2019年7月31日4時30分に日本経済新聞電子版から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
老朽化した住宅の繊維系断熱材にしばしば見られる黒い変色・・・。
この黒い変色の原因を、これまで多くの専門家や実務者はカビと考えてきた。
ところが、「黒い変色の正体は、大気中の汚染物質や土壌成分を含む浮遊粒子状物質(SPM)が主だった」とする調査結果が明らかになった。
調査はヒノキヤグループから委託された宮城学院女子大学の本間義規教授が実施し、報告書がこのほどまとまった。
調査対象は、ヒノキヤグループが解体工事を手掛けた関東地方の5棟と、東北地方の1棟の木造住宅、計6棟だ。
築年数は22 ~44年で、うち4棟は新省エネ基準の施行(1992年)前に完成した。
壁の断熱材は、5棟が厚さ50mmの袋入り、もしくはクラフト紙付き、1棟は厚さ90mmで袋入り。
通気層と気流止めは、6棟とも未施工だった。
【家の隙間から壁内に侵入】
断熱材に付着している黒い物質が主にSPMであることは、本間教授が含有元素分析やカビ培養分析、解体現場の目視、住民への聞き取り調査などを基に判断した。
最大の決め手は、含有元素分析で土壌と大気汚染に由来するアルミニウムなどの元素を多く検出したことだ。
調査した住宅は、厚さ105mmの壁内に厚さ50mmもしくは90mmの断熱材を充填しているため、壁内には空隙が生じていた。
さらに、気密性能がいずれも低く、透湿防水シートは施されていなかった。
3棟は、床下に防湿シートや砂を敷いていなかったので、土が露出していた。
こうした影響で、屋外の浮遊物質が躯体などの隙間から壁内に侵入しやすくなり、断熱材に付着したと考えられる。
一定の気密性能を備えた住宅には、当てはまりにくい結果だ。
黒く変色した断熱材と変色していない断熱材では、亜鉛の含有量に差があることが分かった。
大気中の亜鉛は、排気ガスやゴミ焼却灰などに多く含まれているという。
カビの培養分析では、対象住宅の断熱材の黒ずんだ部分を39サンプル採取。
22サンプルではカビは培養できなかった。
培養できた17サンプルから検出した黒っぽいカビは2種類だった。
本間教授は、「これらのカビが断熱材を広範囲に黒く変色させた原因とは考えにくい」とみている。
【木質パネル住宅ではカビ臭】
今回の調査対象は、壁内に空隙があったことで、壁内に外気が侵入しやすかった。
それが、カビや結露の発生リスクを抑えることにつながっていたとみられる。
この状態だと、繊維系断熱材の内部でも空気の出入りが生じ、断熱性能が著しく低下する恐れがある。
繊維系断熱材の黒い変色は、老朽化した住宅に多い。
ヒノキヤグループが2016年8月から17年9月に解体した、繊維系断熱材を使った住宅100棟では、全棟でこうした黒い変色が見つかっている。
いずれも、断熱・気密性能が現在の水準よりも低い住宅だ。
住民への聞き取り調査では、木質パネル工法の住宅で、結露やカビ臭の報告があった。
この点について本間教授は、報告書に「竣工年代や施工者から考えると施工レベルが改善しているはずの住宅で、微生物汚染の兆候が出ている」と記述している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47668880T20C19A7000000/?n_cid=NMAIL007
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