2018年1月16日13時20分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年末、「ホルモン」を焼いていて焼き肉店が燃える火事が相次いだ。
脂がのったホルモンをあぶってタレを付け、ご飯にポンポンとバウンドさせて食べるのは確かにうまい。
だが、注意も必要なようで……。
昨年11月下旬、名古屋市中区の焼き肉店で、客6人が食べ放題のホルモンを焼いていたところ、火柱が上がった。
火は客席の排気ダクト内のすすに燃え移ったとみられ、店は全焼。客は、こう話した。
「時間制限があり、大量にホルモンを焼いた」。
12月初旬には、東京・渋谷の雑居ビルにある焼き肉店でも火事が発生。
七輪の火が、ホルモンなどの脂がこびりついたダクトを通じて燃え上がった。
全国焼肉協会(本部・東京)によると、ここ10年ほど脂身の人気が高く、脂を多く残した肉を出す店が増えている。
小腸(マルチョウなど)や大腸(テッチャンなど)は焼く際に炎が上がりやすく、注意が必要。
特に、食べ放題で元を取ろうと一気に焼いたりする時が危ないようだ。
東京消防庁は、焼き肉店など火を扱う厨房設備がある飲食店が注意すべき点として、火源と可燃性のものを近づけないことや初期消火への備えなどを挙げる。
さらに重要なのが、排気ダクトの点検・清掃だ。
総務省消防庁のまとめでは、2016年の1年間で、バーなどをのぞく一般飲食店であった建物火災は全国で985件あり、うち8件の火元が排気ダクトだった。
ここ5年をみても、排気ダクトが火元となった火災は、年間で平均10件超起きている。
焼き肉テーブルなどを製造販売する「野田ハッピー」(千葉県)の珍田(ちんだ)社長(70)によると、排気ダクトには大きく分けて、テーブルの上から煙を吸い込む「上引き」と、網の下から吸い込む「下引き」がある。
各都道府県が定める条例では、熱を感知するとダクト内でふたが閉まって酸素の供給を止め、それ以上、ダクトで火が広がらないようにする装置や、設備の清掃が義務づけられている。
しかし、掃除を怠ると熱を感知する部品をすすが覆い、作動しにくくなる。
珍田社長は、「ホルモン人気で、ダクト内についた汚れやすすが油分を多く含み、引火しやすくなる可能性はある」と話す。
同社は清掃しやすい部品を造ってはいるが、やはり普段の手入れが重要だという。
火事になった渋谷の店を運営する会社の担当者は、「脂を吸着するフィルターの清掃は毎日やり、年に一度ほどダクトの脂を除去していたが、営業を続けていると脂はゼロにはならず、引火してしまった」と話す。
名古屋の火事は、愛知県警によると、定期的なダクトの掃除が5年ほど行われていなかった。
珍田社長は、「業界は過当競争にさらされ、清掃に割く人員やメンテナンス費用にしわ寄せがくるケースもある。消防庁には、安全な器具の開発や清掃の目安のガイドライン策定などに向け、音頭を取ってもらいたい」と話す。
客が気をつけるべき点もある。
「焼き方」だ。
都内で「亀戸ホルモン」2店舗を経営する松浦さん(36)は、「ホルモンに限らず、脂の多い部位はある。いずれも、激しく燃え上がらせるとおいしくなくなってしまいます」。
炎が上がった際にはすぐ消せるよう、テーブルに氷を置いているという。
年間1000軒超を食べ歩き、お肉博士1級の資格も持つ人気ブロガーの「フォーリンデブはっしー」さん(35)は、「まず、脂身の少ない皮の方をパリッと焼いてからひっくり返すのが鉄則」と言う。
食べ歩きを始めた頃は、逆の順で焼いて炎を上げたこともあるという。
経験上、脂が続けて大量に落ちた炭が燃え上がることが多いといい、「同じ炭に脂が落ち続けるとファイヤーする。炎が上がりかけたら、網の端にいったん避難。一度に網いっぱいに置かないことも重要です。中央と端を何度も行き来し、脂を半分くらいに絞り込むと、うまみと甘みがギュッと凝縮した脂身に仕上がり、最高です」
おいしく、しかも安全に食べるには、店にも客にも注意が必要なようだ。
出典
『ホルモンが原因で相次ぐ火災、防ぐ焼き方のコツは』
https://digital.asahi.com/articles/ASL1H51XML1HUTIL02P.html?rm=621
(ブログ者コメント)
名古屋と渋谷の事例については本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。