2015年11月16日1時56分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月15日20時7分にNHK長崎からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。11月16日付の毎日新聞紙面にも、同趣旨の記事が掲載されていた。
15日午前7時20分ごろ、長崎県西海市の江島の南南西約5kmの海上で、同県新上五島町の有川港から長崎市の長崎港に向かっていた高速船、ビッグ波羅門(ばらもん)キング(19トン)から火が出た。
海保によると、乗客6人と乗組員3人は近くにいた漁船に救助され、全員無事だった。
巡視船など3隻が消火にあたったが、船は約2時間20分後に沈没した。
船の内部が激しく燃えていた。
油が流出し、海保などが防除作業をした。
船を運航する九州商船(長崎市)によると、船は午前6時50分に有川港を出港。
救助された乗組員は、左舷のエンジン付近から爆発音がして出火したと話しているという。
救助された乗客の男性によると、航行中に船が突然停止し、後部から煙が出始めた。
船の前部の甲板に避難するよう乗員から指示を受け、甲板に避難したところ、さらに煙が出た。
男性は、「全員落ち着いており、パニックにはならなかった」と語った。
同社によると、荷物を持ち出せなかった乗客もいるという。
船は2000年に進水し、同社が同県佐世保市の渡船業者から借りて運航していた。
九州商船によると、船は先月30日の運航中に、3つあるうちの1つのエンジンのピストンが損傷し、修理のため31日から今月9日まで運休し、修理を終えて今月10日に運航を再開したという。
新上五島町には、世界遺産に推薦されている「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」に含まれる頭ケ島(かしらがしま)天主堂がある。
同社は、来年の世界遺産登録をにらんで10月10日に定期航路の運航を始め、この船が1日2往復していた。
出典URL
http://digital.asahi.com/articles/ASHCH3HYGHCHTOLB003.html?rm=370
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5033529512.html?t=1447585664
11月15日12時47分に共同通信からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
海保や九州商船によると、船は長崎県佐世保市の水産会社が所有。
これまでにも機関室の機械が複数回故障し、修理をしていたという。
火災は機関室付近から発生したとみられ、海保が詳しい原因を調べている。
出典URL
http://www.47news.jp/CN/201511/CN2015111501001112.html
(2016年4月4日 修正1 ;追記)
2016年4月1日付で朝日新聞長崎版(聞蔵)から、漏れた燃料が発火し、消火時に出入り口を開けたため空気が供給されて火災が拡がったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月31日16時0分にNHK長崎からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
(新情報に基づき、タイトルも修正した)
国の運輸安全委員会は、燃料が漏れて発火し、乗組員が機関室を密閉しなかったために空気が入り込んで被害が拡大した可能性があるとする調査報告書をまとめた。
報告書によると、乗組員が機関室から煙が出ているのを見つけ、消火器や海水で消そうとしたが、消火できなかった。
船は引き上げられておらず、機関室の調査ができなかったため、出火場所や原因を特定できなかった。
乗客が油が燃えるような臭いをかいでいることから、軽油が発火した可能性があるという。
エンジンに大量の空気を取り込む機関室は、酸素が少ない状態だったため、油が発火した直後に不完全燃焼していたとみられる。
しかし、消火作業のために機関室の出入り口を開けたことで空気が流れ込み、火勢が拡大したと考えられるという。
調査担当者によると、機関室で火災が起きた場合、密閉状態のまま消火する必要があるという。
船は同年10月10日に新規就航したが、船員法が船長に対して求めている、1ケ月に1回の防火訓練を実施していなかった。
運輸安全委員会は、乗組員が消火方法を理解していなかったために十分対応できず、被害が拡大したと指摘している。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5034048161.html?t=
(ブログ者コメント)
上記を含め、数点の報道を読み比べたが、イマイチ状況がつかめない部分があった。
そこで、運輸安全委員会の報告書を確認したところ、以下のような趣旨の記載があった。
「状況」
・機関室からバホバホという音が聞こえたため、確認したところ、煙が発生していた。
・船長は、機関室の主機3機を中立状態及び発電機を停止した。
・発電機停止に伴い、排気ファンが止まったが、バッテリー駆動の給気ファンは運転を続けた。
※このため火勢が強くなった可能性があると考えられる。
・乗組員Aは機関室出入り口の蓋を開け、機関室の中に入って消火器で消そうとしたが消えず。
※蓋を開けたことで機関室内への空気供給が増え、不完全燃焼していた燃料油が完全燃焼した可能性が考えられる。
・船長は、煙が止まらなかったため、主機を停止した。
「出火原因」
・燃料の軽油(発火温度約260℃)が漏れ、高温箇所等と接触して発火した可能性が考えられる。(主機の排気温度は約450℃)
「再発防止に役立つと考えられること」
・機関室火災においては、主機を停止して消火剤の吸引及び大気への排出を防止し、さらに、給気ファンの停止及び開口部の閉鎖を行って密閉消火を行うこと。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2016/MA2016-3-43_2015ns0093.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。