2017年3月1日付で毎日新聞から、下記趣旨のコラム記事がネット配信されていた。
企業の変調を疑い、問題に気づくのは容易ではない。
「企業を訪ねると必ずトイレを借りた」と語るのは、信用調査会社の社員だ。
汚れや整理整頓具合から、社長の考えや社内の雰囲気、経営状況がうかがえたという。
投資助言会社「グッドバンカー」(本社・東京)は、社会貢献や環境への配慮、人材の多様性などを重視し、企業を評価する。
1998年に創業し、この分野では日本の先駆けだ。
これまで、いくつかの企業の転落を予見してきた。
筑紫社長や調査部長の倉橋さんに、企業名は記事にしない前提で聞いた。
似たような事故を繰り返す企業があった。
「原因分析やデータの蓄積が進まず、改善への対応が鈍い。内部管理に問題があるようだ」と疑った。
同業他社に聞くと、「よくある事故ではない。ずさんです」という答えだった。
経営上の数値は文句のつけようがなかったが、「重大な問題を起こしかねない」と、2010年春に評価を落とした。
助言を受けた運用会社は、夏までに、この企業の株を手放している。
翌年、「想定外だった」との言い訳に終始する、あの巨大事故を起こした。
多額の損失を抱えて、存続も危うい電機メーカーの異変は、6年前につかんだ。
さきの巨大事故の2カ月後、役員が言った。
「30年に1度の事故でしかない。原発稼働のメリットをふまえると吸収できるコストだ」。
耳を疑い、同業他社に尋ねた。
「こんな大変な時に、そんなこと言えない」と口をそろえた。
「社会の要請が読めていない。感度が鈍く共感力に欠ける」と判断し、「投資対象として要注意」とした。
グッドバンカーは、企業の公表資料のほか、独自のアンケートや担当部門へのヒアリングなどを通じて、総合的に、継続的に判断する。
「社長が交代し情報開示に消極的になるとか、担当者の態度がそっけなくなるとか、小さなことに異変の始まりがある」と倉橋さんは語る。
長く続けているから、小さなことを見すごさない。
「私たちは、潜水艦のソナーのようにピーンと電波をあてているだけです」と筑紫社長は説明する。
「すると、向こうから形や中身について、つまり、さまざまな問題にどういう姿勢なのか、どう対処しようとしているかが反響として戻ってくる。それをもとに判断すればいい」
判断の物差しは、「言動が常識からずれていないか」、「対応に不自然さはないか」だという。
当たり前の視点こそが大切なのだ。
出典
『水説 企業を見極める視点』
http://mainichi.jp/articles/20170301/ddm/003/070/078000c
(ブログ者コメント)
〇「整理整頓は安全の母」という言葉があるが、それと似通った話かもしれない。
〇「あの巨大事故を起こした企業」、おそらくは東京電力だと思うが、それほど多くの「似たような事故を繰り返していた」のだろうか?
そう考えていて、思い出した事例が1つある。
それは下記の事例だ。
2015年1月26日掲載
2015年1月19日 新潟県柏崎市の東京電力柏崎刈羽原発タービン建屋で機器点検中、設備の写真を撮ろうとしてグレーチング通路端のハシゴ昇降口から3.5m下に転落し重傷 (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4589/
現場写真を見ると、ハシゴの昇降口に転落防止用のバーとか鎖が付けられていないようにも見えた。
まさか未設置?
いやいや、写真の写り具合の関係では?
半信半疑につきコメントとしては書かなかったが、今回の情報に接し、やはり未設置だったのだろうか・・・と思ってしまった。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。