







2021年2月19日11時46分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新潟市から佐渡市に向かっていた佐渡汽船のジェット高速船が18日、航行中に電源を喪失して動けなくなり、海上保安本部の巡視船にえい航されて、予定より9時間ほど遅れて港に到着しました。
航行中に海洋生物を吸い込んだ可能性もあるとみて、電源喪失の原因を詳しく調べています。
佐渡汽船と第9管区海上保安本部によりますと、18日午後5時20分ごろ、新潟港から佐渡市の両津港に向かっていた佐渡汽船のジェット高速船「つばさ」が、佐渡市の姫埼灯台から東に10キロほどの海域で電源を喪失して自力で航行できなくなりました。
その後、高速カーフェリーによるえい航のほか、非常用電源を使った航行を試みましたが、いずれも難航し、海上保安本部の巡視船「えちご」にえい航され、予定より9時間ほど遅れて19日午前2時すぎ、両津港に到着しました。
乗客と船員あわせて40人にけがはありませんでした。
佐渡汽船によりますと、航行中に漂流物を吸い込んだということで、港に到着したあと取り除いた結果、安全性に問題はないと判断し、19日は通常どおり運航しています。
佐渡汽船は「お客様と関係者の皆様にご心配とご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません」とコメントしています。
佐渡汽船と海上保安本部は、漂流物は海洋生物だった可能性もあるとみて、電源の喪失の原因をさらに詳しく調べています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20210219/1000060592.html
2月18日20時39分にNHK新潟からは、事故発生現場の地図などがネット配信されていた。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20210218/1030015868.html
2月19日8時48分に朝日新聞からは、トラブル発生後の船内の様子などが下記趣旨でネット配信されていた。
トラブル発生から約9時間、乗客36人は停電した船内から動けず、冬の日本海で揺られ続けていた。
未明に港に着くと、一様に疲れ果てた様子だった。
ガガガッ。2階客室に乗っていた日坂さん(男性、42歳)によると、突然の音の後、エンジンが止まった。
衝撃はなかったという。
国土交通省で海事行政に携わり、出向中の佐渡市の総合政策監。
新潟市の県庁に出張した帰りだった。
仕事柄、船が転覆する危険のないことは分かっていたが、漂流してぐるぐる回るため、気持ち悪かった。
停電で暖房が止まり、水洗トイレも流れない。
ジャンパーを着込んで寒さをしのいだという。
「みなさん、ひたすら座席に座っているか、横になっていた」。
持っていたペットボトルのお茶でしのいだという。
「船内のアナウンスで『漂着物を吸い込んだ』という説明はあったが、その後の報告はなかった」とも話し、ぐったりした様子だった。
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASP2M2RJXP2MUOHB001.html
2月19日17時40分にYAHOOニュース(新潟放送)からは、給水口に大型海洋生物とみられる肉片が詰まっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
【乗客】
「急にガクッと、ガガガっと音がしてエンジンが止まって、そのあとはずっと船が揺れて漂流している状態が続いていました」
「長時間で大変疲れ果てました」
海の上を浮き上がって進むジェットフォイル。
船体の下には海水の吸い込み口があります。
九管や佐渡汽船が調査したところ、この吸水口が大型の海洋生物の肉片とみられるものでふさがれ、発電するためのエンジンが冷やせなくなったことが電源喪失の原因と判明しました。
佐渡汽船のジェットフォイルは2年前にもクジラと見られる海洋生物と衝突し、乗客らがけがをする事故が発生しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e562d0b5679b21ec94dc348bb3b4545bd8b3acd4
2月20日14時6分に朝日新聞からは、クジラかアザラシのような大型海獣を吸い込んだ可能性ありなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ジェットフォイルは取り入れた海水をエンジンや発電機の冷却などに用いており、取水ができずエンジン停止や停電につながったとみられるという。
海水取り入れ口に詰まった肉片の識別を担当した新潟市水族館「マリンピア日本海」によると、海保から一辺20~50センチほどの肉塊が持ち込まれたといい、担当者は「骨の大きさ、厚みからみて、魚ではなく大型海獣とみられる。クジラかアザラシのような生物の可能性が高い」と話した。
https://www.asahi.com/articles/ASP2N336KP2MUOHB012.html
2021年2月9日18時16分にNHK秋田から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年9月、秋田市にある秋田港で、青森県東通村の野牛漁協に所属するイカ釣り漁船「第十※き宝丸」が全焼し、船内にいた乗組員の58歳の男性が死亡しました。
その後、秋田海上保安部は、漁船の焼け跡などを調べ、9日、調査結果を発表しました。
海上保安部によりますと、燃え方が特に激しかった船首付近の床下には、計器や照明などに電気を供給する高さ15センチ、幅30センチ、奥行き50センチほどのバッテリーが2つあったということです。
このバッテリーは水を補充するタイプで、充電する際、水素が発生する構造で、現場の状況や目撃者の証言から、何らかの原因で、バッテリーから発生した水素が船内に滞留して濃度が高まったため爆発し、火災が起きたと見られるということです。
また、死亡した乗組員は、船首付近で見つかったということで、爆発に巻き込まれたとみられるとしています。
(「第十※き宝丸」の「き」は七が3つ)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/20210209/6010009606.html
2月9日19時31分に秋田放送からは、バッテリーは交換予定だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
秋田県漁業協同組合によりますと、漁船はバッテリーの交換を予定していました。
秋田海上保安部は、バッテリーから発生した水素ガスに何が引火したかについては、目撃者もなく、特定に至らなかったと説明しています。
https://www.akita-abs.co.jp/nnn/news93wjwqtyl36s8bsjk1.html
2月10日付で毎日新聞秋田版からは、充電中だった可能性があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船はバッテリーの上に蓋(ふた)をかぶせている構造で、バッテリーは当時、充電中だった可能性がある。
事故は20年9月3日、秋田港の岸壁に停泊していたイカ釣り漁船、第10喜宝丸(14トン)=青森県東通村の野牛漁業協同組合所属=が爆発、炎上。
同村の乗組員の男性(58)が死亡した。
https://mainichi.jp/articles/20210210/ddl/k05/040/180000c
(2021年7月30日 修正1 ;追記)
2021年7月29日12時38分にNHK秋田からは、必要以上に充電したため過剰に発生した水素が室内に滞留した、着火源は静電気などが考えられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
去年9月、秋田市にある秋田港で、青森県の漁協に所属するイカ釣り漁船「第十※き宝丸」が係留中に全焼する火災が起き、船内にいた58歳の乗組員の男性が死亡しました。
国の運輸安全委員会が29日公表した報告書によりますと、火災の原因について、停泊中にバッテリーを充電した際に水素ガスが発生し、バッテリーが置かれた室内に滞留したガスに引火して爆発したと考えられるとしています。
室内には換気装置がなく、バッテリーに必要以上に充電したために過剰に水素ガスが滞留したとみられ、乗組員の男性が室内に入った際の静電気か、または作業に伴って引火した可能性があるということです。
運輸安全委員会は、再発防止策として、バッテリーを充電する場合には水素ガスが滞留しないよう、十分に換気を行うとともに、室内には強制的に換気を行う装置を備える必要があると指摘しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/20210729/6010011266.html
2021年1月16日11時2分にYAHOOニュース(FRIDAY DIGITAL)から、下記趣旨の記事が船の写真付きでネット配信されていた。
遭難か、それとも……。
愛媛県宇和島市の活魚運搬船「第八しんこう丸」が行方不明になってから、3週間以上が過ぎた。
昨年12月22日に愛媛県南部の愛南町で養殖ハマチを積み込んで出港した「第八しんこう丸」は、翌23日15時には三重県尾鷲市の港へと到着するはずだった。
しかし、22日午後の連絡を最後に、到着予定時刻を過ぎても港に現れず、パッタリと姿を消してしまったのである。
23日の夜には、海上保安庁へ通報が入った。
24日になって海保の飛行機が、和歌山県すさみ町の南西沖約30㎞のところに大量の油が浮いているのを発見しましたが、いまのところ手掛かりはそれだけです。
巡視船などによる懸命の捜索が続きましたが、救命ボートはおろか、船の残骸すら見つかっていません。
もちろん、乗組員6名も全員行方不明です」(全国紙松山支局記者)
「第八しんこう丸」は全長41m、重量199トン。
漁船としては大型である。
しかも、当日の天候は晴れ。
波も高くなく、遭難の可能性は極めて低い。
では、いったい何が起きたのか。
「コンテナなどを運ぶ超大型船に衝突されたとしか考えられま
せん」
そう語るのは、「第八しんこう丸」を所有する「T水産」の戸田K氏だ。
T水産社長の息子であり、「しんこう丸」に乗船していた戸田G船長の甥(おい)っ子にあたる。
「油が発見された地点は、朝4~6時頃に通る海域。
そのときに、衝突されたんだと思います。
大型船にぶつかり、救難信号すら出せないくらい一瞬で沈没してしまったんでしょう。
4時間交代で二人が見張りをし、レーダーでも他の船を確認するシステムですが、何らかの予想外の出来事が生じ、事故が起きてしまったのでは……」
「第八しんこう丸」は全長40mを超える漁船だが、200mを超える大型コンテナ船と比べれば、アリと象のようなものだ。
大型船はぶつかったことにすら気づいていない、という可能性もある。
実際、海上保安庁は現在、当時運航していた船の船体を調べ、衝突の傷跡がないかを捜査しているという。
和歌山県田辺の海上保安部の担当者が言う。
「油が発見された辺りの海域は水深が1500mほどあるため、捜索は容易ではありません。
現在は『しんこう丸』に搭載されていた電波情報から、沈没したとすればそれがどこなのかを調査しています」
はたして、「第八しんこう丸」は見つかるのか。
前出・戸田K氏が語る。
「僕はたまたま別の仕事が入っていたので今回は乗りませんでしたが、『しんこう丸』には叔父だけでなく、僕の従妹も乗っていました。
今の望みは、救命ボートが漂流してどこかの島にたどり着いてくれていること。
行方不明になってからずっと、胸が張り裂けそうです」
乗員6名を発見するため、懸命な捜索は今も続いている。
『FRIDAY』2021年1月29日号より
https://news.yahoo.co.jp/articles/c75404ba9f1c290ac8bfa6c2c2e4e622b4db6a2e
2020年12月19日15時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
東京湾などの混雑する湾内で、船舶が台風の強風で流されて衝突する事故を防ぐため、海上保安庁は船舶を湾外へ退去させたり、湾内への進入を禁じたりする勧告・命令制度を新設する方針を固めた。
来年の通常国会に、海上交通安全法の改正案提出を目指す。
海保によると、最大風速がおおむね毎秒40メートル超の台風接近時に、船舶に対して湾からの退去や湾への進入禁止を勧告し、従わなければ命令することを想定している。
空港など重要施設のある海域に近づかないことや、いかりを下ろしたまま強風に流される「走錨(そうびょう)」を起こさないため、予備のいかりを準備することなどについての勧告・命令も盛り込む。
命令に違反した場合の罰則も今後、検討する。
東京湾や伊勢湾、大阪湾など、船舶の航行が頻繁な湾に適用する。
対象船舶は、衝突した際に事故が重大化するリスクが高く、台風時に湾外にいても強風や荒波によるトラブルが生じにくい大型船とする方針だ。
海保は現在、船舶の衝突事故を防ぐ目的で、港に停泊したり、港の中を航行したりする船舶に限って、避難勧告や命令を出すことができるが、湾への出入りについては権限がない。
近年は、台風を避けるために湾内に停泊した船舶が走錨で施設などに衝突する事故が多発。
2018年9月の台風21号では、大阪湾に停泊中のタンカーが関西空港の連絡橋に衝突し、関空が一時機能不全に陥った。
昨年9月の台風15号でも、東京湾内で船舶同士や道路への衝突が4件起きた。
いずれの台風も、最大風速が毎秒40メートルを超えていた。
海保は、重要施設周辺での停泊制限や監視カメラ設置などの事故防止対策を講じてきたが、より対策を強化するため、法律に基づく新たな勧告・命令制度が必要だと判断した。
来年の台風シーズンの前に制度化したい考えだ。
◆海上交通安全法
東京湾や瀬戸内海など多数の船舶が行き来する海域について、船舶の交通ルールを定めた法律。
航路の順守や速力の制限、大型船航行時の通報義務などを規定している。
船舶交通の安全を守るための法律は、ほかに航行ルール全般を定めた海上衝突予防法、港の中に限定した港則法があり、合わせて「海上交通三法」と呼ばれる。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201219-OYT1T50182/
2020年12月8日18時46分にNHK兵庫から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
悪天候のため、ハワイ沖を航行中、積み荷が崩れて2割以上が海に転落した大型コンテナ船が8日、点検などのために神戸港に入港しました。
会社によりますと、乗組員にけがをした人はおらず、今後、荷物の積み直しを行うことにしています。
神戸港に入港したのは日本の大型コンテナ船「ワン アパス」で、8日正午ごろ、神戸市東灘区にある六甲アイランドに接岸しました。
船の運航会社によりますと、コンテナ船は中国からアメリカに向けて太平洋のハワイ沖を航行中の先月30日、悪天候に見舞われて、甲板の上に積んでいたおよそ7000個のうち2割以上にあたる1816個が海に落ちたということです。
落ちたコンテナの一部には花火や電池、それに液体エタノールなどの危険物が入っていたということですが、回収されたという情報はこれまで入っていないということです。
コンテナ船の乗組員は全員、けがはないということです。
運航会社によりますと、コンテナ船には適正な数のコンテナを載せていたということで、会社では積み荷が崩れた原因を調べるとともに、船体や積み荷を点検してコンテナの積み直し作業を行うことにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20201208/2020010981.html
(ブログ者コメント)
〇関連情報調査中、10年前に空荷のコンテナ100本が荷崩れを起こし、それが日本海運史上、まれにみる大規模荷崩れだった、という記事が見つかった。
当該情報から考えると、今回の事故は、中身の入ったコンテナが荷崩れした、わが国最大の事故だった可能性がある。
(2011年1月23日9時59分 神奈川新聞)
『“史上最大”のコンテナ荷崩れ、ミナトの絆で復旧完遂/横浜』
今月12日、航海中にコンテナ約100本が倒壊するという大規模な荷崩れを起こした超大型コンテナ船が横浜港に入港した。
一部は今にも海に落下しそうな危険な状態で、「日本海運史上、これほどの荷崩れは初めて」(横浜港関係者)。
未曽有の事態を前に、港の男たちは周到な準備をして挑み、困難を極めた復旧作業を短時間でやり遂げた。
正月明け早々、横浜港・南本牧ふ頭で荷下ろしを担う三菱倉庫南本牧営業所の石原所長(男性、50歳)は、コンテナ船からメールで送られてきた写真に息をのんだ。
船尾側のコンテナはドミノ倒しのように右舷側に傾き、一部は海上に突き出ている。
太平洋は荒天で激しい白波が立っていた。
写真や乗組員からの情報を手掛かりに、石原さんはコンテナ船を運航する海運会社をはじめ、横浜港関係者と作業手順の検討を重ねた。
最初に右舷から突き出て海に落下しそうなコンテナを取り除いてから、倒れたコンテナを引き起こして荷揚げする方法が決まった。
13日午前8時、復旧作業開始。
しかし、突き出たコンテナが動かない。
覆いかぶさったコンテナが重しになっていた。
次の寄港地へ、出港予定は翌14日の午前4時。
残り時間は少ない。
約30人の港湾荷役作業員を率いて現場指揮に当たった藤木企業の下田副監督(男性、43歳)は、作業手順の入れ替えを決断する。
突き出たコンテナをワイヤロープでつって支え、崩れたコンテナを上から順に引き上げていく。
コンテナを海に落とせば、ふ頭の港湾業務はストップしてしまう。
作業員たちは「絶対に事故は起こさない」と誓ってクレーンを操った。
「ベテラン作業員にとっても初めての作業。安全への思いは誰もが同じだった」と下田さん。
崩れたコンテナの多くは歪み、大きく裂けたものや、ぺしゃんこになるなど原形をとどめない状態のものも。
ワイヤロープを使った荷揚げでは「コンテナ船の就航前から貨物船の荷揚げに携わっていたベテランが、現場で適切なアドバイスをしてくれた」という。
13日深夜、作業終了。
コンテナ船は無事出港した。
ほぼ目標通りの短時間で終え、石原さんは「海運会社をはじめ、作業会社や横浜海上保安部などが連携して対処できたのは横浜港ならでは」と話す。
下田さんは「仲間同士の絆が強い横浜港だからできること。事故なくやり遂げたことを誇りに思う」と振り返った。
◆米ロサンザルスを昨年12月30日、横浜に向けて出港したコンテナ船(9万7933トン)で、太平洋を航行中に強風と波の揺れで船尾側に積まれたコンテナ約100本が横一列に右舷側へ倒壊。
一部は海に落下しそうな状態のまま、12日午前に横浜港・南本牧ふ頭に入港した。
大手海運会社が所有する世界最大級のコンテナ船の一つで、20フィート換算で9千本を搭載可能。
北米西海岸から日本、アジアを経由し、欧州に向かう国際基幹航路を運航している。
荷崩れしたコンテナはいずれも空荷だった。
https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-82666.html
〇あんなにもうず高く積まれたコンテナ。
単に積まれているだけでは、ちょっとの揺れでも崩れそうだと感じ、積み方を調べたところ、ラッシング装置という、大きな枠に固定しているということだった。
以下は、ラッシング装置を備えた最新式コンテナ船の写真。
https://www.jasnaoe.or.jp/soy/2017.html
〇一方、コンテナ荷崩れ原因に関する、以下の記事もあった。
『Gard Insight 海上コンテナの落下事故の原因と防止』
・・・・・
原因 荒天 座礁、沈没、衝突などによってコンテナが船外へ落下するような不慮の事故は別にして、通常の航海中に荷崩れを招く原因で最も多いのは、荒天による影響です。
・・・・・
荷崩れの原因としてより多いのは、CSM に規定されているコンテナの段積みや列の重量制限や、段積みの高さ制限を遵守しなかったことによるものです。
・・・・・
用船者は当然、積み付 けが最適化されることを期待する一方で、船員は過密なスケジュールに影響を与えるのを躊躇する場合があるのです。
特に大型コンテナ船に関係するラッシングの問題。
大型船などの大規模なラッシング装置の場合、CSM に照らしてチェックすることが難しい上に、仮にコンテナのいくつかが喪失しても船舶にはほとんど危険はなく、自分たちには関係ないといった意識を船員が持つ可能性があります。
船舶が大型であるほど、ラッシング装置の保守対象が多くなり、また、荷役作業者もラッシング装置の取り扱いに慎重さを欠いてしまう可能性があります。
こうしたメンテナンスの不備や手荒な扱いに起因する装置の不良が事故の原因になるのです。
・・・・・
(2024年3月1日 修正1 ;追記)
2024年2月29日10時43分にYAHOOニュース(共同通信)からは、船長の進路変更で、揺れが激しくなりやすい角度からウネリを受けるようになったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は29日、2020年に日本船籍の貨物船「ONE APUS(ワン・アパス)」(14万6694トン)が米ハワイ沖を航行中、荷崩れが起きて大量のコンテナが海に落下した事故の調査報告書を公表した。
船長の針路変更で、揺れが激しくなりやすい角度から波浪(うねり)を受けるようになり、船が大きく傾いたと指摘した。
報告書によると、貨物船は20年11月30日深夜から翌12月1日未明にかけて激しく揺れて傾き、荷崩れが2回生じた。
コンテナ7016個中1841個が海に落ち、983個が甲板上で倒壊。
船長と乗組員計24人にけがはなかった。
貨物船は阪神港神戸区に緊急入港した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a27d9d3d6dd1693c237da2f123faa753d32d5935
(ブログ者コメント)
事故報告書(2/54ページ)には原因として「船長は横揺れを軽減しようと進路を変更したが、結果的に進路を誤った。それは夜間で海象状態を適切に把握できなかったためと考えられる」という趣旨の記述がある。
https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2024/MA2024-2-1_2022tk0001.pdf
2020年8月31日15時50分にNHK北九州から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
31日午前6時40分ごろ、苅田町の港に係留していた砂利運搬船の甲板から作業員の男性が船底に転落したと同僚から消防に通報がありました。
警察によりますと、転落したのは、北九州市小倉北区に住む松崎さん(31)で、甲板からおよそ7メートル下の船底で見つかり、病院に搬送されましたが、頭を強く打つなどして外傷性ショックのため死亡しました。
警察によりますと、事故が起きた当時、松崎さんは船の甲板でワイヤーを巻く作業をしていたということで、近くにいた同僚の作業員がドスンという音を聞いて転落に気付いたということです。
松崎さんは、ヘルメットをかぶっていなかったということです。
警察は、松崎さんが誤って船底に転落したとみて、近くにいた同僚などから話を聞いて、当時の状況を詳しく調べています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20200831/5020006875.html
2020年8月19日に掲載した元記事がブログサイト運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10925/
(2020年8月25日 修正1 ;追記)
2020年8月18日19時37分にNHK岡山から、沖合2kmで急減速し船の方向も変わっていて、そこでの衝突が座礁の原因となった可能性大など下記趣旨の記事がネット配信されていた。
AISと呼ばれる、船の位置などを電波で発信する装置のデータ分析を行っている「IHIジェットサービス」が解析したところ、貨物船はモーリシャスの南東およそ2キロの沖を航行していた先月25日、1分余りの間に針路をほぼ90度右に変え、10ノット前後で進んでいた速度も1ノット以下に低下していたことが分かりました。
船舶事故に詳しい神戸大学大学院の若林伸和教授は、「通常、このように人為的に船の向きを変えることはなく、船底が何かに当たって急に向きが変わったのではないか」と述べ、この衝突が座礁の原因となった可能性が高いと指摘しています。
分析データによりますと、貨物船はその後、北におよそ1キロ漂流し、10日余りたった今月5日に電波の発信が止まりました。
また、この海域を航行するほかの船舶のデータと比べると、貨物船は北西におよそ16キロ離れ、モーリシャスの沿岸近くを進んでいたことも分かりました。
若林教授は、「周辺はさんご礁も多く、注意が必要な場所だ。危険な所にわざわざ寄っていくことは考えられない」と述べ、貨物船が通常とは異なる航路をとったことが事故につながったのではないかという見方を示しました。
事故の原因究明に向けては、現地の警察当局などが貨物船の航行データを記録した「ブラックボックス」を回収し、船長を含めた乗組員から事情を聞いています。
・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20200818/4020006297.html
8月19日7時29分にYAHOOニュース(中央日報)からは、船は沿岸警備隊からの警告を無視して進んだ、wifi信号を探すにしては陸地に近づきすぎなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
現地警察関係者はロイター通信に、「わかしお」は事故の5日前から誤った航路で運航していたとみていると話した。
モーリシャス沿岸警備隊は、これに対し「座礁の危険がある地域に進んでいる」と警告したが、黙殺されたという。
現地警察は、彼らが船舶内の航行装置から出た警告音も無視したものと疑っている。
このほかにも、彼らは座礁時に沿岸警備隊に遭難信号を送らず、沿岸警備隊の呼び掛けにも応じなかった容疑を受けている。
同関係者は、事故当時船内で誕生パーティーが開かれていたという情報が警察に寄せられており、調査中とも伝えた。
また「わかしお」がWi-Fiの信号を探すために陸地側に航海したという船長の主張に対しては、「信号を探すためなら、陸地にそこまで近付く必要はない」として否定的な見方を示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a8fa7ad4755edd182de07a5ebd86810be7098cb
(2020年8月27日 修正2 ;追記)
2020年8月25日22時14分に毎日新聞からは、新型コロナ禍での故郷の様子を電話で知るためモーリシャスに接近したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
25日で貨物船の座礁から1カ月。
乗組員の私的な行動で座礁した疑いが強まってきた。
司法関係者によると、乗組員の間から「新型コロナ流行により故郷で何が起きているか知りたい」との声が上がった。
アプリ「ワッツアップ」などの通話機能で家族と会話するため、航路沿いのモーリシャスに接近することになった。
1等航海士が持っていたスリランカのSIMカードでネットにつなげる計画だったという。
航路を追跡した民間の衛星データによると、船は速度を変えずモーリシャス島に直進。
一定時間ネットにつなげるため速度を落としたり、座礁を避けるため針路を変えたりしなかったことについて、司法関係者は「最大の謎だ。警察も知りたがっている」と強調した。
同関係者は、「船の仕事はストレスが多い」と指摘。
この船では、東南アジアで乗組員が仕事に耐えられず、海に飛び込み救助される事案があった。
https://mainichi.jp/articles/20200825/k00/00m/030/164000c
8月26日17時59分にYAHOOニュース(朝日新聞)からは、船員たちは船上生活が続いていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船が島に近づいた理由について、船員たちが、新型コロナウイルスの流行で「数カ月間も船上生活が続き、インターネット接続をして家族と会話をしたかった」と供述していることが、捜査関係者らへの取材で分かった。
当時はコロナ禍で寄港先での滞在が難しかったほか、港での滞在費用を浮かせるために5カ月以上、船上生活が続いた船員もいたという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bbc2cd82cbbcfac2432372f0f52dc6e786a9d398
(2020年9月11日 修正3 ;追記)
2020年9月10日18時49分にYAHOOニュース(毎日新聞)からは、海図の見方を誤ったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船籍があるパナマの海運当局の初期調査報告によると、船員らが家族と電話やインターネットで連絡が取れるようにと、船長が携帯電話の電波が入るモーリシャス沖5カイリ(約9・3キロ)まで接近するよう指示した。
ところが、海図や縮尺の見方を誤って異常接近し、座礁につながった可能性があるという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9b56308b507acf101d8a3adb60bbc6ffb8b5959
(2020年12月19日 修正4 ;追記)
2020年12月18日22時41分にYAHOOニュース(読売新聞)からは、商船三井が調査結果を公表した、船に備えていた電子海図では広範囲の位置確認しかできなかった、5億円かけて再発防止策をとるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
商船三井は18日、事故の調査結果を公表した。
携帯電話を使えるように船を電波圏内となる岸辺に近づけたことが事故原因と認め、「安全意識が不足していた」と謝罪した。
商船三井によると、船は事故の2日前に携帯電話の圏内に入るために予定の航路を変更し、事故当日はさらに岸に近付いていた。
船はカーナビのような役割を果たす「電子海図」を備えていたが、広範囲の位置把握しかできず、船員は岸までの距離や水深を正確に把握していなかった。
このため、岸まで0・9カイリ(約1・7キロ・メートル)、水深10メートルの水域を航行していたにもかかわらず、船員は座礁直前になっても岸までの距離は2カイリ(約3・7キロ・メートル)程度、水深200メートル以上と誤認していた。
さらに、距離をレーダーで測定したり、目視したりといった確認も怠っていたという。
今回のような燃料油による汚染の場合、法的責任は船主のN汽船が負い、商船三井には及ばないのが原則だ。
ただ、同社は自社で運航する船の半数がチャーター船であることを踏まえ、5億円を投じて再発防止策を実施することにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0df155776d60b4b0f5f67252125babc44e6f56bc
12月18日18時27分にYAHOOニュース(朝日新聞)からは、事故当時の電子海図は日本列島が入る地図を使って佐渡島の横を通ろうとしたようなものだった、再発防止策として船内監視カメラの設置や通信設備の強化などに取り組むなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
使っていた電子海図は、広い範囲を見るためのものだった。
ウェブで会見した商船三井の加藤・安全運航本部長は、「日本列島が入る地図を使って、新潟県佐渡島の横を通ろうとしたようなもの」と説明した。
電子海図の準備不足や、沿岸に近づくリスクの認識が船員に足りていなかったことなどが事故の原因になった、と推定した。
商船三井は再発防止策として、
▽遠隔で航路を確認する本社と船の連携強化
▽良質な乗組員の確保
▽船内への監視カメラの設置
などを挙げた。
また、航海中の長期間、船員が陸上にいる家族らと携帯電話で連絡が取れないことが事故の背景になった可能性があるとして、船の通信設備の強化にも取り組む、とした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8bf8e5fe9de907278501a431f40d36baabc2653b
(2022年7月1日 修正5 ;追記)
2022年6月30日10時18分に産経新聞からは、定額課金制のデータ通信機器を搭載していなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は30日、乗組員がスマートフォンの電波を受信するため航海計画を変更し、島に接近したことで座礁したと推定する経過報告を公表した。
安全委の経過報告によると、貨物船はモーリシャス島周辺の海岸線などが記載された詳細な海図を入手していなかったにもかかわらず、スマホの電波を受信しようと航海計画を変更して島に接近。
貨物船には定額課金制でデータ通信が可能な通信機器を搭載しておらず、安全委は、事故以前から同様の目的で予定針路から外れ海岸線に接近したことがあったとみている。
安全委は再発防止策として、私的な理由で乗組員が不安全な行動を取らないことが必要と指摘。
商船三井と長鋪汽船との間で貨物船が航海計画を変更し予定針路を離れた場合に情報共有できる体制がなかったとして、国交相に対し、船の位置情報を共有できる体制の整備と、教育と訓練の徹底を船会社に指導すべきだと提言した。
安全委が他国領海内での事故を調査するのは初めて。
https://www.sankei.com/article/20220630-BH23F7XUMZI3VESRLHHRRLKTQE/
2020年8月12日5時46分にYAHOOニュース(東洋経済オンライン)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岡山県の海運会社・N汽船(岡山県笠岡市)が所有し、商船三井が運航する大型貨物船「WAKASHIO」(載貨重量トンは約20万3000トン)がインド洋のモーリシャス沖で座礁し、1000トン以上の重油が周辺の海域に流出する事故が起きていたことが明らかになった。
事故現場周辺のマングローブ林はラムサール条約で国際保護湿地に指定されており、世界的にも希少なサンゴが群生する海洋公園にも近い。
モーリシャス政府は8月7日、環境危機事態を宣言し、フランスのマクロン大統領が翌8日、軍用機の派遣を含む支援を表明した。
日本政府も8月10日、油漏防止の専門家チームを現地に向けて出発させた。
【モーリシャスの観光、水産業に大打撃】
9日に記者会見したN汽船と商船三井によると、7月4日に中国の港を出港してシンガポール経由でブラジルに向かう途中だった大型貨物船WAKASHIOがモーリシャス島沖南東0.9マイルで座礁したのが7月25日のことだった。
その後、船内への浸水が進み、8月6日に船体に亀裂が生じて、燃料油の重油が漏れ始めた。
船内のタンクにあった約3800トンの重油のうち、破損したタンクから漏れたのは推定1000トン以上。
うち約460トンを手作業で回収したという。
一方、船内には重油約1600トンと軽油約200トンが残っている。
深刻なのが、モーリシャスの経済や生態系への影響だ。
同国の人口は約126万人(2018年、世界銀行調べ)。
豊かな自然環境を売りにした観光業が主力産業だが、今回の重油流出事故で壊滅的な被害は免れない。
水産業への影響も深刻化しそうだ。
注目されるのが、事故原因の究明や賠償の行方だ。
商船三井の加藤・常務執行役員によれば、当初の航海計画ではモーリシャス島の南側の10~20マイル沖合を航行すべきところを、「波が高く、しけを避けようとして北にずれていった」という。
商船三井は2007年に社内に安全運航支援センターを開設。
インマルサット衛星を利用し、用船を含め、同社が運航するすべての船舶の運航状況を24時間体制で監視している。
しかし、加藤氏は「データの入手頻度は数時間おきにとどまり、約800隻の運航船舶すべてについて、どこへ走って行こうとしているか把握できているわけではない」と説明する。
同社は安全運航支援センターによる「24時間365日の支援体制」をうたい、「(悪天候やテロなどのリスクを)リアルタイムで把握し、本船、船舶管理会社、海技グループ、運航担当者と連絡を取り合い、『船長を孤独にしない』体制を整えています」とホームページで明記している。
そのうえで同センターには「船長経験者を含む2名が常駐し、海外メディアの情報や気象情報など、船の航行に関するあらゆる情報を収集し、タイムリーに適切な情報発信を行うことにより、重大事故の発生を未然に防止するべく全力で取り組んでいます」と記述している。
今回の事故で、同センターが事故を起こした船舶とどのようなやり取りをしたのか、どこに問題や限界があったかについても検証が必要になりそうだ。
【社員を現地に派遣】
賠償の見通しも、現時点では定かではない。
船主責任保険(P&I保険)の加入義務は、船の所有者(船主)であるN汽船にある。
同社は、乗組員を手配したうえで、商船三井に船を貸し出している。
いわゆる用船契約という仕組みだ。
8月9日の記者会見でN汽船の社長は、7「本件油濁事故については、船主である当社が保険に加入している」と述べた。
そのうえで、保険でカバーできない可能性については、「どの程度の損害になるか把握できないので答えられない」とした。
一方、商船三井の小野副社長は、「当社は(保険加入の義務のない)用船社の立場だが、社会への甚大な影響に鑑みて、誠実に対応してまいりたい」と述べた。
商船三井とN汽船は8月11日、情報収集や油漏拡大防止を目的とした計8人(商船三井6人、N汽船2人)の社員を現地に向けて派遣した。
海運業界では近年、海運会社が自社で船を持たずに借りて運航する「用船」という仕組みが一般化している。
ただ、貸主である船主の中には、財務基盤が脆弱であったり、大規模事故への備えが十分でない企業もある。
今回の事故でも、被害の程度や対応の仕方によっては、船の運航契約を結んでいた商船三井や日本政府に国際社会から被害救済を求めるプレッシャーが強まることも予想される。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0a2d5420e0d2d24824cd102d3ded8308ae7d8cb
8月13日3時53分にAFPからは、タンク外に100トン残っているものの、タンク内の燃料油は全て汲み出したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
インド洋の島国モーリシャス沖で日本の海運大手、商船三井が運航する貨物船が座礁し燃料が流出した事故で、モーリシャスのプラビン・ジャグナット首相は12日、船内のタンクからすべての燃料を回収したと明らかにした。
2度目の大規模な燃料流出は回避された。
貨物船「わかしお」は先月25日、サンゴ礁の広がるモーリシャスの沖合で座礁。
2週間以上たった現在も身動きがとれない状態にあり、船体が破断する恐れも出ている。
ジャグナット首相は「燃料タンクからすべての燃料が汲み出された」と表明。
船内のタンク外の場所にはまだ約100トンの燃料が残っていると説明した。
わかしおからの燃料流出は先週に始まり、サンゴ礁やマングローブ林、保護区として指定されている湿地が汚染された。
楽園のような島国として、新婚旅行客をはじめとする観光客に人気の同国にとって、今回の事故は大きな打撃となっている。
https://www.afpbb.com/articles/-/3298880
8月14日23時19分に産経新聞からは、wifi接続のため陸地に近づいたらしいという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
地元紙は14日までに、複数の乗組員が地元警察の調べに対し、「座礁前、Wi-Fi(ワイファイ)に接続しインターネットを利用するため島の近くを航行した」と話していると報じた。
警察関係者が明らかにしたという。
一方、米誌フォーブスは航路を追跡した衛星データを基に「速度を落とさず11ノット(時速約20キロ)で島に直進していた」と伝えており、乗組員が島への接近を認識していなかった可能性を示唆。
警察は船内から航行記録を押収し、座礁した原因を慎重に調べている。
地元紙によると、事故直前、乗組員の誕生日会を開いていたとの供述もあるという。
貨物船を保有するN汽船(岡山県)が乗組員20人全員を手配していた。
出身国はインド3人、スリランカ1人、フィリピン16人で船長はインド人。
全員救助され、無事だった。
(共同)
https://www.sankei.com/affairs/news/200814/afr2008140028-n1.html
8月15日4時31分にAFPからは、船体が折れ曲がり、船倉に残っていた燃料油100トンも流出し始めたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現場からはこれまでに700トンの油と260トンの汚泥やがれきが除去された。
12日、船内の燃料タンクからは燃料がすべて取り除かれ、さらなる大規模流出は免れた。
しかし同国の危機対応委員会によると、14日になり船倉に残っていた約100トンの燃料が漏出し始めた。
同委員会は、「専門家によると、この種の漏出は予期されていたもので、船体が折れ曲がったことが原因」と説明。
流出を止める防材と装置が追加配備された他、近く燃料除去用の船も投入されると述べた。
漁師の男性は同日、船の周りの「水がまた黒く染まった」と語った。
事故をめぐっては、船が座礁してから1週間にわたりほとんど対策を講じなかったとして、同国政府が批判の的になっている。
一方、わかしおを所有するN汽船の専門家チームが現地に到着したのは、事故から3週間後だった。
https://www.afpbb.com/articles/-/3299251
(ブログ者コメント)
海洋汚染もさることながら、大手海運会社の航路管理の一端を知ることができた情報としても紹介する。
2019年12月18日21時48分にNHK香川から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
小豆島沖で、ことし1月、貨物船と漁船が衝突し、ことし7月になって、漁船の船長で高松市に住む75歳の男性が遺体で見つかりました。
高松海上保安部によりますと、その後の調べで、当時、貨物船の乗組員が、スマートフォンの画面を見ながら舵をとっていたことがわかったということで、海上保安部は、見張りを怠って貨物船と漁船を衝突させ、船長を死亡させた、業務上過失致死などの疑いで、18日までに52歳の乗組員の書類を高松地方検察庁に送りました。
調べに対し、乗組員は、容疑を認めているということです。
また海上保安部は、周囲をよく見ずに舵をとり、貨物船と衝突したとして、死亡した漁船の船長についても業務上過失往来危険の疑いで書類送検しました。
全国では、ことし4月、三重県沖で漁船どうしが衝突し、一方の船の船長がけがをした事故について、運輸安全委員会が相手方の船の機関長がスマートフォンを使っていたことなどが原因だったとする報告をまとめるなど、スマートフォンの使用による船の事故が相次いでいます。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20191218/8030005436.html
2019年5月30日13時43分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
29日午後9時45分頃、茨城県鹿嶋市光の日本製鉄鹿島製鉄所内の岸壁で、貨物船の船上で接岸作業をしていた石川県能登町、船員・向さん(男性、64歳)を、岸壁の鉄くいにくくりつけてあった係留ロープ(直径約5cm)がはねて直撃した。
向さんは病院に運ばれたが、約3時間半後に死亡が確認された。
警察で死因や事故の原因を調べている。
発表によると、貨物船が接岸した後、向さんが一人で係留ロープのたるみを点検していたところ、突然、岸壁からロープがはね、向さんに当たったという。
出典
『くくった係留ロープ、突然はねて船員を直撃』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190530-OYT1T50182/
2019年4月26日16時14分にNHK兵庫から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年、関西空港の連絡橋にタンカーが衝突した事故を受け、海上保安庁は、海に面した空港や橋など重要なインフラ40か所を優先して、ことしの台風シーズンまでに船の航行規制などの対策を決めることにしている。
対策を優先的に行うのは、周辺に船舶の往来があり、衝突事故が起きた場合の社会的影響が大きい海上空港や橋脚、タンカーを係留するシーバースや桟橋、発電所など、21都道府県の40か所。
このうち東京湾には、羽田空港や東京湾アクアライン、シーバースなど、9か所の重要インフラが集中しているほか、伊勢湾では中部空港や火力発電所など8か所が対象となっている。
また、本州と離島をつなぐライフラインが通る唯一の橋として、山口県の周防大島町につながる大島大橋と、石川県の能登島につながる能登島大橋も対象となっている。
海保は、各地の海事関係者などと協議しながら、ことしの台風シーズンまでに船の航行規制などの対策を決めることにしている。
【法律適用や外国船周知が課題】
今回対象となった40か所の中には、周辺の海域で適用する法律がないため、船に対する航行規制ができないインフラが3か所ある。
それは、長崎空港と鹿児島県東串良町の志布志国家石油備蓄基地、愛知県田原市の渥美火力発電所だ。
危険が迫っている場合でも、船に対して強制的に退去を命じることができない。
また、外国の会社が運航する船に衝突の危険性や必要な対策をどう伝えるかも課題になっている。
海保は、各地の管制センターが運航に関する情報を船長に提供しているが、外国の運航会社には事前に連絡することができない。
海域の事情に詳しい国家資格を持つ水先人が乗っている場合もあるが、船の大きさや海域によっては、水先人の乗船が義務づけられていないケースも多くある。
海保によると、去年10月、山口県の周防大島町と本州を結ぶ大島大橋に衝突した船も、運航していたのはドイツの会社で、水先人は乗っていなかったという。
こうした課題について海保は、巡視船や巡視艇を使って船に対する指導を強化したり、関係団体などに協力を呼びかけたりして対応したいとしている。
【優先対策を行う40か所】
▼北海道
出光北海道シーバース
▼青森県
八戸LNGターミナル
▼岩手県
岩手県オイルターミナル
▼秋田県
秋田国家石油備蓄基地
▼山形県
酒田共同火力発電所
▼東京都
羽田空港
▼千葉県
東京湾アクアライン
京葉シーバース
コスモ石油第二シーバース
▼神奈川県
横浜沖錨地
川崎シーバース
東燃扇島シーバース
東京ガス扇島LNGバース
東電扇島LNGバース
▼愛知県
中部空港
出光興産愛知製油所
東邦液化ガス名古屋港L1桟橋
知多LNG名古屋港L2桟橋
コスモ石油
中部電力川越火力
渥美火力発電所
▼三重県
昭和四日市石油
▼兵庫県
神戸空港
▼大阪府
コスモ石油堺製油所原油桟橋
大阪ガス泉北製造所
第二工場LNG第2桟橋
堺LNGセンター桟橋
▼広島県
広島ガス廿日市工場
▼山口県
大島大橋
▼福岡県
北九州空港
▼長崎県
長崎空港
▼鳥取県
米子空港
▼石川県
能登島大橋
七尾太田火力発電所
七尾国家石油ガス備蓄基地
▼新潟県
両津火力発電所
▼鹿児島県
志布志国家石油備蓄基地
▼沖縄県
那覇空港
吉の裏火力発電
沖縄石油基地
沖縄ターミナル
出典
『タンカー衝突事故受け全国で対策』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20190426/2020003761.html
2019年3月22日22時5分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日午後2時40分すぎ、葛飾区や江戸川区、それに足立区の合わせておよそ4万1900戸で停電が発生した。
東京都によると、この停電は葛飾区高砂の中川で護岸を耐震補強するために都が発注した工事で、作業員が周りをよく確認しないまま、船にのせたクレーンのアームを上げ、川を横断する電線を損傷したことが原因だったという。
その後、東京電力が復旧にあたり、停電は午後3時20分ごろまでに解消されたという。
東京都建設局は、「関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。都と工事を請け負った業者で再発防止に万全を期したい」と話している。
出典
『4万戸の停電は都の工事が原因』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190322/0027252.html
2018年11月17日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
(1/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9087/
(2/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9086/
(2019年2月4日 修正1 ;追記)
2019年1月29日20時42分にNHK山口から、海保は再発防止策をとるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受けて第6管区海上保安本部は、来月1日から大島大橋を通過したことのない全長80m以上の船を対象に、橋から半径7km余りの海域に進入した際、橋の高さを自動で知らせるとともに、注意を呼びかけるメッセージを送ることになった。
さらに、全長120m以上の船には、無線電話で船の高さも個別に確認するとしている。
橋の高さなどを知らせるのに使われるのはAIS=船舶自動識別装置で、船舶どうしが衝突を防ぐために船の位置や速度などを自動で送受信するもので、海保によると、橋の衝突防止に活用されるのは国内では珍しいという。
29日の定例会見で第6管区海保の勝山本部長は、「より安心安全にという観点で今回の方法をとることになりました」と話していた。
出典
『大島大橋 事故防止への取り組み』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20190129/4060001994.html
2018年11月9日付で東京新聞から、下記趣旨の記事が金属管の写真付きでネット配信されていた。
千葉市沖の東京湾海底に、長さ約32m、重さ約20トンの金属管状の工作物が沈んでいたと、船橋市漁協が6日発表した。
同漁協は「漁船の事故になりかねない重大な問題」として、県漁連や県葛南港湾事務所などに連絡。
翌7日、海中に設置する工作物だったことが分かった。
船橋市漁協によると、10月22日午前11時ごろ、千葉市沖約3kmで、漁協所属の底引き網船の漁具が引っかかり、身動きが取れなくなった。
水深は約12m。
このため、仲間の底引き網船とロープで結び、2隻で曳航。
船橋漁港では、クレーン台船を使い、陸揚げした。
工作物の金属管は直径約0.7mで、ゴム製のひだのような物が付いており、車両用タイヤ5本が挟まれていた。
同漁協への連絡では、民間会社が海中に設置するはずだったが、何らかの原因で流れてしまったという。
海中で壁状にすることで、汚濁の拡散防止などに使われた可能性が高いとみられている。
出典
『海に20トン金属工作物 漁船が身動き取れず 千葉市沖でえい航』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201811/CK2018110902000139.html
2018年11月10日付で河北新報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午後4時10分ごろ、青森県つがる市稲垣町下繁田の岩木川で小型ボートが転覆し、乗っていた建設作業員の高橋さん(男性、23歳)と男性作業員(20歳)=いずれも潟上市=の2人が川に投げ出された。
高橋さんは搬送先の病院で死亡した。
男性も病院に搬送されたが、命に別条はない。
警察によると、ボートが台船のアンカーに接触して転覆したとみられる。
2人は川に水門を造るため、ボートに乗って台船を移動させる作業中だった。
出典
『作業中にボート転覆、男性死亡』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201811/20181110_23052.html
2018年10月3日1時17分に北海道新聞電子版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2日午後3時45分ごろ、函館市港町の津軽海峡フェリーターミナルに停泊している高速船「ナッチャンWorld(ワールド)」の船底清掃作業をしていた小樽市の潜水士・薬師さん(男性、38歳)が作業終了時刻が過ぎたのに海中から浮上してこないと、作業の関係者が119番した。
薬師さんは間もなく、船尾付近の海中から意識不明の重体で救助されたが、死亡が確認された。
函館海保によると、薬師さんは2日朝からボンベを装着して、同僚の潜水士と船底の貝殻などの除去作業を行っていた。
作業が終了しても薬師さんが戻ってこないため、同僚らが捜索していた。
同船は2016年に防衛省が船を所有する会社から借り上げて、自衛隊の訓練の輸送などに使っている。
出典
『作業中に潜水士死亡 函館』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/234237/
10月6日1時0分に北海道新聞電子版からは、船体の一部に体が挟まれていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
死因について函館海保は、5日までに司法解剖の結果、外傷性ショック死と特定した。
同海保は、薬師さんが潜水中に何らかの原因で外傷を負ったとみて、業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
同海保によると、薬師さんは船底の清掃をしていた高速船「ナッチャンWorld(ワールド)」の船体の一部に体が挟まった状態で見つかった、という同僚潜水士の証言があり、関連を調べている。
出典
『船底清掃中の潜水士 外傷性ショック死因』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/235477/
10月5日19時20分にUHBからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
函館海保では、当初、水死の可能性などで薬師さんの死因を調べていたが、司法解剖の結果、体に複数の傷があり、外傷性ショックだったことがわかった。
出典
『函館港でフェリー船底清掃中 潜水士の男性 外傷性ショックで死亡 業務上過失致死で捜査 北海道』
https://www.youtube.com/watch?v=6hPkZie-GZs
(2019年11月12日 修正1 ;追記)
2019年11月11日17時5分にNHK北海道からは、係留ロープ巻き取り機を作動させたところ連動して船の揺れを抑える板が動き挟まれたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
去年10月、函館港のフェリーターミナルに停泊していた高速船で船底の清掃をしていた潜水士の薬師さん(当時38)が、「トリムタブ」と呼ばれる走行中の船の揺れを抑える金属製の板に挟まれ死亡しました。
函館海上保安部が調べた結果、1等航海士が係留ロープが緩んでいたため、ロープを巻き取る装置を作動させたところ、船底の「トリムタブ」が連動して動き、体を挟まれたことがわかりました。
このため函館海上保安部は、関係する装置の電源を切るなど事故を防ぐ対策が不十分だったとして、▼田邉船長(男性、59歳)と▼永井1等航海士(男性、34歳)ら3人を、11日、業務上過失致死の疑いで書類送検しました。
函館海上保安部は認否を明らかにしていませんが、3人のうち1等航海士は「係留ロープを巻き取る作業が船底の清掃に影響するとは思わなかった」と供述しているということです。
また、書類送検された船長らが所属する高速船の運航会社は、「今回の事故を真摯に受け止めて再発防止に取り組んでいきます」とコメントしています。
【専門家「船ごとに危険想定必要」】
事故があった船は、胴体が2つ並ぶ「双胴船」と呼ばれる構造が特徴で、オーストラリアの造船会社が建造しました。
スクリューの代わりに、吸い込んだ海水を噴き出す筒状のウォータージェットを搭載していて、付近で作業していた潜水士は、ウォータージェットのすぐ下に取り付けられた「トリムタブ」との間に体を挟まれました。
船の構造に詳しい長崎総合科学大学工学部の古野弘志准教授は、「最近は新しい技術が導入され、外国で建造された船も多く、仕様が多様化している。船それぞれに違った形の事故の危険が潜んでいる」と指摘しています。
その上で、「マニュアルなどを読み込み操縦や整備のしかたを熟知し、船ごとに事故の危険を想定して対策をとっていくことが求められる」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20191111/7000015217.html
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の3コマ。
(2020年2月28日 修正2 ;追記)
2020年2月27日11時30分に北海道新聞から、船の揺れを抑える装置のスイッチを適切に切り替えなかったことが原因とする報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省運輸安全委員会函館事務所は27日、同船の乗組員が船の揺れを抑える装置を誤って作動させたことが事故原因とする調査報告書を公表した。
報告書によると、同船の1等航海士らが船を岸壁に係留するロープの緩みを直そうと油圧ポンプを動かした結果、船尾下にある同装置が上方向に作動。
潜水士は船の推進器と装置の間に挟まれ、外傷性ショックで死亡した。
装置のスイッチを適切に切り替えていれば作動しなかったが、乗組員はその認識がなく、切り替えをしなかった。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/397089/
(ブログ者コメント)
以下は、事故報告書主要部分の抜粋。
・・・・・
4.原因
本事故は、本船が、函館港第4区のB社専用桟橋に右舷着けで係留中、トリムタブ装置の翼が自重で下降した状態で、右舷船尾船底部で潜水士Aにより本件作業が行われていた状況下、航海士A及び甲板部の乗組員が、船尾部の係船索の緩みを取る作業を行うに当たり、本件制御装置のスナップスイッチがノーマルの位置でNo.2後部 電動油圧ポンプを始動すると、トリムタブ装置の翼が上昇することが周知されていなかったため、同装置の翼が上昇することを知らずに同電動油圧ポンプを始動し、潜水士Aが上昇した同装置の翼と右舷側のウォータージェット推進器との間に挟まれたことにより発生したものと考えられる。
・・・・・
5 再発防止策
・・・・・
係船索の緩みを取る作業は、本件作業を行っている潜水士を陸上に退避させた上で安全を確認して行うことにより、本事故の発生を防止できたものと推定される。
したがって、同種事故の再発防止を図るため、次の措置を講じる必要がある。
(1) 船長は、本件制御装置のスナップスイッチの取扱いについて、ノーマルの位置としたとき、トリムタブ装置の作動用油圧シリンダに油圧が働いた際に同装置の翼が上昇することを記載した手順書を作成すること。
(2) 船長は、本件制御装置のスナップスイッチが、ノーマル及びバックアップの位置にある時のそれぞれの位置でのトリムタブ装置の制御状態及び同装置の作動用油圧シリンダに油圧が働かないようにする手順について、取り扱う場所に掲示した上、航海士A及び甲板部の乗組員に周知徹底すること。
(3) 係船索の調整作業に当たる者は、事前に通信手段を確認した上で、潜水作業者に連絡するなどして船底等に潜水士がいないことを確認してから係船索の調整作業を行うこと。
5.1 A社によって講じられた措置
A社は、本事故後、事故防止委員会を立ち上げて検討し、再発防止として、次の措置を講じ、安全統括管理者等が訪船指導した。
(1) 潜水作業を行っている時は、油圧を使用する作業及び関連する作業を実施しない。
また、本船で関連する作業を実施する際には潜水作業に従事する作業者に連絡し、潜水士を陸上に退避させる。
(2) 係船状態に入る際は、本件制御装置のスナップスイッチをノーマルからバッ クアップの位置に切り替える。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2020/MA2020-2-4_2018hd0057.pdf
2018年9月13日9時45分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三重県の四日市港で貨物船などが岸壁に接触や衝突する事故が相次いだことを受けて、大型船の接岸を誘導する「水先人」の団体が、船長と十分コミュニケーションをとり、ゆっくり接岸するといった事故の再発防止策を申し合わせた。
四日市港では、8月17日にコンテナ船が岸壁などに接触して設置されていたクレーンなどが壊れたほか、28日には石炭を運搬する貨物船が岸壁に衝突するなど、接岸時の事故が相次いでいる。
これを受けて、伊勢湾や三河湾内の港で接岸する大型船に乗り込み誘導を行う「水先人」の団体が、10日、名古屋市内で会合を開き、事故の状況を共有した。
それによると、コンテナ船の事故では、風で船が流されやすい中、不安を感じた船長が操縦を途中で水先人から代わったことや、貨物船の事故では、水先人が減速を指示したのに何らかの理由で速度を落とすことができなかったという。
水先人たちは、事故の再発防止策として、船長を不安にさせないよう十分コミュニケーションを取ることや、できる限りゆっくり接岸することなどを申し合わせた。
伊勢三河湾水先区水先人会の久永副会長は、「事故を二度と起こさないという決意を全員で持ち、安全運航につとめます」と話している。
出典
『水先人が事故防止策を申し合わせ』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180913/3070000257.html
(ブログ者コメント)
各事例の記事中にも、原因部分を抜粋して追記スミ。
2018年8月28日12時56分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午前7時5分ごろ、三重県四日市市の四日市港でシンガポール船籍の貨物船「DRACOOCEAN」(約3万3000トン)が接岸しようとして、岸壁に衝突した。
この事故で、貨物船は船首付近の左舷に幅約10m、高さ2mほどの長方形の穴があいたが、フィリピン人の乗組員18人にけがはなかった。
船体への浸水はなく、海に油などは流出していないという。
海保によると、貨物船は石炭約5万5000トンを積んでアメリカから四日市港へ向かっていたという。
当時、風はなく、波も穏やかだったということで、海保が事故の詳しい原因を調べている。
四日市港では8月17日にも、別のコンテナ船が岸壁に接触しクレーンなどが壊れる事故が起きている。
出典
『四日市港で貨物船が岸壁に衝突』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180828/3070000149.html
(ブログ者コメント)
コンテナ船の事故は本ブログでも紹介スミ。
(2018年9月15日 修正1 ;追記)
2018年9月13日9時45分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
水先人が減速を指示したのに、何らかの理由で速度を落とすことができなかった。
出典
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180913/3070000257.html
(ブログ者コメント)
この事故や8月17日に起きたコンテナ船が岸壁などに接触した事故を受け、伊勢湾や三河湾で大型船に乗り込む水先案内人の団体が再発防止策を申し合わせた。(別記事として掲載)
(2020年8月28日 修正2 ;追記)
2020年8月27日19時50分にNHK三重からは、水先案内人に代って船長が操船していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
おととし8月、四日市港で香港籍のコンテナ船「OOCL NAGOYA」約4万トンが、接岸しようとした際に岸壁やコンテナ積み下ろし用のクレーンに衝突する事故を起こしました。
けが人や油の流出などはありませんでしたが、国の運輸安全委員会が事故の状況や原因を調査し、26日、その内容をまとめた調査報告書を公表しました。
それによりますと、当時、コンテナ船では大型船の接岸を誘導する「水先人」が着岸するための操船を行っていましたが、船長は、減速が十分ではなく、着岸に失敗すると感じて操船を代わっていました。
そのうえで、操船を代わった船長がすでに着岸していた別の船に衝突しないようにすることに気を取られた結果、船の姿勢を制御できず岸壁に衝突したとみています。
国の運輸安全委員会は、再発防止策として、港での接岸の際には船長と水先人の間でのやりとりを密に行うよう求めています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20200827/3070003957.html
(ブログ者コメント)
上記報道だけでは、様子がイマイチ分からなかったため、事故報告書を確認。
結果、以下のようなコミュニケーション不足が原因だった。
ちなみに船長の国籍は見つからなかったが、乗組員全員が外国人につき、おそらくは外国人だと思われる。
(12ページ)
・・・・・
本船は、本件船長ほか23人(中華人民共和国籍18人、フィリピン共和国籍5人)が乗り組み、コンテナ貨物18,536.9トンを積載し、本件水先人1人が乗船の上、平成30年8月17日05時30分ごろ愛知県名古屋港を出港して本件岸壁に向かった。
・・・・・
(13ページ)
2.1.5 本件水先人の口述等による事故の経過
・・・・・
本件船長は、左舷ウイングで本件水先人の指示を操舵室に伝えていたところ、急な風向風速の変化に気付き、左舷方の25号岸壁に出船右舷着けで係船していた全長約118mの自動車運搬船(以下「本件係留船」という。)との離隔距離が約90mと目測したが、本件水先人とこのことを協議することはなかった。
本件水先人は、船速をある程度維持していないと左舷方への圧流が大きくなるので、本船の船尾が本件係留船を通過した後に後進推力を強め、主機を半速力後進まで使用すれば、本件岸壁の前面に進出して停船し、一軸右回り船の特性*11によって本船の船首が右に振れて、本船の姿勢を岸壁と平行にできると思っていたものの、このことを船長に説明しなかった。
本件船長は、07時36分ごろ、本船の速力が約2.5knとなり、本件水先人が、主機を極微速力後進とするよう本件船長に伝え、バウスラスタを右一杯で継続して使用するとともに、トランシーバでタグボートに対し、3時方向にデッドスロー(微速力)で引くよう指示していたところ、速力が速いのではないかと本件水先人に繰り返し主張した。
本件船長は、本船の速力が過大だと感じ、本件水先人から極微速力後進から微速力後進にすると伝えられたものの、風による圧流で本船が本件係留船方に寄せられるように見えて着岸操船が失敗すると思い、それでは十分ではないと本件水先人に告げ、自ら半速力後進、全速力後進を指示して急減速し、本件水先人に対してタグボートに右舷方に一杯で引かせるよう繰り返し指示した。
本件水先人は、自身の操船指示を本件船長が受け入れなくなったので、本件船長の操船指揮に従うこととし、トランシーバでタグボートに本船の船尾を右舷方に一 杯で引くよう伝えたところ、本船の前進行きあしが止まって左舷方へ大きく圧流されるのを認めた。
本船は、圧流されて本件係留船に更に接近していくので、本件船長が本件係留船との衝突を避けるために左舵一杯とし、主機を使用して全速力前進まで回転数を上げ、タグボートに右舷船尾を右舷方に一杯で引かせた。
本船は、本件船長が、本件係留船が船尾を通過したとの報告を受け、直ちに舵中央とし、主機を停止して右舵一杯としたものの、07時39分ごろ、本船の左舷船首部が本件岸壁上で停止中の本件ガントリークレーンに衝突し、接触したまま前進を続け、停止していた他の2基のクレーンが共に押されて移動したほか、本船の左舷船首部船側外板が本件岸壁上縁部に衝突した。
・・・・・
(34ページ)
・・・・・
本件船長が、即時に介入して自ら操船を行い、全速力後進まで使用して本船の前進行きあしが失われたのは、本件水先人との十分な信頼関係を形成できなかったこと、及び本件係留船付近で本件岸壁に接近する本船の速力を速く感じたことから、本船の動きを完全に止めようと思ったことによるものと考えられる。
本件船長が、本件水先人との十分な信頼関係を形成できなかったのは、本件水先人の説明が十分に行われていないと感じていたことによるものと考えられる。
・・・・・
https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2020/MA2020-7-1_2018tk0012.pdf
2018年8月17日20時48分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午前7時40分ごろ、名古屋港を出発して三重県四日市市の四日市港に接岸しようとしていた約4万トンの香港籍のコンテナ船「OOCLNAGOYA」が、岸壁や岸壁に設置されたコンテナの積み下ろし用の「ガントリークレーン」に接触した。
けが人はいなかったが、クレーンの一部が壊れて、クレーンを移動するための車輪がレールから外れた。
また、コンテナ船の船首にも縦横1mほどの穴が開いたが、船への浸水や油の流出はなかったという。
現場付近には、17日午前8時半すぎの時点で、風速13メートルのやや強い風が吹いていたということで、海保は、コンテナ船が風にあおられて岸壁などに接触したとみて、巡視艇と海上保安官2人を現場に派遣して、事故の状況や原因をさらに詳しく調べている。
出典
『四日市港岸壁にコンテナ船接触』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180817/3070000063.html
(2018年9月15日 修正1 ;追記)
2018年9月13日9時45分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
風で船が流されやすい中、不安を感じた船長が操縦を途中で水先人から代わった。
出典
『水先人が事故防止策を申し合わせ』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180913/3070000257.html
この事故や8月28日に起きた貨物船が岸壁に衝突した事故を受け、伊勢湾や三河湾で大型船に乗り込む水先案内人の団体が再発防止策を申し合わせた。(別記事として掲載)
2018年5月10日17時43分にNHK兵庫から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午前10時10分ごろ、神戸市東灘区の六甲アイランドの岸壁に停泊していた長さおよそ140mの香港船籍のコンテナ船「SITC OSAKA」から火が出て、船に積まれていたコンテナ156個のうち6個が焼けた。
消防によると、船の乗組員18人は避難し、けが人はいなかった。
船の運航管理会社によると、この船は大阪で積み荷を降ろしたあと、神戸を経由して中国に向かう予定だったが、今月4日に神戸港沖で別の船と接触事故を起こし、六甲アイランドに停泊していたという。
焼けたのは、いずれも空のコンテナで、出火当時、事故で破損したコンテナを陸揚げしようと、コンテナどうしを結びつけていた金属製の金具をガスと酸素を吹き付けて高熱で切断する作業をしていたという。
消防と海保が、当時の詳しい状況や火事の原因を調べている。
出典
『停泊のコンテナ船火事けが人なし』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/2024590061.html


















その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。