2015年10月8日5時27分に朝日新聞から、『犬に13発、千葉県警に意見600件 射撃の腕の問題?』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県松戸市の未明の住宅街で、突然13発の銃声が響いた。暴力団の抗争ではない。
3人の警察官が銃口を向けたのは、住民らに相次いでかみついた紀州犬。
なぜ、13発も撃ったのか?
「女性が犬にかまれた」。110番通報は9月14日午前2時。
松戸署員3人が現場へ行くと、左腕をかまれた飼い主(71)が犬と相対していた。
体長122cm、体重21kgの大柄な犬が牙をむいて、警部補(55)に向かってきた。
「犬から離れて下さい。射殺します」。4時間半前にも、近くで「犬にかまれた」との通報があり、すでにけが人は3人。
もう被害者を増やせないと、警部補はその場で飼い主から射殺の許可を得ると、続けざまに5発撃った。
犬との距離は3~4m。だが、犬は倒れず、後ずさりした警部補が路上で転倒。
後ろにいた巡査部長(47)と巡査(27)が、交互に計8発撃った。
犬がやっと倒れたのは、約2mの距離から巡査部長が撃った最後の13発目。約5分の出来事だった。
解剖の結果、当たったのは13発中6発。顔面1発、肩付近3発、後ろ脚2発。心臓を貫いた最後の13発目が致命傷になったようだ。
「1、2発で急所に当てられれば良かったが、暗闇で動き回られて難しかったのではないか」と、捜査関係者は語る。
警視庁の通達は、現場に出る可能性が高い交番勤務や刑事課などの警察官には、最低でも年1回の実弾による射撃訓練を義務付けている。
ただ、実弾の購入には全国で2億2千万円(2014年度)かかる。腕が鈍らないように、映像や訓練用の弾を使った訓練も、年2回求めている。
今回、発砲した千葉県警の3人も、数十発の実弾訓練と映像訓練を受けていた。
しかし、訓練の想定はあくまで人への発砲で、動物は想定していなかったという。
なぜ、なかなか当たらなかったのか。
「そもそも拳銃は、動物を撃つには不向きです」。猟友会に所属するハンターの一人(64)は、そう指摘する。
獣を狙う散弾銃なら50m先でも狙えるが、拳銃は飛距離も威力も劣る。
「当たったとしても動物はすぐには倒れず、動き回る習性がある。動物に不慣れで動かなくなるまで撃ち込んだら、13発になったのでは」という。
競技射撃の経験者は、「散弾銃を使うクレー射撃は別として、オリンピック競技でも、ピストルやライフルで競うのは動かない標的。訓練していても、犬のように動き回る標的は、当てるのが難しい」と話す。
警察庁によると、全国で職務中の警察官の発砲件数は2014年に6件9発。今年も9月末で、今回の13発を除けば、3件3発にとどまる。
拳銃を使える場合を定めた警察庁の規範では、狂犬など動物を撃つことも想定されており、千葉県警も「適正だった」と話す。
警察庁の把握では、12年に静岡県伊東市で、商店街に突進してきたイノシシに4発撃った例はあるが、犬への発砲例は把握していないという。
13発の一部は犬を貫通し、住宅の外壁やブロック塀などに穴が開き、5世帯の10カ所で銃痕が見つかった。自宅の壁に直径5cmの穴が開いた30代の女性は、「流れ弾の怖さを身をもって知った。2歳と5歳の子がもし外で遊んでいたら……。麻酔薬を投与するなど、別の方法はなかったのか」と振り返る。
今回の発砲後、松戸署と県警には計600件超の意見が電話やメールなどで寄せられた。「放置したら危険。よくやった」との励ましが1割ほどあったが、大半は「何で13発も撃ったのか」などの苦情だった。
立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は、「緊急性があるとはいえ、住宅街で犬に向けて拳銃を連発しては住民の不信感を招く。犬がかみつくのはどこでも起こり得るケースで、警察は事前に想定して、捕獲道具や対応マニュアルを準備しておくべきではないか」と話す。
出典URL
http://digital.asahi.com/articles/ASHB2048WHB1UTIL06J.html?rm=733
(ブログ者コメント)
産業安全とは関係ない事例だが、想定する事態に対し、どこまで訓練すべきか?という点で気になったので、紹介する。
(2015年10日23日 修正1 ;追記)
2015年10月20日0時38分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県松戸市で9月、通行人を襲った犬を射殺するのに警察官3人が拳銃を13発撃ち、銃弾が付近の民家を傷つけたことを受け、県警は「犬への拳銃使用は効果が低く、跳弾により危険性が高まる」と判断。
棒の先端にリングの付いた保護補助具を年内に全署に配備するなど、発砲以外の方法で捕まえるための対応策をまとめたことが、19日、関係者への取材で分かった。
県警によると、撃った13発中、6発しか命中せず、外れたり犬を貫通したりした銃弾が民家の壁などを損傷させたため、全国から「撃ち過ぎだ」と批判が殺到。付近の住民からも不安の声が上がっていた。
県警は今後、県内全署に対応策を周知する方針。
県警の対応策は、捕獲について、家屋などに危害が及ばない方法にするとした上で、動物への拳銃使用は「さらに射撃技術を向上させ、適正かつ的確な使用に努める」としている。
出典URL
http://www.sankei.com/affairs/news/151020/afr1510200004-n1.html
(2015年11月22日 修正2 ;追記)
2015年11月21日19時39分にNHK千葉から、首輪が壊れたため逃げ出した、飼い主を書類送検したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月21日付で毎日新聞千葉版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
犬の飼い主について、警察は、犬の適切な管理を怠ったとして、過失傷害などの疑いで書類送検した。
その後の警察の調べで、犬は、首輪のプラスチック製の留め具が壊れたため逃げていたことが分かり、警察は、適切な犬の管理を怠ったとして、飼い主の71才の女性を過失傷害と千葉県動物愛護条例違反(犬の係留義務)の疑いで書類送検した。
警察によると、布製の首輪が、つなぎ目のプラスチック部分で壊れて残っていた。
警察の調べに対し、女性は、「丈夫な革製の首輪を使っていたが、首がすれて首回りの毛が抜け始めたのでかわいそうだと思い、首輪と留め具を変えた」と話しているという。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/1083699041.html?t=1448140124575
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20151121ddlk12040057000c.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。