2021年2月10日10時30分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がイメージ図付きでネット配信されていた。
小型旅客船の事故では、大けがをした乗客の約7割が腰や背中などが折れる「脊椎(せきつい)骨折」だった――。
船や飛行機、鉄道の事故原因を調べる国の運輸安全委員会の調査で、こんなデータが明らかになった。
脊椎骨折した人のほぼすべてが船首近くに座っていたこともわかり、運輸安全委は「波が高くなる冬場は揺れによる事故が起きやすい。小型船では、なるべく揺れない後ろの席に座ってほしい」と呼びかける。
国土交通省の調査によると、全国には約2200の旅客船があるが、このうち7割が20トン未満の小型船だ。
旅客の少ない近距離航路で多く使われている。
大きな船に比べて波の影響をうけやすいが、障害物に衝突して浸水した場合でもすぐに脱出できるように、シートベルトの設置義務がない。
そのため、高い波で船体が揺れて乗客が座席に尻もちをつき、脊椎を骨折する事故が後をたたない。
例えば、2019年12月に鹿児島県沖であった旅客船「なんきゅう」(19トン)の事故では、高波で船体が大きく揺れ、乗客55人のうち14人がけがをした。
このうち9人が座席に尻を強く打ち付けた脊椎骨折で、いずれも客席の3列目までに座っていたという。
運輸安全委が08~19年に起きた旅客船の死傷事故115件を調べたところ、重傷以上のけが人がいた小型船の事故は28件で、37人が大けがをしていた。
このうち、16件の25人は脊椎が折れる大けがをしていた。
重傷者の68%が脊椎骨折だったことになる。
【船首側の大けが、なぜ多い?】
報告書が公表されている事故をさらに詳しく見ると、軽傷と診断された人も含めて、脊椎(せきつい)を骨折していた29人のうち、28人が船首側の席に座っていたという。
船首側の席で脊椎骨折が多いのは、エンジンがついている船尾側に船の重心があるからだ。
波に揺られると、重心から遠い方の船首側の座席の揺れがより大きくなるという。
船の速力が遅ければ揺れは小さくなるため、波が高い場合は、速度を落とすことが有効だ。
ただ、比較的低速とされる10ノット(時速18キロ)未満でも、脊椎骨折になる事故が4件あった。
運輸安全委による旅客船のシミュレーションでも、波の高さが2メートルの場合、8ノット(同15キロ)まで下げないと船首に座る客はけがをする可能性があるとの結果が出た。
新型コロナウイルスの影響で、昨春時点では旅客船の輸送人員が前年の半分以下に落ち込んだ事業者が多かったが、昨年末にかけて持ち直した。
運輸安全委は、「冬場は高い波が起きやすく、事業者は速度を下げたり、運航自体をやめたりすることも考えて欲しい。乗客も、小型船ではなるべく後ろの席に座るよう意識した方がいい」としている。
https://www.asahi.com/articles/ASP2B33XRP22UTIL033.html
(ブログ者コメント)
なんきゅう事例は本ブログでも紹介スミ。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10255/
当該記事中、負傷者が座っていた場所についての情報はなかったものの、ポーポイジングなる現象が解説図付きで説明されており、それが尻もちをつく原因の一つなのかもしれない。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。