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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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(2013年4月4日 修正3 ;追記)   

20133271843分にNHK甲府から、接着剤の不飽和ポリエステル樹脂がコンクリートに含まれるアルカリ性物質と反応して劣化した可能性があるという下記趣旨の記事がネット配信されていた。

天井板などを固定するボルトの接着剤として使われていた樹脂が劣化し、強度が落ちていた可能性があることが、国の事故調査委員会の分析でわかった。
調査委員会は、事故原因との関係を検証することにしている。

事故のあとの調査で、天井板や金具をつり下げていた接着剤で固定するタイプのボルトが数多く抜け落ちているのが見つかったが、調査委員会がトンネルに残っていたボルトを引き抜く試験を行った結果、多くのボルトはトンネル本体に固定する強度が設計時の想定より落ちていたとみられることがわかった。

また、このボルトを固定する接着剤には「不飽和ポリエステル樹脂」という化学物質が使われ、劣化していたことも新たにわかった。

この樹脂は、アルカリ性の物質と反応すると成分が変化することがあり、調査委員会は、コンクリートに含まれるアルカリ性の物質が浸透して樹脂が劣化し、強度が落ちた可能性があると分析している。

メーカーなどによると、笹子トンネルの建設当時、この樹脂の使用にあたって物質との反応を確認する基準はなかったということで、調査委員会の委員からは接着剤を使うボルトがまだ新しい技術だったため、使い方に何らかの問題があったのではないかという指摘が出ている。

調査委員会は、劣化による強度の低下と事故原因との関係をさらに検証することにしている。

出典URL

http://www.nhk.or.jp/lnews/kofu/1043466131.html?t=1364418338935     

 

 

また、2013327201分に朝日新聞から、接着剤が本来必要な量の7割程度しかついていなかった可能性が高いなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。 

国交省は27日、天井板をつるボルトに、接着剤が本来必要な量の7割程度しか付いていなかった可能性が高いとの調査結果を明らかにした。
ほとんどのボルトで、コンクリート壁への接着力が足りていなかったという。

これまでの国交省の調査で、設計上は抜けないはずのボルトが多数抜けている。
コンクリート壁の穴に埋め込んだボルトは、長さ13cmにわたって接着剤を付けて固定される設計だった。
だが、抜けたボルトは平均9cm程度しか接着剤が付いていなかったと推定。接着剤の攪拌不足で穴の先端に固まったり、コンクリートの隙間に入り込んだりした可能性があるという。

接着剤自体の劣化も新たに確認された。水に触れることによる成分変化で、コンクリートと接する部分で特に劣化が進んでいた。接着力の低下にも、ある程度影響したと考えられるという。
接着剤メーカーの当時のカタログには「変質、老化の心配はない」と記されていた。
国交省は「接着剤を使ってボルトを固定する手法は当時の新技術だったため、弱点への理解が不足していた」とした。

国交省は今後、大型車両の通行や換気によって繰り返し風圧などがかかることによる接着剤の劣化も事故の要因となった可能性があるとみて、接着剤内にある細かなひび割れの分布を詳しく調べる。     

出典URL

http://www.asahi.com/national/update/0327/TKY201303270428.html

 

 

 

(2013年5月7日 修正4 ;追記)   

201356926分に読売新聞から、「打音検査では劣化見抜けず」というタイトルで、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。    

中央自動車道・笹子トンネルで起きた天井板の崩落事故で問題となったアンカーボルトの接着具合について、国が定める「打音検査」と呼ばれる従来の手法では、安全確認が十分できないことが国交省の調査でわかった。
崩落原因とされる接着剤の劣化を正確に把握できないためだ。

同省は、全国13か所の同構造のトンネルについて、専用機器でボルトを引っ張って強度を確認する「負荷試験」を追加し、改めて安全確認を行うよう道路管理者に求めた。
事故を機に設置された国交省の調査検討委員会が、近くまとめる中間報告に再発防止策として盛り込む。

同構造の13か所のトンネルの当座の安全性について、国交省は「昨年12月の一斉点検では打音検査のほか目視、触診なども行い、著しい劣化は見つからなかった。ただちに崩落につながる恐れはない」としている。   

出典URL

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130505-OYT1T00883.htm

 

 

 

(ブログ者コメント)

従来「ヨシ」とされてきた検査方法でも詳細に検討するとその効果に疑義が生じることがある、という教訓も得られた。

 

 

 

(2013年5月29日 修正5 ;追記)   

2013528224分にmsn産経ニュースから、同日2233分にNHK甲府から、天井隔壁にかかる風圧を設計時に考慮していなかったなどと指摘する報告書骨子がまとまったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。   

国交省の事故調査・検討委員会は28日、設計時に天井板のつり金具を支えるボルトに換気の際などの風圧の影響が考慮されず想定を超える負荷がかかっていたことなどを指摘する報告書骨子をまとめた。

骨子では、こうした設計時の不備に加え、ボルトを固定する接着剤の劣化や耐久性の知識の欠如、中日本高速道路の不十分な点検や維持管理体制など、複合的な要因が事故につながったとした。

骨子によると、笹子トンネルは金具でつり下げた天井板で上部に空間をつくり、その空間を隔壁で左右に分けて2本の換気ダクトとしている。金具は最上部のコンクリート部分に穴をあけてボルトを埋め込む形で接着剤で固定され、隔壁にも接続している。

隔壁が換気の風圧を受ける際にボルトが引っ張られることが判明し、最大で想定の約2.5倍の負荷がかかっていた。しかし、設計段階ではこの風圧を考慮していなかったという。換気設備の運転・停止は開通から35年間で約21万回繰り返されていたとしている。
また、直下を走る大型車の風圧で天井板が揺れたこともボルトの耐久性に影響したとする。車の風圧は720万回程度が影響したと推計されるという。

一方、未崩落部分のボルト56本を調べた結果、穴の深さは平均15.7cmだったのに対し、ボルトの埋め込み部分は平均12.9cmと短かった。接着不足だったとみられ、建設当時から耐久性に問題があった可能性もあったという。

また、骨子は天井板の撤去が望ましいと指摘。残す際は、別系統の安全機能を確保することや、標識などつり構造物の固定に接着系ボルトの使用を避けるなどの再発防止策も示した。

■笹子トンネル事故要因の報告書骨子
 ・設計において無視されていた隔壁への風圧がボルトに無視できない負荷を与えた。
 ・ボルトの接着剤の劣化など長期耐久性についての十分な知識がなかった。
 ・ボルトを埋め込む穴の深さに対し、埋め込み部分が短く、接着不足だった可能性がある。
 ・ボルトに近接しての目視や打音検査が未実施あるいは
補修を記録した書類などの保存に不備があって点検や維持管理に反映できていなかったなど、中日本高速道路の維持管理が不十分だった。 

出典URL

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130528/dst13052822060026-n1.htm

http://www.nhk.or.jp/lnews/kofu/1044876931.html?t=1369774651173

 

 

 

(2013年6月20日 修正6 ;追記)   

20136181752分にNHK首都圏から、最終的な報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。内容的には既報のとおり。   

国の事故調査委員会は最終的な報告書をまとめ、詳細な点検をしていれば、強度が失われたボルトの存在を把握できたとして、中日本高速道路の点検や維持管理が不十分だったと厳しく指摘した。

報告書では、事故の原因は天井板や金具をつり下げていた接着剤を使ったボルトの周辺に絞られるとした上で、完成時からすでに接着剤の強度が不足していたボルトがあったと推定されるなど、設計や施工の段階から事故につながる要因が内在していたと分析している。

さらに、開通から35年間、ボルトにかかり続けた力や、浸透した水の影響などで老朽化が進んだために接着剤の強度が失われ、一部のボルトが抜けたのをきっかけに、天井板がおよそ140mにわたって連鎖的に崩落して、重大な事故に至ったと推定している。

一方で、「すべてのボルトで、たたいて異常を調べる打音検査などの詳細な点検をしていれば、強度が失われたボルトは把握できる」として、トンネルを管理する中日本高速道路に対して「12年間にわたって詳細な点検を行わず先送りにするなど、点検内容や維持管理体制は不十分だった」と厳しく指摘した。

報告書の中で調査委員会は、点検や補修などの情報を確実に保存する仕組みが必要だとも指摘していて、国交省は、今後の道路施設の維持管理に反映させることにしている。

事故調査委員会の報告書がまとまったことについて、中日本高速道路は「点検から補修までのチェック体制の強化など、すぐに取り組める対策は直ちに実行に移しています。このような事故を2度と起こさないよう、報告書を踏まえた安全性向上のための計画を来月中にとりまとめ、確実に実行していきたい」と話している。   

出典URL

http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20130618/b8d6f8a11ff597066e0f04f022ef6ec4.html

 

 

 

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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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