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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2016831日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

8302357分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。

 

東京都港区で2006年6月、都立小山台高2年の市川さん(当時16歳)がシンドラーエレベータ社製エレベーターに挟まれ死亡した事故について、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、30日、最終報告書をまとめた。

 

事故後に国交省が打ち出した安全対策のうち、ドアが開いたまま昇降するのを防ぐ「戸開走行保護装置」の設置促進を不十分と認定。

エレベーターの所有者と管理者が点検マニュアルを共有する仕組みも整備されていないことを指摘し、国交省に改善を求めた。

 

消費者事故調は、コイルのショートでブレーキに不具合が生じたままエレベーターが動き続けたため、ブレーキが摩耗して十分にかからなかったことを主な原因と判断した。

また、ブレーキ部品の稼働が目視でしか確認できない点を、「適切な調整ができない可能性があり、保守点検員に頼り過ぎた」と批判した。

 

エレベーターは、シンドラー社を含む3社が保守管理にあたっていたが、点検マニュアルは共有されなかった。

過去に発生した不具合の情報が詳細に引き継がれなかった理由については、3社が「競争関係にあったため」と分析した。

 

国交省は、09年の建築基準法改正後に新設・改修されたエレベーターについて、戸開走行保護装置の設置や、点検マニュアルの提供を義務づけた。

今年2月に示したガイドラインでは、製造業者が作成した保守点検に関する文書を所有者が保存し、必要に応じて業者が閲覧できるようにすることを掲げた。

 

しかし事故調は、既設のエレベーター約70万台について、戸開走行保護装置の後付けがほとんど進んでいない、点検マニュアルの共有が担保されていない、と指摘。

現状を把握、分析して対策を講じるよう、要求した。

 

国交省によると、一般的な既存機1台の改修で150万~500万円はかかる費用の問題や、工事中の住民の不便さなどから、改修は進んでいない。

国内の約73万台の既存機のうち、改修されたのは約2割の15万台程度だという。

 

シンドラー社のエレベーター事故は、12年11月、消費者事故調による最初の調査対象として選定された。

事故機が分解されていたこともあって、調査は難航。

事故原因は、09年9月に国交省が出した事故報告書と同様の内容となった。

 

 

「シンドラー社エレベーター事故の経過」

 ※ブログ者注;転記省略

 

出典

東京・芝のエレベーター事故死 シンドラー事故 戸開走行の防止、不十分 消費者事故調、国に改善求める

http://mainichi.jp/articles/20160831/ddm/041/040/046000c 

エレベーター事故「繰り返す危険性」 シンドラー事故調

http://www.asahi.com/articles/ASJ8Z4PSTJ8ZUTIL02G.html

 

 

また、柳田邦夫氏の寄稿文が、831151分に毎日新聞からネット配信されていた。

 

事故調査に詳しいノンフィクション作家の柳田邦男さんが、シンドラー社のエレベーター事故を巡る消費者事故調の最終報告書について、毎日新聞に寄稿した。

 

「柳田邦男さんの話」

 

今回発表されたエレベーター事故の原因調査報告書は、分析の視点と原因のとらえ方において、画期的なものだ。

 

システムの事故とは、保守点検の会社とか作業員のミスだけに原因があるのでなく、安全性確立の制度(行政)から設計・製造・運用にかかわる組織の全般にわたって、どこかに故障あるいはミスが生じても事故にならないようにする防護策が万全でないために起こるのだという「組織事故」の視点こそが重要だ。

 

今回の報告書は、刑事訴追における過失責任者に絞って問題点を論じるという原因のとらえ方と違って、エレベーターが何か問題があったら必ず「止まる」という安全確保の大原則が破綻した原因は、行政による規制からメーカー、保守運用会社の全分野において内在していた欠陥の重なり合いにこそあったのだということを具体的に明らかにした。

 

その上に、メーカーが安全性確保に必要な技術情報を開示しないとか、業界全体が安全性を顧慮せずに経済性(金額の安さ)で保守管理を引き受けるという安全文化欠落の体質になっていたという問題にまで踏み込んでいる。

 

こうした事故原因の構造的なとらえ方は、生活空間の中でさまざまな形で起きている事故の原因調査のあり方や、行政・事業者の安全への取り組み方に、大きな影響を与えると思う。

 

出典

シンドラー事故 柳田邦男さん 「組織事故」の視点が重要

http://mainichi.jp/articles/20160831/k00/00m/040/129000c

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

○関連記事は下記参照。

20141223日掲載

[昔の事例の顛末] 200663日 東京都港区のマンションで男子高校生がエレベーターに挟まれて死亡した事故でシンドラー社社員に無罪、保守会社会長らに有罪判決 (修正1)

http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4512/

 

○事故調の報告書(概要版、全24ページ)は、下記参照。

http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/4_houkoku_gaiyou.pdf

 

その22ページに、国土交通大臣への意見として、以下が記されている。

(1)保全性を確保した設計の徹底

(2)適切な保守管理の実現

(3)既設のエレベーターに対する戸開走行保護装置の設置の促進

(4)所有者・管理者への働き掛け

(5)緊急時の初動体制・救助体制確保に向けた取組の促進

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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