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認知症の経営者によるトラブルを避けるには、認知症を発症する前から経営トップが心がけて置くべきことも当然ある。
岩田教授、今井院長ともども、それは「風通しのいい組織つくり」と口をそろえる。
周囲が認知症の兆候にいち早く気づいて適切な診断につなげていくことが重要とはいえ、カリスマ性のあるワンマン経営者の場合、明らかな異変が見られたとしても、周囲はやはり言い出しにくい。
もともと、ワンマン経営者の周囲にはイエスマンしかいないことが多いため、自己否定されることに慣れていない。
ましてや、意見を言える人もいない。
そこに加齢が加わり、暴走に歯止めがかからなくなれば、悲惨な末路が待ち受けるばかりだ。
もちろん、本人があらかじめ認知症に対する正しい知識を持っておくことも欠かせない。
正しい知識を得たら、周りの役員などに「こんな兆候が現れたら病院に連れて行ってくれとか、私の言動にストップかけてくれとかを伝えておける」(今井院長)からだ。
今井院長の師匠に当たるドクターは、「僕がおかしいと思ったらいつでもおかしいと言え。僕は気づかないから」と言っていたという。
当初は笑い話ぐらいにしか受け止めていなかったが、実際、師匠はその後、どんな患者に対しても同じ診断名をつけるようになった。
そこで、これはおかしいと思った今井院長はもう一人の師匠に相談したところ、彼から本人に話をしてくれた。
するとその翌日、「わかった。では、私はあとは若い人に任せるから辞める。医師としての診断ができないので」とすんなり身を引いたそうだ。
「経営トップは、認知症になったらどう若い人に受け継いでいくかということを、自分の中で、また若い人と相談しながら決めておくべきだろう」と今井院長。
「少子高齢化の中、年配の方は自分のお墓のことなどは、結構考えている。それと同じにように、企業のトップは自らの引き際を考えて、格好良く終わらせてほしい。今は認知症が大きく取り沙汰され、世間の関心も集まっている。だからこそ今の経営者は自分が認知症になったときにどうすべきかというのを考えていかないと、これからの企業は成り立たないのではないか」と投げかける。
認知症はいつなるか、誰がなるか分からない病だからこそ、健康なうちに備えておく必要がある。
出典
『あなたを襲う認知症 経営が止まる 社会が揺れる 経営トップが認知症となった「悲劇」 2人の著名医師が語る現実と事態打開の処方せん』
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/031000124/031000002/?P=1
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。