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【隕石落下、市街地に衝撃波】
13年2月15日、ロシア南西部の都市チェリャビンスク近郊に落ちた隕石では、大きな被害が出た。
電気通信大の柳沢正久教授(地球惑星科学)によると、地球大気に浅い角度で秒速19kmで突入し、大気による減速に耐えきれず、高度30kmで爆発した。
圧縮された空気が衝撃波となり、約2分後に市街地を襲った。
半径30~40kmの範囲で窓ガラスが割れ、1500人以上のけが人が出た。
直径は約20m、爆発規模は原爆の約30倍だった。
1908年6月30日に中央シベリアに衝突した隕石の爆発(ツングースカ大爆発)では、東京都に匹敵する約2000km2に渡って、樹木がなぎ倒された。
大規模な天体衝突は、地球規模の大災害を引き起こす。
6600万年前、メキシコ・ユカタン半島沖に直径10km程度の天体が衝突した際は、直径200kmのチチュルブ・クレーターができた。
巻き上げられた土砂が太陽光を遮り、高さ数100mの大津波が発生。
炭酸塩岩や硫酸塩岩が衝撃と熱で溶けて、大量の二酸化炭素や硫黄が放出。
硫酸の雨が降り、地球環境を激変させた。
恐竜などの大量絶滅の引き金になったと考えられる。
【破壊せず軌道そらす方法】
天体の衝突が予測される場合、何ができるのか。
宇宙航空研究開発機構で「はやぶさ2」ミッションマネージャの吉川真准教授は、「破壊しても破片が広がり、大きな被害が生じる」と話す。
議論されているのは、天体の軌道を変えることだ。
一つは、天体に無人の宇宙船を衝突させる方法。
NASAは05年に、宇宙船「ディープインパクト」を彗星に衝突させる実験に成功した。
ただ、宇宙船の重さや衝突速度が必要で、限界が指摘されている。
天体に宇宙船を一定の距離で並走させて、万有引力で緩やかに軌道を変更する方法なども考えられている。
国連宇宙空間平和利用委員会は、13年に、地球に接近する天体の観測を行う「国際小惑星警報ネットワーク」と、対策を検討する「宇宙ミッション計画アドバイザリーグループ」を設置した。
昨年末には米オバマ政権が、天体衝突に備えるための国家戦略を公表した。
だが、国連の会議に参加する吉川さんは、「観測は進んできたが、対策の検討は始まったばかり」。
情報伝達や避難指示は、誰がどのように行うのか。
衝突回避のための宇宙船の打ち上げ費用は誰が負担するのか。
予測が外れたり、回避策が失敗したりして、被害が拡大した場合の補償などの論点が山積している。
「日本は、天体衝突に組織として対応できていない。低頻度で起きる巨大災害にどう対応するか、共通する課題だ」と話す。
【「生命の起源」説も】
昨年、国際チームによるチチュルブ・クレーターの掘削調査が行われた。
掘り出した当時の地層から、隕石による1300℃を超す高温で大陸地殻が一瞬にして溶け、液体のように振る舞ったことが分かった。
参加した東邦大学の山口耕生准教授(地球化学)は、焼き尽くされたクレーター内でどのように生命が復活していったかを研究する。
地球に飛来した天体が運んだ有機物が生命の起源になったと考える研究者もいる。
「天体衝突は脅威だが、結果的に生命の進化を促してきたのではないか」と話す。
出典
『小惑星衝突危機、そのとき人類は 100m級でも大被害』
http://www.asahi.com/articles/ASK3962BQK39ULBJ00T.html
(ブログ者コメント)
原発事故も、低頻度で発生する恐れのある巨大災害だと思っていたが、今回話し合われるのは、それとは比べ物にならないほどの巨大災害。
結論らしきものは出るのだろうか?
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。