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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2018114751分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

阪神・淡路大震災で注目された、家屋などの下敷きになって筋肉が壊死し、腎不全になる「クラッシュ症候群」の仕組みを、慶応大などの研究チームがマウス実験で突き止め、米医学誌ネイチャー・メディシンに発表した。

予防や治療の効果を見込める物質も特定、創薬につなげたいという。

 

クラッシュ症候群は、地震や交通事故などで家屋や車の下敷きになって圧迫された手足の筋肉が壊れて起きる。

壊死した筋細胞内の物質が血中へ放出され、急性の腎障害などにつながり、死に至ることもあるが、詳しい仕組みはわかっていなかった。

 

多くの家屋が倒壊した1995年の阪神・淡路大震災では概算で370人以上が発症し、約50人が死亡したとされる。

 

こうした腎障害は、重度の熱中症や過度の運動などで筋肉が壊死した場合にも起こる。

予防薬がなく、発症したら透析で対症療法をするが、災害現場では間に合わない場合も多い。

 

研究チームは、壊死した筋細胞が出す物質で血小板が活性化され、腎臓内で白血球の一種、マクロファージを細胞死させることをマウス実験で突き止めた。

この時にマクロファージがDNAとたんぱく質の複合体「クロマチン」を放出し、尿細管を攻撃して腎障害を引き起こしていた。

 

クロマチンの放出に関わる遺伝子を働かなくしたマウスは、筋肉を壊死させても腎障害の症状が軽かった。

交通事故などで筋肉を損傷した人の血中からは、クロマチン由来の成分が多く検出された。

 

また、母乳などに含まれるたんぱく質「ラクトフェリン」にクロマチン放出を抑える働きがあることも確認。

事前に注射したマウスでは腎障害の症状が軽かったという。

 

研究チームの平橋淳一・慶大専任講師は、「筋肉の壊死で起こる腎障害の予防や治療ができる可能性がある。災害や事故の現場で使える治療薬の開発につなげたい」と話す。

 

出典

『地震で下敷き…腎不全に クラッシュ症候群の仕組み解明』

https://www.asahi.com/articles/ASL1F4WF1L1FULBJ003.html 

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

クラッシュ症候群については下記記事が東邦大学医療センターのHPに掲載されていた。

 

【クラッシュ症候群をご存知ですか?】

 

今から20年前の1995117日、阪神・淡路大震災が発生しました。

この震災における救急医療の現場において、今回のテーマである「クラッシュ症候群」が注目されました。

 

本症候群は「挫滅症候群」とも呼ばれており、その歴史的認知は比較的遅く、第二次世界大戦中の1940年、ドイツ軍によるロンドン大空襲によって、瓦礫の下から救出された人々が発症し、これが最初の症例報告とされています。

 

クラッシュ症候群は極めて特徴的な病態を示します。

倒壊した建物などから救出された直後は、意識も明瞭で、一見軽傷のように見えているのに、数時間後、突然意識が薄れ最悪の場合、死に至ることも少なくありません。

 

【何故このようなことが起こるのでしょうか?】

 

倒壊した建物などに身体の一部、特に四肢が長時間圧迫を受けると、その時間にもよりますが、血流が停滞して筋肉が障害を受け、筋細胞の壊死が生じます。

目安としては2時間以上圧迫があった場合とされています。

 

その後、圧迫状態から解放され血流が再開すると、壊死した筋細胞からミオグロビン・カリウム・乳酸などが血液中に大量に漏出します。

普段これらの物質は、細胞の中で重要な働きをしていますが、このような状態では数倍から数百倍の濃度になり、毒物となって全身障害を発症させます。

すなわち、ミオグロビンは、腎臓の尿細管を壊死させ、急性腎不全を引き起こします。

 

赤褐色の尿が出始め、やがては尿が出なくなります。

カリウムは高カリウム血症を引き起こし、筋肉を痙攣させ、心室細動、心停止を引き起こします。

そして乳酸は、乳酸アシドーシス(身体の中が酸性になる)を引き起こし、酵素の働きを低下させます。

 

【どのような検査がおこなわれるのでしょうか?】

 

ミオグロビンは、筋細胞の細胞質に豊富に含まれる蛋白質で、ヒトでは主に骨格筋と心筋に存在します。

急性心筋梗塞が発症すると、梗塞部位での心筋細胞壊死が生じ血中のミオグロビン濃度が増加する事から心筋障害マーカーとしても用いられますが、激しい運動や外傷などによる骨格筋障害によっても増加します。

「クラッシュ症候群」による増加は、後者の典型例であると言えます。

血中ミオグロビンは、始めのうちは尿中へ排泄され特徴的な赤褐色を示します。

 

カリウムは、正常な状態では細胞内に高濃度に含まれていますが、細胞が壊死し、その後血流が再開されると大量のカリウムが循環血液中に流入し、高カリウム血症を引き起こします。

本症は致死的不整脈の原因となります。

 

ミオグロビン・カリウム・乳酸の検査は、当院ではいずれも緊急血液検査として実施されています。

ミオグロビンは酵素免疫測定法を用いて測定します。

カリウム・乳酸は電極法を用いて、血液ガスと同時測定する事が可能であり、アシドーシス(酸性化)の状態も検査出来ます。

血液ガス検査は迅速測定が可能で、採血後数分で結果が得られます。

 

以前のコラム(トイレの神様)でもご紹介しましたが、『尿の外観』は重要な情報源となる場合が少なくありません。

尿中ミオグロビンの測定は一般的でなく、長い時間がかかりますので、簡便な検査である尿潜血定性検査の結果とあわせ、尿の色調が非常に重要な情報となります

  

http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/kensa/column/column20150127.html 

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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