2018年8月20日11時11分に毎日新聞から下記趣旨の記事が、カゴ車の写真とともにネット配信されていた。
ネット通販の普及などで、全国で取り扱われた宅配個数は2016年度、40億個の大台を突破した。
多忙を極める物流の現場では、効率よく大量の荷物を運べる格子状の台車、通称「カゴ車」が活用されている。
しかし、死傷事故も起きており、労働局や専門家は、使用上の注意を呼びかけている。
「もうこんな仕事は辞めて、トラックから降りたい」。
千葉県に住む女性(47)は、宅配便大手の協力会社の運転手だった夫(当時51歳)が漏らした言葉を思い出すたび、悔しさがこみ上げてくるという。
夫は昨年3月、東京都内の集配センター付近で、カゴ車の下敷きになり、死亡した。
大手通販サイトの荷物を扱うことが多く、その日も飲料水の段ボールがうずたかく積み上がる状態だったという。
女性の夫は、荷物が満載のカゴ車をトラックで別の拠点に運ぶ業務を担当。
一人で搬入作業をしていたが、何らかの影響でカゴ車のバランスが崩れた。
カゴ車の正式名称はロールボックスパレット。
荷物を効率的に運ぶことができ、物流ネットワークの現場で欠かせない資材だ。
荷物を満載すると、高さ2m以上、重量は500~600kgになるとされる。
視界が遮られた状態で動かす作業が求められるが、不慣れな使用実態もあるという。
全国の陸上貨物運送事業(陸運業)の労災事故は昨年、1万4706件で、16年ぶりの高水準を記録した。
神奈川労働局の管内は、9年ぶりに900件を超えた。
同局は今年3月、物流大手の県内支社に、局長名で要請文を出した。
神奈川県内の事故のうち、大手が占める割合が上昇していることから、その抑制を求める内容の要請文で、その中でカゴ車の労災防止対策についても、「抜本的な見直し」を促した。
カゴ車を含む「人力運搬機」による労災事故は、昨年、全産業で4300件近く発生し、10年間で800件ほど増えた。
だが、カゴ車は統一された名称がなく、国の労災統計にも区分がないため、正確な事故の実態は把握されていない。
労働安全衛生総合研究所は、06年に起きた休業4日以上の労災から抽出調査を実施し、陸運業を中心に年間で1115件が、カゴ車が絡む労災事故にあったと推計した。
同研究所研究員の大西明宏さんは、「適切な使い方が社内で教育されているか疑問だ」と語る。
事故は、倒壊や手足を挟まれる事例が目立ち、調査では作業経験1年未満の労働者の労災が半数近くを占めた。
大西さんは、「歩道などの僅かな段差や傾斜も危険だが、最近は小型スーパーなど、荷さばき場が狭い現場などが多く、改善が必要」と話す。
同研究所と厚労省は、全国の労働者向けに「労災防止マニュアル」を作成。
作業時にヘルメットや手袋、安全靴の着用を義務付けて、段差や傾斜に細心の注意を払うよう呼びかける。
「押し」「引き」「よこ流し」といった操作方法も、細かい解説をつけた。
「いつか(荷物に)つぶされるかもしれない」。
子どもの学費のために数年前ほど前から働き始めたが、女性の夫はそう不安をうち明けることもあったという。
女性は、再発防止の徹底を願っている。
出典
『カゴ車 宅配急増の裏で労災事故年間1000件以上』
https://mainichi.jp/articles/20180820/k00/00e/040/195000c
(ブログ者コメント)
厚労省のHPに「労災防止マニュアル」が掲載されていた。
『ロールボックスパレット使用時の労働災害防止マニュアル ~安全に作業するための8つのルール~』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000098500.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。