2016年7月19日10時11分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『「熱中症診断」 実は脳梗塞…家族「すぐに分かれば」』
http://mainichi.jp/articles/20160713/k00/00e/040/230000c
夏に倒れて熱中症と診断されたものの、実は脳梗塞で、治療が遅れて後遺症に苦しむケースがある。
茨城県古河市の県立高1年、柳澤さん(男性、16歳)は、昨年夏、ソフトテニス部の練習中に倒れた。
3度の手術を経て奇跡的に一命を取り留めたが、失語症と右半身まひの重い障害が残った。
家族は「すぐに脳梗塞と分かっていれば……」と、悔やみ切れない思いを抱えている。
柳澤さんの日常が一変したのは、昨年8月3日。最高気温35℃の「猛暑日」だった。
午後から校内のテニスコートで練習していたが、普段はしない空振りが続いた。
中学3年のダブルス県大会で8強まで進んだ腕前では考えられない。
他の部員が「おかしい」と感じたころには、まっすぐ立っていられなくなっていた。
部室で横になっても変わらず、救急車で病院に搬送された。
家族は医師から、血液検査で熱中症に顕著な数値が出たうえ、コンピューター断層撮影(CT)で脳に異常が確認されなかったため、熱中症と診断したと聞いた。
夜、自宅に連れ帰ったが、問いかけに「うん、うん」と答えるだけで、症状は改善しない。
それどころか、右半身が全く動かないことに気付き、再び病院へ。
磁気共鳴画像化装置(MRI)の検査で、脳梗塞と診断された。
転送先の大学付属病院で、左脳の機能の3分の2が失われ、右半身まひと失語症になったと判明。
命の危険もあったが、3度の手術に耐えた。
術後の回復の早さは、医師を驚かせた。
柳澤さんの失語症は、人が言うことを理解できるものの、思ったことを言葉に置き換えて話したり、書いたりすることができなくなる。
当初はオウム返しが多かったが、今は簡単な会話ができる。
ただし、複雑な文章は理解に時間がかかるため、高校の授業についていくのは難しい。
リハビリもあって登校はできず、2年生には進級できなかった。
右半身も、少しずつ動くようになってきた。
半年前まで車椅子だったが、今は自力で歩けるようになった。
遊びに来る部員や級友たちの存在も励みになっている。
「早く学校に戻りたい」と願う。
柳澤さんの父(47)は、「最初に搬送された病院でMRI検査をしていれば」と悔やむが、病院側の責任を問う考えはないという。
「訴えて息子の症状が改善するならそうするが、学校に戻りたがっている彼にとってプラスにならない。前を向くことのほうが大切だ」といい、「同じ悲劇が起こらないように、病院や学校現場も誤認しやすいということを理解してほしい」と話した。
めまいや頭痛、ふらつき、しびれ−−。
真夏にこうした症状が出た場合、まず熱中症が疑われるが、これらは脳梗塞など脳卒中にも共通する症状だ。
専門家によると、発症直後に熱中症と脳卒中を見分けるのは難しい。
柳澤さんのように脳梗塞なのに熱中症と診断されたケースがどれほどあるのか、統計はなく、不明だ。
特に、脳卒中のリスクが低い若者の場合、夏にこうした症状があれば、一般的に熱中症と診断される可能性が高い。
脳出血がなければCTにも異常は映らず、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)脳血管内科の古賀医師は、「言葉が正常かどうか、体の一部がまひしていないかなどを確認するしかない」と指摘する。
熱中症が脳梗塞を引き起こすこともあるという。
訴訟に発展したケースもある。
東大阪市立中学の生徒だった女性が、2010年、バドミントン部の練習中に熱中症になり脳梗塞を発症して左半身にまひが残ったとして、損害賠償を求めて提訴。
大阪地裁は、今年5月、学校の注意義務違反を認め、市側に約410万円の支払いを命じる判決を出した。
日本スポーツ振興センターによると、10年には、小学4年女児が体育で走った後、頭痛を訴えて倒れ、病院で脳梗塞と診断された。
05年には、中学1年男子生徒がリレー競技中に、小学3年女児が水泳の授業中に、それぞれ脳梗塞を発症し、障害が残った。
「脳卒中と脳梗塞」
脳卒中は、脳の血管障害から突然起こる病気の総称。
血管が詰まって血液が流れなくなり、脳の組織が壊死する脳梗塞と、血管が破れて出血を伴う脳出血、くも膜下出血に大別される。
脂肪分の多い食生活や運動不足などから、脳梗塞が増えている。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。