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11月8日12時31分に朝日新聞からは、火は数秒で全体に広がったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
捜査関係者によると、火元となったジャングルジム形の展示物は、6日午後5時15分ごろ出火、多くの木くずが飾り付けられていた中心部分に燃え移り、わずか数秒間で全体に広がった。
炎は高さ5~6mまで上がったという。
燃えやすい木くずが火勢を強めた可能性が高く、それが避難や救助を妨げたとみられる。
警察は、展示物に使われていた木くずが延焼を早めたとみており、同様の条件で再現実験をして、燃え広がり方を調べる方針。
国交省などによると、アート作品などの一時的な展示物は建築基準法の対象にならず、安全基準も設けられていない。
建築物を対象とする消防法令も、今回のような展示物は対象にはならないという。
出典
『炎、数秒で全体に燃え広がる 神宮外苑火災、再現実験へ』
http://www.asahi.com/articles/ASJC8351ZJC8UTIL003.html
11月9日14時16分にNHKさいたまから、投光器は上向きに設置されていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
投光器は植木鉢に入れた状態で、地面から上を照らすように設置されていたことが、警察への取材で分かった。
メーカーによると、投光器はライトアップでの使用は想定されておらず、上に向けて点灯すると熱がこもりやすくなり、数分で電球の表面温度が200℃を超えることもあるため、通常、下に向けて使用するという。
現場にいた制作者の大学生は、警察に対し「燃えるとは思っていなかった」という趣旨の話をしているということで、警察は、投光器の設置方法に問題があったとみて、大学生らが危険性を認識していたか、調べを進めている。
出典
『投光器 展示物内上向き設置か』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/saitama/1106021611.html?t=1478723371297
11月9日18時26分に共同通信から、出力300~500Wの白熱球を使用していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
投光器として使用された白熱電球の出力が300~500Wだったことが、9日、オブジェ製作者側の大学への取材で分かった。
専門家は、オブジェ内の木くずが接触していなくても発火の可能性がある出力と指摘している。
東京理科大の菅原進一教授(建築防災学)によると、木材は約200~260℃で燃え始める。
今回の白熱球の球面温度は250~450℃になるため、木くずが接触していればすぐ出火し、接触がなくても出火の可能性はある。
出典
『接触なく木くず発火可能か 白熱球、最大出力500ワット』
http://this.kiji.is/169015444287553542?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
〇ブログ者の手持ち資料に、白熱球の表面温度測定データが記されたものがあるが、それによると、球が上向きであろうが横向きであろうが下向きであろうが、上になった部位が最高温度を示している。
具体的には、200W球の場合、上向きだと、ガラス球の頂上で430℃、側面で170℃、口金に近い部分で110℃。
それが下向きだと、口金に近い部分で260℃、側面で150℃、ガラス球の頂上で150℃と記されている。
〇木材の発火温度は200~260℃と紹介されているが、それは、おそらくは角材のようなガッシリした木材の場合。
今回事例のようにカンナくず状態だと、もっと低いかもしれない。
〇ブログ者が、当日、見物に行き、投光器で下から照らされたカンナクズのようなものを見たとして、危険と感じただろうか?
事後になってみれば、なんでこんなことを・・・と思うのだが、その場では案外と「安全については検討されたうえで、このようにしているのだろうな」などと、自分で勝手に納得していたかもしれない。
それが、イベント主催者側の安全パトロールの一員として見回っていたとしたら、もしかすると気づいたかもしれない。
とまあ、人は置かれたシチュエーションによって安全に対する感度が変わることがあるかもしれない・・・などと、この事例に接して考えてみた次第。
〇白熱電球使用ということだが、LEDであっても、火災の危険性はあった。
以下は、大塚商会HPに記載されている記事。
LED照明は、白熱電球や蛍光灯のように熱を光に変換して利用する発光原理ではなく、電気を直接光に変えるため、光源自体の発熱量は非常に少ないといえます。
照射される光自体には赤外線がほとんど含まれておらず、熱く感じることはありませんし、長時間点灯しても変化はなく、熱くなりません。
しかし、それはLEDの光自体に熱がないという意味で、LEDの素子周辺と電源部は高温になります。
そのため、LED電球では熱を逃がすための構造に工夫を加えており、LED素子や電源部の熱は照明器具本体の放熱板(ヒートシンク)を通して、空気中に放熱しています。
廊下の天井照明などに使われているダウンライトは、天井に埋め込まれたような形になっており、天井裏を覆っている断熱材に包まれているケースがあります。
そこにLED電球を取り付けると、通常以上に熱がこもりやすくなります。
ダウンライトにLED電球を使う場合には、パッケージや本体にSB、SG、SGIといったマークがついた「断熱材施工器具」に対応した専用の製品を選びましょう。
https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/led/qa/heat.html
〇青森市の事例は、下記記事参照。
2014年5月7日掲載
2014年4月29日 青森市の芸術センターで現代美術家が作品の透明な箱の中で自動車エンジン点検中に死亡、センター提案で取付けた排気ホースは芸術性優先で取外していた? (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3878/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。