2016年2月9日18時11分にNHKさいたまから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日夜8時すぎ、所沢市元町にある31階建てマンション「フォーラスタワー所沢」の15階の一室から火が出て、火元の部屋に住む53歳の男性と48歳の女性のあわせて2人が逃げる際にやけどをして病院に搬送されたほか、住民およそ230人が近くの公共施設に一時避難するなど、現場は騒然とした。
消防によると、この火事で火元の15階の部屋、33m2が焼けたが、周囲の部屋への延焼はなかった。
また、現場検証の結果、台所のこんろ付近が最も激しく燃えていたという。
警察がこの部屋に住む男性に聞いたところ、「妻が台所で調理中にこんろの火が近くにあった紙に燃え移り、火事になった」と話しているという。
この部屋には、服やダンボールなどが山積みになっていて燃え広がりやすく、消火活動は難航したが、消防隊員らが燃えやすいものを部屋の外に出したり、ベランダなどから放水を続けたりした。
消防によると、火災発生の通報を受けて出動した消防隊が、現場到着とともに消防車のスピーカーで住民に火災の発生を知らせ、「危険なので非常階段を使って屋外に避難してください」と誘導した。
特に、火元の15階に近い16階と17階には、それぞれ5人ずつの消防隊員が非常用エレベーターで上がり、廊下を回りながら大声で火災の発生を知らせ、避難するよう誘導した。
避難誘導の指揮をした責任者は、「火元の15階から煙や炎が及びやすいすぐ上の階を優先して避難誘導にあたった」と話している。
一方、消火活動について、今回のような高層建築の場合、はしご車を使っても放水が届かないため、マンションに設置されている「連結送水管」と呼ばれる垂直の管に消防車のポンプをつなげ、高い水圧で上の階に水を送って15階での放水を行ったという。
消防の責任者は、「これほど高層の建物での消火活動は私たちにとって初めての経験だった。室内にあったダンボールなどの燃えやすいものが消火の妨げになったので、こうした状況では早い段階からより多くの隊員を投入して消火にあたることが重要だと感じた」と話している。
火災発生直後、消防の呼びかけで屋外に避難した住民は、およそ230人。
マンションの前から安全な広場まで誘導したのは、地元の消防団員たちだった。
消防団員になって4年目の菊池さん(31)は、マンションから出てきた人たちを広場に誘導すると、寒い寒いと言っている声を耳にした。中には、寒さで体調不良を訴える人もいた。
菊池さんは、現場近くの市役所の旧庁舎にいた知り合いの青年会議所のメンバーに連絡をとり、避難者を受け入れられるか尋ねた。
ある程度の人数なら受け入れられるという答えを得て、避難者を案内すると、青年会議所のメンバーは、わんぱく相撲の時に土俵の下に敷くマットを倉庫から出して、体が冷えないよう、避難者の待機場所に敷いてくれた。
しかし旧庁舎は、夜間は暖房が止まってしまうため、時間がたつにつれて寒くなってくる。
そこで、暖房のある中央公民館に避難者を移動させようと、近くにいた社会福祉協議会の人が市役所に連絡し、臨時の避難所として使うことになった。
中央公民館には、災害備蓄用の毛布100枚が用意されていたほか、市役所の旧庁舎から電気ストーブが運び込まれ、乾パンや温かいお茶も避難者に配られたという。
菊池さんは、「消防団員はもちろん、自分たちの住む地域のことを日頃考えている人たちが多かったと思います。旧庁舎の方も、臨機応変に対応してもらい、連携がとれていたと思います」と話していた。
東京都によると、地上20階程度にあたる高さ60m以上の高層マンションは、現在、都内だけで500棟以上あるという。
現在も、東京の都心部や湾岸部を中心に高層マンションの販売は好調で、ことしは33棟、来年は38棟が完成する計画で、1都3県の高層マンションは今後もさらに増え続ける見込みだという。
総務省消防庁によると、高層マンションなど、多くの人が住む住宅については、避難のための対策を、消防法で義務づけている。
このうち、50人以上が住むマンションなどでは、防火管理者を定めて消防計画を作り、避難経路を決めたり避難訓練を行ったりすることなどが義務づけられている。
また、構造によって異なるものの、11階建て以上のマンションでは、スプリンクラーや避難経路を示す誘導灯、それに、警報装置の設置などが義務づけられている。
このほか、建築基準法では、地上10階程度にあたる31mを超える建物には、火災などの際に消防隊が高層階にすぐに上がれるように、非常用エレベーターの設置が義務づけられている。
消防によると、今回、火災が起きた埼玉県所沢市のマンションでは、警報装置や非常用エレベーターが作動し、火元の15階に近い部屋では、消防も直接避難を呼びかけて誘導にあたったという。
高層マンションでの火災について、防火対策などに詳しい東京理科大学大学院の菅原進一教授は、「高層マンションは、ひとつひとつ部屋が区切られているために、ほかの高層の建物に比べると、火が広がるには少し時間がかかることが一般的だが、多くの住民を避難階段という限られたスペースで、いかにすみやかに避難させるかが課題だ」と指摘している。
そのうえで、「すべての住民が一気に避難すると、階段が混雑してしまう可能性もあるため、状況に応じてどのように住民を避難させるのか、避難計画をしっかりと作成しておくとともに、住んでいる人も避難訓練に参加して、落ち着いて行動できるように備えておく必要がある」と話している。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/saitama/1106927511.html?t=1455052890461
2月10日付で埼玉新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
火災は、出火から約5時間50分後の翌9日午前1時50分ごろ、鎮火した。
消防によると、現場には高さ30mまで消火可能なはしご車2台も出動したが、10階程度までしか対応できず、消防隊員らが男性方の玄関や北側ベランダから室内に入った。
消防によると、火災の起きたマンションは高さ96.8mで、2000年に建設、住戸数は344戸。
耐火構造のマンションでも、ベランダ側から吹いた火が上階に燃え移るケースもあり、ベランダに可燃物を置かないことが防火対策として必要だという。
出典URL
http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/02/10/10.html
(ブログ者コメント)
NHKの報道中、以下のインタビューやナレーションも流れていた。
9階の住民「同じマンションに住む友人から燃えているよという電話がかかってきたので慌てて下に降りた」。
19階の住民「外階段を使って下まで降りた」。
このマンションでは毎年避難訓練を行い、避難経路を知らせていため、自分の判断で落ち着いて避難することができたという。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。