2022年1月12日20時19分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
韓国・光州で11日午後、建設中の高層マンションの高層階部分で壁が崩落する事故が起きました。
崩落事故を起こした建設会社をめぐっては、2021年6月にも解体作業中の建物が倒壊し、9人が死亡する事故が起きていました。
韓国・南西部の光州にある高層マンションの外壁が、砂ぼこりを上げながら崩れていく様子をカメラが捉えました。
別のカメラの映像では、「あらまあ」「どうしよう」という声が聞こえ、目の前で大きく崩れる建物をなすすべなく見守っているようでした。
当局の発表によると、1人が軽いケガをしたほか、12日現在も高層階の工事をしていたとみられる作業員6人の安否がわかっていません。
事故の詳しい原因は明らかになっていませんが、韓国メディアは「コンクリートが十分に乾いていない状態で、無理に積み上げたのではないか」との見方を伝えています。
事故を起こした建設会社をめぐっては、2021年6月にも解体作業中の建物が倒壊し、9人が死亡する事故が起きていました。
警察は、会社の工事の進め方に問題がなかったか、捜査を進める方針です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f77a78c781209a086bc92b11b69a2d2fc643d1f2
1月12日11時10分にYAHOOニュース(中央日報)からは、昨年6月の倒壊事故は計画に従わず工期短縮と費用削減に重点を置いた方式で工事したために起きたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故が発生した建物は、昨年6月9日に死傷者17人を出した鶴洞崩壊惨事現場の施工主だったHDC現代産業開発だ。
「鶴洞惨事」と言われた事故当時、撤去工事中の老朽建物の外壁が崩壊してバス停留場を襲い、これによってバスの乗客9人が亡くなり8人がけがをした。
警察の捜査の結果、建物は解体計画書に従わなかった撤去によって不安定になった構造が、工期短縮と費用削減に重点を置いた工事方式に耐えることができずに崩壊したことが分かった。
当時、鄭HDCグループ会長は直接事故現場を訪れて謝罪と再発防止を約束した。
しかし、わずか7カ月後に大型惨事が再び発生した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e691cb02075cce61edf856a0376dd5f581f97aa2
1月13日7時9分にYAHOOニュース(ハンギョレ新聞)からは、気温が低い中、規定を守らずにコンクリートを打設した可能性とか、上板と壁体の連結固定不足だった可能性があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故について、冬期の無理なコンクリート打設工事が事故につながったのではないかとの指摘が出ている。
事故当日、強風のためクレーン作業は中止されたにもかかわらず、コンクリート打設作業は氷点下の中で行われていたことが確認された。
12日、国土交通部の「冬期コンクリート構造物品質管理指針」を確認したところ、1日の平均気温が4度以下の気象条件では、必ず保温・給熱措置を取った後にコンクリートを打設することになっている。
コンクリートが凍らないように圧縮強度4メガパスカル以上を確保し、2日間にわたって0度以上の温度を保つ。
コンクリートが十分な硬さを得られるようにするための規定だ。
事故当時、花亭洞周辺の気温は氷点下2.2度だった。
施工会社のHDC現代産業開発は、管轄の西区(ソグ)の区役所に「冬期コンクリート構造物品質管理計画」を提出していたという。
しかし、冬季(12~2月)の工事現場ではコンクリート打設時に「温度を保つための養生」を行わないケースが少なくないという。
群山大学のアン・ホンソプ教授(建築工学科)は、「コンクリートが正常に強度を発現するためには、常温で一定時間が経過しなければならない。低温では強度の発現が遅れるが、今回の事故は、打設した階を支持している下部層のコンクリートの強度が、作業中の上部層の荷重を強風などのために支え切れずに発生した可能性がある」と説明した。
大韓民国産業現場教授団に所属する東新大学のチェ・ミョンギ教授(土木工学科)も、「38階での作業中に外装がコンクリート打設の荷重などに耐え切れず崩壊したか、工期短縮のために冬場にコンクリートが固まらない状態で無理に工事を進めたため事故が起きた可能性がある」と話した。
しかし、現代産業開発は「工期より早く進んでいた状況なので、工期を無理に短縮する必要はなかった。201棟の打設は12日から18日に養生が行われ、必要な強度が確保されていた」と疑惑に反論した。
結局、事故原因究明のカギは、施工社が区役所に提出した「冬期コンクリート構造物品質管理計画」どおりに工事が進められていたかどうかとなる見通しだ。
また、柱の役割を果たす壁体が崩れたのは、上板と壁体がきちんと連結・固定されていなかったためである可能性があり、それに別の手抜き工事が重なって起きた可能性もある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3fd9d3b770e04f1d7b44f468a5d5300dbd0cc1eb
1月14日13時59分にYAHOOニュース(ハンギョレ新聞)からは、39階の床が凹んでいた映像が崩壊10分前に撮られていたなど、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
13日、本紙が入手した花亭アイパークマンション201棟の39階の床コンクリート打設場面が撮影された2分10秒の映像(2つ)を見ると、崩壊10分前の11日午後3時35分頃、コンクリートを支えている一部の型枠の上部がV字型に変形していた。
その部分に隣接したコンクリートは、えぐられたようにへこんでいた。
この映像は、コンクリート打設をしていた工事関係者が、報告用に撮影したものだという。
映像の中の工事現場は雪がちらつく天候で、黒い覆いで四方が遮られ、床は型枠で区画が分かれている。
コンクリート打設を終えた場所と打設中の場所の高さの差は約50センチほどとみられる。
所々にコンクリートの養生温度を維持するための直六面体の鉄桶がかかっている。
映像の中の労働者たちは中国語などで喋っており、型枠が変形した様子を見てため息をついたりもした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/efcf7cd1b801926075174178d62c8c6a2bb038c4
1月13日放映のテレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」では、韓国では不動産投資への規制が緩和されたためマンションの建設ブームになっているなど、下記趣旨の内容が報じられていた。(JCC情報)
連合ニュースによると、文政権となった2017年以降、マンション価格は高騰し、約2倍にまで上昇している。
不動産投資への規制が緩和され、投機目的の不動産購入が増加したためだ。
こうした状況を打開するため、政府はおよそ250万戸の公共賃貸住宅の供給を掲げている(アジア経済新聞)。
「コリアレポート」編集長・辺真一によると、韓国では今がまさにマンションの建設ブーム。
政府が住宅建設の号令をかけている今、建設会社は価格が落ち着く前に高く売りたいという思惑がある。
今回の外壁崩落事故について現地メディアは、建設会社が工事を急いでいた可能性を指摘。
ソウル新聞は、朝鮮大学の建築の専門家の話として、「冬はコンクリートが固まる時間が普段に比べて2倍から3倍要する、コンクリートが乾かないうちに無理に工事を進めたことが壁の崩落につながった可能性がある」としている。
辺真一は、事故を教訓に韓国すべてのマンション建設を抜本的に見直す可能性は低いと話している。
1月15日9時39分にYAHOOニュース(ハンギョレ)からは、工事初期から手抜き工事だった疑いがあるという下記趣旨の記事が、鉄筋剥き出し状態などの写真付きでネット配信されていた。
工事について、地下階の壁面と柱の複数カ所でコンクリートがはがれ落ち、鉄筋がむき出しになるなど、工事の初期から手抜き工事だったという疑惑が提起された。
14日に本紙が入手した昨年の花亭アイパーク新築工事の内部の写真を見ると、事故が起きた建物である201棟の地下は、壁にコンクリートが満たされておらずスカスカになっていたり、建物を支える柱からコンクリートがはがれ落ちて根元がむき出しになったりしている。
この写真は昨年上半期に花亭アイパーク新築工事に参加した作業員が201棟の地下を撮影したもので、先日崩壊した上層部(23~38階)だけでなく、基礎段階の地下階の工事ですでに問題があった可能性が提起される。
写真を撮影した作業員は手抜き工事の実態を発見し、それを伝えるために資料を周囲に提供したという。
花亭アイパークの近所の自営業パクさん(58)は、「工事に参加していた作業員たちが、『手抜き工事が深刻なところなので、入居したら大変なことになる。周りの人が入居すると言ったら止めろ』と言っていたほど」と語った。
パクさんは、「昨年9月に、地下階の工事の手抜きが深刻なので、このまま放置してはいけないと西区役所に口頭で申し立てたが、措置は取られなかった」と主張した。
専門家は、撮影された通りなら「手抜き工事」だと診断した。
光州大学建築工学科のソン・チャンヨン教授は、「コンクリートが満たされていないが、これだと人間の骨粗しょう症のように、建物内部の骨組みが力を支える構造体の役割をまともに果たしていない。非常に危険な状態」と述べた。
ソン教授は「全体的に施工の品質そのものも低すぎる」とし、「最近はこうした建設現場はないのだが、信じられない水準」と付け加えた。
大韓民国産業現場教授団のチェ・ミョンギ教授も「コンクリートは鉄筋にくっついていなければならないのに、くっついていないのは問題」とし「小規模住宅もこうは建てない。完全に手抜き工事だ」と述べた。
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(2022年3月15日 修正1 ;追記)
2022年3月14日15時48分にYAHOOニュース(中央日報)からは、設計と異なる施工、コンクリートの強度管理不備、施工管理不備などが原因とする公式調査結果が発表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
「総体的な不良によって発生した『人災』と判断されます」。
今年1月に発生した韓国光州(クァンジュ)マンション外壁崩落事故に対する韓国政府の調査結果だ。
工事の任意変更、コンクリート施工品質管理不良、施工管理・監理機能が総体的に不十分だったということだ。
国土交通部現代産業開発マンション崩壊事故建設事故調査委員会は14日、このような内容の公式調査結果を発表した。
国土部は事故直後に建築構造・施工・法律など12人の専門家で構成された調査委員会を設け、2カ月にわたって調査を行った。
キム・ギュヨン委員長〔忠南(チュンナム)大学教授〕は、「調査結果の信頼性確保のために現場調査、関係者からのヒアリング、関連文書の検討だけではなく、材料強度試験、崩壊シミュレーションを実施するなど、綿密に調査を行った」と明らかにした。
まず、施工方法と支持方式が設計図書と違った。
現場で工事を任意変更し、正規の構造安全性検討も行っていなかった。
調査委員会によると、崩壊した棟の最上層部39階の床の施工を一般のスラブ(床板)ではなくデッキスラブに、支持方式を架設支持台(ステージング)からコンクリート仮壁に変更した。
国土部側は「39階と38階間に配管のための空間(ピット層)の高さが低く、仮設支持台の設置が難しいと考え、これを簡単にしようと施工方法と支持方式を任意に変えたことが、結果的に荷重が増やすことになった」と伝えた。
荷重が増えたため、最上層階の下に少なくとも3層で設置されているべき仮設支持台を早く撤去し、その結果、1次崩落が起きた。
キム委員長は、「水平副材の支えがなく、柱とスラブで構成された「無梁板スラブ」に衝撃荷重が加わって連鎖的に崩壊が起き、耐力と強度がある避難安全層(22階)で止まった」と明らかにした。
◆コンクリートの強度「全般的に不合格」
実際に打設されたコンクリートの強度も水準に達していなかった。
事故直後には、冬季の無理な工事によってコンクリートが十分に固まっていなかったのではないかという指摘が多かった。
実際に調査委員会が現場から採取したコンクリートの強度をテストした結果、設計基準の強度に比べて60%前後しかなかった。
キム委員長は、「全般的に不合格と評価した」として、「同じコンクリートといえないほど、コンクリート搬入時の標本を採取したものと実際に打設されたコンクリートの強度には非常に大きな違いがあった」と明らかにした。
工事の管理もめちゃくちゃだった。
施工過程を確認して崩壊の危険を遮断しなければならない監理者の役割が不足していた。
工事をする際に、設計者と建築構造技術士が5階ごとに安全性検討をしておらず、施工主と監理者は構造設計変更事項に対して十分に確認していなかった。
品質確認のための試験評価も形式的なものだった。
キム委員長は、「今回の事故原因は、総体的な不良で発生した人災だと判断することができる」とし、「最終報告書は、今まで分析された調査結果などをまとめ、細部的な事項を補完し、約3週後に国土交通部に提出する予定」と付け加えた。
調査委員会は再発防止のために
▼制度履行強化
▼現監理制度の改善
▼資材・品質管理の改善
▼下請制度の改善
などを提示した。
国土部のキム・ヨングク技術安全政策官は、「調査委員会で明らかになった原因調査結果に基づき、違法事項に対しては関係機関に厳正な措置を求め、再発防止対策も早急に用意して、類似の事故が再発しないようにする計画」と明らかにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff7321594c8dcd88b5b7c73c4576d59b875b9dcf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。