2017年7月12日19時52分に朝日新聞から、最近の事故例のリスト付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
学校でゴールが倒れて子どもが犠牲になる事故が後を絶たない。
国がゴールを固定するように呼びかけているのに、なぜ事故はなくならないのか。
「安全対策がポーズになっていないか、再検討することが大切だ」。
福岡県大川市で5月にあった小中学校の教職員向け研修会。
西南学院大の中馬充子教授が、こう呼びかけた。
大川市内の小学校では、1月、体育の授業中にサッカーをしていた当時4年生の男児(10)がゴールの下敷きになって死亡した。
味方の得点を喜んだ男児がネットにぶら下がると、ハンドボール用の小型のゴールが倒れてきたという。
杭やロープなど、ゴールを固定する道具はあった。
だが、固定するための鉄製の杭3本は現場にはなく、事故後に校庭の物置で見つかった。
ロープは2本とも切れていて、破損の時期も不明だった。
市教委によると、学校が固定状況を毎月確認する決まりだったが、昨年10月を最後に点検していなかったという。
記伊教育長は記者会見で、「施設設備は安全点検をしなければならないのが当然。それができておらず、大変遺憾に思っている」と謝罪した。
独立行政法人日本スポーツ振興センターのまとめでは、1998~2008年度に中高校でサッカーやハンドボールのゴールが倒れたことによる死亡・障害事故は16件。
09~15年度も、少なくとも3件把握している。
ゴールは、重量の大半がクロスバーやそれを支えるゴールポストに偏っているため、ぶら下がったり飛びついたりすると倒れやすいという。
千葉県茂原市の県立高校では13年、男子生徒(当時17)がサッカーゴールのクロスバーにぶら下がってゴールごと転倒し、亡くなった。
ゴールは固定されていなかった。
当時から昨年度まで務めた前校長は、「忘れてはならない。二度と繰り返さないよう、意識を高めている」と話す。
月に1度、教職員が校内の安全を確かめるなど、安全対策に力を入れているという。
この事故を受けて、文科省は13年9月、杭などでゴールを固定するよう都道府県教委などに通知した。
ただ、学校現場では必ずしも徹底されていない。
サッカーやハンドボールなどの専用グラウンドがない学校では、状況に応じてゴールを移動して使っている。
ある教委の幹部は、「移動のたびに杭を打ち込めば、相当な時間がかかる。徹底させるのは難しい」と打ち明ける。
福岡県内のある中学では、以前、4つあるサッカーゴールを固定せず、部活や授業のたびにグラウンドの隅から運んでいた。
だが、大川市の事故後、「万が一」に備えて砂袋で固定することにした。
県内の別の中学では、普段は固定しているサッカーゴールを昨年の体育祭で移動させ、得点板を付けて使った際、風で倒れた。
けが人はいなかったが、教員は「移動先でも固定させる必要があると感じた」。
長崎県内のある中学は、サッカーゴールを動かすたびに長さ35cmの杭2~4本で固定する。
打ち込むよりも抜くのが大変で、生徒たちとやっても、10分近くかかる。
体育の教員は、「大変だけど、子どもの安全を第一に考えれば仕方ない。良い方法があったら教えてほしい」と話す。
学校での事故防止を研究する名古屋大学大学院の内田良准教授(教育社会学)は、「ゴールの移動が頻繁だと、固定すべきだとわかっていても現実的に難しい。小学校の授業程度なら、本物のゴールにこだわらず、ハードルやコーンで代用する手もあるのではないか」と提案している。
出典
『児童犠牲も…学校のゴール転倒事故、なぜなくならない?』
http://www.asahi.com/articles/ASK7C5G4BK7CUTIL03J.html
(ブログ者コメント)
大川市の事例は、本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。