告を受けた国交省は東急電鉄に対し、電車の出発時の安全確認を徹底するよう指導したという。
国交省によると、視覚障害者のホームからの転落は昨年度69件起き、去年8月には東京メトロの駅のホームから盲導犬を連れた男性が転落して死亡するなど、死亡事故も3件起きている。
転落事故を防ぐため、国交省は鉄道各社とともにホームドアの設置を進めていて、2020年度までに利用者の多い都市部の駅を中心に、およそ880の駅で設置する計画だ。
また、駅のホームのカメラの機能を向上させるとともに、盲導犬や白いつえをカメラが認識し、視覚障害のある人に複数のスピーカーが音声でドアまで誘導するシステムについて数年後の実用化を目指し、メーカーとともに開発を進めることにしている。
全国にある視覚障害者の団体でつくる「日本盲人会連合」などが、去年、視覚障害者50人あまりを対象に行ったアンケートでは、電車のドアに白いつえが挟まり、そのまま電車が走り出してしまったという経験を過去にしたことがあると答えた人は、4人いたという。
「日本盲人会連合」の部長、藤井さんも、電車に乗る際に白いつえを挟まれ、そのまま電車が走り出してしまい杖が壊れてしまった経験があるということで、「つえがなくなった状態でホームに取り残されて、身動きもとれずとても恐怖を感じました」と、当時の状況を振り返っている。
視覚に障害のある人は、ほかの乗客が乗り降りしている間は危なくて電車に近づけず、乗客の動きが落ち着いてから、一番最後に乗り降りすることが多いという。
さらに、電車に乗り込む際も、ドアの場所やホームと車両の隙間を確認しながら乗らなくてはならず、発車のベルが鳴り終わっているのに電車に乗り切れていないことも少なくないという。
藤井さんは、「鉄道事業者には、電車に乗り切れずに戸惑っている人がいないか、視覚障害者の動きに気を配ってほしいです。周囲の乗客からも『お先にどうぞ』といった声かけをしてもらったり、みんなで気遣いができるようになれば、事故は防げると思います」と話していた。
今回の事故について、ひざにかかる負担をやわらげるため、日ごろからつえを利用している74歳の女性は、「つえが人にぶつかって、ひっかかったりこけたりするのが怖いので、電車を利用するときはなるべく混雑する時間帯を避けるようにしています」と話していた。
ベビーカーを押した子ども連れの女性は、「ふだんから、ベビーカーがドアに挟まれないよう、電車と距離をおくように気をつけています。視覚障害のある人にまわりの人が気をかけてあげられたらよかったのにと思います」と話していた。
また、ベビーカーを押していた30代の女性は、「以前、ベビーカーが電車のドアに挟まれたまま出発してしまう事故があったので、とてもひと事とは思えません」と話していた。
出典
『視覚障害者のつえ挟んで電車発車』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20171128/0004215.html
11月28日23時6分に読売新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
車掌は、駅ホームのモニターで発車を告げるブザーが鳴った後にドアから離れる男性を確認し、出発の合図を運転士に送ったが、白杖が挟まっていることには気づかなかったという。
車両には、ドアに挟まった物を検知するセンサーがついていたが、幅15mmに満たない物は検知しないといい、このときは作動しなかった。
出典
『田園都市線、男性の白杖をドアに挟んだまま出発』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171128-OYT1T50138.html
(ブログ者コメント)
NHKからは、電車の発車前にホーム上方にある4台のモニターを車掌が確認している様子が放映されていた。
ただ、モニターの画面は小さく、また画像も粗いということで、細い杖を挟んだことは見えなかったのかもしれない。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。