2017年9月15日11時17分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本地震で崩落した阿蘇大橋に代わる橋を架ける国の工事で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界ジオパークに選ばれた阿蘇の見どころの一つ、立野峡谷(熊本県南阿蘇村)の柱状節理が壊されていたことがわかった。
ジオパーク内での開発などは禁止されていないが、国や県は、現場がジオパーク内と認識していなかったという。
阿蘇は2014年、国際的な価値のある地質や地形を認定する世界ジオパークに選ばれた。
立野峡谷は約9万年前の巨大噴火で形成されたカルデラの壁が唯一切れた場所で、地形や地質を観察できる見どころの一つ。
柱状節理は約5万年前に、阿蘇の噴火で流れ出た溶岩流でできた。
溶岩が冷え固まる時にできた割れ目のある岩肌が特徴で、「岩のカーテン」と呼ばれる。
国交省熊本復興事務所などによると、新しい橋は立野峡谷をまたぐ形で建設中で、柱状節理は、橋脚の建設予定地近くにあった。
昨年11月ごろ、工事用道路を造るために川岸を幅110m、高さ70mにわたって削った際に壊れたという。
昨年7月、県や学識経験者らが集まって新しい橋の計画について協議した際、建設予定地に柱状節理があることも報告された。
新しい橋が「観光の玄関口となる」として、周辺の景観に配慮することなどは確認したものの、ジオパークとの説明はなく、保存の話などは出なかったという。
熊本復興事務所の今村副所長は、「柱状節理の存在はわかっていたが、ジオパークという認識がなかった」。
県道路整備課の担当者は、「国から説明がなく、ジオパークとは意識していなかった」と話している。
立野峡谷の保全活動に取り組む市民団体の中島代表は、「柱状節理は壮大な岩の屛風で美しかったが、壊されてしまってショック。工事の時にジオパークであるという認識がなかったことに驚く」と話した。
出典
『ジオパークの「岩のカーテン」、国の工事で破壊 阿蘇』
http://digital.asahi.com/articles/ASK9G6FTVK9GTLVB00L.html?rm=448
9月15日9時39分に熊本日日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)が認定する「世界ジオパーク」の構成資産の一つ、南阿蘇村・立野峡谷で、阿蘇火山の溶岩活動を示す「柱状節理」の一部が、国交省が進める阿蘇大橋の架け替え工事で削られていたことが、14日、分かった。
地元では、「景観保全への影響などを丁寧に説明してほしかった」との声が上がっている。
柱状節理は、溶岩が固まる際に形成される角柱状の割れ目。
立野峡谷では、カーテン状の岩が川岸に数100mにわたって現れており、県内外から見学が多い。
同省熊本復興事務所(同村)によると、現場は熊本地震で崩落した阿蘇大橋の約700m下流の黒川右岸。
昨年11月に新橋の工事に着手し、工事用道路の整備の際、柱状節理を含む高さ約70m、幅約110mの川岸を削ったという。
同省は、県などに事前に工事計画を示した際、現場に柱状節理があるとの認識は共有していたという。
柱状節理を削ることには言及しなかったが、同事務所は「ジオパーク内での開発に法的な規制や報告義務はなく、地元との協議は特にしなかった」と説明する。
阿蘇ジオパークガイド協会の中島・元会長(69)は、「突然、景観が一変して驚いた。復興工事の一部掘削はやむを得ないが、ジオパークの価値や地元への説明、協議も大事にしてほしい」と話している。
世界ジオパークは、学術的価値の高い地質や地形を保護する自然公園。
地域に必要で、自然が持続可能な開発は、公園内でも認められている。
阿蘇地域は来年夏、再認定の審査を控えるが、阿蘇ジオパーク推進協議会は、「掘削されたのは柱状節理全体のごく一部で、再認定に影響するとは考えにくい」とみている。
出典
『立野のジオパーク資産 「柱状節理」復興工事で削る』
https://this.kiji.is/281227048482014305?c=92619697908483575
(2017年10月3日 修正1)
2017年9月28日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本地震の復興工事で珍しい地形が破壊された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパーク「阿蘇」(熊本県)について、地質学などの専門家らで作る日本ジオパーク委員会は27日、保全や活用を進める地元協議会の組織運営に問題があるとして、来年に予定されるユネスコの審査までに改善するよう求めることを決めた。
ジオパークは、地質学的に重要な地形や地層を保全・活用する自然公園で、ユネスコが認定する世界ジオパークと、同委員会が認定する日本ジオパークがある。
今回、日本ジオパークとしては、2年後の再審査を条件に、継続を認める「条件付き再認定」とした。
阿蘇では、噴火した溶岩による珍しい地質現象「柱状節理」が破壊されたことが、今月、毎日新聞の報道で発覚した。
柱状節理の破壊について、自治体や観光関係者などで構成する「阿蘇ジオパーク推進協議会」自体も、報道があるまで把握していなかったという。
出典
『日本ジオパーク委員会 熊本・阿蘇 破壊の柱状節理を「条件付き再認定」』
https://mainichi.jp/articles/20170928/ddm/041/040/151000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。