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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2011729日付の毎日新聞北海道版に、下記趣旨の記事がネット配信されていた。


更別村の酪農家敷地の地下に埋設されているふん尿貯蔵槽(深さ約3.5m)で今月、この家の夫婦が死亡していたことが28日、分かった。
事故前、北海道開発局帯広開発建設部の職員がフタを誤って落下させており、夫婦は拾うために中に入った可能性がある。
開発局は原因調査と再発防止策の検討のため、事故調査委員会を26日設置した。

死亡した夫婦は12日に外出後、行方不明になり、13日に貯蔵槽で死亡しているのが見つかった。死因は不明。

貯蔵槽はふん尿を肥料にする施設で、開発局がモデル事業として95年に設置した。6月24日に同部職員2人が資料写真の撮影のため訪れた際、金属製のフタ4枚のうち1枚(長さ約1.2m、幅約40cm)を内部に落とした。同部は「フタの落下後、職員が適切な対応を取ったのか調査している」としている。

 

出典URL

http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/archive/news/2011/07/29/20110729ddlk01040273000c.html

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

「拾うために中に入った」という表現から考えると、死因は打撲ではなく、酸欠あるいは硫化水素中毒の可能性がある。

 

 

 

(2011年8月5日 修正1 ;追記)

 

201182日付の朝日新聞(聞蔵)から、「焦点」と題して下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

帯広開発建設部の職員が貯留槽のふたを槽内に落としたまま20日間ほど放置。夫婦はふたを拾いに入ってガス中毒死したとみられることが、開建部などへの取材でわかった。

ふたを落とした当日、職員がそのことを伝えると、夫は「取っておく」と話したとされる。

 

開建部は、ふたの放置に加え、有害ガスの発生や酸素が欠乏しやすい貯留槽内の危険性を十分に伝えていなかった可能性がある。警察によると、死因は硫化水素中毒だった。

 

貯留槽は、家畜の糞尿と灌漑用水を調合し、液体肥料にする設備の一部。開口部が2箇所あり、それぞれに鋼製のふた(長さ1.2m、幅43cm)を4枚かぶせていた。落としたのは、そのうちの1枚。

 

夫婦は、開口部と地下をつなぐはしごの下で並ぶように倒れていた。槽内の様子を探るために使おうとしたとみられる木の棒や、ふたを引き上げるために準備したのか、地上からはロープが垂らされていた。

 

開建部は、「貯留槽内のリスクを適切に説明したかどうかは、今後の調査で明らかにしたい」と答えるにとどまった。

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

酪農家の方にとって、酸欠とか硫化水素中毒といった危険は馴染みがないだろう。

この職員が、仮に危険性を伝えていたとしても、「即死する場合がある」程度のことを伝えないと、真の危険性は伝わらなかった可能性がある。

逆に、危険性をまったく伝えていなかったとしたら、そういった職員を養成した開建部の責任でもある。

はてさて、被災者が2名とも死亡している現状、どこまで真の原因に迫れるだろうか?

 

 

 

 

(2011年8月7日 修正2 ;追記)

 

201186110分に、北海道新聞から下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

開建部は5日、職員は、槽内に発生する有毒な硫化水素の危険性を認識しておらず、夫妻にも注意するよう伝えていなかったことを、事故調査委員会の初会合で報告した。

出典URL
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/310195.html

 

 

 

(2012年7月14日 修正3 ;追記)

 

20127122049分にmsn産経ニュースから、また713日付で毎日新聞北海道版と朝日新聞北海道総合版(聞蔵)から、遺族が損害賠償提訴した旨、ネット配信されていた。

 

遺族が12日までに、管理を怠ったとして国に約1億円の損害賠償を求め、釧路地裁帯広支部に提訴した。

訴状によると、帯広開発建設部の職員2人が酪農家方を訪れ、敷地内にある槽のふたを槽内に落とした。職員は硫化水素が発生する恐れを告げずにふたの回収を依頼し、同7月12日、取りに入った酪農家夫妻が中毒死したとしている。

帯広開発建設部が設置した事故調査委員会は昨年12月、有毒ガスが発生する認識が職員にも夫婦にもなかったとする報告書をまとめた。

 

遺族は、職員が中毒の危険性を伝えなかったために夫妻が死亡したと主張。遺児2人の未成年後見人として、夫側の両親が提訴した。

父親(71)は、「北海道開発局は、(職員が)危険性を知らなかったから仕方がないというような返答だけで、責任の所在は曖昧な返事ばかり。納得いかず、不信感を持っており、どちらに非があるのか、法廷で責任の所在をはっきりさせたい」と話している。


開発局は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

 

出典URL

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120712/trl12071220490008-n1.htm

http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20120713ddlk01040201000c.html

 

 

 

(2014年4月22日 修正4 ;追記)

 

20144212322分に毎日新聞から、国に賠償を命じる判決がくだったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

北海道更別村で2011年7月、酪農家夫婦が道開発局帯広開発建設部の設置した家畜ふん尿貯留槽内で硫化水素ガス中毒死したのは、同開建職員が危険性を夫婦に説明する義務を怠ったためだとして、遺族が国に約1億1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、釧路地裁帯広支部であり、裁判長は国に約4947万円の支払いを命じた。


判決は、貯留槽の管理責任は開建側にあり、職員が説明義務を怠ったと認定。死亡した夫婦にも貯留槽内に立ち入った落ち度はあるが、「事故防止の第1次的な義務は被告(開建側)が負うべきだ」と結論づけた。


貯留槽は、開建が国の試験事業として夫婦宅の敷地に設置し、事業終了後は夫婦が継続して利用していた。

夫婦は、調査で訪れた職員が誤って落としたふたを回収するため貯留槽内に入り、中毒死した。


同開建は事故後、事故調査委を設置し原因を調べたが、責任の所在が明確にならなかったため遺族が12年7月に提訴。

被告側は夫婦が日常的に管理、使用する施設だったことなどから、「職員に説明義務はない」として全面的に争っていた。


判決後、開発局の沢田局長は、「判決内容を精査し、今後の対応を検討したい」とのコメントを発表した。

 

出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140422k0000m040125000c.html

 

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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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