2020年10月28日0時6分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
網戸を上下に動かすひもに首が引っかかり、女児(当時6歳)が死亡したのは製品の欠陥が原因だとして、兵庫県内に住む両親らがアルミ建材大手「YKK AP」(東京)とリフォーム業者に計約8000万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
窓のブラインドなどのひもが首に絡まる事故は過去にも多発しており、父親は27日の第1回口頭弁論で「安全対策を講じていれば事故は防げた」と訴えた。被告側は争う姿勢を示した。
訴状などによると、女児は2019年11月18日午後、自宅で網戸のひもが首に引っかかった状態で家族に発見され、病院搬送後に死亡が確認された。
事故は、自宅のリフォームで網戸を設置した直後に発生。
輪状になった樹脂製のひも(約175センチ)を引くと、窓枠の上部に収納された網戸が下まで引き出せる構造だった。
両親側は、網戸の本体に事故を警告する表示がなく、一定の重さがかかるとひものつなぎ目が外れるなどの安全対策が取られていないと指摘。
「子供の首に引っかかると窒息死する危険がある時点で欠陥がある」と主張している。
製品には、子供の手が届かない高さにひもを束ねるクリップが付属しており、このクリップには事故への注意を促す表示があった。
しかし、出荷時にクリップはひもに装着されておらず、両親側は「使用の必要性を認識できる状態ではなかった」と言及。
リフォーム業者についても、クリップを袋に入れたまま放置し、使い方を説明しなかった責任があるとしている。
事故当日、病院に駆けつけた父親は「パパ来たよ」と語りかけたが、女児の意識は戻らなかった。
20年4月から小学生になるはずだった女児の紫色のランドセルは、今も自宅に残されたまま。
父親は法廷で「幼い命が二度と奪われないよう再発防止を要請したい」と涙ながらに訴えた。
YKK APは訴えに対し、「製品自体に欠陥はないと主張していく」と答弁。
取材に対し、事故後の19年12月以降は、ひもにクリップを装着した状態で出荷しており、安全性を高める措置を取っていると説明している。
【同様の事故、後立たず】
窓のブラインドやスクリーンなどのひもを巡っては、過去にも事故が多発しており、消費者庁が繰り返し注意を呼びかけてきた。
同庁によると、2007~13年にひもが子供の首に絡まるなどの事故は国内で10件あり、このうち12年の3件では死亡した。
6カ月男児が亡くなった事故では、寝返りをしてベッドから落ちた際、近くのひもが首にくい込んだとみられる。
経済協力開発機構(OECD)の調査(16年)では1996年以降、世界15カ国で250件以上の死亡事故が確認されている。
消費者庁は、ひもが首に絡まると窒息などで15秒以内に気絶し、2~3分で死亡する危険性があると指摘。
事故は寝室やリビングで静かに起き、保護者が気づかない可能性もあるといい、
▽ソファやベッドをひもの近くに置かない
▽ひものループ部分がない製品や小さい製品を使う
▽ひもをクリップでまとめる
などの対策を求めている。
一方、東京都が設置した「都商品等安全対策協議会」は14年、クリップなどの付属品があっても消費者が使わないケースがあるとして、安全器具が一体化した商品開発をメーカー側に提言した。
https://mainichi.jp/articles/20201027/k00/00m/040/194000c
(ブログ者コメント)
ブラインドなどのヒモの危険性については、過去にも本ブログで紹介している。
(2022年11月19日 修正1 ;追記)
2022年11月17日19時17分に毎日新聞からは、製品欠陥はなく業者も使用方法を説明していたと裁判で認定されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
網戸を上下に動かすひもに首が引っかかり、6歳だった女児が死亡したのは製品の欠陥が原因だとして、兵庫県内に住む両親らがアルミ建材大手「YKK AP」(東京)とリフォーム業者に計約8000万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は17日、請求を棄却した。
池上尚子裁判長は「事故を防ぐための安全対策が取られており、製品に欠陥はない」と判断した。
判決によると、女児は2019年11月、網戸のひもが首に引っかかった状態で家族に発見され、死亡が確認された。
網戸は自宅のリフォームで設置され、輪状のひもを引くと、窓枠の上部から引き出せる構造だった。
池上裁判長は、この製品について、ひもを子供の手が届かない高さで束ねられるクリップが付属し、クリップには事故への注意を促す表示も記された状態で出荷されたと指摘。
製品の危険性や適切な使用方法について指示・警告がなされていた」と述べ、「YKK AP」の賠償責任を認めなかった。
リフォーム業者についても、両親にクリップの使用方法などを説明していたと認定した。
両親側は「子供の首に引っかかると窒息死する危険がある時点で製品に欠陥がある」と主張。
クリップも、ひもに装着された状態で出荷されていないとして、「使用の必要性を認識できなかった」などと訴えていた。
https://mainichi.jp/articles/20221117/k00/00m/040/292000c
(2024年3月16日 修正2 ;追記)
2024年3月14日8時50分に毎日新聞からは、1審判決が変更になり倍賞支払い命令が出た、裁判長はこうした網戸は一般的ではないと指摘したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
両親らが製造元のアルミ建材大手「YKK AP」(東京都千代田区)とリフォーム業者「Tホームトピア」(札幌市)に計約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が14日、大阪高裁であった。
黒野裁判長は、両親らの請求を棄却した1審判決を変更。
「製品に欠陥があり、企業の製造物責任が認められる」などとして、2社に計約5800万円の支払いを命じた。
判決によると、兵庫県の自宅にいた女児は2019年、網戸を開け閉めするひもが首に引っかかった状態で家族に発見され、死亡が確認された。
網戸はリフォームの際に設置。
輪状のひもを引くと、窓枠の上部に収納されている網戸が引き下ろせる構造だった。
製品には、子どもの手が届かない高さにひもを束ねられるクリップが付属していたが、出荷時にクリップはひもに装着されていなかった。
黒野裁判長は、こうした網戸は一般的ではないとして「危険性が広く認知されているとは言えない」と指摘。
出荷時にひもとクリップは別々の袋に入れられ、取扱説明書も同封されていなかったことから、「十分な指示や警告がなく、安全性を欠いていた」として、製品の欠陥を認めた。
リフォーム業者についても、製品を窓に設置することや、ひもの危険性を両親に説明することを怠る注意義務違反があったと認定した。
22年11月の1審・大阪地裁判決は「製品に欠陥はない」と判断し、両親側が控訴していた。
事故が起きたのは、母親の実家を2世帯住宅にリフォームした3日後だった。
母親は「リフォームしなければよかった」と自分を責め続け、体調を崩したという。
https://mainichi.jp/articles/20240314/k00/00m/040/303000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。