2020年8月19日に掲載した元記事がブログサイト運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10925/
(2020年8月25日 修正1 ;追記)
2020年8月18日19時37分にNHK岡山から、沖合2kmで急減速し船の方向も変わっていて、そこでの衝突が座礁の原因となった可能性大など下記趣旨の記事がネット配信されていた。
AISと呼ばれる、船の位置などを電波で発信する装置のデータ分析を行っている「IHIジェットサービス」が解析したところ、貨物船はモーリシャスの南東およそ2キロの沖を航行していた先月25日、1分余りの間に針路をほぼ90度右に変え、10ノット前後で進んでいた速度も1ノット以下に低下していたことが分かりました。
船舶事故に詳しい神戸大学大学院の若林伸和教授は、「通常、このように人為的に船の向きを変えることはなく、船底が何かに当たって急に向きが変わったのではないか」と述べ、この衝突が座礁の原因となった可能性が高いと指摘しています。
分析データによりますと、貨物船はその後、北におよそ1キロ漂流し、10日余りたった今月5日に電波の発信が止まりました。
また、この海域を航行するほかの船舶のデータと比べると、貨物船は北西におよそ16キロ離れ、モーリシャスの沿岸近くを進んでいたことも分かりました。
若林教授は、「周辺はさんご礁も多く、注意が必要な場所だ。危険な所にわざわざ寄っていくことは考えられない」と述べ、貨物船が通常とは異なる航路をとったことが事故につながったのではないかという見方を示しました。
事故の原因究明に向けては、現地の警察当局などが貨物船の航行データを記録した「ブラックボックス」を回収し、船長を含めた乗組員から事情を聞いています。
・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20200818/4020006297.html
8月19日7時29分にYAHOOニュース(中央日報)からは、船は沿岸警備隊からの警告を無視して進んだ、wifi信号を探すにしては陸地に近づきすぎなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
現地警察関係者はロイター通信に、「わかしお」は事故の5日前から誤った航路で運航していたとみていると話した。
モーリシャス沿岸警備隊は、これに対し「座礁の危険がある地域に進んでいる」と警告したが、黙殺されたという。
現地警察は、彼らが船舶内の航行装置から出た警告音も無視したものと疑っている。
このほかにも、彼らは座礁時に沿岸警備隊に遭難信号を送らず、沿岸警備隊の呼び掛けにも応じなかった容疑を受けている。
同関係者は、事故当時船内で誕生パーティーが開かれていたという情報が警察に寄せられており、調査中とも伝えた。
また「わかしお」がWi-Fiの信号を探すために陸地側に航海したという船長の主張に対しては、「信号を探すためなら、陸地にそこまで近付く必要はない」として否定的な見方を示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a8fa7ad4755edd182de07a5ebd86810be7098cb
(2020年8月27日 修正2 ;追記)
2020年8月25日22時14分に毎日新聞からは、新型コロナ禍での故郷の様子を電話で知るためモーリシャスに接近したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
25日で貨物船の座礁から1カ月。
乗組員の私的な行動で座礁した疑いが強まってきた。
司法関係者によると、乗組員の間から「新型コロナ流行により故郷で何が起きているか知りたい」との声が上がった。
アプリ「ワッツアップ」などの通話機能で家族と会話するため、航路沿いのモーリシャスに接近することになった。
1等航海士が持っていたスリランカのSIMカードでネットにつなげる計画だったという。
航路を追跡した民間の衛星データによると、船は速度を変えずモーリシャス島に直進。
一定時間ネットにつなげるため速度を落としたり、座礁を避けるため針路を変えたりしなかったことについて、司法関係者は「最大の謎だ。警察も知りたがっている」と強調した。
同関係者は、「船の仕事はストレスが多い」と指摘。
この船では、東南アジアで乗組員が仕事に耐えられず、海に飛び込み救助される事案があった。
https://mainichi.jp/articles/20200825/k00/00m/030/164000c
8月26日17時59分にYAHOOニュース(朝日新聞)からは、船員たちは船上生活が続いていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船が島に近づいた理由について、船員たちが、新型コロナウイルスの流行で「数カ月間も船上生活が続き、インターネット接続をして家族と会話をしたかった」と供述していることが、捜査関係者らへの取材で分かった。
当時はコロナ禍で寄港先での滞在が難しかったほか、港での滞在費用を浮かせるために5カ月以上、船上生活が続いた船員もいたという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bbc2cd82cbbcfac2432372f0f52dc6e786a9d398
(2020年9月11日 修正3 ;追記)
2020年9月10日18時49分にYAHOOニュース(毎日新聞)からは、海図の見方を誤ったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船籍があるパナマの海運当局の初期調査報告によると、船員らが家族と電話やインターネットで連絡が取れるようにと、船長が携帯電話の電波が入るモーリシャス沖5カイリ(約9・3キロ)まで接近するよう指示した。
ところが、海図や縮尺の見方を誤って異常接近し、座礁につながった可能性があるという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9b56308b507acf101d8a3adb60bbc6ffb8b5959
(2020年12月19日 修正4 ;追記)
2020年12月18日22時41分にYAHOOニュース(読売新聞)からは、商船三井が調査結果を公表した、船に備えていた電子海図では広範囲の位置確認しかできなかった、5億円かけて再発防止策をとるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
商船三井は18日、事故の調査結果を公表した。
携帯電話を使えるように船を電波圏内となる岸辺に近づけたことが事故原因と認め、「安全意識が不足していた」と謝罪した。
商船三井によると、船は事故の2日前に携帯電話の圏内に入るために予定の航路を変更し、事故当日はさらに岸に近付いていた。
船はカーナビのような役割を果たす「電子海図」を備えていたが、広範囲の位置把握しかできず、船員は岸までの距離や水深を正確に把握していなかった。
このため、岸まで0・9カイリ(約1・7キロ・メートル)、水深10メートルの水域を航行していたにもかかわらず、船員は座礁直前になっても岸までの距離は2カイリ(約3・7キロ・メートル)程度、水深200メートル以上と誤認していた。
さらに、距離をレーダーで測定したり、目視したりといった確認も怠っていたという。
今回のような燃料油による汚染の場合、法的責任は船主のN汽船が負い、商船三井には及ばないのが原則だ。
ただ、同社は自社で運航する船の半数がチャーター船であることを踏まえ、5億円を投じて再発防止策を実施することにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0df155776d60b4b0f5f67252125babc44e6f56bc
12月18日18時27分にYAHOOニュース(朝日新聞)からは、事故当時の電子海図は日本列島が入る地図を使って佐渡島の横を通ろうとしたようなものだった、再発防止策として船内監視カメラの設置や通信設備の強化などに取り組むなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
使っていた電子海図は、広い範囲を見るためのものだった。
ウェブで会見した商船三井の加藤・安全運航本部長は、「日本列島が入る地図を使って、新潟県佐渡島の横を通ろうとしたようなもの」と説明した。
電子海図の準備不足や、沿岸に近づくリスクの認識が船員に足りていなかったことなどが事故の原因になった、と推定した。
商船三井は再発防止策として、
▽遠隔で航路を確認する本社と船の連携強化
▽良質な乗組員の確保
▽船内への監視カメラの設置
などを挙げた。
また、航海中の長期間、船員が陸上にいる家族らと携帯電話で連絡が取れないことが事故の背景になった可能性があるとして、船の通信設備の強化にも取り組む、とした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8bf8e5fe9de907278501a431f40d36baabc2653b
(2022年7月1日 修正5 ;追記)
2022年6月30日10時18分に産経新聞からは、定額課金制のデータ通信機器を搭載していなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は30日、乗組員がスマートフォンの電波を受信するため航海計画を変更し、島に接近したことで座礁したと推定する経過報告を公表した。
安全委の経過報告によると、貨物船はモーリシャス島周辺の海岸線などが記載された詳細な海図を入手していなかったにもかかわらず、スマホの電波を受信しようと航海計画を変更して島に接近。
貨物船には定額課金制でデータ通信が可能な通信機器を搭載しておらず、安全委は、事故以前から同様の目的で予定針路から外れ海岸線に接近したことがあったとみている。
安全委は再発防止策として、私的な理由で乗組員が不安全な行動を取らないことが必要と指摘。
商船三井と長鋪汽船との間で貨物船が航海計画を変更し予定針路を離れた場合に情報共有できる体制がなかったとして、国交相に対し、船の位置情報を共有できる体制の整備と、教育と訓練の徹底を船会社に指導すべきだと提言した。
安全委が他国領海内での事故を調査するのは初めて。
https://www.sankei.com/article/20220630-BH23F7XUMZI3VESRLHHRRLKTQE/
2020年8月12日5時46分にYAHOOニュース(東洋経済オンライン)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岡山県の海運会社・N汽船(岡山県笠岡市)が所有し、商船三井が運航する大型貨物船「WAKASHIO」(載貨重量トンは約20万3000トン)がインド洋のモーリシャス沖で座礁し、1000トン以上の重油が周辺の海域に流出する事故が起きていたことが明らかになった。
事故現場周辺のマングローブ林はラムサール条約で国際保護湿地に指定されており、世界的にも希少なサンゴが群生する海洋公園にも近い。
モーリシャス政府は8月7日、環境危機事態を宣言し、フランスのマクロン大統領が翌8日、軍用機の派遣を含む支援を表明した。
日本政府も8月10日、油漏防止の専門家チームを現地に向けて出発させた。
【モーリシャスの観光、水産業に大打撃】
9日に記者会見したN汽船と商船三井によると、7月4日に中国の港を出港してシンガポール経由でブラジルに向かう途中だった大型貨物船WAKASHIOがモーリシャス島沖南東0.9マイルで座礁したのが7月25日のことだった。
その後、船内への浸水が進み、8月6日に船体に亀裂が生じて、燃料油の重油が漏れ始めた。
船内のタンクにあった約3800トンの重油のうち、破損したタンクから漏れたのは推定1000トン以上。
うち約460トンを手作業で回収したという。
一方、船内には重油約1600トンと軽油約200トンが残っている。
深刻なのが、モーリシャスの経済や生態系への影響だ。
同国の人口は約126万人(2018年、世界銀行調べ)。
豊かな自然環境を売りにした観光業が主力産業だが、今回の重油流出事故で壊滅的な被害は免れない。
水産業への影響も深刻化しそうだ。
注目されるのが、事故原因の究明や賠償の行方だ。
商船三井の加藤・常務執行役員によれば、当初の航海計画ではモーリシャス島の南側の10~20マイル沖合を航行すべきところを、「波が高く、しけを避けようとして北にずれていった」という。
商船三井は2007年に社内に安全運航支援センターを開設。
インマルサット衛星を利用し、用船を含め、同社が運航するすべての船舶の運航状況を24時間体制で監視している。
しかし、加藤氏は「データの入手頻度は数時間おきにとどまり、約800隻の運航船舶すべてについて、どこへ走って行こうとしているか把握できているわけではない」と説明する。
同社は安全運航支援センターによる「24時間365日の支援体制」をうたい、「(悪天候やテロなどのリスクを)リアルタイムで把握し、本船、船舶管理会社、海技グループ、運航担当者と連絡を取り合い、『船長を孤独にしない』体制を整えています」とホームページで明記している。
そのうえで同センターには「船長経験者を含む2名が常駐し、海外メディアの情報や気象情報など、船の航行に関するあらゆる情報を収集し、タイムリーに適切な情報発信を行うことにより、重大事故の発生を未然に防止するべく全力で取り組んでいます」と記述している。
今回の事故で、同センターが事故を起こした船舶とどのようなやり取りをしたのか、どこに問題や限界があったかについても検証が必要になりそうだ。
【社員を現地に派遣】
賠償の見通しも、現時点では定かではない。
船主責任保険(P&I保険)の加入義務は、船の所有者(船主)であるN汽船にある。
同社は、乗組員を手配したうえで、商船三井に船を貸し出している。
いわゆる用船契約という仕組みだ。
8月9日の記者会見でN汽船の社長は、7「本件油濁事故については、船主である当社が保険に加入している」と述べた。
そのうえで、保険でカバーできない可能性については、「どの程度の損害になるか把握できないので答えられない」とした。
一方、商船三井の小野副社長は、「当社は(保険加入の義務のない)用船社の立場だが、社会への甚大な影響に鑑みて、誠実に対応してまいりたい」と述べた。
商船三井とN汽船は8月11日、情報収集や油漏拡大防止を目的とした計8人(商船三井6人、N汽船2人)の社員を現地に向けて派遣した。
海運業界では近年、海運会社が自社で船を持たずに借りて運航する「用船」という仕組みが一般化している。
ただ、貸主である船主の中には、財務基盤が脆弱であったり、大規模事故への備えが十分でない企業もある。
今回の事故でも、被害の程度や対応の仕方によっては、船の運航契約を結んでいた商船三井や日本政府に国際社会から被害救済を求めるプレッシャーが強まることも予想される。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0a2d5420e0d2d24824cd102d3ded8308ae7d8cb
8月13日3時53分にAFPからは、タンク外に100トン残っているものの、タンク内の燃料油は全て汲み出したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
インド洋の島国モーリシャス沖で日本の海運大手、商船三井が運航する貨物船が座礁し燃料が流出した事故で、モーリシャスのプラビン・ジャグナット首相は12日、船内のタンクからすべての燃料を回収したと明らかにした。
2度目の大規模な燃料流出は回避された。
貨物船「わかしお」は先月25日、サンゴ礁の広がるモーリシャスの沖合で座礁。
2週間以上たった現在も身動きがとれない状態にあり、船体が破断する恐れも出ている。
ジャグナット首相は「燃料タンクからすべての燃料が汲み出された」と表明。
船内のタンク外の場所にはまだ約100トンの燃料が残っていると説明した。
わかしおからの燃料流出は先週に始まり、サンゴ礁やマングローブ林、保護区として指定されている湿地が汚染された。
楽園のような島国として、新婚旅行客をはじめとする観光客に人気の同国にとって、今回の事故は大きな打撃となっている。
https://www.afpbb.com/articles/-/3298880
8月14日23時19分に産経新聞からは、wifi接続のため陸地に近づいたらしいという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
地元紙は14日までに、複数の乗組員が地元警察の調べに対し、「座礁前、Wi-Fi(ワイファイ)に接続しインターネットを利用するため島の近くを航行した」と話していると報じた。
警察関係者が明らかにしたという。
一方、米誌フォーブスは航路を追跡した衛星データを基に「速度を落とさず11ノット(時速約20キロ)で島に直進していた」と伝えており、乗組員が島への接近を認識していなかった可能性を示唆。
警察は船内から航行記録を押収し、座礁した原因を慎重に調べている。
地元紙によると、事故直前、乗組員の誕生日会を開いていたとの供述もあるという。
貨物船を保有するN汽船(岡山県)が乗組員20人全員を手配していた。
出身国はインド3人、スリランカ1人、フィリピン16人で船長はインド人。
全員救助され、無事だった。
(共同)
https://www.sankei.com/affairs/news/200814/afr2008140028-n1.html
8月15日4時31分にAFPからは、船体が折れ曲がり、船倉に残っていた燃料油100トンも流出し始めたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現場からはこれまでに700トンの油と260トンの汚泥やがれきが除去された。
12日、船内の燃料タンクからは燃料がすべて取り除かれ、さらなる大規模流出は免れた。
しかし同国の危機対応委員会によると、14日になり船倉に残っていた約100トンの燃料が漏出し始めた。
同委員会は、「専門家によると、この種の漏出は予期されていたもので、船体が折れ曲がったことが原因」と説明。
流出を止める防材と装置が追加配備された他、近く燃料除去用の船も投入されると述べた。
漁師の男性は同日、船の周りの「水がまた黒く染まった」と語った。
事故をめぐっては、船が座礁してから1週間にわたりほとんど対策を講じなかったとして、同国政府が批判の的になっている。
一方、わかしおを所有するN汽船の専門家チームが現地に到着したのは、事故から3週間後だった。
https://www.afpbb.com/articles/-/3299251
(ブログ者コメント)
海洋汚染もさることながら、大手海運会社の航路管理の一端を知ることができた情報としても紹介する。
2019年12月18日21時48分にNHK香川から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
小豆島沖で、ことし1月、貨物船と漁船が衝突し、ことし7月になって、漁船の船長で高松市に住む75歳の男性が遺体で見つかりました。
高松海上保安部によりますと、その後の調べで、当時、貨物船の乗組員が、スマートフォンの画面を見ながら舵をとっていたことがわかったということで、海上保安部は、見張りを怠って貨物船と漁船を衝突させ、船長を死亡させた、業務上過失致死などの疑いで、18日までに52歳の乗組員の書類を高松地方検察庁に送りました。
調べに対し、乗組員は、容疑を認めているということです。
また海上保安部は、周囲をよく見ずに舵をとり、貨物船と衝突したとして、死亡した漁船の船長についても業務上過失往来危険の疑いで書類送検しました。
全国では、ことし4月、三重県沖で漁船どうしが衝突し、一方の船の船長がけがをした事故について、運輸安全委員会が相手方の船の機関長がスマートフォンを使っていたことなどが原因だったとする報告をまとめるなど、スマートフォンの使用による船の事故が相次いでいます。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20191218/8030005436.html
2019年5月30日13時43分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
29日午後9時45分頃、茨城県鹿嶋市光の日本製鉄鹿島製鉄所内の岸壁で、貨物船の船上で接岸作業をしていた石川県能登町、船員・向さん(男性、64歳)を、岸壁の鉄くいにくくりつけてあった係留ロープ(直径約5cm)がはねて直撃した。
向さんは病院に運ばれたが、約3時間半後に死亡が確認された。
警察で死因や事故の原因を調べている。
発表によると、貨物船が接岸した後、向さんが一人で係留ロープのたるみを点検していたところ、突然、岸壁からロープがはね、向さんに当たったという。
出典
『くくった係留ロープ、突然はねて船員を直撃』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190530-OYT1T50182/
2019年4月26日16時14分にNHK兵庫から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年、関西空港の連絡橋にタンカーが衝突した事故を受け、海上保安庁は、海に面した空港や橋など重要なインフラ40か所を優先して、ことしの台風シーズンまでに船の航行規制などの対策を決めることにしている。
対策を優先的に行うのは、周辺に船舶の往来があり、衝突事故が起きた場合の社会的影響が大きい海上空港や橋脚、タンカーを係留するシーバースや桟橋、発電所など、21都道府県の40か所。
このうち東京湾には、羽田空港や東京湾アクアライン、シーバースなど、9か所の重要インフラが集中しているほか、伊勢湾では中部空港や火力発電所など8か所が対象となっている。
また、本州と離島をつなぐライフラインが通る唯一の橋として、山口県の周防大島町につながる大島大橋と、石川県の能登島につながる能登島大橋も対象となっている。
海保は、各地の海事関係者などと協議しながら、ことしの台風シーズンまでに船の航行規制などの対策を決めることにしている。
【法律適用や外国船周知が課題】
今回対象となった40か所の中には、周辺の海域で適用する法律がないため、船に対する航行規制ができないインフラが3か所ある。
それは、長崎空港と鹿児島県東串良町の志布志国家石油備蓄基地、愛知県田原市の渥美火力発電所だ。
危険が迫っている場合でも、船に対して強制的に退去を命じることができない。
また、外国の会社が運航する船に衝突の危険性や必要な対策をどう伝えるかも課題になっている。
海保は、各地の管制センターが運航に関する情報を船長に提供しているが、外国の運航会社には事前に連絡することができない。
海域の事情に詳しい国家資格を持つ水先人が乗っている場合もあるが、船の大きさや海域によっては、水先人の乗船が義務づけられていないケースも多くある。
海保によると、去年10月、山口県の周防大島町と本州を結ぶ大島大橋に衝突した船も、運航していたのはドイツの会社で、水先人は乗っていなかったという。
こうした課題について海保は、巡視船や巡視艇を使って船に対する指導を強化したり、関係団体などに協力を呼びかけたりして対応したいとしている。
【優先対策を行う40か所】
▼北海道
出光北海道シーバース
▼青森県
八戸LNGターミナル
▼岩手県
岩手県オイルターミナル
▼秋田県
秋田国家石油備蓄基地
▼山形県
酒田共同火力発電所
▼東京都
羽田空港
▼千葉県
東京湾アクアライン
京葉シーバース
コスモ石油第二シーバース
▼神奈川県
横浜沖錨地
川崎シーバース
東燃扇島シーバース
東京ガス扇島LNGバース
東電扇島LNGバース
▼愛知県
中部空港
出光興産愛知製油所
東邦液化ガス名古屋港L1桟橋
知多LNG名古屋港L2桟橋
コスモ石油
中部電力川越火力
渥美火力発電所
▼三重県
昭和四日市石油
▼兵庫県
神戸空港
▼大阪府
コスモ石油堺製油所原油桟橋
大阪ガス泉北製造所
第二工場LNG第2桟橋
堺LNGセンター桟橋
▼広島県
広島ガス廿日市工場
▼山口県
大島大橋
▼福岡県
北九州空港
▼長崎県
長崎空港
▼鳥取県
米子空港
▼石川県
能登島大橋
七尾太田火力発電所
七尾国家石油ガス備蓄基地
▼新潟県
両津火力発電所
▼鹿児島県
志布志国家石油備蓄基地
▼沖縄県
那覇空港
吉の裏火力発電
沖縄石油基地
沖縄ターミナル
出典
『タンカー衝突事故受け全国で対策』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20190426/2020003761.html
2019年3月22日22時5分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日午後2時40分すぎ、葛飾区や江戸川区、それに足立区の合わせておよそ4万1900戸で停電が発生した。
東京都によると、この停電は葛飾区高砂の中川で護岸を耐震補強するために都が発注した工事で、作業員が周りをよく確認しないまま、船にのせたクレーンのアームを上げ、川を横断する電線を損傷したことが原因だったという。
その後、東京電力が復旧にあたり、停電は午後3時20分ごろまでに解消されたという。
東京都建設局は、「関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。都と工事を請け負った業者で再発防止に万全を期したい」と話している。
出典
『4万戸の停電は都の工事が原因』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190322/0027252.html
2018年11月17日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
(1/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9087/
(2/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9086/
(2019年2月4日 修正1 ;追記)
2019年1月29日20時42分にNHK山口から、海保は再発防止策をとるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受けて第6管区海上保安本部は、来月1日から大島大橋を通過したことのない全長80m以上の船を対象に、橋から半径7km余りの海域に進入した際、橋の高さを自動で知らせるとともに、注意を呼びかけるメッセージを送ることになった。
さらに、全長120m以上の船には、無線電話で船の高さも個別に確認するとしている。
橋の高さなどを知らせるのに使われるのはAIS=船舶自動識別装置で、船舶どうしが衝突を防ぐために船の位置や速度などを自動で送受信するもので、海保によると、橋の衝突防止に活用されるのは国内では珍しいという。
29日の定例会見で第6管区海保の勝山本部長は、「より安心安全にという観点で今回の方法をとることになりました」と話していた。
出典
『大島大橋 事故防止への取り組み』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20190129/4060001994.html
2018年11月9日付で東京新聞から、下記趣旨の記事が金属管の写真付きでネット配信されていた。
千葉市沖の東京湾海底に、長さ約32m、重さ約20トンの金属管状の工作物が沈んでいたと、船橋市漁協が6日発表した。
同漁協は「漁船の事故になりかねない重大な問題」として、県漁連や県葛南港湾事務所などに連絡。
翌7日、海中に設置する工作物だったことが分かった。
船橋市漁協によると、10月22日午前11時ごろ、千葉市沖約3kmで、漁協所属の底引き網船の漁具が引っかかり、身動きが取れなくなった。
水深は約12m。
このため、仲間の底引き網船とロープで結び、2隻で曳航。
船橋漁港では、クレーン台船を使い、陸揚げした。
工作物の金属管は直径約0.7mで、ゴム製のひだのような物が付いており、車両用タイヤ5本が挟まれていた。
同漁協への連絡では、民間会社が海中に設置するはずだったが、何らかの原因で流れてしまったという。
海中で壁状にすることで、汚濁の拡散防止などに使われた可能性が高いとみられている。
出典
『海に20トン金属工作物 漁船が身動き取れず 千葉市沖でえい航』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201811/CK2018110902000139.html
2018年11月10日付で河北新報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午後4時10分ごろ、青森県つがる市稲垣町下繁田の岩木川で小型ボートが転覆し、乗っていた建設作業員の高橋さん(男性、23歳)と男性作業員(20歳)=いずれも潟上市=の2人が川に投げ出された。
高橋さんは搬送先の病院で死亡した。
男性も病院に搬送されたが、命に別条はない。
警察によると、ボートが台船のアンカーに接触して転覆したとみられる。
2人は川に水門を造るため、ボートに乗って台船を移動させる作業中だった。
出典
『作業中にボート転覆、男性死亡』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201811/20181110_23052.html
2018年10月3日1時17分に北海道新聞電子版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2日午後3時45分ごろ、函館市港町の津軽海峡フェリーターミナルに停泊している高速船「ナッチャンWorld(ワールド)」の船底清掃作業をしていた小樽市の潜水士・薬師さん(男性、38歳)が作業終了時刻が過ぎたのに海中から浮上してこないと、作業の関係者が119番した。
薬師さんは間もなく、船尾付近の海中から意識不明の重体で救助されたが、死亡が確認された。
函館海保によると、薬師さんは2日朝からボンベを装着して、同僚の潜水士と船底の貝殻などの除去作業を行っていた。
作業が終了しても薬師さんが戻ってこないため、同僚らが捜索していた。
同船は2016年に防衛省が船を所有する会社から借り上げて、自衛隊の訓練の輸送などに使っている。
出典
『作業中に潜水士死亡 函館』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/234237/
10月6日1時0分に北海道新聞電子版からは、船体の一部に体が挟まれていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
死因について函館海保は、5日までに司法解剖の結果、外傷性ショック死と特定した。
同海保は、薬師さんが潜水中に何らかの原因で外傷を負ったとみて、業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
同海保によると、薬師さんは船底の清掃をしていた高速船「ナッチャンWorld(ワールド)」の船体の一部に体が挟まった状態で見つかった、という同僚潜水士の証言があり、関連を調べている。
出典
『船底清掃中の潜水士 外傷性ショック死因』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/235477/
10月5日19時20分にUHBからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
函館海保では、当初、水死の可能性などで薬師さんの死因を調べていたが、司法解剖の結果、体に複数の傷があり、外傷性ショックだったことがわかった。
出典
『函館港でフェリー船底清掃中 潜水士の男性 外傷性ショックで死亡 業務上過失致死で捜査 北海道』
https://www.youtube.com/watch?v=6hPkZie-GZs
(2019年11月12日 修正1 ;追記)
2019年11月11日17時5分にNHK北海道からは、係留ロープ巻き取り機を作動させたところ連動して船の揺れを抑える板が動き挟まれたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
去年10月、函館港のフェリーターミナルに停泊していた高速船で船底の清掃をしていた潜水士の薬師さん(当時38)が、「トリムタブ」と呼ばれる走行中の船の揺れを抑える金属製の板に挟まれ死亡しました。
函館海上保安部が調べた結果、1等航海士が係留ロープが緩んでいたため、ロープを巻き取る装置を作動させたところ、船底の「トリムタブ」が連動して動き、体を挟まれたことがわかりました。
このため函館海上保安部は、関係する装置の電源を切るなど事故を防ぐ対策が不十分だったとして、▼田邉船長(男性、59歳)と▼永井1等航海士(男性、34歳)ら3人を、11日、業務上過失致死の疑いで書類送検しました。
函館海上保安部は認否を明らかにしていませんが、3人のうち1等航海士は「係留ロープを巻き取る作業が船底の清掃に影響するとは思わなかった」と供述しているということです。
また、書類送検された船長らが所属する高速船の運航会社は、「今回の事故を真摯に受け止めて再発防止に取り組んでいきます」とコメントしています。
【専門家「船ごとに危険想定必要」】
事故があった船は、胴体が2つ並ぶ「双胴船」と呼ばれる構造が特徴で、オーストラリアの造船会社が建造しました。
スクリューの代わりに、吸い込んだ海水を噴き出す筒状のウォータージェットを搭載していて、付近で作業していた潜水士は、ウォータージェットのすぐ下に取り付けられた「トリムタブ」との間に体を挟まれました。
船の構造に詳しい長崎総合科学大学工学部の古野弘志准教授は、「最近は新しい技術が導入され、外国で建造された船も多く、仕様が多様化している。船それぞれに違った形の事故の危険が潜んでいる」と指摘しています。
その上で、「マニュアルなどを読み込み操縦や整備のしかたを熟知し、船ごとに事故の危険を想定して対策をとっていくことが求められる」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20191111/7000015217.html
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の3コマ。
(2020年2月28日 修正2 ;追記)
2020年2月27日11時30分に北海道新聞から、船の揺れを抑える装置のスイッチを適切に切り替えなかったことが原因とする報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省運輸安全委員会函館事務所は27日、同船の乗組員が船の揺れを抑える装置を誤って作動させたことが事故原因とする調査報告書を公表した。
報告書によると、同船の1等航海士らが船を岸壁に係留するロープの緩みを直そうと油圧ポンプを動かした結果、船尾下にある同装置が上方向に作動。
潜水士は船の推進器と装置の間に挟まれ、外傷性ショックで死亡した。
装置のスイッチを適切に切り替えていれば作動しなかったが、乗組員はその認識がなく、切り替えをしなかった。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/397089/
(ブログ者コメント)
以下は、事故報告書主要部分の抜粋。
・・・・・
4.原因
本事故は、本船が、函館港第4区のB社専用桟橋に右舷着けで係留中、トリムタブ装置の翼が自重で下降した状態で、右舷船尾船底部で潜水士Aにより本件作業が行われていた状況下、航海士A及び甲板部の乗組員が、船尾部の係船索の緩みを取る作業を行うに当たり、本件制御装置のスナップスイッチがノーマルの位置でNo.2後部 電動油圧ポンプを始動すると、トリムタブ装置の翼が上昇することが周知されていなかったため、同装置の翼が上昇することを知らずに同電動油圧ポンプを始動し、潜水士Aが上昇した同装置の翼と右舷側のウォータージェット推進器との間に挟まれたことにより発生したものと考えられる。
・・・・・
5 再発防止策
・・・・・
係船索の緩みを取る作業は、本件作業を行っている潜水士を陸上に退避させた上で安全を確認して行うことにより、本事故の発生を防止できたものと推定される。
したがって、同種事故の再発防止を図るため、次の措置を講じる必要がある。
(1) 船長は、本件制御装置のスナップスイッチの取扱いについて、ノーマルの位置としたとき、トリムタブ装置の作動用油圧シリンダに油圧が働いた際に同装置の翼が上昇することを記載した手順書を作成すること。
(2) 船長は、本件制御装置のスナップスイッチが、ノーマル及びバックアップの位置にある時のそれぞれの位置でのトリムタブ装置の制御状態及び同装置の作動用油圧シリンダに油圧が働かないようにする手順について、取り扱う場所に掲示した上、航海士A及び甲板部の乗組員に周知徹底すること。
(3) 係船索の調整作業に当たる者は、事前に通信手段を確認した上で、潜水作業者に連絡するなどして船底等に潜水士がいないことを確認してから係船索の調整作業を行うこと。
5.1 A社によって講じられた措置
A社は、本事故後、事故防止委員会を立ち上げて検討し、再発防止として、次の措置を講じ、安全統括管理者等が訪船指導した。
(1) 潜水作業を行っている時は、油圧を使用する作業及び関連する作業を実施しない。
また、本船で関連する作業を実施する際には潜水作業に従事する作業者に連絡し、潜水士を陸上に退避させる。
(2) 係船状態に入る際は、本件制御装置のスナップスイッチをノーマルからバッ クアップの位置に切り替える。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2020/MA2020-2-4_2018hd0057.pdf
2018年9月13日9時45分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三重県の四日市港で貨物船などが岸壁に接触や衝突する事故が相次いだことを受けて、大型船の接岸を誘導する「水先人」の団体が、船長と十分コミュニケーションをとり、ゆっくり接岸するといった事故の再発防止策を申し合わせた。
四日市港では、8月17日にコンテナ船が岸壁などに接触して設置されていたクレーンなどが壊れたほか、28日には石炭を運搬する貨物船が岸壁に衝突するなど、接岸時の事故が相次いでいる。
これを受けて、伊勢湾や三河湾内の港で接岸する大型船に乗り込み誘導を行う「水先人」の団体が、10日、名古屋市内で会合を開き、事故の状況を共有した。
それによると、コンテナ船の事故では、風で船が流されやすい中、不安を感じた船長が操縦を途中で水先人から代わったことや、貨物船の事故では、水先人が減速を指示したのに何らかの理由で速度を落とすことができなかったという。
水先人たちは、事故の再発防止策として、船長を不安にさせないよう十分コミュニケーションを取ることや、できる限りゆっくり接岸することなどを申し合わせた。
伊勢三河湾水先区水先人会の久永副会長は、「事故を二度と起こさないという決意を全員で持ち、安全運航につとめます」と話している。
出典
『水先人が事故防止策を申し合わせ』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180913/3070000257.html
(ブログ者コメント)
各事例の記事中にも、原因部分を抜粋して追記スミ。
2018年8月28日12時56分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午前7時5分ごろ、三重県四日市市の四日市港でシンガポール船籍の貨物船「DRACOOCEAN」(約3万3000トン)が接岸しようとして、岸壁に衝突した。
この事故で、貨物船は船首付近の左舷に幅約10m、高さ2mほどの長方形の穴があいたが、フィリピン人の乗組員18人にけがはなかった。
船体への浸水はなく、海に油などは流出していないという。
海保によると、貨物船は石炭約5万5000トンを積んでアメリカから四日市港へ向かっていたという。
当時、風はなく、波も穏やかだったということで、海保が事故の詳しい原因を調べている。
四日市港では8月17日にも、別のコンテナ船が岸壁に接触しクレーンなどが壊れる事故が起きている。
出典
『四日市港で貨物船が岸壁に衝突』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180828/3070000149.html
(ブログ者コメント)
コンテナ船の事故は本ブログでも紹介スミ。
(2018年9月15日 修正1 ;追記)
2018年9月13日9時45分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
水先人が減速を指示したのに、何らかの理由で速度を落とすことができなかった。
出典
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180913/3070000257.html
(ブログ者コメント)
この事故や8月17日に起きたコンテナ船が岸壁などに接触した事故を受け、伊勢湾や三河湾で大型船に乗り込む水先案内人の団体が再発防止策を申し合わせた。(別記事として掲載)
(2020年8月28日 修正2 ;追記)
2020年8月27日19時50分にNHK三重からは、水先案内人に代って船長が操船していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
おととし8月、四日市港で香港籍のコンテナ船「OOCL NAGOYA」約4万トンが、接岸しようとした際に岸壁やコンテナ積み下ろし用のクレーンに衝突する事故を起こしました。
けが人や油の流出などはありませんでしたが、国の運輸安全委員会が事故の状況や原因を調査し、26日、その内容をまとめた調査報告書を公表しました。
それによりますと、当時、コンテナ船では大型船の接岸を誘導する「水先人」が着岸するための操船を行っていましたが、船長は、減速が十分ではなく、着岸に失敗すると感じて操船を代わっていました。
そのうえで、操船を代わった船長がすでに着岸していた別の船に衝突しないようにすることに気を取られた結果、船の姿勢を制御できず岸壁に衝突したとみています。
国の運輸安全委員会は、再発防止策として、港での接岸の際には船長と水先人の間でのやりとりを密に行うよう求めています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20200827/3070003957.html
(ブログ者コメント)
上記報道だけでは、様子がイマイチ分からなかったため、事故報告書を確認。
結果、以下のようなコミュニケーション不足が原因だった。
ちなみに船長の国籍は見つからなかったが、乗組員全員が外国人につき、おそらくは外国人だと思われる。
(12ページ)
・・・・・
本船は、本件船長ほか23人(中華人民共和国籍18人、フィリピン共和国籍5人)が乗り組み、コンテナ貨物18,536.9トンを積載し、本件水先人1人が乗船の上、平成30年8月17日05時30分ごろ愛知県名古屋港を出港して本件岸壁に向かった。
・・・・・
(13ページ)
2.1.5 本件水先人の口述等による事故の経過
・・・・・
本件船長は、左舷ウイングで本件水先人の指示を操舵室に伝えていたところ、急な風向風速の変化に気付き、左舷方の25号岸壁に出船右舷着けで係船していた全長約118mの自動車運搬船(以下「本件係留船」という。)との離隔距離が約90mと目測したが、本件水先人とこのことを協議することはなかった。
本件水先人は、船速をある程度維持していないと左舷方への圧流が大きくなるので、本船の船尾が本件係留船を通過した後に後進推力を強め、主機を半速力後進まで使用すれば、本件岸壁の前面に進出して停船し、一軸右回り船の特性*11によって本船の船首が右に振れて、本船の姿勢を岸壁と平行にできると思っていたものの、このことを船長に説明しなかった。
本件船長は、07時36分ごろ、本船の速力が約2.5knとなり、本件水先人が、主機を極微速力後進とするよう本件船長に伝え、バウスラスタを右一杯で継続して使用するとともに、トランシーバでタグボートに対し、3時方向にデッドスロー(微速力)で引くよう指示していたところ、速力が速いのではないかと本件水先人に繰り返し主張した。
本件船長は、本船の速力が過大だと感じ、本件水先人から極微速力後進から微速力後進にすると伝えられたものの、風による圧流で本船が本件係留船方に寄せられるように見えて着岸操船が失敗すると思い、それでは十分ではないと本件水先人に告げ、自ら半速力後進、全速力後進を指示して急減速し、本件水先人に対してタグボートに右舷方に一杯で引かせるよう繰り返し指示した。
本件水先人は、自身の操船指示を本件船長が受け入れなくなったので、本件船長の操船指揮に従うこととし、トランシーバでタグボートに本船の船尾を右舷方に一 杯で引くよう伝えたところ、本船の前進行きあしが止まって左舷方へ大きく圧流されるのを認めた。
本船は、圧流されて本件係留船に更に接近していくので、本件船長が本件係留船との衝突を避けるために左舵一杯とし、主機を使用して全速力前進まで回転数を上げ、タグボートに右舷船尾を右舷方に一杯で引かせた。
本船は、本件船長が、本件係留船が船尾を通過したとの報告を受け、直ちに舵中央とし、主機を停止して右舵一杯としたものの、07時39分ごろ、本船の左舷船首部が本件岸壁上で停止中の本件ガントリークレーンに衝突し、接触したまま前進を続け、停止していた他の2基のクレーンが共に押されて移動したほか、本船の左舷船首部船側外板が本件岸壁上縁部に衝突した。
・・・・・
(34ページ)
・・・・・
本件船長が、即時に介入して自ら操船を行い、全速力後進まで使用して本船の前進行きあしが失われたのは、本件水先人との十分な信頼関係を形成できなかったこと、及び本件係留船付近で本件岸壁に接近する本船の速力を速く感じたことから、本船の動きを完全に止めようと思ったことによるものと考えられる。
本件船長が、本件水先人との十分な信頼関係を形成できなかったのは、本件水先人の説明が十分に行われていないと感じていたことによるものと考えられる。
・・・・・
https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2020/MA2020-7-1_2018tk0012.pdf
2018年8月17日20時48分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午前7時40分ごろ、名古屋港を出発して三重県四日市市の四日市港に接岸しようとしていた約4万トンの香港籍のコンテナ船「OOCLNAGOYA」が、岸壁や岸壁に設置されたコンテナの積み下ろし用の「ガントリークレーン」に接触した。
けが人はいなかったが、クレーンの一部が壊れて、クレーンを移動するための車輪がレールから外れた。
また、コンテナ船の船首にも縦横1mほどの穴が開いたが、船への浸水や油の流出はなかったという。
現場付近には、17日午前8時半すぎの時点で、風速13メートルのやや強い風が吹いていたということで、海保は、コンテナ船が風にあおられて岸壁などに接触したとみて、巡視艇と海上保安官2人を現場に派遣して、事故の状況や原因をさらに詳しく調べている。
出典
『四日市港岸壁にコンテナ船接触』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180817/3070000063.html
(2018年9月15日 修正1 ;追記)
2018年9月13日9時45分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
風で船が流されやすい中、不安を感じた船長が操縦を途中で水先人から代わった。
出典
『水先人が事故防止策を申し合わせ』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20180913/3070000257.html
この事故や8月28日に起きた貨物船が岸壁に衝突した事故を受け、伊勢湾や三河湾で大型船に乗り込む水先案内人の団体が再発防止策を申し合わせた。(別記事として掲載)
2018年5月10日17時43分にNHK兵庫から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午前10時10分ごろ、神戸市東灘区の六甲アイランドの岸壁に停泊していた長さおよそ140mの香港船籍のコンテナ船「SITC OSAKA」から火が出て、船に積まれていたコンテナ156個のうち6個が焼けた。
消防によると、船の乗組員18人は避難し、けが人はいなかった。
船の運航管理会社によると、この船は大阪で積み荷を降ろしたあと、神戸を経由して中国に向かう予定だったが、今月4日に神戸港沖で別の船と接触事故を起こし、六甲アイランドに停泊していたという。
焼けたのは、いずれも空のコンテナで、出火当時、事故で破損したコンテナを陸揚げしようと、コンテナどうしを結びつけていた金属製の金具をガスと酸素を吹き付けて高熱で切断する作業をしていたという。
消防と海保が、当時の詳しい状況や火事の原因を調べている。
出典
『停泊のコンテナ船火事けが人なし』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/2024590061.html
2017年9月23日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7587/
(2017年12月8日 修正2 ;追記)
2017年11月30日10時16分にniftyニュース(時事通信)から、運輸安全委員会の報告書が公表されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月30日13時46分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
(新情報に基づき、タイトルも修正した)
松江市沖で昨年12月、えい航中の底引き網漁船が転覆し乗組員4人が死亡、5人が行方不明になった事故で、運輸安全委員会は30日、調査報告書を公表した。
強風や高波、えい航に使われたロープの長さなど、傾きやすい条件が重なったほか、傾きを戻す「復原力」が低下していたと指摘した。
事故は昨年12月14日未明に発生。
鳥取県岩美町の田後漁協所属の「大福丸」(76トン)がズワイガニ漁を終えて戻る途中でエンジンが停止し、僚船(117トン)がえい航中に転覆した。
報告書によると、えい航のロープは、一部が水面に付くようにたるませるのが望ましい。
両船の場合は約200mの長さが必要だが、トラブルが重なったため、約100mの係船用ロープを使用。
たるまずに張られていたため、僚船の引っ張る角度が大きくなると傾きやすくなる状態だった。
当時は、強風・波浪注意報が出ていた。
大福丸は高波で左右に大きく揺れ、左舷側から強風を受けていたところに、僚船から右側に引っ張られる形となり、大きく傾いた。
また、甲板に新造時にはなかった揚網機やマストなど6トン以上を追加し、海水が入ったズワイガニ用の水槽7個計12トンを置いていたため、復原力は新造時の半分近くまで低下。
傾きを戻せなかったとみられる。
運輸安全委は、再発防止策として、構造物を追加する場合は復原力を十分に検討することや、えい航時は両船の全長の3倍のロープをたるませて使うことなどを挙げた。
船長ら4人は船内などから見つかったが、救命胴衣は着用していなかった。
出典
『傾きやすい条件重なる=荒天、えい航方法-9人死亡・不明の漁船転覆
・運輸安全委』
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12145-2017113000469/
『松江沖漁船転覆 構造物追加で復原力半減 運輸安全委』
https://mainichi.jp/articles/20171130/k00/00e/040/318000c
(ブログ者コメント)
以下は、運輸安全委員会から公表された報告書。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2017/MA2017-11-1_2016tk0016.pdf
2017年9月29日9時11分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
漁船用ロープや漁網などの海の漂流物が原因の船舶事故が、2016年までの10年間に約500件起きていることが、海上保安庁への取材で分かった。
漂流物が船のスクリューに絡まって立ち往生するケースが多く、衝突や転覆で人身事故に及んだケースもある。
非金属の漂流物はレーダーで検知するのが難しいことが事故多発の背景にあり、フェリー会社や漁師らが頭を悩ませている。
8月末、岡山県笠岡市沖の瀬戸内海で、本土と離島を結ぶ定期フェリーを運航する瀬戸内クルージング(笠岡市)のベテラン海技士、藤井さん(男性、42歳)は、操舵室から海面を見つめ、慎重にかじを握った。
片道約11kmの航路で、ビニールやロープ、流木など、6個の漂流物を見つけた。
「海面の色が変だったり、潮の流れがおかしかったりする場所に、漂流物があることが多い」という。
同社のフェリーは今年4月、笠岡・伏越(ふしごえ)港の岸壁に衝突し、乗客7人が転倒してけがをした。
接岸の際、スクリューを逆回転してブレーキを掛けようとしたが、海中にあったロープ(長さ約3m)が絡まり、船を制御できなくなったことが原因だった。
事故の際は別の社員が操船していたが、藤井さんが操船する際もスクリューに漂流物が絡まることが年2、3回あり、自ら海に潜って除去している。
海保によると、07~16年にあった全国の船舶事故約2万件のうち、漂流物が原因のものは497件あった。
漂流物事故の比率は少ないが、毎年50件前後が発生しており、重大な事故も起きている。
16年4月には、愛媛県の今治港で小型漁船が転覆し、漁師の男性(当時75歳)が行方不明に。
シャフトに網が絡まり、船のバランスが崩れたためとみられる。
過去3年間の事故(計141件)で原因となった漂流物は、ロープ62件、網40件、袋・シート10件など。
海保は、原則6m以上の大型漂流物が見つかった場合、航行警報を出して各船に伝えるが、確認されるのはごく一部。
漂流物が原因で年2、3回運航が遅れるという「佐渡汽船」(新潟県佐渡市)は専属ダイバーを雇い、絡まった漂流物を取り除くが、海中にある場合や夜間の航海では発見が難しいという。
神戸大大学院海事科学研究科の若林伸和教授(航海学)は、「波の影響もあり、肉眼で漂流物を判別するのは困難。望遠カメラや赤外線センサーなどを活用し、漂流物を検知するシステムの開発を急ぐべきだ」としている。
出典
『海の漂流物 船事故多発 10年で500件、検知困難で』
https://mainichi.jp/articles/20170929/k00/00m/040/135000c
(ブログ者コメント)
笠岡市の事例は本ブログでも紹介スミ。
2017年9月20日18時22分にNHK香川から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月24日14時23分にもNHK香川から同趣旨の記事がネット配信されていた。
20日午前11時ごろ、観音寺市にある観音寺港の岸壁で、液化ガスの運搬船、「第十八春日丸」の係留ロープを岸壁から船に巻き取る作業をしていたところ、ロープが岸壁近くにいた観音寺市の71歳の男性にあたった。
男性は転倒し、頭を強く打って意識不明となり、近くの病院に運ばれたが、24日午前、死亡した。
ロープは直径4cmくらいの太さがあり、警察は、近くにいた人や運搬船の船員から話しを聞くなどして、事故当時の詳しい状況を調べている。
出典
『係留ロープがあたり 男性が重体』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/8034102031.html
『係留ロープが当たった男性死亡』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/8034210691.html
(ブログ者コメント)
死亡した男性が関係者か一般人かは不明。
おそらくは関係者だと思うのだが…。
(2017年10月4日 修正1 ;追記)
2017年9月26日付で朝日新聞香川全県版(聞蔵)から、死亡した男性は無職だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
警察によると、事故当時、船の乗員3人が、岸壁のピットにロープを巻いて船を固定する作業中だった。
男性(無職)は、ロープが張った時に接触、転倒したとみられるという。
(ブログ者コメント)
ロープ巻き取り現場に一般人が近づいた場合、乗員が注意喚起すると思うのだが・・・・。
乗員が目を離した隙に近くに来たということだろうか?
2017年9月15日15時1分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
島根県沖で昨年12月、鳥取県岩美町の田後(たじり)漁協所属の底引き網漁船大福丸(76トン)が転覆し、乗組員4人が死亡、5人が行方不明になった事故で、行方不明者4人の親族13人が、近く、同船を所有する「D水産」(岩美町)と同社社長を相手取り、計約5億円の損害賠償を求める訴訟を鳥取地裁に起こす。
代理人弁護士が15日、明らかにした。
弁護士によると、原告側は、老朽化で安定性を欠いた船を出漁させたことや、エンジントラブルが発生したにもかかわらず海保に救助を依頼しなかったことなどにより、事故が引き起こされたと主張する方針という。
境海上保安部などによると、大福丸はズワイガニ漁から境漁港(鳥取県境港市)に戻る途中、エンジントラブルが発生。
助けを求めた別の漁船に引航されている間に転覆した。
出典
『「老朽化で漁船転覆」不明4人の親族、5億円賠償請求へ』
http://www.asahi.com/articles/ASK9H3FSLK9HPUUB005.html
(事故当時の報道)
2016年12月14日19時34分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
境海保などによると、大福丸はエンジントラブルを起こし、田後漁協所属の僚船が午前3時ごろから曳航していたが、約1時間後に見失った。
大福丸の船体は午後1時現在、確認されておらず、沈没したり流されたりした可能性があるという。
同漁協によると、大福丸は8日夜に境港市の境港からズワイガニ漁に向かい、14日朝に境港に水揚げする予定だったとみられる。
境海保によると、現場周辺では当時雨が降っており、17mの風が吹いていた。
波の高さは3~4mで、松江地方気象台によると、強風注意報と波浪注意報が発令されていた。
出典
『漁船転覆 トラブルでえい航中、1人死亡8人不明 松江沖』
http://mainichi.jp/articles/20161214/k00/00e/040/194000c
12月14日15時2分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「こんなに荒れたのは、この冬初めて」。
大福丸の転覆現場から1.6kmほど離れた美保関灯台の横で飲食店を経営する男性(77)は言う。
付近は横殴りの雨を伴う強風が吹き、海面には白い波が立つ。
海上保安庁の巡視艇とヘリコプターが捜索にあたる中、男性は「心配です。無事に戻ってきてほしい」と語った。
出典
『「こんなに荒れた海、この冬初めて」 9人乗り漁船転覆』
http://www.asahi.com/articles/ASJDG3D6XJDGPTIL006.html
12月15日13時30分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
重宝(じゅうほう)丸の甲板員、横山さん(52)にとって、大福丸の沖島船長は中学校の1学年先輩で、同じ水泳部だった。
事故があった14日も、船で現場海域を捜し回った。
重宝丸は、14日まで大福丸とともに漁に出ていた。
事故当時は強風が吹き、横波を受ける形になっていたという。
「漁に慣れている沖島さんでも、荒波やトラブルには勝てなかったのか。早く見つけたい」
出典
『「漁に慣れたあの人でも…」 転覆の漁船、海底で発見』
http://www.asahi.com/articles/ASJDH2STQJDHPTIL003.html
12月15日21時13分に産経新聞westからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会が派遣した船舶事故調査官3人は、周辺の海域一帯を見渡せる松江市の美保関灯台から現場を視察。
報道陣の取材に対しては、「大福丸の大きさでは、当時は大しけに近い状態だったのではないか」と説明し、エンジントラブルで別の漁船に曳航されていた点よりも気象の影響が大きかったとの見解を示した。
出典
『沈没の漁船内、船長と機関長が溺死 死者は3人に』
http://www.sankei.com/west/news/161215/wst1612150070-n1.html
(ブログ者コメント)
農林水産業関連の事故は、原則、掲載対象外だが、今回の事例は設備の老朽化や緊急時対応の不手際が問われている模様につき、紹介する。
(2017年10月3日 修正1 ;追記)
2017年9月29日20時5分に毎日新聞から、遺族が提訴したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
行方不明のまま死亡認定された乗組員4人の遺族が29日、船を所有していた「D水産」と同社社長に約4億5000万円の損害賠償を求める訴訟を鳥取地裁に起こした。
訴状などによると、遺族側は、大福丸が建造から30年以上が経過し、事故前から船が傾きやすく、電気系統などに不具合があったと指摘。
エンジントラブル後に海上保安庁へ通報しなかった点など、船長(死亡)への指導も不十分だったと主張している。
出典
『漁船転覆 不明者遺族が損害賠償求め提訴 鳥取地裁』
https://mainichi.jp/articles/20170930/k00/00m/040/107000c
9月29日17時6分に産経新聞westからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
船主が、エンジンの不具合を認識しながら、修繕を怠ったまま出航させたことなどが沈没につながったと主張する方針。
出典
『不明4人の遺族、船主提訴 昨年末の松江沖漁船沈没で』
http://www.sankei.com/west/news/170929/wst1709290067-n1.html
2017年8月21日19時13分にNHK岡山から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
21日午前6時半ごろ、香川県の海運会社から「タグボートの乗組員が意識不明になっていると船から連絡があったので救助してほしい」と海上保安部に通報があった。
玉野海上保安部が調べたところ、玉野市の玉港にある防波堤にタグボートが乗り上げていて、中で男性2人が倒れていたという。
調べによると、このタグボートは香川県坂出市の「O海運」が所有する「信栄丸2世」(16トン)で、2人はいずれも岡山市内の病院に運ばれたが、このうち船長で香川県高松市のSさんが死亡した。
また、乗組員の66歳の男性も意識が朦朧としていて、病院で手当てを受けているという。
海保によると、駆けつけた際、タグボートの中では異臭がしたということで、海保は何らかの原因で船内に有毒なガスが充満し、船長が中毒死した可能性があるとみて、詳しい状況を調べている。
タグボートは21日午前5時ごろに坂出港を出航し、玉野市内の造船会社に台船をえい航する途中だったという。
出典
『タグボートの船長死亡 ガス中毒か』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/4023200431.html
8月21日22時32分に山陽新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
21日午前7時ごろ、玉野市玉の防波堤そばの浅瀬に、O海運(坂出市)所有のタグボート・信栄丸2世(長さ11.85m、16トン)が乗り上げているのを玉野海上保安部が発見。
乗組員2人が操舵室の床に倒れており、船長のSさん(73)=高松市瀬戸内町=が意識不明で病院に搬送され、死亡が確認された。
もう1人の男性(66)=丸亀市=も意識が朦朧とした状態だったが、治療を受け、命に別条はないもよう。
玉野海保によると、診断結果などから、2人ともガス中毒の疑い。
発見時に操舵室のドア、窓は閉まり、調理器具があった。
同日午前6時半ごろ、大野海運から「乗組員が意識不明との連絡が船長からあった」と通報が入り、船を捜していた。
浸水が見られたが、油の流出はなかった。
玉野海保は、航行中に何かがあったとみて、経緯や死因などを調べている。
信栄丸2世は2人が乗り組み、同日午前5時ごろ、坂出市の坂出港を出港。
玉野市の造船所に向けて台船(長さ45m、幅16m)をえい航していた。
乗り上げ現場はJR宇野駅から南西約1.5km。
出典
『ガス中毒か タグボートの船長死亡 玉野で浅瀬乗り上げ、男性治療』
http://www.sanyonews.jp/article/583548
8月21日20時51分に読売新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2人に目立った外傷はなく、同保安部は排ガスによる中毒の可能性もあるとみて、原因を調べている。
出典
『排ガス中毒か、タグボートの船長死亡…岡山県沖』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170821-OYT1T50096.html
(2018年2月24日 修正1 ;追記)
2018年2月22日20時36分に山陽新聞から、初めて動かした空調用発電機の排ガスが原因だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
運輸安全委員会は22日、死因は発電機の排ガスによる一酸化炭素中毒とする報告書を公表した。
報告書によると、操舵室の空調用発電機が故障し、船長が新しいガソリン発電機を操舵室の扉の外に設置。
事故当日、冷房のため初めて動かしたが、発電機の排気口から操舵室の通風口までは約80cmしか離れておらず、排ガスが通風口から室内に流入したとみられる。
出典
『船長死因は一酸化炭素中毒と公表 玉野タグボート事故で運輸安全委』
http://www.sanyonews.jp/article/673041/1/?rct=jiken_jiko
2月22日12時20分にNHK岡山からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
22日、公表された運輸安全委員会の報告書によると、このタグボートはエアコン用の発電機を操だ室の扉の外側に設置していたが、実際に発電機を作動させたところ、排気ガスが通気用の窓から操だ室に流れ込み、室内の一酸化炭素濃度が上昇することがわかったという。
発電機は事故の2日ほど前に設置され、使用したのはこの日が初めてだったという。
報告書は、排気ガスが操だ室に流れ込んだことが事故の原因だと結論づけている。
報告書は、同じような事故を防ぐため、船に発電機を設置する際には、室内に排気ガスが入り込まないよう注意が必要だと指摘している。
出典
http://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/4025401721.html
2017年6月29日12時54分にNHK福島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年6月、いわき市の小名浜港で起きた作業船の火災について、国の運輸安全委員会は、「機関室の中で高温になった排気管に可燃物が付着して出火した可能性がある」とする報告書をまとめた。
この火災は去年6月6日の午前、いわき市の小名浜港に停泊していた作業船「第二海宝丸」から「船内から煙が出ている」と消防に通報があり、機関室などが焼けたもの。
この火災について、国の運輸安全委員会が船体などを調査して出火の原因などを調べ、その結果を報告書にまとめて、29日、公表した。
それによると、火が出る前に船長が機関室の中にある金属製の排気管から白い煙が出ているのを目撃していたことや、機関室の焼け方が特に激しかったことから、「機関室の中で高温になった排気管に可燃物が付着して出火した可能性がある」と結論づけた。
一方、作業船は火災のあとにいったん水没し、燃えがらなどが海に流出してしまったことから、詳しい状況については特定できなかったとしている。
報告書では、今回、船長が白い煙を目撃した際に、ふだんの航行の際に出ている煙と思い込み対応を取らなかったことから、同じような船の火災の被害軽減に向けては、煙を見つけた際の火災を想定した適切な措置や、火災警報装置の設置などが役立つと指摘している。
出典
『作業船火災で運輸安全委が報告書』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/6054665811.html
以下は、運輸安全委員会報告書の抜粋。
「事故の経過」
本船は、船長及び甲板員1人が乗り組み、平成28年6月6日09時30分ごろ‘小名浜港4号ふ頭に係留されている台船’(以下「本件台船」という。)から補油の目的で小名浜港1号ふ頭に移動し、10時00分ごろ1号ふ頭の岸壁に係船した。
船長は、主機を止める目的で機関室に入った際、主機の過給機出口排気管の上部から白煙が出ているのを認めたが、ふだん、運転を続けていると白煙が消えていたので、主機を止め、10時20分ごろ補油に立ち会った。
本船は、10時40分ごろ補油が終了し、操舵室で主機を始動して本件台船に向かい、11時05分ごろ本件台船の南側で回頭し、出船左舷着けで係留することとした。
船長は、後進をかけて船尾方を見たところ、操舵室の船尾側にある船員室内の機関室出入口から黒煙と炎が噴出しているのを発見し、前部甲板左舷側にいた甲板員と共に本件台船に飛び移り、11時10分ごろ119番通報を行った。
・・・・・
「その他の事項」
船長は、月に数回主機の保守運転をしており、運転するたびに、本事故時に白煙が発生した場所の上部にある排気管の連結部付近から白煙が出ていたが、運転を続けていると白煙が消えており、本事故当時、主機を停止するので、今回も消えると思っていた。(写真1参照)
「分析」
本船は、船長が、本事故の前に主機の過給機出口排気管の上部で白煙が生じているのを認めていること、及び機関室の過給機付近の焼損が激しいことから、主機の過給機出口排気管の高温部に可燃物が付着し、加熱されて出火し、周囲にあった可燃物に延焼した可能性があると考えられるが、本船が水没して引き揚げられたものの、出火場所付近の残留物が流出したことから、出火した状況を明らかにすることはできなかった。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2017/MA2017-6-8_2016sd0035.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。