2018年5月26日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第4報修正6として掲載します。
第3報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8382/
(2018年11月29日 修正6 ;追記)
2018年11月22日付で毎日新聞東京版からは、50kgほどの重量オーバーとエンジン不具合が原因で墜落したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2015年7月に東京都調布市で小型プロペラ機が墜落し住民を含む8人が死傷した事故で、警視庁捜査1課は21日、機体を管理していた「Nエアロテック」(同市)の小山社長(65)と、事故で死亡した川村機長(当時36歳)を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。
送検容疑は15年7月26日、調布飛行場から大島空港(東京都大島町)に向けて飛行する際、出発前の重量確認などを怠り、過重量で飛行機を墜落させ、住民の鈴木さん(当時34歳)と搭乗者の早川さん(同36歳)を死亡させたほか、住民ら5人にけがをさせたとしている。
小山社長は「重量確認は機長任せだった」と供述しているという。
同課は、離陸時の機体重量が上限を48~58kgオーバーしていたと推定。
エンジンの不具合と合わさり、速度が十分に出なかったことが墜落原因と判断した。
小山社長と同社は、無許可で料金を取って運航したとして航空法違反で在宅起訴され、今年5月に東京地裁立川支部で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受け、確定している。
一方、調布飛行場を運営する都は、事故後、機体重量の報告を義務づけている。
今年9月には、同飛行場を利用する自家用機に対する飛行自粛要請を解除したが、一部住民は今も「都の安全策は不十分」と反発している。
事故で自宅が被害を受けた六反田さん(男性、69歳)は、「捜査で改めて安全義務違反があったと分かった。都は市民を交えて独自の安全策を検証すべきだ」と話した。
出典
『東京・調布の小型機墜落 機長ら、業過致死傷容疑で書類送検 過重量が原因』
https://mainichi.jp/articles/20181122/ddm/012/040/112000c
11月22日付で東京新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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「重量、量ったの?」
警視庁捜査一課によると、離陸直前、小型機の中で、そんな会話がされていた。
搭乗者の一人が航空専門家で、注意を呼び掛けていた。
だが、亡くなった川村機長は、そのまま離陸。
機体の管理会社「Nエアロテック」の小山社長(65)も確認を怠ったとされる。
都は、同飛行場について金銭のやりとりを伴う「遊覧飛行」を禁止している。
しかし、日本エアロテックは、操縦士の飛行技術を維持するための「慣熟飛行」だと申告し、実際は遊覧飛行をしていた。
遊覧飛行をする航空運送事業者は、航空法で総重量を確認する「運航管理担当者」を置く必要がある。
しかし、小山社長は「自家用機の飛行と考え、運航管理は必要ないと思っていた」と供述しているという。
事故後、都は再発防止策を強化。
乗員や燃料の重量を書き込むチェックシートの提出を義務付け、航空機の専門家2人が重量を確認する体制を整えた。
重量オーバーでは飛び立ちにくくなるよう、滑走距離を40m短くする「調布ルール」も策定した。
都は、事故後まもなく、伊豆諸島への定期便などの運航を再開した一方、自家用機の飛行は自粛を要請してきた。
しかし、9月に要請を解除。再び自家用機が飛ぶようになった。
・・・・・
出典
『調布墜落、社長ら書類送検 ずさん運航 浮き彫り』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018112202000143.html
(2020年7月17日 修正7 ;追記)
2020年7月17日6時0分に東京新聞から、損害賠償に関する地裁判決が出たが都の責任は認められなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故に巻き込まれて死亡した鈴木さん=当時(34)=の母(64)が、飛行場を運営する都と小型機の管理会社など2社に計約9500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、2社の賠償責任を認め、計約7500万円の支払いを命じた。
都への請求は棄却した。
加本牧子裁判長は判決理由で、「機長は離陸前に重量確認をする義務を怠り、速度不足のまま離陸するなどの過失があった」と認定。
機体管理会社「Nエアロテック」には「安全飛行のため情報収集をする運航管理担当者を置かず、重量オーバーなどの情報を機長に伝えなかった」と判断し、機長が経営していた航空会社「S・アビエーション」とともに賠償責任を認めた。
遺族側は、機長は都と調布市が覚書で禁じていた「遊覧飛行」をしており、都は飛行場の使用を認めない義務を怠ったと訴えていたが、加本裁判長は「覚書の内容からただちに、特定の飛行に対して飛行場の使用を認めないようにする法的義務を負っていたとは認められない」と退けた。
判決後、母親は「違法な飛行を事前に防止する権限が都にはないという判決に驚いた。憤りを感じる」との談話を出した。
警視庁は18年11月、業務上過失致死傷の疑いでNエアロテックの社長と機長を書類送検している。
【プロペラの音が響く現場「もう落ちることはないと信じたいけど」】
プロペラ機墜落事故を巡る訴訟で、東京地裁は調布飛行場を運営する都の賠償責任を認めなかった。
事故後、都は飛行内容の事前チェックを厳しくしたが、周辺住民らは今も不安を拭えずにいる。
「ブロロロロー」
今月中旬、住宅街の事故現場を訪れると、飛行機の音が迫ってきた。
見上げると、小型プロペラ機がゆっくり上昇している。
機体横の窓がはっきりと見えた。
近くの女性(70)は、「離陸の音が聞こえるといつも不安。もう落ちることはないと信じたいけど」と表情を曇らせた。
都と調布市が結んだ飛行場管理の覚書で、客を乗せる「遊覧飛行」は禁止されている。
事故機は技量を維持するための「慣熟飛行」と届け出たが、実質的には遊覧飛行だったとされる。
事故後、都は運用を改め、慣熟飛行は操縦資格がある人しか同乗できないよう義務づけた。
従来は確認していなかった機体重量も、届け出書類のチェック項目に加えた。
ただ、依然として許可制ではなく届け出制。
都の担当者は「届け出内容に違反があれば、機体使用登録の取り消しも辞さない」と強調するが、飛行の可否判断はしていない。
事故時、自宅を大量の火の粉が襲ったという金子さん(男性、73歳)は、「飛行場を管理運営しているのは都だ。強い当事者意識を持って、事故が二度と起きないよう万全を期してほしい」と求めた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/43027?rct=national
(2021年10月31日 修正8 ;追記)
2021年10月28日18時13分に朝日新聞からは、重量確認を怠ったとして書類送検されていた社長は不起訴になったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京地検立川支部は28日、離陸前の重量確認を怠ったとして業務上過失致死傷の疑いで書類送検された機体の管理会社社長と死亡した男性機長(当時36)について、いずれも不起訴とし発表した。
処分理由は、社長が嫌疑不十分、機長は被疑者死亡とした。
同支部は、専門家らへの聴取をしても、客観的な事故原因の特定に至らなかったと説明。
「過失による事故とは言い切れない」と判断した。
今回の処分で、社長らに対する一連の捜査は終結したという。
国の運輸安全委員会は17年の報告書で、重量オーバーや機首を上げすぎた影響で減速し墜落したと推定。
警視庁は18年、航空法に定められた重量確認をしなかったとして書類送検していた。
社長は当時の調べに、「(重量確認は死亡した)機長に任せていた」と話したという。
社長は同年、国の許可を得ずに有料で客を乗せた航空法違反の罪で、懲役1年執行猶予3年の有罪判決が確定している。
https://www.asahi.com/articles/ASPBX5R51PBXUTIL01K.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。