全国の市町村道にある2362本のトンネルを管理する692市町村すべてが、トンネルの点検方法などを定めたマニュアルを持っていないことが、国交省の調査で分かった。
トンネル管理の責任があるのに、財源や人手の不足などを理由にまともな点検はほとんど実施されていなかったとみられる。
同省は、早急に点検するよう市町村に求めるとともに、2月中旬をメドに市町村向けのマニュアルを作って配る方針だ。
中央道笹子トンネルの天井板が崩落した事故を受けて、国交省が昨年12月、トンネルを管理する自治体から聞き取りをした。
その結果、都道府県や指定市はマニュアルを策定したり、国のマニュアルなどを参考にしていたが、692の市町村はまったく策定していなかった。
トンネルが完成して以降、一度も詳細な点検をしていなかったり、中央道での事故後に初めて点検したりした市町村が数多くあった。
策定しなかった理由は、「トンネルは壊れにくいと思っていた」、「維持管理には予算が付きにくく、点検できなかった」などがあった。
技術系職員の不足も原因だ。国交省が昨年7月にまとめた調査では、技術系職員がまったくいないのは全ての町の5割、村で7割にのぼる。
国交省は、トンネル構造に詳しい職員の不足が、マニュアルを策定しなかったり保守点検が進まなかったりする一因になっている可能性があると見ている。
国は1989年、マニュアルをつくるよう高速道路各社や各自治体に求めているが、策定は各自治体任せで、国交省も中央道の事故以前に策定しているかを確認したことはなかった。
国交省は、コンクリートやモルタルのはくらくを未然に防ぐ打音検査などを明示した市町村向けのマニュアルを配布し、点検を後押しする。
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《トンネルの維持管理》
旧建設省(国土交通省)が1989年、全国の自治体などに「トンネルの維持・修繕では、あらかじめ点検保守要領を定めて実施する」と通達。
その後、同省などがマニュアル作成の参考として「道路トンネル維持管理便覧」を作り、点検の頻度をおおよそ5年に1回としている。
これをもとに、高速道路のトンネルは高速道路会社が、国道のトンネルは国が別途マニュアルを定めている。
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(ブログ者コメント)
2013年1月31日のNHKクローズアップ現代から、「問われる『維持管理』~笹子トンネル事故の波紋」というタイトルで、下記趣旨の放映があった。
期せずして、同じ日に同じような内容の報道だったので、併せて紹介する。
番組中、設計図が残されていないので、補修は図面を作るところから始めねばならず、さらに費用がかさむ・・・といったことも解説されていた。
9人の命が犠牲になった中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故からまもなく2ヶ月。
事故をきっかけにNHKが取材を進めた結果、全国各地の道路や橋といったインフラの維持・管理が危うい実態になっていることが見えてきた。
多くのインフラが作られた高度経済成長時代の建設業者は、「維持・管理を考えていなかった」と証言。
さらに、管理している自治体には、点検や修繕の際に必要な“設計図面や構造図面”すら、きちんと保存されていない実態も明らかになった。
政府は、来年度予算案の中で、インフラの老朽化・安全対策に重点を置くことを打ち出したが、具体策は見えていない。
維持管理を着実に行い、安全な社会にどうしたら舵を切れるのか考えていく。
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その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。