2016年6月5日付で読売新聞茨城版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神栖市が2013年に行った津波避難の想定実験に基づき、「避難困難者」とされた住民は、実際は全員が安全に避難できる状況なのに、市は「逃げ切れない」と誤解し続けていたことがわかった。
市は、「言葉のイメージが先行していた」と釈明している。
3日の市議会定例会一般質問で、村田議員の質問に答えた。
市の説明によると、13年の想定実験では、津波の際、鹿島港の北公共埠頭(神栖市居切)周辺で避難困難者が1262人出るとされた。
避難困難者は、「津波が海岸に到達するまでに浸水想定地域から出られない人」を指すが、想定実験では、「津波は到達後、陸地を遡上するのに数時間かかる」との結果も出ていた。
津波到達後に浸水するとみられる場所にいても、徒歩で避難すれば、巻き込まれず安全な場所に逃げ切れることになる。
市は、「避難困難という言葉の持つイメージが先行していたこともあり、きちんと認識できたのは今年3月だった」と釈明。
村田議員は、「(避難を巡る)数年間にわたる議論は何だったのか」とあきれていた。
出典
『「津波」実は安全に避難 神栖市実験』
http://www.yomiuri.co.jp/local/ibaraki/news/20160604-OYTNT50236.html
6月4日付で茨城新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
神栖市は、津波からの住民の避難方法について、徒歩に加え自転車の利用も可能とするなど、避難計画を改訂する方針を明らかにした。
3日に行われた市議会の一般質問に、市側が答えた。
新たな避難計画は、併せて改訂する津波ハザードマップとともに、本年度中に市内全戸に配布する予定。
市防災安全課によると、同市は震災後の2012年度、
(1)鹿島港の南公共埠頭
(2)同港北公共埠頭
(3)波崎地区の一部
の3エリアで、津波シミュレーションを実施。
この結果、避難困難者が、南公共埠頭周辺は42人、北公共埠頭は1262人、波崎地区の一部は62人いることが分かった。
その後、県が堤防を整備したことから、14年度に再度シミュレーションを実施したところ、南公共埠頭周辺の避難困難者はいなくなったものの、残る2つのエリアでは、堤防が75%沈下する設定のため、人数に変化はなかった。
そこで、市は専門家の助言を受け、15年度に、避難困難者が徒歩でなく自転車を使って避難する設定や、堤防が沈まない設定でもシミュレーションを行った。
その結果、2つのエリアの避難困難者が、自転車を使えば、無事に避難できることが判明した。
一般質問では、「高齢者や健常者でない人など、自転車に乗れない人はどうするのか」と指摘する声も上がった。
市は、「課題を整理して早急に避難計画を改訂する」とし、避難計画の冊子を対象地域の住民だけでなく、市内全戸に配布する考えを示した。
出典
『津波避難、自転車も想定 神栖市が計画見直しへ』
http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14649605237211
(ブログ者コメント)
○ネタ元は同じと思われるが、避難困難者ゼロの見直し理由について、読売新聞では「津波到達まで時間があるから」、茨城新聞では「自転車で逃げられるから」と報じられている。
どちらが正? どちらとも正?
○一方、「数年間にわたる議論は何だったのか」という発言。 どのような文脈で語られたのかは不明だが、言葉どおりに受け取ると、計画立案時の検討が不十分だったという指摘のように思われる。
もしそうだとすれば、それはそれで正しい意見だが、計画というもの、運用し始めて、初めて、実情に合っていないことがわかることがある。
そういった場合、あるいはその後の状況変化などに応じて、計画は定期不定期に見直すことが大切だ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。