2019年7月28日付で中国新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午前2時55分ごろ、広島市中区西十日市町の牛丼チェーン店「なか卯」広島西十日市店から、「従業員2人の体調が悪くなった」と119番があった。
47歳と34歳の女性従業員2人が市内の病院に搬送され、一酸化炭素中毒と診断された。
ともに、一時は意識がもうろうとした状態だったが、回復に向かっているという。
警察などによると、店は24時間営業。
2人は調理をしていたが、体調が悪くなったため「店を閉めたい」と同店店長に連絡した。
店長から連絡を受けた近くの店舗の男性従業員が店に駆け付けると、2人がぐったりしていたという。
当時、店に客はいなかった。
警察の調査では、通常24時間稼働している店内の換気扇が動いていなかった。
警察は、換気が不十分だったことが一酸化炭素中毒の原因とみて調べている。
2019年5月31日22時56分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
31日午後2時ごろ、広島県福山市にあるJFEスチール西日本製鉄所の第2製鋼工場で「ダクトの清掃作業をしていた作業員が倒れた」と警察に通報があった。
警察によると、倒れたのは男性3人で、市内の病院に運ばれたが、このうち市内に住む村上さん(男性、32歳)がおよそ2時間後に死亡した。
さらに、40代の男性が意識不明の重体になっているほか、30代の男性が体調不良を訴えているものの、命に別状はないという。
警察によると、清掃を行っていたダクトは、溶鉱炉から出る高い濃度の一酸化炭素を含んだガスを排出するためのもので、警察は、作業の手順を誤ったことで漏れ出した一酸化炭素を吸い込んだと見て、事故の詳しい原因を調べている。
出典
『一酸化炭素吸い込んだか 製鉄所で1人死亡1人重体 広島 福山』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190531/k10011936891000.html
5月31日付で中国新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
31日午後2時ごろ、福山市鋼管町のJFEスチール西日本製鉄所福山地区の第2製鋼工場で、ダクトを清掃していた作業員が倒れ、3人が病院に搬送された。
同市南松永町1丁目の会社員村上さん(32)が死亡。
40歳代の男性が意識不明の重体、30歳代の男性が軽症を負った。
警察によると、3人が複数のダクトを清掃中、ガスの漏出防止措置が取られていないふたを開けたため、一酸化炭素の濃度が高い有毒ガスが漏れ出し、吸い込んだとみられる。
村上さんはJFEの取引会社の社員という。
工場周辺への影響はなかった。
出典
『有毒ガスか、1人死亡 福山のJFE西工場、1人重体』
6月5日12時54分にNHK広島からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察などによると事故が起きたダクトは、溶かした鉄の成分を調整する炉から出る高濃度の一酸化炭素を含むガスを排出するためのもので、当時は稼働していない炉につながるダクトを清掃する予定だったが、何らかの原因で稼働中の炉につながるダクトのフタを開けたとみられるという。
出典
『福山のJFE事故で現場検証』
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20190605/0004556.html
(2020年3月31日 修正1 ;追記)
2020年3月30日21時2分にNHK広島からは、工事業者が安全確保に必要な情報の周知を怠っていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年5月、福山市にある製鉄所で、ダクトの作業中に、一酸化炭素を含んだ有毒ガスを吸って作業員2人が死亡した事故で、福山労働基準監督署は、30日、工事を委託していた会社と工事責任者を、労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました。
書類送検されたのは、福山市曙町にあるS興業と、30歳の工事責任者です。
福山市にあるJFEスチール西日本製鉄所の工場では、去年5月、ダクトの清掃に関わる作業にあたっていた作業員の男性3人が一酸化炭素を含めた有毒ガスを吸って倒れ、このうち2人が亡くなりました。
福山労働基準監督署によりますと、現場検証や関係者からの聞き取りなどの結果、工事を委託していたS興業が、現場の安全確保に必要な情報の周知を怠るなど、安全管理に問題があったことがわかったということです。
このため、福山労働基準監督署は、きょう、この会社と工事責任者を労働安全衛生法違反の疑いで、広島地方検察庁福山支部に書類送検しました。
労働基準監督署は会社側の認否を明らかにしておらず、書類送検された会社は30日午後8時半の時点でNHKの取材に応じていません。
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20200330/4000007194.html
(2020年5月25日 修正2 ;追記)
2020年5月25日付で労働新聞からは、作業場所を移動中に通路を誤って生産ラインに入ったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
広島・福山労働基準監督署は、令和元年5月に発生した死亡労働災害に関連して、設備補修業のS興業㈱(広島県福山市)と同社工事担当者を労働安全衛生法第31条(注文者の講ずべき措置)違反の容疑で広島地検福山支部に書類送検した。
下請の労働者2人が一酸化炭素中毒で死亡している。
労災は福山市内の大手製鉄所内で行っていた転炉ダクト(銑鉄を鋼に製鉄するための生産設備である「転炉」から出るガスを排出するための設備)の補修工事で発生した。
ダクトのマンホールの蓋を開ける作業を行っていた下請会社の労働者2人が被災している。
作業場所を移動中に通路を誤って別に生産ラインに入り、稼働中の転炉ダクトのマンホールの蓋を開け、噴出してきた一酸化炭素濃度が高い有毒ガスを吸い込んだ。
同社は、事前に上位請負会社から交付されていた作業の安全事項を記載した文書の写しを下請会社に交付しなければならなかったのに、これを怠っていた疑い。
https://www.rodo.co.jp/column/90765/
(ブログ者コメント)
協力会社の人だけで作業場所を移動していたのだろうか?
ここが作業場所だということを、製鉄所は協力会社に、どのように伝えていたのだろうか?
作業場所には、ここが作業場所だと表示されていたのだろうか?
そういった点が不明につき、事故報告書でもないかと調べてみたが、見つからなかった。
2018年12月9日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9139/
(2019年5月6日 修正1 ;追記)
2019年4月27日3時17分に毎日新聞から、前回NHK報道以降の状況など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、第1報ともどもタイトルも修正した)
首都高速道路の塗装工事などに携わり、健康診断を受けた労働者170人のうち、2割近くに当たる31人の血液から鉛中毒の発症リスクが高まる濃度の鉛が検出されたことが、健康診断を担当した医師の調査で判明した。
平成初頭までに整備された高速道路の鋼材の塗装には、さび止め剤として鉛が使われているケースが多く、塗り替え工事で削り落とした際に飛散し、吸い込んだ可能性がある。
古いさび止め塗料は更新時期を迎えつつあり、労働者の健康をいかに守るのかが課題に浮上している。
労働者を鉛にさらされる作業に就かせる場合、鉛の血中濃度などを調べる健康診断を受けさせることが雇用主には義務づけられている。
首都高で塗装工事をしていた労働者の健康診断を請け負った「ひらの亀戸ひまわり診療所」(東京都江東区)の毛利一平医師は、鉛の血中濃度が異常に高い人が多いことに気がついた。
そこで、鉛による健康被害の危険性の広がりを確かめようと、2017年8月~19年4月に同診療所で健康診断を受けた170人の血中濃度を集計した。
大半が、首都高の塗装工事を担当していたり、そうした現場に出入りしていたりする労働者だった。
集計の結果、鉛中毒と診断された労働者はいなかったものの、発症リスクが高まる水準として国が示している目安(血液100mℓ当たり40μg)を超えていた労働者が31人いた。
最も高い人は81.8μgに達しており、4人の外国人技能実習生も含まれていた。
さらに昨年7月ごろ、血中濃度の高い労働者5人の皮膚の表面を鉛に反応する薬剤で調べたところ、全員の体に鉛が付着していることも分かった。
毛利医師は、「鉛の飛散対策が不十分で、現場で吸い込んでいる可能性が高い」と指摘する。
首都高の塗装工事を巡っては、13~14年に労働者2人が鉛中毒を発症した。
これを受け、厚労省や国交省は、建設業界に加え、工事を発注する高速道路会社や自治体などにも対策の徹底を求めてきたが、現場への浸透は容易ではない。
首都高も、昨年から現場の抜き打ち検査に乗り出すなど対策を強化しており、「受注業者に対して鉛対策の徹底を義務づけているが、現場で徹底されていなかった可能性はある。発注者の責務として指導していく」と話している。
塗料メーカーでつくる「日本塗料工業会」(東京都渋谷区)は1996年から鉛を含んだ塗料の削減を進めており、現在は国内ではほとんど使われていない。
「現場への教育徹底を」
「久永直見・愛知学泉短期大非常勤講師(産業医学)の話」
倦怠感や腹痛といった鉛中毒の症状が表れても、その時点では、医師も原因に気づかない例が多い。
近年は、インフラの更新によって発症リスクが高まっており、見落としを防ぐためには、医師が必要な知識を持つことが不可欠だ。
また、中小の塗装業者や一人親方も含め、作業者への教育を徹底する取り組みも進めてほしい。
「鉛中毒」
鉛を体内に取り込むことで起きる健康障害。
頭痛や倦怠感、手足のまひなどの症状に襲われ、死に至ることもある。
全国労働安全衛生センター連絡会議(東京都)によると、1996~2016年度に国内で38件が労災認定された。
世界保健機関(WHO)は13年、世界で毎年14万人以上が鉛中毒で死亡しているとの推計を発表している。
【防護対策は手探り 鉛塗料はがす工事増加、飛散リスク高まる】
鉛の飛散リスクが高まっているのは、高度経済成長期からバブル期にかけて橋桁のさび止めに使われた鉛塗料が劣化し、更新時期を迎えつつあるからだ。
高速道路の橋桁の鋼材には塗料が何層にも塗り重ねられており、さび止め塗料は「下塗り」と呼ばれる内側の層に当たる。
外側の層に守られているために劣化が緩やかで、下塗りに手を加えず、外側の塗り替えだけで済むケースがこれまでは多かった。
しかし、首都高の大半の路線で開通から30年以上が経過し、下塗りの劣化も目立ってきた。
首都高の担当者は、「今後、鉛塗料をはがす工事が増える可能性がある」とみている。
労安法などは、鉛から労働者を守るための対策や健康管理を義務づけているが、規制対象となるのは現場の塗装工を直接雇用している事業主だ。
工事を発注する側の首都高も、13~14年に鉛中毒の発症者が出たことに危機感を強め、受注業者に対して特殊なマスクの使用や使い捨て防護服の着用を義務づけるなどの対策を打ってきた。
ただ、新たに導入した対策が別の問題を引き起こして再考を余儀なくされるなど、手探りの面もある。
例えば、首都高は14年10月、特殊な薬剤と塗料を化学反応させてはがす手法を全面的に取り入れた。
鉛の飛散を防止するための試みだったが、15年2月に、この工法で作業していた首都高7号小松川線の現場で火災が発生し、作業員2人が死亡した。
薬剤では鉛塗料が剥がしにくいことも明らかになり、機械で塗料を削り取る方法に戻した。
首都高は、粉じんの飛散防止対策を以前よりも手厚くすることで、作業員たちが吸い込まないようにしているという。
出典
『首都高速、鉛中毒リスク 労働者の2割検出 東京の診療所』
https://mainichi.jp/articles/20190427/k00/00m/040/002000c
『防護対策は手探り 鉛塗料はがす工事増加、飛散リスク高まる』
https://mainichi.jp/articles/20190427/k00/00m/040/003000c
(ブログ者コメント)
首都高小松川線での事故は下記記事参照。
同事例にも、今回の情報を追記しておいた。
『2015年2月16日 東京都江戸川区の首都高で橋桁の塗装工事中に出火し作業員2名が死亡、シートで囲った場所でシンナー使用作業と工具による研磨を同時に実施していた』
(第1報)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4639/
(第2報)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6624/
2019年4月12日18時36分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12日午前10時ごろ、更別村にある屋内のコミュニティープールで清掃会社から「屋内で排気ガスを吸って呼吸が苦しいと従業員が訴えている」と消防に通報があった。
警察や村によると、搬送されたのは、水を抜いた状態のプールの床で洗浄機を使い清掃をしていた50代と20代の男性2人と、10mほど離れた近くの廊下で窓を拭いていた40代の女性。
3人は村から委託を受けた清掃会社の従業員で、いずれも意識はあり症状は軽いという。
現場では他に8人の従業員が作業をしていたが、症状は訴えていないという。
警察によると、清掃作業には当時、ガソリンエンジン式の高圧洗浄機が使われていたことから、排気ガスを近くにいた3人が吸い込んだとみて、当時の状況を調べている。
出典
『プール清掃で息苦しさ 3人搬送』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190412/0009449.html
(ブログ者コメント)
ネットで調べたところ、25mプールと子供用プールがある施設。
http://www.sarabetsu.jp/shisetsu/pool/
NHK放映の施設外観を見ると、そう大きくはない施設のようだ。
2019年3月9日21時35分に山陽新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9日午前11時25分ごろ、倉敷市水島川崎通のJFEスチール西日本製鉄所倉敷地区で、屋外のガス管を点検していた男性社員2人が体調不良を訴えて倒れた。
市内の病院へ搬送されたが、同市の森さん(男性、47歳)が死亡、同市の男性(27歳)が重傷のもよう。
警察は、管から漏れ出た一酸化炭素を吸った可能性もあるとみて原因を調べている。
警察などによると、ガス管は直径約3m。
鉄鉱石を溶かす過程で生じる一酸化炭素が主成分の混合ガスを燃料として再利用するため、高炉から送り出していた。
2人は朝から、修繕を終えたばかりのガス管を点検。
森さんの異変に気付いた男性から連絡を受け、同僚が119番した。
同僚が駆け付けた際、2人とも倒れており、装着していたガスセンサーの警告音が鳴っていた。
現場は水島コンビナートの一角。
事故を受け同社は、「遺族をはじめ、皆さまに多大なご迷惑を掛け申し訳ない。原因究明に努める」としている。
出典
『JFE倉敷でガス漏れか 1人死亡 1人重傷もよう、屋外で点検中』
https://www.sanyonews.jp/article/878499
3月9日21時50分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2人は病院に搬送されたが、森さん(47歳)の死亡が確認された。
警察によると、一酸化炭素中毒となった可能性があり、もう1人の社員(27歳)は、意識はあるが重症という。
警察によると、2人は溶鉱炉付近の屋外でガス管の点検作業中だった。
重症の社員から「森さんが一酸化炭素中毒になった疑いがある」と同僚に報告したという。
出典
『JFE構内で社員1人死亡 一酸化炭素中毒か 岡山・倉敷』
https://mainichi.jp/articles/20190309/k00/00m/040/223000c
3月9日21時45分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
もう1人の男性にも中毒症状があるが、命に別条はない。
警察によると、2人は屋外で作業しており、止めていたガスが通るかどうかの確認中に倒れたとみられる。
出典
『JFE製鉄で作業員死亡、CO中毒か 岡山・倉敷』
https://www.sankei.com/affairs/news/190309/afr1903090024-n1.html
2019年3月7日19時19分にYAHOOニュース(静岡放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
硫黄のような異臭が沼津市戸田の温泉街を騒然とさせた。
現場からは有毒の硫化水素が検出され、宿泊客らが一時、避難した。
カメラマン;
「異臭騒ぎのある沼津市市戸田です。現在も交通規制が敷かれています」
3月7日午前6時前、沼津市戸田の温泉旅館で火災報知器が鳴り、駆け付けた消防が硫黄のような臭いに気付いた。
消防が調べたところ、現場付近から有毒の硫化水素が検出されたため、警察が周辺の道路を規制し、宿泊客や周辺住民に避難を呼びかけた。
近所の人;
「(旅館の)となりのお兄さんが、昨日から硫黄のにおいがしてた。たまごが腐ったようなにおいがしてたと言ってましたね」
近所の人;
「1人で避難しました」「心配はしたけど」
一般的に、硫化水素は10ppmで目の粘膜に刺激を及ぼすとされる。
消防によると、今回検出された硫化水素は、旅館の周辺で7ppmだったのに対し、旅館に設置された浄化槽付近では16ppmだった。
浄化槽に酸素を送り込んで微生物を活性化させる装置が動いておらず、浄化できなくなったことで硫化水素が発生した恐れが高いという。
出典
『温泉旅館で硫化水素 宿泊客が避難 沼津市戸田』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190307-00010003-sbsv-l22
3月7日11時50分にFNN PRIME(テレビ静岡)からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
【仲田記者】
私の後ろに見える建物で騒ぎは起きました。
現在は、全く異臭は感じられません。
旅館の関係者によりますと、この建物はほとんど使っていなかったということです。
消防によりますと、建物の1階部分で7ppmの硫化水素が検知されました。
これまでのところ、アワビなど海産物を入れておく水槽の浄化槽に何らかの原因があるとみられ、詳しい調査が続けられます。
出典
『温泉旅館で異臭騒ぎ 宿泊客など21人が一時避難もケガ人なし 有毒の硫化水素を検知 静岡・沼津市』
https://www.fnn.jp/posts/2019030700000002SUT
3月7日12時41分にNHK静岡からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察などによると、硫化水素が検出されたのは旅館の別館で、当時、宿泊客はいなかったが、近くにある旅館の本館に宿泊していた客17人と付近の住民2人に対し、警察が避難を呼びかけたという。
また、現場への立ち入りを禁止するため、午前6時半ごろから、周辺の道路を規制したという。
宿泊客らにけがなどはなく、硫化水素の検出が収まったことから、警察は午前9時すぎに避難の呼びかけや道路の規制を解除した。
出典
『沼津市の温泉旅館 硫化水素検出』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20190307/3030002195.html
(ブログ者コメント)
硫化水素で火災報知器が発報したとすれば、ブログ者にとって初耳事例だ。
2019年2月13日13時45分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
13日午前8時50分ごろ、大阪府和泉市伯太町2の敷物製造会社「P社」の工場で、清掃作業中の男性2人がタンク(高さ約8m、直径約3m)の中に転落したと、従業員の女性から119番があった。
消防は2人を救出したが、容体は不明。
タンクから有毒の硫化水素が発生しており、市や警察は外出しないよう周辺の住民らに呼び掛けている。
消防によると、2人は清掃会社の従業員で、タンクにはカーペットの接着に使うのりが入っていた。
警察は住民らに、現場に近づかず、自宅の窓を閉めて屋内に待機するよう、パトカーなどで呼び掛けた。
近くには保育園や小学校、高校などがあり、屋外での活動を取りやめるなどした。
現場はJR阪和線和泉府中駅から東約1km。
出典
『「工場タンク内に男性2人転落」 硫化水素が発生 大阪・和泉市』
https://mainichi.jp/articles/20190213/k00/00m/040/102000c
2月13日23時36分に毎日新聞からは、2人が死亡したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察は13日、搬送先の病院で2人の死亡が確認されたと発表した。
タンク内にはカーペットの接着剤が入っていたが、半年以上使われていなかった。
タンクからは一時、有毒の硫化水素が発生しており、警察が事故との因果関係を調べている。
警察によると、2人はいずれも70代で、清掃会社の従業員。
13日午前8時50分ごろ、2人が転落したと119番があり、消防が約4時間後に救出したが、意識不明の状態で搬送された。
タンクは高さ約5.4m、直径約2.6mで、上部に直径約50cmの穴がある。
タンクの上にいた従業員の姿が見えなくなり、別の従業員が様子を見に行って、2人とも穴から転落したとみられる。
タンク内の接着剤は半年以上使われておらず、従業員らは、接着剤を抜き取って内部を清掃する予定だった。
関係者によると、接着剤が長期間放置されることで腐敗し、硫化水素が発生した可能性があるという。
出典
『工場のタンク内に転落の2人死亡 接着剤、半年以上使われず 硫化水素発生』
https://mainichi.jp/articles/20190213/k00/00m/040/198000c
2月14日21時9分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察は14日、2人は、兵庫県尼崎市の清掃会社「K工業」経営、岩本さん(男性、75歳)と同社従業員、浜口さん(男性、70歳)と明らかにした。
タンクからは一時、有毒の硫化水素が発生。
司法解剖の結果、死因は特定できなかったが、警察は硫化水素による中毒死の可能性があるとみて調べる。
出典
『工場タンク転落死、2人の身元判明 硫化水素中毒死の可能性』
https://mainichi.jp/articles/20190214/k00/00m/040/268000c
2019年2月8日22時8分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午後2時ごろ、留萌市末広町1の公務員宿舎1階共用玄関内で、自家発電機を使って給水管工事をしていた作業員3人が倒れているのを住民の家族が見つけ、119番した。
3人は病院に運ばれたが、いずれも意識不明の重体。
警察によると、3人は同市内の建設会社に勤務する神さん(男性、61歳)、門脇上さん(男性、42歳)、山下さん(男性、39歳)。
発見時、1人は玄関内で、残る2人は玄関から通じる半地下のピット(配管用スペース)で倒れていた。
3人は、同日午前9時半ごろからピット内で、給水管などの取り換え工事をしていた。
電動ドリルを使うため、玄関内にガソリン自家発電機を置いて動かしていたという。
当時、玄関ドアは閉まったままだったとみられ、警察は、排ガスによる一酸化炭素(CO)中毒の可能性が高いとみて調べている。
札幌管区気象台によると、同市内の午後2時の気温は氷点下12.3℃で、現場付近は風雪が強まっていた。
出典
『配管作業の3人意識不明 留萌の公務員宿舎 CO中毒か』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/274995
2月8日19時24分に日本経済新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3人は8日朝から、建物の地下で老朽化した給水管を交換していた。
換気はしていなかったとみられる。
建物1階の入り口付近に1人、地下1階に通じる階段に2人倒れていた。
現場はJR留萌駅から数100mの場所で、海上保安庁や税務署の職員らが住んでいるという。
〔共同〕
出典
『配管作業の3人重体 北海道留萌市、CO中毒か』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4108176008022019CZ8000/
2月8日17時51分にNHK北海道からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察の調べによると、3人は午前9時半から工事にあたっていたが、寒さを免れるため、入り口の引き戸を閉めた上で、電動ドリルを使うための発電機を建物の中に入れていたということで、警察は発電機の不完全燃焼による一酸化炭素中毒の可能性があるとみて詳しく調べている。
出典
『作業員3人意識不明 CO中毒か』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190208/0007730.html
(ブログ者コメント)
複数のメディアの映像によれば、現場は鉄筋コンクリート5階建ての建物。
1階共用玄関への入口は二重扉になっているので、もしかすると、二重扉の間で発電機を動かしていた、ということかもしれない。
2018年7月23日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報修正2として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8606/
(2018年12月13日 修正2 ;追記)
2018年12月6日22時51分に毎日新聞から、安全管理責任者である技術顧問が書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県警は6日、現場の安全管理責任者で同社技術顧問の男性(68)を、業務上過失致死容疑で金沢地検に書類送検した。
金沢労基署も同日、同社と技術顧問を労安法違反容疑で書類送検した。
事故は6月6日午前3時半ごろに発生。
県警によると、古紙に希硫酸などを混ぜる円筒形のタンク(深さ約5m)内で、異物を取り除こうとした従業員の男性(57)が倒れ、助けようとした49歳と27歳の男性も巻き込まれた。
死因は、高濃度の硫化水素による急性中毒だった。
送検容疑は、技術顧問は有毒ガスの発生を予測できたのに現場に立ち会わず、ガス濃度の計測やマスク着用の指示などを怠り、3人を死亡させたとしている。
出典
『3人死亡のタンク事故 技術顧問の男性を書類送検 石川県の製紙会社』
https://mainichi.jp/articles/20181206/k00/00m/040/296000c
12月6日19時32分にNHK石川からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警察のその後の調べで、68歳の技術顧問の男性は、タンク内に硫化水素が発生する危険作業だったにも関わらず、事故を防ぐためのタンク内の換気を行うよう指示しなかったことなど、適切な安全対策を怠ったという。
出典
『タンク3人死亡事故で書類送検』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20181206/3020000503.html
2018年12月3日9時28分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし5月、東京都内の高速道路で補強工事に携わっていた作業員2人が鉛中毒と疑われ、激しい腹痛や手足のしびれなどの症状が出る危険が高いと診断されたほか、ほかにも6人が、作業を続けると鉛中毒を発症する可能性が高いと判断されたことが分かった。
いずれも、橋脚などの劣化を防ぐために塗装に混ぜて塗られた鉛を誤って吸い込んだとみられ、厚労省などは注意を呼びかけている。
東京・江東区にある「ひらの亀戸ひまわり診療所」によると、ことし5月、東京都内の高速道路で補強工事に携わっていた作業員33人が健康診断で血液検査を行った結果、血中に含まれる鉛の数値が異常な値を示すケースが相次いだ。
このうち2人が、国が基準としている血液100mℓ中60μg以上の鉛が検出され、鉛中毒と疑われると診断された。
自覚症状はなかったが、激しい腹痛や手足のしびれなど、中毒特有の症状が出る危険が高い状態だったという。
さらに、ほかにも6人が、国の基準は下回ったが、このまま作業を続けると中毒を発症する可能性が高いと判断されたという。
診療所や会社側によると、いずれも橋脚などの劣化を防ぐために過去に塗装に混ぜて塗られた鉛を誤って吸い込んだとみられ、厚労省などは注意を呼びかけている。
診察した毛利医師は、「これほど血液中の鉛の濃度が高い作業員が多くいることに驚いた。全国でインフラの補修工事が進む中、ほかの工事現場でも同様の鉛中毒の危険はあり、今後、中毒を発症する作業員が出る可能性がある」と話している。
厚労省などによると、4年前、東京の高速道路で改修工事などをしていた14人の作業員が鉛中毒となる災害が発生したため、業界団体などに対策の徹底を呼びかけている。
鉛中毒は、鉛を吸い込んだり舐めたりするなどして体内に蓄積したため起きるもので、激しい腹痛や手足のしびれなどの症状が出るほか、重症化すると、最悪の場合、死亡するケースもある。
しかし、医師の間で鉛中毒の知識やリスクが十分に共有されていないため、正しく診断されないケースが出ている。
4年前に東京都内の高速道路で改修工事を行っていて、鉛中毒を発症した40代の男性は、4つの病院をまわっても原因が特定されず、腹部や胸などの激しい痛みが1か月以上続いた。
男性は、点滴を受けるなど体内の鉛を外に出す治療を半年間続けた結果、ようやく回復したということだが、診断がもう少し遅れれば、体にマヒが残った危険もあったという。
診察した大阪・西淀川区にある「のざと診療所」の中村医師は、「症状だけでは、医師の多くは何の病気か分からないと思う。見過ごされている患者も多いのではないか」と話している。
一方、厚労省は、鉛中毒について昭和46年に出された通達に基づいて、末しょう神経障害や激しい腹部の痛み、それに関節痛、けん怠感など複数の症状が出ていることと、血液100mℓ中60μg以上の鉛が検出された場合、業務との関連が認められれば、労災と認定している。
鉛は、鉄がさびるのを防ぐことで長く使用できるようにするため、高速道路や鉄道の橋脚や住宅やマンションの鉄骨、それに公園の遊具などに、塗料に混ぜて広く塗られてきた。
しかし、鉛自体が有害物質であり、健康被害が出たことなどから、塗装メーカーおよそ100社で作る団体「日本塗料工業会」は、平成8年に自主的に鉛を含む塗料の使用を禁止した。
団体によると、今も一部で使用されているということで、2020年までの廃絶に向けて取り組んでいるという。
過去に高速道路の橋脚などに塗装に混ぜて塗られた鉛は、補強工事で作業員が塗料をはがす際に誤って吸い込む危険があり、大型インフラの改修や補修の時期を迎える中、専門家や医師などからは鉛中毒のリスクを指摘する声があがっている。
工事の元請け会社はNHKの取材に対して、「作業員には、鉛を吸い込むのを防ぐためのマスクや防護服などの着用を指示していたが、1人1人に徹底されておらず、着用が不適切だった可能性がある。血液中の鉛の濃度が高かった作業員の配置を換えるなど、適切な措置を行っている。今後も引き続き、健康被害の防止に関する法令を遵守しながら工事を行っていきたい」と話している。
出典
『高速道工事で作業員が鉛中毒疑い』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20181203/0022093.html
(ブログ者コメント)
「職場の安全サイト」に、発生年月日などは不明だが、同じような事例が下記趣旨で掲載されていた。
休業者1名とあるので、4年前の高速道路事例とは違うかもしれないが・・・。
『橋梁桁に塗布された塗料の塗り替え作業中、鉛中毒を発症』
本災害は、高速道路で、橋梁桁に塗布された塗料の塗り替え作業中に発生した。
高速道路の橋梁桁に塗布された塗料の塗り替え工事で、近隣環境への配慮のためビニールシートで作業場を覆い、隔離措置された作業場でディスクサンダー等を用いて含鉛塗料のかき落とし作業に従事した作業者1名が、全身倦怠感、食欲不振、体の痛み、指の痺れ、急激な体重減少などを訴え、鉛中毒と診断された。
休業者数1名
【原因】
1.発注者、事業者は、塗布されている塗料中の鉛等の有害な化学物質の有無を把握せず、また、把握した後も施工事業者に伝えられていなかったこと。
2.剥離等作業を乾式方法で行っていたこと。
3.保護具の選定が適切でなかったこと。
4.作業時に保護具を外すことが行われていたこと。
5.集じん機・掃除機等による除じんを行っていなかったこと。
6.鉛作業主任者が選任されていなかったこと。
【対策】
1.発注者は、有害な化学物質の有無について把握している情報を施工者に伝えるほか、塗料中の有害物の調査やばく露防止対策について必要な経費等の配慮を行うこと。
2.施工者は発注者に問い合わせる等して、当該塗料の成分を把握すること。
3.当該塗料の成分に鉛等の有害物が確認された場合、当該塗膜の剥離作業を行う場合、湿式による作業の実施、作業主任者の選任と適切な作業指揮の実施、有効な保護具の着用、適切な使用の監視等を行うこと。
4.塗膜の剥離作業に従事させる時は、遅滞なく、塗料に含まれる鉛等の有害物に係る有害性、取扱い方法、当該作業に関し発生する恐れがある疾病の原因、予防方法、保護具の性能及び取扱い方法に関する教育を行うこと。
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=101504
2018年12月3日12時45分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午前9時45分頃、名古屋市瑞穂区のパロマ瑞穂スポーツパークで、テニスコートのクラブハウスの解体作業をしていた作業員から、「複数人が気分が悪いと訴えている」と119番があった。
消防によると、20歳代~50歳代の作業員6人が頭痛やめまい、吐き気などの症状を訴え、病院に搬送された。
いずれも意識はあり、命に別条はないという。
工事を発注した市によると、当時、作業員らは建物をビニールで囲って外壁のアスベストを除去していた。
当時は雨だったため、ビニール内で発電機を稼働させて作業していたという。
警察は、一酸化炭素が発生して作業員が酸欠状態になった可能性があるとみて、原因を調べている。
出典
『アスベスト除去中に酸欠か、作業員6人を搬送』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181203-OYT1T50042.html
12月3日16時50分に中京テレビからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午前10時前、名古屋市瑞穂区のパロマ瑞穂テニスコートにあるクラブハウスで、アスベストの撤去作業をしていた男性作業員6人が体調不良などを訴え、病院に搬送された。
消防などによると、全員が酸欠とみられ、命に別条はないという。
作業員らは当時、密閉された部屋で発電機を使って作業をしていたということで、警察は、発電機の排気ガスが影響したとみて調べている。
出典
『密閉した部屋で作業の6人、酸欠で搬送 名古屋・瑞穂区』
https://www2.ctv.co.jp/news/2018/12/03/32638/
(ブログ者コメント)
以下は、中京テレビの映像の1コマ。
クラブハウスの側面全体がビニールシートで囲われている。
報道では酸欠の可能性ありということだが、CO中毒の可能性もあるのではないだろうか?
2018年11月14日18時8分にNHK徳島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
14日午前11時半ごろ、徳島市幸町のホテル千秋閣などが入っている自治会館で、作業員がエアコンの解体作業を行っていたところ、配管に残っていたフロンガスが漏れ出した。
この事故で、ガスを吸った男性の作業員3人が体調不良を訴えて、病院に運ばれた。
このうち、50代の作業員が一時、全身に脱力感を訴えたが、特に異常はなく、いずれも命に別状はないという。
警察によると、建物の5階にある機械室で、作業員がエアコンの解体作業中に配管を切断したところ、配管内に残っていたフロンガスが漏れ出したということで、事故の詳しい原因を調べている。
ガス漏れのあった自治会館は、地上10階、一部11階建てで、徳島県市町村職員共済組合がホテルも経営し、宿泊用の部屋やレストランなどがある。
建物は現在、耐震工事を進めていて、ホテルは今月1日から休館しているが、建物の中には市町村職員共済組合のフロアなどがあり、ガス漏れがあった時間帯には職員など、およそ50人が建物の中にいたという。
建物の中にいた人は無事避難したが、一時、玄関付近には消防隊員や建物の中にいた人が大勢集まり、複数の消防車や救急車が待機するなど、現場は騒然とした。
【フロンガスとは】
環境省によると、フロンガスは、エアコンや冷蔵庫で熱を冷やすための冷媒として多く用いられていて、フロンガス自体は人体に直接の影響はないものの、一度に大量のフロンガスを吸い込んだり、地下室など密閉された空間に漏れたりした場合は一時的に酸欠状態になり、めまいや気分が悪くなることがあるという。
こうしたフロンガス漏れを防ぐため、現在、フロン排出抑制法により、業務用エアコンの所有者に対して定期的な点検が義務づけられているという。
出典
『フロンガス漏れ 作業員3人搬送』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tokushima/20181114/8020003482.html
2018年10月25日8時58分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。温故知新情報として紹介する。
「正体不明の奇病が続出」。
50年前の1968年10月10日付の朝日新聞夕刊(西部本社版)社会面に、そんな見出しの記事が載った。
国内最大の食品公害と言われる「カネミ油症」を、初めて公にした記事だ。
当時、取材にあたった元記者は、今も苦悩する被害者を忘れてはならないと語る。
記事は、体中の吹き出物や手足のしびれなどの症状を福岡県内の住民らが訴え、「米ぬか油」が原因と疑われると伝えた。
カネミ倉庫(北九州市市)の名前は、この時点で、まだ触れられていない。
報道のきっかけは、同県大牟田市の会社員の男性と親族が、記者に被害を訴えたことだった。
大牟田通信局の記者だった武田さん(男性、83歳)=東京都小平市=は、「原因も治療法も分からない。市役所も取り合ってくれない」と、途方に暮れた男性の様子を覚えている。
厚生省(当時)の資料によると、男性の一家は10月4日、保健所に「油による被害」を届け出た。
九州大学病院の皮膚科には、8月から通院していた。
同様の症状の患者たちが、4月から来院していたという。
報道があった翌11日、福岡県は九大病院に聞き取りをし、県下の保健所に調査を命じた。
北九州市は、カネミ倉庫に営業自粛を勧告。
厚生省は16日、大阪以西の府県に、同社の油の販売停止を指示した。
被害の届け出は、22日までに、23府県で約1万人に上った。
なぜ、各地の被害は表沙汰にならなかったのか。
武田さんは、「企業活動の妨げになりそうな事案を行政は黙殺し、住民も声を上げない。国全体がそんな雰囲気だったのではないか」と振り返る。
油症被害が公になって50年。
「問題が起きたとき、SNSで個人の声は届きやすくなったが、国や企業が責任を認めずに事をかえって大きくしているという構図は変わっていない」
◇
西部本社(北九州市)の社会部記者だった西村さん(男性、78歳)=千葉県佐倉市=が11日、北九州市の被害者宅に向かうと、カネミ油の一斗缶があった。
同社は当初、「油の販売店が別の油を混ぜることがある」と、自社製品が原因であることを否定していたが、その油は、同社の社員を通じて直接買ったものだったという。
カネミの工場にも確認した上で、12日付夕刊に「カネミの油で発病」の見出しで記事を載せた。
西村さんは、「50年たって、国も企業も、個々の問題への反応は敏感になったかもしれない。ただ、福島の原発事故に見るように、手に余る被害が半ば放置されているのは同じだ」と話す。
定年後、熊本県水俣市に家を借り、自宅と行き来しながら、水俣病の事件史を調べてきた。
60年代に「終わった問題」と見なされて報道が下火になり、「空白」が生じていると気付いたからだ。
「(メディアは)日々の出来事に追われ、被害者が長い間苦しみ続ける事件を追うのは不得手。この間、どれほどカネミ油症を報じてきただろうか」
いずれ、カネミ油症の調査にも取り組みたいという西村さん。
「今年は、油症の問題を問ういい機会。被害者と遺族の苦悩に耳を傾ける報道を願う」と話した。
出典
『被害者宅に一斗缶が… カネミ油症50年、報道の端緒は』
https://digital.asahi.com/articles/ASLB40DCYLB3TIPE02P.html?rm=439
ちょっと古いが、2018年6月16日14時44分に朝日新聞からは、被害者の1人かもしれない女性に関する以下のような記事もネット配信されていた。
ダイオキシン類などで汚染された食用油による食中毒「カネミ油症」の事件発生から、今年で50年。
油は広く西日本一帯に流通したとされるが、被害の実態は不明な点も多い。
首都圏に住む患者や支援者らが17日、東京で集会を開き、問題が今も未解決であることを訴える。
近年になって、「自分は油症かもしれない」と気づいた女性も声を上げる。
都内の女性(60)は2012年、カネミ油症を取り上げた新聞記事を偶然手に取り、がくぜんとした。
自分の長年にわたる多くの症状が、すべて、油症の特徴にあてはまった。
「私はカネミ油症だったの?」
油症は1968年3月ごろから、西日本の各地で多く現れてきた。
症状は一様でなく、黒い吹き出物、爪の変色、手足のしびれ、全身の倦怠感、内臓疾患など、「病気のデパート」と呼ばれるほど、多岐にわたる。
被害が広く報じられた68年10月から約1年で、保健所に被害を届けたのは1万4000人を超え、近畿、中国地方、四国、九州のほぼ全県にわたった。
だが、汚染された油の流通経路や購入先の調査は徹底されず、被害の広がりの実態は、今日まで不明なままだ。
女性は、西日本の山あいの村で育った。
10歳だった68年3月、顔や体の一面に黒い吹き出物が現れた。
成人後は体のあちこちに脂肪腫ができ、手足の硬直、倦怠感や抑うつに悩まされた。
月経は激しい痛みと大量の出血を伴い、流産と死産を繰り返して、子どもはあきらめた。
病院では、「原因不明」と言われ続けた。
発症当時、家族にも同様の症状が出たが、だれも医師から油症の疑いを指摘されなかった。
今となっては、自身も家族も、当時食べたのがカネミ油だったのか分からない。
油症との関連を疑い、首都圏の患者らが集まるカネミ油症関東連絡会に相談した。
多くの患者と交流のある佐藤さん(女性、79歳)は、「皮膚症状や婦人科疾患など、油症に特徴的な多くの症状と発症時期を考え合わせると、女性が油症である可能性は高い」と指摘する。
・・・・・
出典
https://www.asahi.com/articles/ASL6G62H3L6GTIPE02H.html?iref=pc_extlink
(ブログ者コメント)
〇ご存知の方も多いと思うが、この事故は米ぬか油の製造時、熱媒として使用していたポリ塩化ビフェニール(PCB)が、コイルに開いた穴から米ぬか油側に漏れ、PCBというよりは、熱によって生成していたダイオキシン類によって引き起こされた。
〇つい最近、どこのテレビ局だったか忘れたが、現在も営業を続けているカネミ倉庫の、たしか社長の話が流されていた。
詳細は覚えていないが、「自分たちの責任が問われるのは仕方がないが、PCBを製造していた会社に一切オトガメがないというのは釈然としない・・・・」といった内容だったと思う。
カネミ油症となると、どうしても患者サイドの報道が目立つが、原因企業側にも苦悩が続いている。
事故は、双方に残酷な結果しかもたらさない。
2018年10月24日18時55分にNHK静岡から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
24日午前11時ごろ、焼津市中根新田のお総菜を製造する食品工場で、「厚焼きたまごを焼いていた何人かが体調の不良を訴えている」と、工場の従業員から消防に通報があった。
消防によると、工場内でたまごを焼く作業をしていた20代から60代の男女、計6人が意識がもうろうとするなどの症状を訴えていたため、病院に搬送したという。
警察によると、6人はいずれも軽傷で、一酸化炭素中毒とみられるという。
この工場では、24日朝6時過ぎから厚焼きたまごを焼く作業が行われていたが、警察などによると、工場内では、ほとんどの窓が締め切られた状態だったという。
警察は、工場の安全管理など、詳しいいきさつを調べている。
出典
『卵焼いていた6人搬送CO中毒か』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20181024/3030000944.html
10月25日7時55分に静岡新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
従業員の一人が「普段は開けている窓を閉めていた」と話していて、警察は、換気が不十分な状況で作業していたことが原因とみて調べている。
出典
『換気不十分原因か、従業員6人搬送 焼津の食品工場』
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/557456.html
(ブログ者コメント)
以下はNHK映像の1コマ。
1階、2階のどちらで事故が起きたかは不明だが、1階窓の外側には赤っぽい色の扇風機2台が、また2階には換気扇口のようなものが見える。
2018年10月16日11時54分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
15日午後6時半ごろ、大分市豊海にある大分市公設地方卸売市場で、下水道の清掃作業のためマンホールの中に入り、はしごを登っていた男性がはしごから落ちるのを、一緒に作業をしていた別の男性が見つけ、消防に通報した。
はしごから落ちたのは、大分市東院の会社員、葛城さん(男性、50歳)で、駆けつけた消防隊員がマンホールの底に落ちていたのを見つけ病院に運んだが、意識不明の重体となっている。
警察の調べによると、葛城さんは高さ3mの所から落ちているが、目立った外傷はなく、消防の調べではマンホールの中から硫化水素が検出されたということで、警察では、葛城さんが硫化水素を吸って意識を失った可能性もあるとみて、詳しい状況を調べている。
葛城さんは、市場を管理する大分市から発注を受け、下水道の清掃作業にあたっていたという。
出典
『清掃でマンホールに入り転落重体』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20181016/5070002241.html
10月17日13時34分に読売新聞からは、以下の記事がネット配信されていた。
15日午後6時半頃、大分市豊海の市公設地方卸売市場で、下水道の清掃をしていた同市東院、会社員の男性(50)がマンホール内から地上に出ようとした際、約3メートル下の下水道に転落した。
男性は市内の病院に搬送されたが、意識不明の重体。
大分中央署の発表では、男性は市の発注を受けて作業をしており、一緒にいた同僚の男性が転落に気付いた。
下水道から安全基準の15倍にあたる濃度の硫化水素が検出され、同署は男性が硫化水素を吸って意識を失った可能性もあるとみて、原因を調べている。
出典
『マンホール出ようとして転落重体…硫化水素検出』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181017-OYT1T50062.html
2018年9月27日17時50分にNHK山梨から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日正午ごろ、笛吹市御坂町成田にある塗装会社の倉庫の中で男性2人が倒れていると、近くを通りかかった人から消防に通報があった。
2人は、この塗装会社の30歳と54歳の男性従業員で、甲府市内の病院に搬送されたが、症状は軽く、命に別状はないという。
警察によると、2人は27日午前中から倉庫のシャッターを開けて、「トリクロロエチレン」という塩素系の薬品を使って金属製の部品の洗浄作業をしていたということで、警察は、2人がこの薬品を吸い込んで体調を崩したとみて調べている。
当時、現場周辺では異臭がただよったため、警察は近くの道路を1時間ほど通行止めにし、近くの笛吹高校と市の教育委員会に状況を説明したが、警察によると、これまで体調不良などを訴えた人は他にはいないという。
出典
『薬品吸い込んだか 男性2人搬送』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20180927/1040004304.html
(ブログ者コメント)
以下はNHKの1シーン。
奥行きは定かでないが間口が10mほどありそうに見える、そう大きくもない平屋建ての倉庫だ。
その建屋の壁から、直径数10cmほどあろうか、排気筒が屋根の上まで出ている。
排気筒といい、シャッターを開けて作業していたことといい、有機溶剤中毒の危険性については理解していたように見受けられる。
それなのに、なぜ?
可能性としては、トリクロロエチレンが入った容器に顔を近づけ過ぎた、あるいは空気流れのない場所でトリクロロエチレンを取り扱った・・・そのようなことが考えられる。
2018年9月15日13時47分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
15日午前3時ごろ、東京都文京区後楽の遊園地「東京ドームシティ アトラクションズ」内にある遊戯施設「ジオポリス」の地下1階の改装工事現場で、アトラクションの交換作業にあたっていた作業員7人が体調不良を訴えた。
警察などによると、一酸化炭素中毒の疑いで1人が入院したが、命に別条はないという。
警察によると、作業員ら11人が発電機を使ってコンクリートの解体作業を行っていたところ、作業終了後に複数の作業員が「具合が悪い」などと訴え出たといい、換気の状況など詳しい原因を調べている。
運営会社は、原因調査や安全確保のため、15日にジオポリスで予定していたヒーローショーを中止した。
出典
『一酸化炭素中毒か 東京ドームの遊園地の改装工事現場』
http://www.sankei.com/affairs/news/180915/afr1809150004-n1.html
9月15日14時49分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
作業は14日午後10時から15日午前3時までで、作業員は終了直後に体調不良を訴えた。
『東京ドームシティ 一酸化炭素中毒か 作業員7人体調不良』
https://mainichi.jp/articles/20180915/k00/00e/040/306000c
9月15日17時28分にテレビ朝日からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
消防によると、発電機の排ガスが地下で充満していて、一酸化炭素が検出された。
出典
『東京ドームシティで作業員が一酸化炭素中毒か』
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000136330.html
2018年8月11日19時4分にYAHOOニュース(宮崎放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午前6時50分ごろ、高原町蒲牟田にある、S地鶏屋の食品加工場内で、清掃作業をしていたパート従業員のFさん(66)と手伝いに来ていた妻(40)の2人が倒れているのを会社社長が発見し、119番通報した。
2人は病院に搬送されたが、約1時間後に妻の死亡が確認された。
夫は意識が回復しているという。
警察によると、2人は10日夕方から工場内の清掃をしていたということで、警察で、倒れた原因について詳しく調べている。
出典
『宮崎・高原町の工場で清掃中に女性死亡』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180811-00010001-mrt-l45
8月11日17時9分にFNN PRIME(テレビ宮崎)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると Fさん夫婦は窓を閉め切った状態で、工場の清掃作業をしていたという。
警察では、意識が回復した夫から話を聞き、事故の原因など、詳しい状況を調べている。
出典
『清掃作業中に2人倒れ 女性1人死亡』
https://www.fnn.jp/posts/390UMK
(2018年9月13日 修正1;追記))
2018年9月7日12時40分にNHK宮崎から、使用していた高圧洗浄機の不完全燃焼によるCO中毒だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
先月11日、高原町蒲牟田の鶏の炭火焼などを作る工場で、機械の清掃作業をしていたパート従業員の66歳の男性と、男性の妻で、元従業員の40歳の女性が倒れているのが見つかり、その後、女性の死亡が確認された。
警察が詳しく調べたところ、女性は一酸化炭素中毒で亡くなっていて、作業にはガソリン式の高圧洗浄機が使われていたことが、捜査関係者への取材でわかった。
さらに警察によると、当時、工場の窓は閉めきられ、中の空気を外に出す換気扇も作動していなかったという。
ガソリン式の高圧洗浄機は、使用時に大量の酸素を消費するということで、警察は、閉めきった場所で使用したために不完全燃焼が起きたとみて、当時の詳しいいきさつを調べている。
メーカー各社によると、ガソリン式の高圧洗浄機は、電源が不要で洗浄力も強いことから、主に業務用として使われているが、一酸化炭素中毒を防ぐため、多くの機種が屋外の風通しの良い場所に使用を限っているという。
出典
『死亡事故 洗浄機の不完全燃焼か』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20180907/5060001732.html
2018年8月10日2時33分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9日午後2時半ごろ、旭川市パルプ町2の5、日本製紙北海道工場旭川事業所から、「工場の塩素ガスが漏れ、従業員が吸い込んだ」と119番があった。
消防によると、従業員14人が市内の病院に運ばれ、うち1人が自力で歩けず重症。
13人は、いずれも軽症という。
同事業所によると、同日午後2時10分ごろ、工場3階の作業室(約70m2)の天井のコンクリート片が、何らかの原因で剥がれて落下。
パルプ原料の漂白に使う二酸化塩素の配管(塩化ビニール製)に接触して穴が空き、液体が漏れ出て気化。
塩素ガスが発生したとみられる。
この作業室付近や5階の中央制御室にいた14人がのどの痛みやせき、涙が出るなどの体調不良を訴えた。
同事業所は塩素ガスが漏れた区画を封鎖し、操業を停止。
工場外に被害が広がる恐れはないとしている。
同事業所の中山所長は、「これまで塩素の漏出はなかった。原因を調べ、再発防止に努めたい」と話している。
現場はJR新旭川駅の東側約400m。
近くの国道沿いには大型商業施設が並ぶ。
出典
『ガス漏れ14人搬送 旭川・日本製紙』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/217107/
8月9日18時26分にNHK北海道からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
日本製紙によると、ガスはパルプの漂白に使う二酸化塩素で、消防は、ガスを吸った従業員合わせて14人を市内の病院に搬送した。
消防によると、このうち1人が低酸素症で重症だという。
日本製紙によると、工場の天井のコンクリートの一部が何らかの原因で剥がれて落下して配管を破損し、中を通っていた二酸化塩素の液体が漏れ出てガスが発生したと見られるということだが、間もなく元栓を閉めたため、ガスが工場の外に漏れることは無かったという。
出典
『製紙工場でガス 14人搬送』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20180809/0002162.html
8月11日0時9分に北海道新聞からは、やや詳しい下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察と労基署は10日、実況見分を行った。
労基署によると、工場は4階から3階にまたがって大型タンクが設置されている。
一辺が最大約20cmのコンクリート片が工場4階の壁から剥がれ、タンク周囲の隙間を通って落下し、3階作業室でパルプ原料の漂白に使う二酸化塩素の配管(塩化ビニール製)を損壊。
液体が漏れ、ガスが発生したという。
出典
『旭川ガス漏れ、警察など実況見分』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/217376/
(ブログ者コメント)
二酸化塩素という化学物質名を聞くのは初めてだ。
社)日本二酸化塩素工業会からは、物性などについて、以下の情報が公開されている。
http://chlorinedioxide.or.jp/clo2
それによればTWAは0.1ppm。
かなり毒性が強い物質だ。
2018年7月17日0時40分に長崎新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
戦後最大規模の食中毒事件、カネミ油症が発覚して50年。
原因企業カネミ倉庫の加藤社長(61)は、北九州市の同社本社で長崎新聞の単独インタビューに応じた。
将来にわたって、同社の経営と油症認定患者の医療費支給の双方を安定的に継続していくことの難しさをにじませるとともに、「患者をきちんとケアできるシステムが必要」と指摘。
原因物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)を製造したカネカ(旧鐘淵化学工業)が被害者救済の枠組みに参加すべきとの考えを示した。
カネミ油症は、カネミ倉庫が米ぬか油製造時の熱媒体としてPCBをカネカから購入し、これが油に混入、西日本一帯で販売して発生した。
PCBは、一部、ダイオキシン類に変化。
本県などで被害を広げ、1968年10月に発覚した。
事件発生の責任は、主に70~80年代に争われた複数の集団訴訟などにより、カネミ倉庫が負っている。
同社と共に被告となったカネカ、国が敗訴した判決はあったが、一連の訴訟の最後の判断となった全国統一2陣2審判決(86年)で、カネカと国は勝訴。
カネカは現在、「責任はない」として、被害者団体、カネミ倉庫、国による救済協議などに関わっていない。
加藤社長は、有害物質PCBを製造し、カネミ倉庫に販売したカネカにも責任があると強調する。
また、特措法に基づくPCB使用製品の適正な保管、処理について、PCB製造事業者ではなく、中小企業を含む使用製品の保管事業者が負担してきた点、全国のPCB廃棄物処理施設に多額の税金が投入されてきた点を疑問視。
「その何パーセントかのお金で患者さんを救える。そもそも、なぜ有害物質を製造し広く販売したカネカが回収・処理費を全額負担しないのか」と述べた。
加藤社長は、カネミ倉庫が認定患者の医療費自己負担分などを支払っていることなどから、「曲がりなりにも責任を取ってきた」とする一方、「カネカは(見舞金などの)金を一度(過去の原告患者に)払って、その後、責任はないと言い張っている。それが50年目の姿」と強調。
「被害者の救済問題を最終的に解決するには、カネカに何らかの形でコミットしてもらわなければならない」と主張した。
【PCB】
米国スワン社が1929年に工業生産を開始。
国内では、54年から鐘淵化学工業(現カネカ)が製造。
感圧複写紙やトランス、コンデンサー、安定器、電化製品など、幅広く用いられた。
三菱モンサント化成(69年~)を含め、72年の製造中止までの国内生産量は5万8787トン、国内使用は約5万4000トン。
残留性、生物蓄積・濃縮性が高く、内臓や神経、皮膚など人体に毒性がある。
2001年、特措法施行で、PCB廃棄物の処理事業が始まった。
出典
『<カネミ油症50年>「カネカも救済枠組みに」カネミ倉庫社長インタビュー PCB製造責任を指摘』
https://this.kiji.is/391475046247318625
上記記事にリンクして、カネミ倉庫は今も食用油を作り続けているなど、下記趣旨の記事もネット配信されていた。
米ぬか油独特の香ばしい匂いが漂う工場敷地内。
高さ10m近い機械や建屋が立ち並んでいる。
カネミ油症事件の原因となった汚染油を製造、販売したカネミ倉庫(北九州市)は、今も食用油を作り続けている。
過熱、ろ過、冷却・・・。
さまざまな工程を通して、油の不純物を取り除くのだという。
「米ぬか油には、結構な時間と手間が掛かるんです。もちろん、安全面は徹底しています」。
加藤社長(61)は年季の入った機械を見上げ、強調した。
事件発覚当時、油症の原因物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)の毒性は、社会的に認知されていなかったとされる。
PCBを製造した鐘淵化学工業(現カネカ)の当時のパンフレットには、次のような記述がある。
「カネクロールによる金属材料の腐蝕は、高温、低温を問わず、実用上問題はなく、材質の選択は自由であります」
PCBによる金属腐食性も否定しているように読める。
食用油に大量混入したPCB。
原因は裁判において、脱臭工程でステンレス管を流れるPCBが管を腐食させ、漏れて食用油を汚染したとみられ、PCBを製造販売したカネカの責任も追及された。
だが、後にカネミ倉庫の人為的ミスと隠蔽行為があったとの見方が強まり、全責任がカネミ倉庫にあるとの判断に一気に傾いた。
加藤社長は、「混入原因は、はっきり言って分からない。当時を知る社員はもういませんし。僕らは、ピンホール(腐食穴)が原因としか、言いようがない。そして、PCBにもし毒性があると分かっていたら、(食品製造工程で)使ってない」と断言。
PCBそのものに問題があり、購入時のカネカの説明も不十分だったことを訴える。
PCBは、カネミ油症をきっかけに製造中止となったが、既に社会環境に大量に存在。
PCBの保管、処理は特措法などにより、メーカーではなく、購入した企業側が費用負担することになっており、加藤社長はその不満もぶちまけた。
「うちの場合、コンクリート小屋を造り、鉄板の大きな箱を入れ、その中にPCBを全部保管させられた。無害化処理する費用には2000万円もかかった。本来、カネカが全回収し処理するのが当たり前じゃないのか」
・・・・・
出典
『<カネミ油症50年>「カネカが回収すべきだった」 カネミ倉庫社長インタビュー CB処理負担に不満』
https://this.kiji.is/391483156631782497
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。