2017年10月25日19時16分にNHK福井から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
24日、南越前町のJR北陸線南今庄駅で、普通列車が駅のホームを通過して停止するトラブルが1日に3回も発生した。
なぜトラブルは繰り返されたのか。
25日、現場で取材した。
25日午前6時5分、福井発敦賀行きの、この列車。
乗っているのは通学の生徒や通勤のサラリーマンだ。
外が暗いうちに出発し、現場の南今庄駅に向かう途中、外が明るくなってきた。
24日、南越前町のJR北陸線南今庄駅で起きたトラブル。
停車するはずの普通列車がホームを通り過ぎてしまったというものだ。
このトラブルが朝と夕方、そして夜の、あわせて3回あった。
JRによると、同じ日に同じ駅で同様のトラブルが繰り返し発生したのは、この10年で初めてで、3回というのは極めて異例だという。
南今庄駅に停車する上りの普通列車は1日に24本ある。
このうちの3本で24日、トラブルが発生した。
JRは最初のトラブルのあと、運転士にホームに確実に停止するよう、注意喚起を行っていた。
しかし、3本の列車が停止位置から行き過ぎた距離は、1回目が60m、2回目が100m、3回目が170mと、だんだん長くなっていた。
原因は現場の地形にあったのだろうか。
南今庄駅はトンネルを抜けた約700m先にあり、駅に向かって緩やかな上り坂になっている。
ただ、JRでは、特に運転士が錯覚を起こしやすいような地形ではなく、ブレーキ操作を誤るような問題がある地形だとは認識していないと説明している。
では、いったい何が問題だったのだろうか。
25日の午前中の現場の様子。
線路の脇には杉の葉が落ちていて、拾い集める作業が行われていた。
駅の周囲は山に囲まれていて、列車の進行方向の左側には林が広がっている。
23日にかけて接近した台風21号の影響で、同じ南越前町今庄では、観測史上最大の36.8mの最大瞬間風速を記録していた。
JRが24日、2回目のトラブルのあと、線路を点検したところ、大量の杉の葉が落ちていたという。
今回トラブルを起こした車両は、車輪を押さえつけて止めるブレーキとディスクブレーキの両方を使っているが、JRによると、ブレーキに不具合はなかったという。
一方で、いずれの列車の運転士も「ブレーキをかけたが、すべって思うように効かなかった」と話しているということで、JRでは、台風の影響で線路に落ちた杉の葉で車輪が滑り、ブレーキが効きにくくなった可能性があるとみている。
トラブルから一夜が明けた南今庄駅では、普通列車を駅のかなり手前から徐行運転させるなどの対策を取っていた。
国交省中部運輸局では、トラブルの原因は現場の状況にあるとみる一方で、トラブルが3度繰り返されたのは明らかに異常だとして、JRからの詳しい報告を待つとしている。
出典
『1日に3回駅通過トラブル原因は』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/3055112011.html
10月26日7時20分に福井新聞から、オ-バーランは3回ではなく4回だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
既報の3回以外にも約400mにわたってオーバーランした列車があったことが25日、JR西日本金沢支社への取材で分かった。
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南今庄駅で停車位置を約400m行き過ぎたのは敦賀発芦原温泉行き普通列車(2両編成)で、午後3時50分ごろ発生。
他の3回と異なり下り線で、踏切を越えていなかったため、バックしてホームに戻った。
乗客約20人のうち1人が降り、9分ほど遅れて出発した。
4回とも別の運転士で、全員が「いつもより手前からブレーキをかけたが、滑った感じがした」と話しているという。
点検の結果、車両に異常は認められなかった。
出典
『オーバーラン「4回目」は400m JR北陸線南今庄駅、落ち葉原因か』
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/253322
10月27日21時7分にNHK福井からは、杉の葉が押し潰されると滑りやすくなるという実験結果が、下記趣旨でネット配信されていた。
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JRでは、台風21号の強風で落ちた杉の葉で車輪が滑り、ブレーキが効きにくくなった可能性があるとみている。
植物に詳しい専門家福井県立大学生物資源学部学部長の村井耕二教授と、レールと車輪の間で杉の葉が押しつぶされたと仮定して実験を行った。
村井教授は、デンプンなどの多糖類が葉から染み出し、さらに列車の重みで強い力がかかったため細胞が破壊され、油の成分も加わった可能性を指摘した。
村井教授によると、この杉の葉をはじめとする針葉樹は油分が豊富だという。
1日に4度も起きた駅通過のトラブル。
JRでは、再発防止につとめ、線路上に木の葉が落ちた場合には撤去するか慎重に判断したいとしている。
出典
『列車滑った原因は?杉の葉で実験』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/3055174181.html
(ブログ者コメント)
NHKの映像によれば、村井教授の実験内容は下記。
・緑色の杉の葉を枝から切りとり、乳鉢の中に入れる。
・乳棒を使ってすりつぶしたところ、ヌルヌルの液状になった。
・金属板の上に十円玉を3枚置き、うち2枚の下に水とすりつぶした液を塗る。
・各十円玉に指を添え、板の上でグルグル回すと、何も塗らない場合と水を塗った場合はザラザラ感があるが、すりつぶした液を塗った場合はツルツル感があることが確認された。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。