2020年8月23日16時0分にYAHOOニュース(Rolling Stone)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
液化天然ガスの輸送規制ガイドラインを緩和するというトランプ米政権の新たな決定は、街をまるごと吹き飛ばすほどの破壊力を持った「爆弾列車」を生みかねない、と環境保護団体が発言している。
非営利団体Earthjustice率いる環境団体連合は、現地時間24日に施行される予定の決定に異を唱え、現政権を提訴した。
これとは別に、14の州とコロンビア特別区もトランプ政権を訴え、決定の再検討と違法宣言を求めた。
国家運輸安全委員会および全国消防保安官協会も、同じく反対している。
新たな規制では、これまでアメリカ国内で許容されていた量をはるかに超える、タンク1台あたり最大3万ガロン(約11万4000リットル)の液化天然ガス(LNG)を鉄道輸送することが認められる。
また、1回に輸送することのできるLNGタンク搭載車両の数や、輸送経路についての制限が一切ないため、人口密度の高い都市部を自由に行き来することにもなる。
Earthjusticeの訴状に記載された数値によると、車両22台分で広島の原爆に相当するエネルギーが生成されうるそうだ。
LNGは天然ガスと同じ――フラッキング(水圧破砕法)で採取されるのが一般的――だが、マイナス162℃まで冷却することで液状になる。
危険が生じるのは、ガスが容器から漏れた場合。
高可燃性の物質が質量の600倍以上に膨張することもあるという。
「LNGを搬送する船舶は、海上の爆弾、と表現されてきま
した」。
訴訟を起こした州連合を率いるメリーランド州のブライアン・フロッシュ州司法長官は、19日に声明を発表した。
「我々の地域にLNGを満載した車両を走らせるなど、非常に危険な行為です。今回の提案は、大量のLNGを貨物列車にのせて都市部を経由して輸送することが、住民や天然資源の安全にどんなリスクを及ぼすか、まるで意に介しておりません」
単なる理屈上の話ではない、とEarthjusticeは断言する。
1944年には、タンクから漏れた液化天然ガスが発火し、131人が命を落とした。
「その後も爆発が相次ぎ、温度は1650℃に達し、町は炎に包まれました。1回の爆発で深さ7.6メートル、幅9メートル、長さ18メートルものくぼみができました」と同団体は言う。
現在、LNGは船舶かトラック、または承認を受けた国連の特別輸送タンクでしか運ぶことができない。
新たな規制で輸送が認められる貨物タンクはDOT-113と呼ばれるものだが、国連輸送タンクの容量はDOT-113の1/3程度だ。
Earthjusticeの報告書によると、DOT-113はLNGタンクの検査を受けておらず、承認も受けていないという。
液化天然ガス以外の輸送でも、100%安全とは言えない状態だ。
アメリカ運輸省のパイプライン危険物安全局の調べによると、1980年から2017年までDOT-113タンク絡みの事故は14件あったことが判明した。
北米に現存するDOT-113がわずか405台であることを考えると、かなり高い事故率だ。
3件の脱線事故のうち、2件では車両がすべて破裂し、全壊した。
【考えられる最悪のケースとは?】
さらに最悪なのは、新たな規制でいわゆる「単一貨物車列」――最大100台の車両を連結した列車――が認められることだ、とEarthjusticeのジョーダン・ルブクマン氏は言う。
そうなれば危険は一気に増大する。
「たった1台のタンクに壊滅的な事故が起き、爆発した場合、隣接したタンクも何らかの損傷を受け、同じく爆発することは避けられないでしょう。そうなる可能性が極めて高くなります。いわゆる連鎖事故というものです。ドミノのように、爆弾のごとくタンクが次から次へと爆発していくことになるのです」
パイプライン危険物安全局の政府・国際・広報窓口を担当するベン・コッホマン氏は、現在訴訟中のためコメントは差し控える、とローリングストーン誌に語った。
2019年4月にトランプ大統領が大統領令を発令したのをうけ、政府が最優先で今回の規制緩和に取り組んだ背景には、アメリカの化石燃料の輸出拡大という大統領の無謀な政綱がある。
「アメリカは当面、原油および天然ガスの最大の主要生産国としてあり続ける」と、トランプ大統領の大統領令には記載されていた。
今回の政権の動きは、既存のパイプラインの閉鎖と新規パイプライン建設を阻止する環境保護活動家らの働きかけが実現したのと、ほぼ同時期に起きた。
「ペンシルベニアであれ、ウェストバージニアであれ、パイプラインの建設は非常に難しくなりました」とルブクマン氏は言う。
「数年前は確実視されていたパイプラインも、政治的圧力や絶え間ない監視のもと、完全に崩壊しました」
だが、LNGの輸送を鉄道に切り替えることは大惨事になりかねない、と訴状は断言する。
「いままで我が国で液化天然ガスが鉄道輸送されていなかったのには、もっともな理由があります。とんでもなく危険だからです」。
Earthjusticeとともに訴状を興した環境団体Clean Air Councilのエグゼクティブディレクター、ジョセフ・オーティス・ミモット氏も、こう語った。
「こんな危険な列車に、うちの近所を走ってほしくありません。きっとあなただって嫌でしょう?」
https://news.yahoo.co.jp/articles/91091a30684b875a7122ecf3275cb731575dca60
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。