2015年11月16日23時38分に神戸新聞から、現場に設置されている標識の写真付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸市中央区のJR神戸線神戸-元町間で、16日朝、架線の切断で通勤・通学時間帯のダイヤが大幅に乱れ、約15万人に影響した。
JR西日本は、原則、停車禁止の区間である「セクション区間」に新快速電車が止まり、放電によって架線が溶けて切断した、との見方を示した。
運転士が標識を勘違いした人為的ミスという。
停電は、同日午前8時5分ごろ発生。
姫路-芦屋間で、4時間あまり運転が見合わせとなった。
4カ所で電車が立ち往生し、約5千人が元町、須磨の各駅まで最長約1kmを歩いて移動。
また、車内に長時間閉じこめられ気分不良などを訴えた7人が救急搬送された。
原因となった新快速電車は、約50分前、同市東灘区のJR住吉駅であった人身事故の影響で神戸駅に止まっていたが、運転再開に伴い、大阪方面に発車。
元町駅に別の電車があったため、駅の400m手前で停車した。
この場所が、「セクション(またはエアセクション)区間」だったという。
セクション区間は、約10kmごとに設けられている。
2本の架線が走る特殊な区間のため、パンタグラフと1本の架線に隙間が生じ、空中放電が起きる危険性がある。
緊急停止した場合、運転士はパンタグラフを下げることが、マニュアルに記されているという。
同社によると、2005年にも同様の事故が大阪駅構内で発生し、約4年かけて全てのセクション区間に標識を設置した。
しかし、新快速電車の男性運転士(29)は、「区間の終わり」を伝える標識を「区間の始まり」と誤り、その手前12mで停車。「勘違いした」と説明したという。
セクション区間に車両が含まれたが、パンタグラフを下げなかったため、先頭車両で放電が起きて断線し、車両が一部焦げた。
今年8月も、横浜市の京浜東北線で同種の事故があり、その後、運転士の訓練で注意を喚起したという。
また、試行中の「セクション注意」を呼びかける音声も流れたが、勘違いを防ぐことはできなかった。
本来は、あと約250m以上走行し、全車両が完全に抜けきるか、手前で停車すべきだったという。
同社近畿統括本部の清水次長は、「単なる『勘違い』では済ませられない。背景に何があったのか、原因を究明したい」と述べた。
出典URL
http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/201511/0008572736.shtml
11月17日6時52分に読売新聞から、11月17日付で毎日新聞大阪版からも、両標識などの図解付きで、同趣旨の記事がネット配信されていた。
現場は、「エアセクション」(66m)と呼ばれる送電の切り替え区間。通常は、2系統の架線が並んで張られている。
区域ごとに異なる変電所からそれぞれの架線に電気を送り、送電トラブルの際の停電箇所などを最小限にする働きがある。
パンタグラフを上げた車両がこの区間で停止すると、電圧差などから放電し、架線を溶かすことがあるという。
付近の線路は、約1時間前に起きた人身事故の影響で、電車が徐行と停止を繰り返して混み合っていた。
新快速の運転士は、前方が赤信号で、エアセクションに注意を促す自動音声が流れたため、列車を停止させた。
その際、「エアセクションの終点を示す標識」を「始点」と勘違いし、誤って停車禁止区間に停めてしまったという。
自動音声システムは、今年8月、横浜市のJR京浜東北・根岸線で発生した同様の事故を受け、JR西が一部で試験導入していた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151117-OYT1T50022.html
http://mainichi.jp/area/news/20151117ddn041040015000c.html
(ブログ者コメント)
○読売新聞と毎日新聞の図や神戸新聞の写真によれば、「終点を示す標識」は四角形で黄地に太い赤線、「始点を示す標識」は四角形で白地に太い赤線で、電線を吊り下げている梁?の下に設置されている。
○今年8月の横浜市での事故は、下記参照。
(2015年8月12日掲載)
2015年8月4日 神奈川県横浜市のJR根岸線でATC指示に従わず電車を停めたところ、そこが架線の切れ目に当たる停止禁止区間だったため、架線がショートして35万人に影響
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5110/
(2016年2月11日 修正1 ;追記)
2016年2月9日1時40分に日本経済新聞から、標識サイズを大きくするなどの対応がとられたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2月8日19時55分に神戸新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西は、8日、運転士の誤認防止のため、停車禁止の「エアセクション」区間の始点を示す標識のサイズを大きくするほか、終点を示す標識に「×」印を表記する対策を発表した。
運転士らに聞き取りなどを行い、標識の変更を決めた。
10月末までに、同社の在来線全体の約800カ所で交換する予定だ。
JR西は、架線切れについて、ダイヤの乱れで駅間に止まる必要のあった新快速の運転士が、エアセクション区間の終点を示す標識を区間の始点を示す標識だと勘違いし、終点の手前のエアセクション内で停車。
架線が数秒で高温になり、溶けて切れたことが原因としている。
対策では、エアセクションの始点を示す白地に赤帯の標識を、従来(縦36cm、横20cm)よりも大きい、約2倍の縦60cm、横40cmに。
終点を示す黄地に赤帯の標識の空白部分に、黒色の「×」印を加える。
架線切れが起きた昨年11月16日には、約150本に運休や遅れが出て、約15万人に影響。
乗客約5100人が、線路上を最寄りの駅まで誘導された。
出典URL
http://www.nikkei.com/article/DGXLASHC08H9P_Y6A200C1AC8000/
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201602/0008789230.shtml
(ブログ者コメント)
2016年2月8日付でJR西のHPに、「エアーセクション箇所における標識および看板の一部見直しについて」という図解付きのプレスリリースが掲載されている。
https://www.westjr.co.jp/press/article/2016/02/page_8263.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。