ピザ生地を切断する機械を掃除させる際に、安全のため主電源を切る手順を取らず、従業員が大けがをする事故を起こしたとして、京都南労基署は、東京の外食チェーンの子会社「Tジャパン」の宇治田原町にある工場の工場長(44)と法人としての子会社を、労安法違反の疑いで書類送検した。
同署によると、京都工場では今年4月17日、36歳の契約社員の男性が冷凍食材のピザ生地を分断する機械をいったん停止させて内部をヘラを使って清掃していたところ、掃除が終わったと勘違いした別の社員(55)が誤ってボタンを押したため機械が動きだし、契約社員は厚さ約2cmの刃で右手の指4本を切断する大けがをした。
同署では、機械の掃除や検査などの際に危険が及ばないようにする措置を事業者に義務づけた労安法と、実際に機械の電源を切ることなどを定めた労安則に違反した疑いで、工場長と法人としてのこの子会社を書類送検した。
同署によると、工場では掃除時間短縮のため、10年近く、電源を入れたままにして機械を一時停止させる手順しか定めておらず、マグネットを使って一時的に機械が動かないよう施していた。
工場長は「電源を切ると作業効率が下がると思ってやっていた」と話しているという。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/kyoto/2015721921.html?t=1372713345929
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20130702ddlk26040432000c.html(ブログ者コメント)
○「マグネット」という言葉から類推するに、たとえば、起動ボタンに「操作不可」といった表示板をつけていただけ・・・だったのだろうか?
○機械の起動ボタンは、いわば水道の蛇口だ。蛇口の上流には圧力のかかった水がある。
誰かが間違って蛇口を開ける、あるいは蛇口が壊れた場合でも安全を確保するためには、水道の元栓を閉めておく、つまり主電源を切っておくことが大切だ。
○労安則第百八条には「刃部のそうじ等の場合の運転停止等」として、以下の条文がある。
事業者は、機械の刃部のそうじ、検査、修理、取替え又は調整の作業を行なうときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の構造上労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。
2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠をかけ、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。
3 事業者は、運転中の機械の刃部において切粉払いをし、又は切削剤を使用するときは、労働者にブラシその他の適当な用具を使用させなければならない。
4 労働者は、前項の用具の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000032.html
(2013年7月15日 修正1 ;追記)
2013年7月2日付の京都新聞紙面に、安全装置に細工していたという下記趣旨の記事が掲載されていた。
送検容疑は、安全装置が機能しないようセンサーに細工をした機械を、契約社員に掃除させた疑い。
労基署の説明では、普段から安全装置に細工をしていたといい、工場長は「作業時間の無駄を省くためだった」と話しているという。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。