2019年2月28日に信濃毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岡谷市の諏訪湖釜口水門で27日に起きた誤放流について、県諏訪建設事務所は28日の記者会見で、水門の「堰柱(せきちゅう)」上にある操作盤の交換工事が原因との認識を示した。
6つある上段ゲートのうち、2つが突然全開になって天竜川への放流量が増大したが、詳しい原因は分かっていない。
県職員が誤放流を止めようとしたが、通常の手順では機器が反応せず、別の方法でゲートを閉じたことも分かった。
全開になったのは天竜川右岸側の1号と2号のゲート。
釜口水門では昨年9月から今年3月までの予定で、堰柱上の操作室にある操作盤の交換工事をしていた。
27日は最も右岸側にあり、1号ゲートに接する堰柱上で業者が作業をしていた。
同建設事務所によると、閉じていた1号、2号のゲートが突然全開になったのは午後4時50分ごろ。
業者と天竜川左岸側にある管理棟にいた県職員が気付き、管理棟と堰柱上の操作室の操作盤で元に戻そうとしたが、反応しなかったという。
機器のメーカーに問い合わせて復帰の方法を探り、午後6時20分にようやく通常の状態に戻した。
誤放流の影響で、天竜川の水位は釜口水門近くで最高1.7mほど上昇。
諏訪湖の水位は75cmから3cm低下した。
ゲートを戻したことで、天竜川の水位は27日中に通常に戻った。
同建設事務所は、誤放流が起きた2つのゲートは当面閉じたままとし、原因究明を急ぐ。
操作盤の交換工事も見合わせる。
1988(昭和63)年完成の釜口水門で、ゲートが突然全開となるトラブルは初めてという。
出典
『釜口水門 誤放流「操作盤工事が原因」 県会見』
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190228/KT190228FSI090012000.php
2月28日17時54分にNHK信州からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日午後5時ごろ、諏訪湖から天竜川へ流れる水の量を調節する唯一の水門「釜口水門」で、6つあるゲートのうち2つが全開になっているのを職員が見つけた。
これに伴って水が一気に天竜川に放流され、水門に近いところでは一時、水位が1m70cmほど上昇したため、水門を管理する県は、被害が出るおそれがあるとして、関係機関にいつでも出動できるよう待機を求める警報を出した。
県の職員が機器を操作してゲートを閉じようとしたものの、反応せず、機器が使えるようになるまでのおよそ1時間半ほどの間、諏訪湖から大量の水が流れ続けた。
県によると、けがをした人などの被害の情報はないという。
出典
『水門が突然全開 大量の水が放流』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20190228/1010007813.html
3月1日付で中日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県諏訪建設事務所によると、釜口水門は管理棟から水門上部の操作盤3台を介してゲート6基の開閉を制御している。
このうちの1台を交換する作業をしていた午後4時50分ごろ、閉じていたゲート2基が突然全開し、制御不能となった。
職員らがすぐに気付いて操作盤を調整し、同6時20分ごろ1基を全閉、もう1基を通常の開度に戻した。
操作盤は老朽化に伴い順次交換する計画で、最初の工事だった。
出典
『操作盤工事中に全開 被害はなし、釜口水門の不具合』
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20190301/CK2019030102000029.html
(2019年3月8日 修正1 ;追記)
2019年3月8日付で中日新聞から、30年以上も前の機器ゆえ詳細なデータが残っておらず、その状態で回路設計を余儀なくされたため結果として回路が誤接続されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
県諏訪建設事務所は7日、ゲートを開閉する操作盤の制御回路に不備があったことが原因と発表した。
老朽化に伴い交換した操作盤からゲートにモーターの動力を伝える「接続器」に、誤って電気が送られ、制御不能になった。
接続器は、自動車のクラッチのような機能を持つ。
設備のメンテナンス時には通電してニュートラル状態にするが、操作盤の交換工事を終えて確認作業中に、突然、通電が起き、制御不能となったフラップ式のゲートが諏訪湖からの水圧で下流側に倒伏した。
接続器は30年以上前の機器で、詳細なデータが残っておらず、操作盤の更新を請け負った電気工事業者が、メーカーと連絡を取り合いながら、制御回路を設計、製作したという。
県諏訪建設事務所の丸山所長は、「結果的に、本来の動きとは異なる回路を設計した」と説明した。
再発防止策として、工事前に県と請負業者間で想定されるリスクを洗い出し、工事の際には関係機関に情報提供するとした。
今回のような問題が起きた場合の新たな連絡態勢も確立する。
操作盤は水門の上部に3基あり、現在中止している交換工事は、業者に動作確認試験の計画を再検討させ、安全性を確認した上で再開する。
出典
『操作盤・制御回路に不備 諏訪湖の釜口水門全開問題』
https://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20190308/CK2019030802000010.html
3月7日付で信濃毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
制御不能になったゲートは自由に動く状態になり、諏訪湖からの水圧で天竜川方向に倒れ、全開になったという。
・・・・・
一方、県諏訪建設事務所は今回、誤放流を把握した直後から、下流の市町村などに電話で放流量の増大を伝え、注意を喚起。
水門に近い区間では、天竜川沿いに設置したサイレンを鳴らしたが、天竜川漁協(伊那市)には連絡していなかった。
大雨で放流量を増やす際、同漁協にはファクスで連絡しているため、同建設事務所は「電話連絡から漏れてしまった」と釈明した。
県は。今回のような突発的なトラブルに備え、新たな連絡の方法を構築する見通しだ。
出典
『釜口水門の誤放流、「接続器」に不具合か』
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190307/KT190306FTI090019000.php
※以下は、長野県諏訪建設事務所からの図解付きプレスリリース。(本文転記省略)
『釜口水門放流ゲートの不具合発生の原因及び再発防止策について』
https://www.pref.nagano.lg.jp/suwaken/jigyo/documents/press20190307.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。