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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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(1/2から続く)

 

【なんと、ナフサ液面に着火した瞬間を目撃していた人がいた】

 

滞在が長引くにつれ、本来の業務以外、作成中の事故報告書などについての意見も求められるようになった。

 

聞けば、火災に至る経緯は、以下のようなものだった。

 

〇地震時に浮き屋根が損傷して沈み、液面が露出した。

〇強い海風に乗って異臭が市内に流れ、クレームが多発した。

〇異臭の発生を抑えようと、液面に泡を放射。

〇しかし強い風によって泡が片方に吹きよせられ、液面がまた露出。

〇都度、泡を放射して液面を覆う・・・そのような操作を繰り返し行って
 いた。

〇液面に放射された泡は、そのうち潰れて水滴となり、水はナフサより
 比重が大きいので、ナフサの液中を沈んでいく。

 その際に、ナフサ液が静電気帯電。

〇泡を放射するたびに沈降帯電が繰り返され、ナフサ液には徐々に静電気
 が蓄積されていった。

〇そして、何回か泡を放射した後に着火した。

 

静電気は、溜まっただけでは危険ではない。

放電するから危険なのだ。

 

問題は、タンク内で、どのような放電が起きたかということだが、その点に関しては、液面を単独で漂っていた泡が帯電し、タンク壁面、あるいは別の泡に向けて放電した・・・といったメカニズムが有力視されているとのことであった。

 

そういった内容について、執務場所にあてがわれていた部屋の一角で、何人かで話していたところ、なんと、そのうちの一人が、当時、複数名で状況確認のためナフサタンクの上に上がっていて、ちょうど着火した瞬間を目撃した、という話しをし始めた。

 

その人いわく。

「泡を放射し終わった後、消火用水がポタポタと雫のように垂れていて、
 その液面付近から火が上がった」

 

浮遊泡原因説を知っていたブログ者、すかさず「火が上がった周辺に泡はありましたか?」と聞けば、「泡はなかった」という答えが返ってきた。

 

そういった話しを聞いてビックリ。

着火の瞬間を目撃していた人がいようとは・・・。

これは非常に珍しいこと。貴重な証言だ。

原因究明にとって、これ以上のことはない。

 

そこで、「そういった目撃談を、誰か聴きにきましたか?」と聞けば、誰も聴きにきていないと言うではないか。

それを聞いて、またまたビックリ。

 

複数の人と一緒に目撃したということで、事故原因調査班は、別の人に聴いていたのかもしれないが、事故原因調査の基本は、まずは目撃者探しで、目撃者が複数いれば、その全員に聴くことだ。

こう言ってはナンだが、どうも基本的な調査ができていなかった模様。
 

なぜ、調査に抜けがあるのだろう?

あれもこれもやらねばならないということで、そこまで手が回っていなかったということかもしれないが、目撃者全員の話しを聞くべきではないか?

 

大いに疑問に思ったが、なにせブログ者は応援に来ている子会社の人間という、いわば傍流の立場。

また、意見を求められるようになったといっても、原因調査班に所属しているわけではないので、発言力は弱い。

よって、この疑問は疑問として、そのまま置いておくことにした。

 

 

【ブログ者は雫説を提唱したが採用されなかった】

 

調査方法に疑問を抱いた話しはさておき、その目撃談を聞いたブログ者は、一つの事例を思い出した。

 

それは、かなり昔、大型タンカーがタンク内を海水で洗浄していた際、上から垂れてきた雫が原因となって静電気放電が起こり、爆発したとされている事例だ。

 

詳細は以下の報文参照。

https://zousen-shiryoukan.jasnaoe.or.jp/wp/wp-content/uploads/item/senpaku/senpaku-vol49-04.pdf

 

当該事例から考えると、今回の着火原因も同様、垂れてきた消火水の雫に向けて液面から放電が起きた、あるいは帯電した雫から液面に向け放電が起きた・・・そういった可能性もありそうだ。

 

浮遊泡説も、可能性としては大いにあるのだが、目撃談から考えると、雫説のほうが可能性大のような気もする。

目撃者は、着火した場所の周辺に泡はなかったと言っていることだし・・・。

 

事故原因の調査はブログ者に与えられた役割ではなく、余計なことを・・・と言われそうな気はしたが、意を決して事故原因調査班の人に、目撃者がいたことと併せ、この説を伝えておいた。

 

その後、時期的にいつだったかは忘れたが、徳山事業所で勤務しているT氏(安全工学的業務の先輩)と話した際、T氏から「あれは〇〇くん(ブログ者の名前)の説のほうが正解だ」と言われた。

なぜ、ブログ者の説を徳山事業所にいるT氏が知っていたのだろうか?

詳しくは聞かなかったが、愛知製油所と同様、徳山事業所にも支援グループができていて、その場でブログ者の説が話に出たのかもしれないと、勝手に推測した。

 

一方、顔見知りだった静電気学会のオーソリティKT氏と別会合で出会った際、氏が事故原因究明にも関係していると聞いていたので、雫説について説明した。

ただ、意に反し、KT氏は聞き流すだけ。

ブログ者としては、もっと細かい点について聞かれると思っていたのだが・・・。

 

そして、その後は、どこからも雫説の説明を求められることはなく、そのまま浮遊泡説が会社としての見解になった。

 

また消防庁からも、同様の報道発表がなされた。


平成16622

「屋外タンク貯蔵所火災の火災原因調査結果」

・・・・・

種々の着火源について検証した結果、沈降帯電による可能性が残りました。

これは、泡が時間の経過とともに消え、水に戻るときに生じる水滴がナフサ中を沈降することによりナフサが帯電し(沈降帯電)、発生した電荷は液面上に取り残されている泡に蓄積され、泡の電位が上昇します。

この泡とタンク側板、あるいは、タンク側板と接触している泡との間で放電するものです。

・・・・・

http://203.137.14.179/html/new/pdf/040622_idemitsu.pdf

 

 

【事故の教訓と対策】

 

地震などでタンクの浮き屋根が沈み、異臭が強い風に乗って人口密集地に流れていく・・・そんな事故は、もう起きないかもしれない。

 

しかし、タンク内に泡を放出することは、またあるかもしれない。

そういった場合、どうするか?

 

具体的な方策としては、消防庁特殊災害室から、以下の報告書が公表されており、今回事例に関連する記述としては、27ページに注意点として、「泡シール切れが起こらないよう、シール面を監視しながら泡補給を行う」と記されている。

 

(平成2112月)

『内部浮きぶた付き屋外タンクの異常時における 対応マニュアル作成に
  係る検討報告書』

https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/2112_uki_houkoku.pdf

 

 

しかしながら、風によって泡が流される今回のようなケースでは、泡シ-ル切れが起きる可能性、なきにしもあらず。

 

その場合、着火源が浮遊する泡だったとすれば、泡に対する対策をとることはできないので、あとは運まかせとなる。

 

ただ、雫が着火源だったとすれば、対策をとることができる。

それは、水が液面に垂れることがないよう、泡放射のタイミングを調整することだ。

 

ブログ者は泡放射設備を運転したことがないので、そういうことができるかどうかは不明だが、泡タンクに原液が残っている間に通水を止めれば、可能なような気がしている。

 

ちなみに、垂れた雫が危険なら、上からフワフワと降りてくる泡も危険ではないか?

そういう考えも、頭の中にチラっと浮かんだが、液面を浮遊する泡と同様、こちらも管理することはできないのだ。

 

 

【おわりに】

 

この記事を書くにあたり、事故の最終報告書が公表されていないかネットで調べたが、見つけることはできなかった。

 

そのため、おぼろげな記憶中心の記事になってしまったが、おおよそのアウトラインは、お分かりいただけたのではないだろうか。

 

今回の情報が、皆様にとって安全管理上の何らかのヒントにでもなれば幸いです。

 

 

                       以  上

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
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