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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2016222日付で読売新聞兵庫版から、下記趣旨の記事が、試作服の写真付きでネット配信されていた。

 

姫路市消防局は、消防隊員ら37人が死傷した2012年の化学プラント火災を教訓に、耐熱性などを高めたベストを重ね着するなどし、高温の物質の飛散などから上半身を守る新しい防火服の開発を、県立大、帝国繊維(東京都)と産官学共同で進めている。

10月からの配備を目指す。

総務省消防庁は、「実体験に基づく創意工夫で素晴らしい」と評価している。

 

12年9月、化学メーカー「日本触媒」姫路製造所(網干区)で、アクリル酸の貯蔵タンクが爆発。

市消防局では、高温のアクリル酸を浴びた隊員1人が死亡、24人が重軽傷を負う被害を出した。

 

高温にさらされるタンク火災などでは、通常、特殊な繊維にアルミを蒸着した耐熱服を着用する。

しかし、現場に当時、炎はなく、隊員が通常火災用の防火服で活動中に、突然、爆発が発生。

高温のアクリル酸が防火服を焼いた。

 

市消防局によると、耐熱服は石油コンビナート火災などで使用。

管内にコンビナートなどがある市内4消防署に、計18着を化学消防車などと配備している。

耐熱服は重く、視界や動きも制限されるため、通常は、主に最前線の隊員が身に着ける。

 

しかし、今後も同様に、耐熱服を着用していない隊員が巻き込まれる事故の可能性があり、市消防局は、「防火服並みに動きやすく、耐熱服に近い性能があって、通常の火災時に兼用できる装備が必要」と判断。

13年12月頃から、帝国繊維、県立大と開発を始めた。

 

防火服に高温や化学薬品への耐久性を高めたベストを重ね着するデザインを採用。

材質などの実験を重ね、防火服を約2.7kgと、従来型から約10%軽量化し、また、袖の部分にアルミを蒸着した耐熱生地を取り付けて腕を熱から守るとともに、ベストもアルミ蒸着生地製で約0.5kgに仕上げた。

ベストを着た状態で、上半身をほぼ、高温などから守れるという。

開発に携わった県立大環境人間学部の深江亮平教授(繊維材料)は、「耐熱性と運動性を両立できた」と話す。

 

現在は、2着目の試作品を製作中。

隊員に現場で使ってもらいながら改良し、今年10月頃から2年間で、約550人分を配備するという。

新年度予算案に6900万円を計上した。

市消防局は、「新しい防火服で隊員が安心して出動することで、市民の安全を守りたい」としている。

 

出典URL

http://www.yomiuri.co.jp/local/hyogo/news/20160221-OYTNT50143.html

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

日本触媒の事故は、下記記事参照。

 

2012929日 姫路市の日本触媒でアクリル酸中間タンク内で重合反応が起きて爆発、消防士1人が死亡、従業員ら36人が重軽傷

第1報(2012107日掲載)

http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/2319/

第2報(201346日掲載)

http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/2775/

第3報(2014325日掲載

http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3773/

 

 

 

(2017年1月17日 修正1 ;追記)

 

2017111日付で朝日新聞播磨版(聞蔵)から、開発した新型防火服が技術賞を受賞したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。 (新情報に基づき、タイトルを若干修正した)

 

姫路市消防局の塚原さん(54)が中心となり、産学官で開発した新型の化学プラント火災用防火服が、今年度の消防防災科学技術賞を受賞した。

同賞は、消防防災の優れた機器などの開発・改良や科学に関する論文・原因調査の事例報告に対して、消防庁長官が表彰する。

 

16年度は計87件の応募があり、23件が受賞。

防火服での受賞は姫路市消防局だけ。

 

防火服開発のきっかけとなった日本触媒の爆発火災で、当時、消防課係長として損害調査に当たった塚原さんは、防火服の損傷が激しく、役にたってないことに気付いた。

 

県立大学の教授や繊維メーカーの社員とともに、実際に燃焼したアクリル酸を不着させた試験を実施。

従来の防火服は、アクリル酸の液体が生地に浸透した。

ヘルメットは、内外装ともに焼け抜けた。

 

このため、新型の防火服では、液体が浸透しないようにアルミを蒸着した生地を採用。

ヘルメットも、難燃ウレタン製の内装にした。

 

防火服は、ハーフコート式の上着の上からベストを重ね着する仕組みで、ベストの表面にアルミを蒸着させ、化学薬品の浸透を防ぎ、火災による放射熱も反射できる。

 

ベストはコートにボタンで留める形で、化学薬品が付着しても、ベストを素早く脱ぎ捨てることができる。

 

塚原さんは「同じような石油コンビナートを抱える全国の消防で採用され、化学プラントなどの火災による死傷者が出ないようになれば」と話している。

 

 

 

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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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