2013年1月23日付で読売新聞兵庫版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
耐震改修促進法で耐震化が求められる引火性物質などの危険物を扱う民間建築物について、阪神大震災を経験した神戸市が6年にわたり、実態把握をしていないことが同市への取材でわかった。
全国20の政令指定都市のうち、耐震改修促進計画に盛り込んでもいないのは同市と札幌、新潟の3市だけ。
大規模災害の際、2次被害が起きる恐れもあるため、神戸市は対応の不十分さを認めて、近く実態調査をすることを決めた。
同法は2006年の改正で、一定量以上の火薬類や液化ガス、消防法で定められた引火性物質などを貯蔵、処理する建築物について、所有者に耐震化を図る努力義務を課した。
自治体はそうした建築物と所有者を把握し、耐震診断や改修工事を行うよう指導。従わなければ所有者名を公表できる。
神戸市によると、貯蔵、処理する民間建築物の棟数や建築着工時期、改修の有無など耐震性を判断する上で必要な情報を把握していなかった。
同様の施設は、市所有の10施設を除いて市内に約200か所あるとされる。
1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた施設は全体の約4割とみられるが、詳細なデータがないのが現状という。
神戸、札幌、新潟以外の政令市で、同建築物について、棟数把握などができていないのは京都、相模原両市。
一方、所有者へアンケートを行い、耐震改修促進計画に明記しているさいたま市は「法の対象の一つで無視できない。調査更新も必要と認識している」としている。
阪神大震災では、神戸市内の屋内貯蔵所などで60件を超える危険物漏えいがあった。
国交省建築指導課は、「周辺に大きな影響を及ぼす恐れがあり、耐震化が求められる。行政として法の対象となっている建築物の現状把握は必要」とする。
神戸市耐震化促進室の烏田室長は、「一般住宅の耐震化に力を入れていて、抜け落ちていた。今後、県などと連携しながら実態把握に努めたい」と話している。
関西学院大の室崎教授(都市防災学)の話「事故が起きないとの前提は、原発だけではない。施設の耐震化は所有者や企業任せにせず、行政側が積極的に取り組むべきだ」
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/news/20130122-OYT8T01742.htm
(ブログ者コメント)
□同法の概要は、下記参照。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070125_4/01.pdf
□記事中の「一定量以上の火薬類や液化ガス、消防法で定められた引火性物質など」については、下記参照。
「建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令」
2 法第六条第二号 の政令で定める数量は、次の各号に掲げる危険物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める数量(第六号及び第七号に掲げる危険物にあっては、温度が零度で圧力が一気圧の状態における数量とする。)とする。
一 火薬類 次に掲げる火薬類の区分に応じ、それぞれに定める数量
イ 火薬 十トン
ロ 爆薬 五トン
ハ 工業雷管若しくは電気雷管又は信号雷管 五十万個
ニ 銃用雷管 五百万個
ホ 実包若しくは空包、信管若しくは火管又は電気導火線 五万個
ヘ 導爆線又は導火線 五百キロメートル
ト 信号炎管若しくは信号火箭又は煙火 二トン
チ その他の火薬又は爆薬を使用した火工品 当該火工品の原料となる火薬又は爆薬の区分に応じ、それぞれイ又はロに定める数量
二 消防法第二条第七項 に規定する危険物 危険物の規制に関する政令 別表第三の類別の欄に掲げる類、品名の欄に掲げる品名及び性質の欄に掲げる性状に応じ、それぞれ同表の指定数量の欄に定める数量の十倍の数量
三 危険物の規制に関する政令 別表第四備考第六号に規定する可燃性固体類 三十トン
四 危険物の規制に関する政令 別表第四備考第八号に規定する可燃性液体類 二十立方メートル
五 マッチ 三百マッチトン
六 可燃性のガス(次号及び第八号に掲げるものを除く。) 二万立方メートル
七 圧縮ガス 二十万立方メートル
八 液化ガス 二千トン
九 毒物及び劇物取締法第二条第一項 に規定する毒物(液体又は気体のものに限る。) 二十トン
十 毒物及び劇物取締法第二条第二項 に規定する劇物(液体又は気体のものに限る。) 二百トン
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H07/H07SE429.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。