2017年4月2日9時9分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
あいさつをするだけなのに、顔色をうかがわなきゃいけない先輩。
印鑑をもらうたびに、機嫌を気にしなきゃいけない上司。
目をつけられないように、じっと黙っている会議・・・。
実務以外のことでも心をすり減らす「感情労働」が、職場を蝕んでいると言われる。
感情労働とは何か。
東京成徳大学准教授で心理学者の関谷大輝氏に解説してもらった。
【出勤前にため息ひとつ】
「自動ドアが開くとき、意識的に深呼吸をひとつして・・・、いや、ため息をひとつついて、それから階段を上りながら、少しずつ気持ちを整えて、業務の開始に備えます」
インタビューに応じてくれた市役所職員のAさんは、毎朝、仕事前にこのように心を落ち着かせるそうです。
表情を明るくしたり、人当たりを良くしたりしようと心がけているAさん。
その一方で、「この生活がいつまで続くんだろう」「ほかにいい仕事はないだろうか」と考えていると言います。
福祉関係の職場で、担当するある高齢者が亡くなった時のこと。
人の死という出来事にもかかわらず、Aさんは「これで、仕事が減る。よかった」と頭をよぎった、と打ち明けました。
その表情には、深い疲労の色が浮かんでいました。
【「感情労働」のせいかも】
あなたは、普段の仕事で「疲れ果てた」と感じることがありますか?
もしかすると、それは「感情労働」のせいかもしれません。
この言葉は、まだ一般的にあまり広く知られているわけではありません。
しかし、近年は、働く人の多くが「感情労働」に携わるようになっていると言われています。
あなたも、例外ではないかもしれません。
では、「感情労働」とは何なのでしょう?
【いつも、明るく朗らかに】
「感情労働」は、米国の社会学者、アーリー・ホックシールドが提唱した考え方で、簡単に定義すると、「仕事中に自分自身の感情の表し方や感じ方をコントロールしなければいけないような仕事」を指します。
「感情労働」という言葉を知らなくても、「肉体労働」や「頭脳労働」を知っている人は多いと思います。
「肉体労働」は、肉体(パワー)を使わなければいけない仕事や職業のこと。
「頭脳労働」は、専門知識や情報といった、スキルを使わなければいけない仕事や職業を指します。
「感情労働」も、これらと同様に考えると分かりやすいと思います。
つまり、与えられた仕事の中で、自らの感情をうまく使わなければ務まらない仕事や職業が、「感情労働」と呼ばれます。
仕事を進めるために、どんなに疲れていても、明るく朗らかな態度を維持したり、笑顔を絶やさず人に接したりしなければならないのです。
【本心を抑え込む】
病院で受診したときのことを考えてみてください。
もし、こんな看護師がいたらどう思いますか?
・誰かと言い争ったばかりなのか、あからさまに不機嫌な表情を見せる看護師
・夜勤続きで疲れ切っているのか、ずっと無口で無愛想な看護師
おそらく、多くの方は「別の看護師に担当してもらいたい」と思うでしょう。
つまり、私たちは看護師という職業に対して、患者が安心感を抱けるような態度を期待しているのです。
採血が上手だとか、包帯を巻くのが丁寧だとか、説明が分かりやすいといった実務に優れていたとしても、患者からすると、それだけでは十分ではありません。
穏やかに微笑み、親切に応対してくれ、優しく声をかけてくれることも、(場合によっては無意識に)求めているのです。
しかし、働く人(感情労働者)からすれば、こうした姿勢は「頑張って作り出さなければいけない」ものかもしれません。
前日に恋人とけんかをして気持ちが沈んでいるときもあるでしょう。
自分の子の夜泣きに悩まされ、睡眠不足のまま出勤しているかもしれません。
クレームばかりの苦手な患者が来ることもあります。
そのような時でも、感情労働者である看護師は、言いたいことを我慢して笑顔を作り、本心を抑え込むことが求められます。
そのためには、自分自身の「感情」を上手にコントロールしなければなりません。
これが、感情労働の核心なのです。
(2/3へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。