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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2022115100分にYAHOOニュース(ベストカー)から、インジケーター装着の写真付きで下記趣旨の記事がネット配信されていた。 

また、悲惨な大型車の脱輪事故が起きてしまった。

112日、群馬県渋川市半田の国道17号で大型ダンプの左後輪からタイヤ2本外れて転がり、歩行者を後ろから直撃し重傷を負わせてしまったのだ。

このダンプを運行していた会社によると、外れたのは12月上旬に履き替えたスタッドレスタイヤで、ボルトは折れておらず、ナットが外れた状態だったという。

また、タイヤ交換は業者に依頼したという。  

実は昨年末、全日本トラック協会から「冬用タイヤ交換作業後の増し締めの徹底について」という協力依頼が各都道府県のトラック協会に出されていた。  

これは昨年126日、今回と同じように国道2号線のトンネル内で大型トラックから左後輪2本が脱落し、対向車等に衝突する事故が発生したことを受けたもの。

国土交通省の調査で、タイヤ交換後の増し締めやタイヤ専業店からの増し締めに関するアドバイスが一切なかったことが確認されていた。  

そこで、「タイヤ交換後、50100km走行後の増し締め」の周知徹底を図るべく、国交省から関係団体へ協力依頼が発出されていたのである。  

ただ、今回の事故は、その「周知徹底」が届いていなかった残念な例かもしれない。

あらためてスタッドレスタイヤへの履き替え後の軸力確保と増し締めの重要性について、現役のタイヤマン・ハマダユキオさんが綴った記事を再掲し、【緊急提言】としたい。

20219月発売「フルロード」第42号より)

 

【きちんと締めたのになぜ緩むのか?】

脱輪事故は冬場に集中しております。

これは、スタッドレスに履き替えが集中し、必然的に台数が多くなるためだと思われますが、中でも、作業直後よりしばらくしての脱輪事故があるのはなぜでしょう?  

たとえば作業後、数kmでナットが緩むことがあるならば、これは明らかに「締め忘れ」なんです。

タイヤ業界を含め整備業界も、トラック業界は万年人手不足。
一人で何役もこなさなければならない繁忙期には、こういうケースもあります。  

作業直後に緩まないならば、すなわち、最後まで締め付け作業はできているはずです。

締め付け作業が完了しているにもかかわらず緩むのは、「軸力」が不充分だったと考えられます。  

ボルトナットの締結で重要なのが、この軸力なんですが、軸力は締め付けトルク値とは違うんですよ。

 

【そもそも軸力とはなにか?】

ナットがボルトにネジ込まれ、車輪でいうならホイールに着座してから規定のトルクで締めて行くと、ナットは対象物に着座しているため、それ以上前には進めず、締め付ける力でボルトが僅かに伸びます。

伸ばされたボルトはバネのように縮もうとします。

簡単にいえば、この力が軸力です。

軸力は測るのがいろいろ大変なので、軸力の目安として「規定トルク」があり、規定トルクを予めセットしてそれ以上の力を逃がす「トルクレンチ」や、同じく規定トルクに達すると締め付けを止める「トルクセッター」があります。  

ただ、トルク管理ツールで締め付ければ万事OKというワケではございません。

トルクと軸力はイコールではないので、規定トルクで締めても、軸力が不充分ですとナットは緩んでしまいます。  

軸力確保の邪魔をする原因として多いのは、ボルトナットの錆び、ネジ部の損傷です。

その他は、ハブとホイールの合わせ、リアならばホイール同士の合わせ面のゴミ、錆びの噛み込み、ハブ当たり面の使用限度を超えた摩耗等です。  

新車トラックに新品パーツならば、錆びやゴミも付着しておらず、当たり面の摩耗も無いため、密着しております。

ところが、使用過程で錆びが発生したり、ホイールの塗幕が剥がれたり、ハブの当たり面の摩耗が進行していきます。  

本来密着しなければならない所に異物等による隙間ができると、結果、軸力の低下を招いてしまいます。

タイヤ交換時はトルク管理だけではなく、こういったリスクを減らす作業も肝要でございます。

 

【「初期馴染み」には「増し締め」を】

しかし、トルク管理と軸力確保の作業を実施しただけで安泰というワケではございません。
まだ軸力低下、ナットの緩みのリスクは隠れております。

それは「初期馴染み」です。  

初期馴染みとは、走行によりナット座面、ホイール当たり面、ハブ当たり面の表面がミクロ単位で削られ馴染むことです。
当然、その分、隙間ができるので軸力は低下し、ナットが緩む可能性が出てきます。  

これを抑制するのが「増し締め」なんですね。

通常、作業終了後50100kmくらいで増し締めをします。
作業的には、交換時と同じトルク値で締め付けること。それだけです。  

また、「すげぇ強く締めれば緩まないんじゃね?」ってなりますが、これはこれで問題です。
軸力はネジが「僅かに」伸びて、そこから縮もうとする力。
強く締めるとボルトが伸びすぎて縮まらず、軸力が確保できません。
伸びすぎたパンツのゴムが使い物にならないのと同じです!  

日常点検では運行前にナットの緩みの点検をするわけですが、以前ですと点検ハンマーでナットを締まる方向へ叩いての打診点検でした。  

今は、締め付け作業終了後、ボルトナットにマーキングをしなさいという国交省からの指示がございます。

マーキングをすれば目視で緩みを確認できるようになっておりますので、乗り込む前に車両を一周しがてら、ナットのマーキングを見て下さいね。  

それに加え、現在は「連結式ナット回転指示インジケーター」があります。  

インジケーターの種類としましては、隣り合うナットを連結して連結部分が変形するもの、ナット単体に取り付け角度が見た目にわかるもの、ナット単体に着け、緩んだ場合はそれ以上緩まないようにストッパーの役目をするモノなどがあります。  

いずれにせよ、今まで確認し辛かったナットの緩みを可視化したって感じでしょうか。  

タイヤ交換後50100kmでの増し締めと、マーキングやインジケーターでボルトナットの緩みを発見した場合は、必ず締め直しをお願い致します。

また、出先などで車載工具等で締め直しを行なった場合は、速やかにトルク管理ツールを使った規定トルクでの締め直しをお願いします。  

クルマやトラックに限らず、メンテナンスで外したり、交換作業が必要なものは、たいていボルトナットで締結します。

「外せるモノは外れる」という認識の下、作業点検をしていきましょう!

https://news.yahoo.co.jp/articles/e36cbe78bc0465f6b850946af20944163c1c9995

 

(ブログ者コメント)

渋川市での事故は本ブログでも紹介スミ。

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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