2017年11月29日6時0分に神戸新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ペダルをこぐ力をモーターが補助する「電動アシスト自転車」の事故が相次いでいる。
自転車が関わる事故が減少傾向にある中、電動アシスト自転車による事故の割合は高まっており、今年10月末時点で、昨年1年間の件数を超えている。
上り坂でも楽にこげ、幼児の送り迎えや通学のほか、高齢者の移動に使われる機会が増えたことなどが背景にあるとみられ、兵庫県警は、「自転車の特徴を理解し、安全運転を心掛けてほしい」と注意を促す。
県警によると、今年10月末までに、自転車側の過失割合が高い事故は1752件発生し、うち86件が電動アシスト自転車による事故だった。
2010年は3085件中56件(1.8%)、16年は2022件中73件(3.6%)と、事故の割合は徐々に増えている。
県内で発生した86件のうち、66件が神戸・阪神間で発生している。
神戸市では、今年1月、住宅地の交差点で電動アシスト自転車の女性(35)とミニバイクが衝突し、女性がけがを負った。
5月には、女子中学生(14)が車と衝突し負傷した。
自分のこぐ力以上の速度が出やすいため、危険を察知してから停車するまで時間がかかることなどが要因としてあるとみられる。
事故が増加したことについて、「電動アシスト自転車の普及も大きい」と東灘署の春名交通課長(60)。
坂道の多い神戸市内では、運転を補助する同自転車の需要が高いといい、「主要駅でも、年々、駐輪数が多くなっている」と指摘する。
電動アシスト自転車を3年ほど使っているという同市東灘区の男性(65)は、「安くなったのを契機に買ったが、やっぱり坂道が楽だというのが一番」とメリットを話す。
一方で、「ペダルを踏むと急に発進するので、最初は怖かった。信号待ちで間違って踏んでしまうと、ピュッと出てしまいそう」と、危なさも指摘する。
県警は、「補助がある分、坂道を走っていても平地と同じぐらいの速度が出ている。電動アシスト自転車の特徴を把握し、より注意して運転してほしい」と呼び掛ける。
【電動アシスト自転車】
電力モーターでペダルをこぐ力を支える仕組み。
道交法では、自転車として位置付けられる。
時速10km未満で人力の2倍ほどの電動アシスト力で補助する。
速度が上がると徐々にアシスト力が弱まり、時速24km以上では補助がなくなる。
1993年にヤマハ発動機(静岡県磐田市)が世界で初めて発売した。
出典
『電動自転車の事故急増 17年86件、神戸・阪神間7割超』
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201711/0010772983.shtml
2年前の2015年6月2日に読売新聞関西版からも、電動自転車の特性などに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察から連絡を受け、慌てて病院に駆け付けた滋賀県の男性(59)は、腑に落ちなかった。
「しっかり者の母が、なぜ事故に……」
2013年5月、男性の母親(77)は、自宅近くで電動アシスト自転車に乗っていた際、信号のない交差点で軽乗用車と出合い頭に衝突した。
ヘルメットをかぶっておらず、頭を強く打って意識不明に陥った。
「交差点では、必ず一時停止していたはず」。男性は疑問を感じた。
3週間後、意識は戻ったが、母親は事故の記憶を失っており、詳しいことはわからなかった。
警察の捜査では、母親にも左右の安全不確認など、1日施行の改正道交法で規定された14項目の危険行為の一つにもなり得る、何らかの「落ち度」があった可能性が高いとされた。
だが、最近になり、男性はある事実を知る。
母親の「乗り方」が取扱説明書で禁止されていたのだ。
片足をペダルに置き、勢いを付けて乗る「ケンケン乗り」。
急加速する電動自転車では危険とされ、停車中に足を乗せるだけでも発進する場合がある。
危険と知らずに誤った方法で乗り続け、思わぬ発進をして交差点に飛び出したのでは――。
男性はそう考えたが、母親に記憶がない以上、推測でしかない。
電動自転車を買ったのは5年前。
友人宅やスーパーへと元気に出かけていた。
事故後は後遺症が残り、意識は今もたびたび混濁する。
つえなしでは歩けず、家に籠もることが増えた。
「母も私と同じく、取扱説明書は読んでいなかっただろう。ただ、命に関わるような重要なルールは、利用者に確実に伝わる方法を販売店や警察も考えるべきでは」。
男性の心には、後悔と無念さが入り交じる。
お年寄りや主婦に人気の電動自転車。
加速時だけでなく、車体が重いため、低速時にバランスを崩しやすい“落とし穴”もある。
川崎市では13年2月、母親と娘2人が乗った電動自転車が歩道を走行中、速度を落とした際にふらついて転倒。
5歳の長女が車道に投げ出され、トラックにひかれて亡くなった。
実は、自転車事故全体の死傷者は減っている中で、電動自転車の事故による死傷者は増えている。
全体の死傷者は14年、10万8538人で09年より3割減ったが、電動自転車の死傷者は14年、過去最多の1364人(死者45人)で、09年より2割増加。
死亡原因の6割は、頭部の負傷によるものだ。
【メーカー側の対策も進む】
5月16日、大阪市鶴見区の関目自動車学校で、高齢者ら約200人が参加した交通安全大会が開かれた。
サドルが低いタイプを試乗した光本さん(75)は、「バランスを崩してもすぐ足がつくから安心。足腰も弱くなってきたし、乗り換えたい」と笑顔で話した。
ヘルメットについても、安全意識の高まりのほか、堺市や福井県美浜町など購入費を補助する自治体もあり、製品安全協会(東京)によると、高水準の安全性を示す「SGマーク」に認定された自転車用ヘルメットは14年度、127万個で、09年度の2・3倍に増えた。
製品の安全性の向上とともに大切なのが、乗り手が正しい使い方を知ることだ。
自転車が歩道走行できるのは、通行可の標識がある、13歳未満か70歳以上、あるいは身体の不自由な人が運転する、などの場合に限られるが、そのことを知る利用者は半数ほどしかいない、という警察庁の調査結果もある。
兵庫県立福祉のまちづくり研究所の北川主任研究員(交通工学)は、「平衡感覚など体の機能が衰えた高齢者や、子供を乗せた主婦らが事故を起こせば大きな被害につながりやすい。ヘルメットは被害軽減に有効だが、より重要なのは、交通ルールや乗り物そのものに潜むリスクを周知することだ」と指摘している。
出典
『楽々「電動」思わぬ加速』
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO014151/20150602-OYTAT50023.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。