2016年12月1日付で毎日新聞東京版朝刊から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
視覚障害者が8、10月に駅ホームから転落死する事故が相次いだことを受け、国交省は、全国の鉄道会社に対し、原則として視覚障害者の乗車を駅員が介助するように求める方針を固めた。
従来は各社の裁量に任されていたが、駅員が介助を申し出るよう徹底を図ることで、ソフト面での安全対策を進める。
これまでは、駅を利用する視覚障害者を見かけた場合、駅員が必要に応じて声をかけ、介助を提案するという鉄道会社が多かったが、統一の指針はなく、実際に介助するかも現場の判断に委ねられていた。
声をかけてもらった経験がなく、駅員が介助してくれることを知らない視覚障害者もいるとみられる。
このため国交省は、駅員が改札やホームで視覚障害者を見かけた場合、原則として声をかけて介助を提案するよう、求める。
視覚障害者が希望すれば、駅員が寄り添ってホームの乗り場まで案内し、乗車行為もサポートする。
どのような声かけをするかを含めて、共通の指針を作成し、各社の規則に明記してもらう考えだ。
出典
『視覚障害者 事故防止 乗車時、駅員が原則介助 国交省指針』
http://mainichi.jp/articles/20161201/ddm/001/040/124000c
同時に、以下の記事もネット配信されていた。
鉄道駅のホームで視覚障害者が転落する事故が後を絶たないなか、駅員による乗車介助が原則化される方向になった。
車両によって扉の位置が異なることから転落防止の「決め手」とされるホームドアの設置は、一気には進まない。
国は、まずソフト面の対策を強化することで、被害防止を図りたい考えだ。
視覚障害者がホームから転落したり、列車と接触したりする事故は、2009年度からの6年間で426件発生している。
国交省は、駅員による介助を原則化する一方で、視覚障害者がホームの端を歩いていたり、介助を求めていたりする場合、今まで以上に周囲の乗客に協力を求めていくことにしている。
今年8月、ホームドアがない銀座線青山一丁目駅で盲導犬を連れた視覚障害者が転落死する事故が起きた東京メトロ。
事故後、駅員らが視覚障害者の介助を申し出る取り組みを既に始めている。
「何かお困りですか?」「お手伝いしましょうか?」。
駅員や警備員が改札やホームで視覚障害者を見かけた場合、声をかけるよう、社内指示を徹底している。
駅利用者にも声かけをお願いする趣旨のポスターを、全駅に掲示した。
10月以降、ホームドアが設置されていない上、混雑がひどかったり、視覚障害者の利用が多かったりする38駅55カ所に警備員を増員し、配置する時間帯も広げた。
これで、ホームドアの未設置駅すべてで、対応可能な駅員か警備員が配置されたことになるという。
このほか、体の不自由な人の応対や介助ができるように、サービス介助士の資格取得を社内で推進しており、来年度中に全駅員の取得を目指すとしている。
主要な鉄道会社は、現在、車いす利用者が乗車時に改札で申し出れば、ホームと電車の間の「渡り板」を持った駅員が乗車をサポートしている。
降車駅も聞き取って事前に連絡し、車いすの利用者が乗った位置に待ち構えて板を渡す。
国交省によると、近年、こうした車いす利用者の乗車手順は全国的に統一されてきたが、視覚障害者への対応は、現場の判断に委ねられている現状があった。
同省幹部は、「車いす利用者に限らず、視覚障害者への対応も徹底し、悲惨な事故を繰り返さないようにしたい」と話す。
国交省は、東京メトロ銀座線青山一丁目駅(東京都港区)と近鉄大阪線河内国分駅(大阪府柏原市)で相次いだ視覚障害者の転落死亡事故を受け、鉄道各社を集めた再発防止策の検討会を開いている。
12月の検討会で駅員による介助の原則化を提案し、各社に導入してもらう方針だ。
出典
『視覚障害者 転落防止「乗客も」まず一声 鉄道事業者呼びかけ 駅員にサポート
資格推進』
http://mainichi.jp/articles/20161201/ddm/041/040/125000c
(ブログ者コメント)
駅ホームからの視覚障害者転落事例については、対応状況などを含め、本ブログで何件か紹介済。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。