







2025年3月26日11時43分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運行トラブルが相次いできた熊本市電で25日、市電の車両同士が追突事故を起こし、7人のけが人が出た。
熊本市中央区の「熊本城・市役所前」電停で午前8時半ごろ、前方に停車していた車両に後から来た車両が衝突。
レール上にはオイルが付着して滑ったあとがあり、国の運輸安全委員会が現場を保全して事故原因の調査に入った。
市交通局によると、乗客26人を乗せて電停に停車していた車両に、後ろから31人を乗せて来た車両が追突した。
搬送された乗客6人は20代~50代の男女で、後続の車両に乗っていた。
2人が肋骨(ろっこつ)を折り、2人が足を縫う手術を受けた。
ケガをした運転士は40代で、先行車に乗っていた。
レール上のオイルは左右両方にあり、市交通局では市電の車両から漏れた可能性が高いと見ている。
疑われているのは、車両の老朽化だ。
熊本市電は45編成を保有しているが、半数が製造から60年以上経過している。
追突事故を起こした2両も1950年代の製造で、市が耐用年数の目安とする30年を大幅に超えている。
市交通局は、車輪の軸受けやブレーキ系統にオイルを使っている14編成の緊急点検に入った。
残りの車両で折り返し運転をすることで、一部区間の運行を再開した。
熊本市電では昨年も年間16件の事故やトラブルが起きた。
年末にはレール幅の広がりから脱線事故が起き、レールも古さが指摘されている。
全線12キロのうち4割が設置から30年を超えており、交換を急いでいる。
荒木・運行管理課長は「安全対策を進めるなかで重大事故を引き起こし、大変に申し訳なく、重く受け止めている」と陳謝した。
https://www.asahi.com/articles/AST3T52X4T3TTIPE005M.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
3月26日9時0分に読売新聞九州版からは、追突車両は先行電車との距離が100m以下になっても内規を超えた時速27kmで走行し、50m手前でブレーキを、20m手前で非常ブレーキをかけたが、減速できずに時速17kmで追突した、運転士はブレーキの利きが悪かったと話しているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市交通局では、先行車両との距離が100メートル以下になった場合、時速15キロ以下に減速するよう内規で定めていた。
追突車両は時速27キロで走行し、約50メートル手前でブレーキ、約20メートル手前で非常ブレーキを操作したが減速せず、時速17キロで衝突した。
市は重大事故として国土交通省九州運輸局に報告し、同局は再発防止策に万全を期すよう文書で警告した。
市交通局は記者会見で、衝突地点から約60メートル手前までレールに油のようなものが付着していたと明らかにした。
運転士は「ブレーキの利きが悪かった」と話しているという。
同局は通常なら止まれる距離だったとしており、油のようなもので滑った可能性に言及した。
市電車両の3分の1はブレーキ作動に油を使っており、これらの車両から漏れ出た可能性があるという。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250326-OYTNT50041/
(2025年4月5日 修正1 ;追記)
2025年4月4日20時1分にYAHOOニュース(テレビ熊本)からは、熊本市電では6割の車両に速度計が設置されていない、国は運転士の国家試験項目に速度認識技能が入っているからと現状追認、他の都市の路面電車でも速度計のついていない車両は結構あるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
■熊本市電全車両に「速度計」設置を検討
熊本市電の事故では、追突した電車が「100メートル以内に前の電車がいる場合には時速15キロ以内に減速する」としている国の規則に違反した可能性があります。
法律などでは路面電車に速度計の設置を義務付けていません。
しかし、今回の事故で追突した電車には速度計が付いていなかったことから、熊本市の大西市長は3日、すべての電車へ速度計の設置を検討すると表明しています。
■大臣 「国家資格で技能を定期的に確認している」
一方、中野大臣は4日の閣議後の記者会見で、「路面電車を運転する国家資格では、どの程度の速度で走っているかを速度計を見ずに認識する技能や、前との距離を認識する技能が備わっていることを定期的に確認している」として、現状の制度を追認する見解を示しました。
そのうえで「今回の事故を受けて行われている国の運輸安全委員会の調査結果も踏まえて、輸送の安全確保に必要な対応をとっていく」と述べました。
■「速度計」と「運転士の肌感覚」専門家の見解
熊本市交通局では、運行している車両(全45両)のうち19両に速度計を設置していて、設置率は約42%です。
速度計がない車両の速度は「運転士の肌感覚」によって制御しています。
鉄道の安全管理に詳しい関西大学の安部誠治名誉教授(72)は、「速度計を設置せず、速度制御を人間の感覚に任せるのは、安全管理上、適切ではない」として、早急な設置が望ましいとしています。
また、路面電車に速度計の規定がない理由については「路面電車は100年以上の歴史があり、現代とは異なる交通事情の中で導入された規制が、現在も残っているためだろう」と分析しています。
■他の都市では?全国の事業者に聞く
RKKは、全国で運行されている路面電車のうち12の事業者に「速度計の設置状況」を取材しました。
他にも「後付けした車両があるか」や、速度計がない車両がある場合は「速度の判断方法」「車両の運行条件」など、合計4つの項目について確認しました。
そのうち、未回答の項目も含めて9事業者から得た回答と、熊本市電の状況は以下の通りです。
■「路面電車」10事業者と「速度計」の設置状況
【熊本市交通局】
約42%(45両中19両) 運転士の肌感覚
【長崎電気軌道】
約15%(68両中10両) 運転士の感覚で判断 感覚の維持修正のため速度感養成研修を毎年実施
【鹿児島市電】
約54%(55両中30両) 技能教育訓練において、速度観測・制限の訓練を実施 速度の判断ができるようにしている
【広島電鉄】
「設置割合は非公表だが、設置していない車両もある」
【富山地方鉄道】
約67%(30両中20両) 経験則で判断
【札幌市電】
100%(36両)
【函館市電】
100%(32両)
【宇都宮ライトレール】
100%(17両)
【東京都電 荒川線】
100%(33両)
【とさでん交通】
非公表
速度計の設置率が「100%」と回答した事業者のうち、「東京都電 荒川線」を運行する東京都交通局や、「札幌市電」を運行する札幌市交通事業振興公社は、「後付けで設置した車両もある」と回答しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/517c71f80144968d190eec18cd3f86801b4a8e75
4月4日20時1分にYAHOOニュース(テレビ熊本)からは、運転士の中にも速度計があった方が心強いという声があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今回の事故によって市は、車両への速度計設置を検討する方針を明らかにしました。
【尾谷キャスター】
「こちらは2009年製造の比較的新しい車両の運転席です。
たくさんのスイッチがありますが、真ん中に速度計があります。
運転する人の視界に常に入る位置に設置されています」
「一方、こちらは追突した車両と同型の運転席。
運転席自体が狭い空間です。
ブレーキレバーなどありますが、速度計は見当たりません」
市交通局によりますと、速度計が設置されているのは1982年以降製造の車両で、保有する45編成のうち19編成に速度計はありません。
【市交通局運行管理課 荒木課長】
「軌道法上、設置しないといけない義務はないということです。
もともと免許を取るときに速度感覚も試験項目に入っており、そこでまず運転のスピード感覚はプロとして把握できるということを確認している」
免許取得後も運転士に対しては、局内で実務検定を毎年実施して確認、追突した車両の運転士はいずれもクリアしていました。
【荒木課長】
「運転士の補助的なものとしては生かせると思っていますので、積極的につけていく方向で検討したいと思っています」
市交通局は大西市長の指示も受け、今後古い車両への速度計設置を検討する方針です。
今回の事故で追突した車両は1956年製で、速度計はついていませんでした。
市交通局によりますと、運転士の中にも「速度計があった方が心強い」という声があるそうです。
これまで人の感覚に頼ってきた運転技術。
ここへきて、さらなる安全性の確保が求められていると言えそうです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/caac54958f6ce8790a994839a9f857f019e82780
2025年3月16日11時57分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が外れた蓋の写真付きでネット配信されていた。
15日午前10時半ごろ、愛知県内を走行していた東京発新大阪行きの東海道新幹線「のぞみ317号」の16号車の窓ガラスにひびが入っているのを乗客が見つけた。
JR東海によると、16号車の乗客約60人は別号車に移動し、列車は一時、速度を落として走行したという。
乗客にけがはなかった。
同社が設備点検をしたところ、豊橋―三河安城間にある坂野坂トンネル内の線路脇にある信号・通信ケーブルを覆うふたが外れているのがみつかった。
ふたは縦約30センチ、横幅約40~60センチ、厚さ約3ミリ、重さ約4キロの鉄板。
このトンネルでは12日から13日朝にかけて通信設備関連の工事を行っていたが、その際にふたを固定するボルトの締め付けが不十分だったという。
列車が通過する際の振動や風でふたが外れてはね上がり、窓ガラスに当たったとみている。
https://www.asahi.com/articles/AST3J0TFFT3JOIPE001M.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
2025年3月6日21時20分に読売新聞から、下記趣旨の記事が連結器外れ状況の模式図付きでネット配信されていた。
東北新幹線が走行中に連結器が外れたトラブルを受け、JR東日本の池田・新幹線統括本部長が6日、東京都内で記者会見し、「列車の運行においてあってはならない重大な事態を引き起こし、新幹線の信頼を大きく損なってしまった」と謝罪した。
東北新幹線は昨年9月にも同様のトラブルがあり、乗客の信頼を揺るがす事態となっている。
この日連結器が外れた「こまち」はJR東が、「はやぶさ」はJR北海道が所有している。
昨年9月のトラブルでは、連結器を強制的に分離するスイッチの裏側から金属片が見つかり、この金属片の影響でスイッチが誤作動した可能性が高いことが判明。
今回の2編成を含めた連結運転を行う新幹線全96編成の点検を実施していた。
JR東が連結が外れたこまちを点検したところ、連結器に破損はなかったが、電気系統に不具合があり、分離動作が行われた形跡が確認されたという。
池田本部長は前回とは異なる原因との見方を示した上で、「こまち側にある可能性が高いとみている」と述べた。
分離した「こまち」と「はやぶさ」は緊急停車から約3時間後、別々に大宮駅(さいたま市)まで移動。
乗客は後続列車に乗り換えるなどして目的地に向かった。
今回のトラブルで東北新幹線など計277本に運休や遅れが生じ、約15万3000人に影響が出た。
日本大学の綱島均・特任教授(鉄道工学)は、「立て続けに2度も新幹線が分離するトラブルが発生するのは異常事態。信頼回復には徹底的な原因究明と対策が必要になる」と指摘した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250306-OYT1T50196/
3月7日21時28分に読売新聞からは、昨年のトラブルと同じ事業者、同じ車両形式だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東日本は8、9日も異なる編成をつなげる「連結運転」を取りやめる。秋田新幹線は盛岡―秋田駅、山形新幹線は一部を除いて福島―新庄駅で折り返し運転し、東京方面との直通を中止するなどしたため、輸送力は1日約2万7000席減少。東北新幹線は7日朝から激しく混雑した。
JR東によると、7、8日の連結運転の取りやめによる運休・区間運休は山形、秋田両新幹線で1日あたり計60本以上。乗客は福島、盛岡両駅で乗り換えが必要となる。東北新幹線でも一部で車両数を減らして運行している。JR東は自社による原因調査と対策の実施が済むまで、連結運転を中止する。
一方、運輸安全委員会は7日、連結の外れた車両が収容されたJR東の新幹線総合車両センター(宮城県利府町)などに鉄道事故調査官3人を派遣し、原因の調査を始めた。異常の起きた連結器や運転状況の記録データの確認を進める。
足立雅和調査官は同センター前で報道各社の取材に応じ、「(昨年9月のトラブルと)同じ事業者、同じ車両形式で起きた点に注目している。原因を解明し、二度と起こらないよう対策を提言したい」と語った。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250307-OYT1T50205/
2025年3月6日17時49分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午前11時すぎ、南部の長万部町の室蘭線で、小幌駅と静狩駅の間のトンネルを走行していた札幌発函館行きの特急「北斗」6号の運転士が異音に気づいて列車を停止しました。
その場で車両点検を行ったところ、乗客や乗務員にけがはなく、列車はそのまま走行できる状態だったことから運転を再開したということです。
JR北海道によりますと、その後の現地調査で、この特急列車の先頭車両が、「軌道自動自転車」と呼ばれる保線作業員の移動のため線路の上を走る動力付きの自転車と接触したことが分かったということです。
この動力付きの自転車は4日使用されたあと、列車が通るトンネルと接続する「連絡坑」と呼ばれる別のトンネル内に保管されていたということです。
JR北海道は、何らかの原因で動力付きの自転車が動き出し、一部が線路にはみ出して特急列車と接触したとみて、当時の状況や原因を調べています。
JR北海道をめぐっては、◇去年11月に函館線の砂川駅構内で安全管理を怠ったまま保線作業を行った上、社内で虚偽の報告がされていたとして、北海道運輸局が臨時の保安監査を行っているほか、◇去年12月からことし1月にかけて、列車の運行を管理する輸送指令や駅の承認を得ずに除雪作業を行っていた事案が明らかになるなど、安全管理体制が厳しく問われる事案が相次いで明らかになっています。
【JR北海道が記者会見】
JR北海道工務部の向井副部長は記者会見で「ご心配をおかけしていますことをおわび申し上げます」と陳謝しました。
JR北海道の会見によりますと、特急列車と接触した「軌道自動自転車」と呼ばれる保線作業員の移動のため線路の上を走る動力付きの自転車は、当時、列車が通る上りと下りのトンネルを接続する「連絡坑」と呼ばれる別のトンネル内に保管され、上り線に近い場所にあったとみられるということです。
接触のあと現場付近を調べたところ、連絡抗の下り線側にある扉が開いた状態になっていて、JR北海道は下り線を別の列車が通過した際に風圧によって「軌道自動自転車」が上り線の線路に押し出された可能性があるということです。
JR北海道で安全管理体制が厳しく問われる事案が相次いで明らかになっていることについて、向井副部長は「起こったことは事実と受け止めて、いっそうの指導をしていきたい」と述べました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20250306/7000073842.html
3月6日16時27分にYAHOOニュース(北海道文化放送)からは、当該自転車はつららを落す作業に使っていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道は3月6日に会見を開きました。
以下は会見で明らかにしたことです。
・つららを落とす作業で軌道自動自転車を使っていた。
・直近で使い終わったのは3月4日の朝。
・当該車両は切り替え状態で手押し状態になっていた。
Q.手押し状態になると動くのか?
A. 「風でも動く可能性がある」
Q.慣例で決まっていることは?
A.「ギアを入れた状態で留置をすることになっている」
「車輪止めを置くことになっている」
・連絡坑の扉が、通常は締まっているが、開いていた。
・下り線の列車が通過した時の風圧で上り線に置いてあった軌道自動自転車が押された可能性がある。
・連絡坑には軌道自動自転車が3台あった、そのうちの1台が出て行ってしまった。
JR北海道は「必ず扉を閉める」など対策を徹底するとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c4b403a6f12ab74a6ceb68593592012ff3274c50
3月6日18時55分にYAHOOニュース(HTB)からは、自転車はトンネル内の連絡通路に、通常は動かないようにして保管しているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道は夕方に会見を開き、自転車はトンネル内の連絡通路に保管されていて、事故当時扉は開いていたということです。
JR北海道鉄道事業本部 向井副部長:
「通常は扉が閉まっています。今回は扉が開いているのが分かっていて、下り線に列車が通った時の風圧で上り線の横にあった軌道自動自転車が押されたのではないか。」
通常、自転車はタイヤに留め具を入れるなどして動かないように保管しているということです。
JR北海道は人為的なミスの可能性もあるとして原因を調べるとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e48291a19b55482b25458bc510428b12104f31db
(ブログ者コメント)
東北新幹線での硫酸漏洩事故は本ブログでも紹介している。
2025年2月25日17時59分に時事通信から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東北新幹線の車内で2023年、ペットボトルから漏れた硫酸で乗客がやけどを負った事故を受け、JR旅客6社は25日、列車内への危険品持ち込み規制を強化すると発表した。
一定の条件で持ち込み可能だった硫酸や塩酸は4月以降、バッテリー液やトイレ洗浄剤といった日用品以外は持ち込み不可とする。
これまで国鉄時代に制定した旅客営業規則に基づき、破損しない密閉容器に入れていれば、硫酸や塩酸といった強酸類は500ミリリットル以内であれば持ち込み可能としていた。
しかし23年10月、地質調査会社社長が東北新幹線車内に持ち込んだ硫酸が漏れ、男児や両親がやけどを負う事故が発生。
列車内に持ち込める危険品を、小売店で購入できる製品などに限定する必要があると判断した。
2月25日17時12分に産経新聞からは、国交省の改正ガイドラインに基づき規制が強化された、国交省は万博テロ対策も見据えJRをモデルケースとするよう他の鉄道事業者に通知したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東北新幹線の車内事件を受け、国土交通省は今年2月、「鉄道テロへの対応ガイドライン」を改正。
JR各社は危険物の分類方法を見直し、硫酸と塩酸、他の物質と混ざると爆発の恐れがある「さらし粉」の3種類を新たに指定した。
国交省によると、鉄道事業者は省令に基づき、危険物に関するルールを策定。
JR東日本の場合、強酸類は原則禁止だが、密閉した容器に入れて破損しないようにした上で、0・5㍑以内であれば「手回り品」として持ち込みを認めている。
一方、国交省は25日、4月に開幕する大阪・関西万博のテロ対策も見据え、列車内の持ち込み品に関するJR6社のルール改定をモデルケースとして、他の鉄道事業者も導入を検討するよう通知した。
https://www.sankei.com/article/20250225-BRBFIVQW55HWLDPENN6QGR6N5M/
2月25日15時17分にImpress Watchからは、同様の見直しを行っている私鉄名など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JRグループや私鉄各社は、火薬類や毒物など「危険品」の列車内への持ち込み規制を4月1日より強化する。
現在は列車内への持込みを認めている一部 「危険品」の持込みが禁止される。
同社では、可燃性液体、高圧ガス、火薬類、毒物、農薬などの「危険品」の列車への持ち込みを、運送約款により原則禁止にしており、4月1日より運送約款に規定している 「危険品」の項目および分類方法などを見直す。
見直し内容では、例外的に手回り品として列車内に持ち込める「危険品」を、鉄道運輸規定(昭和17年2月鉄道省令第3号)で認められているもの、および日常の用途に使用する小売店などで通常購入できる製品に限定する。
これにより、現在は列車内への持込みを認めている一部の「危険品」の持込みが禁止される。
具体的には硫酸・塩酸で、密閉した容器に収納している場合であっても、バッテリー液やトイレ用強力洗剤等の日用品を除き、一切持込み禁止となる。
また、可燃性液体そのものは引き続き一切持ち込み禁止とする。
今回の見直しは、国土交通省が定めている 「鉄道テロへの対応ガイドライン」において、JRグループの見直し内容がモデルケースとして示されており、同省から全国の鉄道事業者に対して周知。
これを参照して必要に応じて運送約款の見直しを実施することが推奨されている。
この周知を受けて、私鉄各社でも同様の見直しを行なっている。
JRグループのほか、東武鉄道、西武鉄道、京成電鉄、京王電鉄、小田急電鉄、東急電鉄、京急電鉄、東京メトロ、相模鉄道、名古屋鉄道、近畿日本鉄道、南海電鉄、京阪電鉄、阪急電鉄、阪神電鉄、西日本鉄道、札幌市交通局、仙台市交通局、東京都交通局、横浜市交通局、名古屋市交通局、京都市交通局、Osaka Metro、神戸市交通局、福岡市交通局などが対応する。
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1665449.html
2025年2月9日15時59分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR各社で、夜間の営業終了後や運行の合間を縫って実施してきた線路の保守作業について、日中に路線を運休して集中的に行うケースが広がっている。
作業員の人手不足が問題となる中、仕事を続けやすい環境を整える狙いがある。
「保守工事で運休だとは思わなかった」。
山口県周南市のJR徳山駅で昨年12月26日、岩徳線に乗車しようとした同県防府市の女性(71)は戸惑いの表情を見せた。
JR西日本の岩徳線岩国―徳山間では、同11月から2月7日までの平日15日間の午前9時半~午後4時、レールや枕木の交換を集中的に行った。
この時間帯の列車上下各2本は各日、運休した。
女性は老人ホームで暮らす母のもとを訪ねる予定だったといい、「あきらめるか、バスを探します」と話した。
JR西によると、2019年頃から同様の取り組みが本格化した。
当初は中国地方が主だったが、福井県を中心とする小浜線などにも広がり、昨秋は京都府などの関西線や、滋賀県などの草津線でも実施した。
昼間に運休しても影響が限定的なローカル線が中心だ。
背景にあるのは、人手不足だ。
24年度の社員数は2万4300人と、10年前の3万170人から約2割減少。
保守作業を行う要員も減っている。
人員数に応じ、効率的に作業を進めるため日中に行うことにした。
不規則な勤務を減らして労働環境を改善し、離職を防ぐ狙いもある。
明るい時間帯に作業するため、ミスや事故の防止にもつながるという。
沿線住民らを対象にした作業の見学会も積極的に開催している。
JR西は「お客様にご迷惑をおかけすることになるが、理解してほしい」としており、実施線区の拡大を検討している。
JR九州は10年度頃から、JR北海道も19年からそれぞれ、運休を伴う昼間の工事を行っている。
JR四国は、2月12日から、愛媛県南部の予讃線八幡浜―宇和島間で初めて行う。
平日の5日間、各日特急・普通計14本を運休させ、敷石の交換や線路沿いにある樹木の伐採を行う。
関西大の安部誠治名誉教授(交通政策論)は「線路設備の維持管理は、鉄道の安全を守る上で極めて重要だ。作業員の高齢化や人手不足が深刻化する中、夜間の作業を日中に置き換えるだけでなく、ロボットなど最新技術を有効に活用していくことが求められる」と指摘する。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250209-OYT1T50044/
2025年2月4日8時0分にYAHOOニュース(読売新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
通勤・通学など、日々の移動に欠かせない電車で今、不安な出来事が起きています。
JR中央線・総武線の『中野南乗務ユニット』に所属する運転士らの間でナゾの体調不良が相次ぎ、“中電病(なかでんびょう)”と揶揄される事態に。
オーバーランなどのミスが続出していますが、多くの運転士に共通するのが、「記憶が曖昧」という供述です。
一体、何が・・・?
■深刻な事態招く恐れも…目撃者が語る“中電病”の実態「魂が抜けた人形のようだった」
今、JR中央線・総武線の三鷹⇔千葉間で、運転士の体調不良が相次いでいます。
中でも、『中野統括センター中野南乗務ユニット』に所属する運転士の乗務中断が急増。
今年度だけで19件、2024年11月までの3年間で43件も起きています。
一方、千葉にある『津田沼統括センター乗務ユニット』は、今年度2件のみとなっています。
2024年11月20日、停止位置の7m手前で停止してしまった『中野南乗務ユニット』所属の運転士は、「睡魔に襲われ、居眠りしてしまった」と話しました。
その翌日には、別の所属運転士が体調不良で運転士交代となり、20分間の運転停止に。
他にも、「意識が朦朧とした」「速度の感覚が鈍くなった」「記憶が曖昧(多くの人で共通)」といった供述もあり、オーバーランが多発しています。
これらの状況を目撃した社員は、「魂が抜けた人形のようだった。目の焦点が合っていなかった」と話しているということです。
実際に取材した『中野南乗務ユニット』所属の運転士(40代)は、「家に帰って、寝て起きたら、当時の記憶が断片でしかなかった。同様の体調不良で、オーバーランを2回してしまった。血液検査・MRI・脳波の検査をしたが、異常はなかった。持病や、服用している薬はない」と話していました。
所属運転士からは、「職場の飲み水に睡眠成分でも混入されているのでは?」という不安の声が出ています。
そして、中野南乗務ユニット(旧『中野電車区』)は通称“中電(なかでん)”といわれていたことから、運転士らの間で“中電病”と囁かれているということです。
Q.体調不良を訴えた運転士のほとんどに、持病はないそうですが…。
『読売テレビ』野村解説委員)
「これは、『不思議』だけでは済まされません。
乗客の命を預かる鉄道業で、運転士がオーバーランをしているというのは、過去には大事故に繋がったケースもあります。
JR福知山線脱線事故でも、後々調べたらオーバーランが何回かあったとか、そういう話も出てきました」
■水質調査や空気成分測定も異常なし、勤務体制については意見割れるも「共通の原因は見つからず」 神主を呼び安全祈願も…
厚労省も、特定の職場で体調不良が相次ぐ事例は過去にないとしています。
原因特定は困難ですが、一般論として考えられる理由として、産業医で関西福祉大学の教授・勝田吉彰氏は「勤務体制の問題や、建材・内装材・家具から放散される化学物質による眠気や体調不良の可能性もゼロではない」との見解を示しています。
JR東日本も、2024年夏から調査を開始。
しかし、水道やポットなどの水質調査は異常なし、空気成分も測定しましたが異常なし、さらに神主を呼んで安全祈願までしましたが、その後も5件発生したということです。
他にも、ベッドやロッカーを交換や壁紙の張り替えまで行い、産業医を交えた対策チームを発足させました。
ただ、勝田氏も指摘した勤務体制については、労働組合側と会社側で意見が分かれています。
労働組合によると、2019年に勤務制度が改正され、日勤の拘束時間が10時間から1時間延びて11時間に、泊まり勤務は20時間から2時間延びて22時間になりました。
また、泊まり勤務では、車両の点検やベッドメークで実質4時間の仮眠しか取れていないということです。
そして、2020年にジョブローテーション(配置転換)ができて経験の浅い人も入るようになり、経験の浅い人をベテランが支える形で人員不足なども起きたため、休日出勤が増加したと主張しています。
一方、JR東日本は、「勤務制度は改正されたが、乗務距離や拘束時間はほとんど変更なし」「ジョブローテーションはあったが影響はない」と主張しています。
ただ、体調不良の原因については、労働組合は「労働環境の変化とみているが不明」、JR東日本は「ここ2か月弱は発生しておらず、共通の原因は見つかっていません。お客様に迷惑をかけたのは事実。迷惑をかけないのが弊社の務めです」と話しています。
Q.過密なダイヤの中、日々動いている電車で、原因がわからない体調不良は怖いですね?
(野村解説委員) :
「社内で協議して、偉い人が決裁して、『神主も呼ぼう』というところまで深刻に考えているんだと思います。
だとすれば、組合側の言い分や線路のカーブなど、そういう細かい違いについても考えているでしょう。
ただ、いまだに科学的に全然わからないとなっているわけだから、もっと調べる必要があると思います」
安心安全であるべき電車で起きている、謎の体調不良。
一刻も早い原因究明が待たれます。
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年1月17日放送)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5ee442dcfbb0c40122a31a825d60afd34d96f742
2025年2月1日7時26分に読売新聞から下記趣旨の記事が説明図付きでネット配信されていた。
北海道砂川市のJR函館線砂川駅の上り線で昨年11月、走行中の貨物列車(20両編成)が直前に線路上にいた保線作業員3人に気づき、緊急停止したことが31日、JR北海道への取材でわかった。
作業員はいずれも待避して無事だったが、列車は作業員がいた地点を過ぎてから止まった。
作業員はJR北の社内規定を守らずに作業し、列車の接近を知らせるのに不可欠な見張り役も配置していなかった。
重大事故につながりかねず、専門家は組織としての安全意識の低さを指摘する。
走行中の列車と現場作業員が異常接近するトラブルは「待避不良」と呼ばれる。
読売新聞が入手したJR北の事象報告書などによると、待避不良が起きたのは昨年11月9日午前1時40分頃。
北旭川発札幌貨物ターミナル行きの貨物列車が通過のため砂川駅に進入した際、運転士は約400メートル先の駅構内の線路上に作業員3人がいるのを発見し、汽笛を鳴らして非常ブレーキを作動させた。
作業員は気づいて線路を離れたが、列車はそのまま走り続け、作業地点から約100メートルを過ぎてようやく停車した。
社内規定では、線路内に立ち入って作業をする際、列車が前の駅を通過・出発する時間までに待避するよう定めている。
砂川駅の待避不良では、列車が滝川駅を通過する時刻の午前1時31分には線路を離れる必要があったが、作業員は「接近時間を失念していた」と説明。
列車は時速85キロで走行し、作業員は約17秒前に気づいたことになる。
当時は線路の間に設置した「絶縁ブロック」という部品を交換し、仕上げの作業をしていたという。
また線路内の作業では、前方と、隣の線路を監視する「列車見張員」「隣接線見張員」をそれぞれ配置し、列車見張員は無線で作業員に列車の接近を伝えるとともに、作業中を知らせる赤色のLEDライトを点灯させる決まりになっている。
だが砂川駅では見張員がゼロで、LEDライトも設置していなかった。
理由について、作業員は「マニュアルで定められた保安体制を取るより、作業を(効率よく)遂行することを優先してしまった」と釈明。
さらに「函館線は夜間の貨物列車の本数が少なく、見張員を配置しなくても接近時間が把握できると思った」と述べたという。
JR北は「作業員の命を失いかねない事態で、ルールが守られていない中で起きたことは重大だと受け止めている。これまでもルールを守る重要性について指導をしてきたが、引き続き徹底する」とコメントした。
国土交通省は「鉄道事故等報告規則」で脱線事故や衝突事故、輸送障害などがあった場合、鉄道事業者に報告を義務づけている。
同省北海道運輸局は、今回の砂川駅の待避不良は該当しないことから、JR北やJR貨物から報告は受けていないとしている。
■死傷事故 全国で
全国では、保線作業員が列車にはねられて死傷する事故が相次いでいる。
昨年12月には浜松市のJR東海道線高塚駅近くの線路で交換用レールを溶接していた作業員が貨物列車にはねられ、死亡した。
2023年4月にも富山市の富山地方鉄道で、枕木の下に砂利をまいていた作業員が列車と接触し、亡くなっている。
■仰天するような大問題
日本大の綱島均・特任教授(鉄道工学)の話 :
「見張員を配置しないなど基本ルールが全く守られていないのは大問題だ。
仰天するような話で、他の鉄道事業者でも聞いたことがない。
ヒヤリハットというレベルを超え、重大インシデントに該当しかねない事案で、JR北は安全に対する姿勢が足りないと言わざるを得ない。
現場任せにせず、安全の取り組みが実効性を持って行われているか総点検すべきだ」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250201-OYT1T50043/
2月2日14時43分にYAHOOニュース(北海道文化放送)からは、作業中を示すLEDライトもつけられていなかった、岩見沢駅でも類似ヒヤリがあったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
JR北海道の社内規定では、列車の接近を確認する監視員の配置やLEDライトをつけて作業中であることを示すことが義務付けられていますが、当時はいずれも実施されていませんでした。
この事案を受けての社内調査に対し、作業員は当初、「道具を忘れて取りに戻った」という旨の説明をしていましたが、一転して、「実際は、そのまま保線作業をしていた」と説明内容が変わったため、同社は理由を詳しく調べています。
また、2024年8月4日深夜~5日未明にかけての岩見沢駅~峰延駅間の保線作業の際にも、現場の責任者が誤って線路の閉鎖を解除し、作業中にも関わらず、約20分間列車が走行できる状態になっていました。
このとき列車の通過はありませんでしたが、責任者がすべての作業が終了したと勘違いしたということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2ddfff866a2bf668bf01d25659a20e29fde49e07
(2025年2月13日 修正1 ;追記)
2025年2月12日16時3分にYAHOOニュース(HTB)からは、工具を取りに戻ったという虚偽報告の口裏合わせを上司が作業員全員に指示していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づきタイトルも修正した)
道運輸局は12日、臨時の保安監査に入りました。
午後1時すぎからJR北海道の本社で始まり、安全管理体制などの確認が行われています。
・・・
その後の社内調査に対し、保線作業員が「工具を忘れたので取りに戻った」と虚偽の報告をしていたことが発覚。
さらに虚偽報告の発覚を恐れた上司が、作業員全員に対し虚偽報告の内容が正しいとするよう伝えたうえ、辻褄を合わせるため現場報告書の内容を改ざんしていたことなども明らかになりました。
鉄道事故に詳しい専門家は、安全管理に対するJR北海道の姿勢を厳しく批判します。
鉄道工学リサーチセンター 綱島副センター長) :
「絶対にやってはいけない、それによって保安監査が入るので非常に重大な問題であると認識」。
JR北海道に対する道運輸局の臨時保安監査は、レール検査データの改ざんが発覚した2013年の貨物列車脱線事故以来です。
綱島副センター長) :
「世の中から非常に厳しい目で見られているそういうことを経験している会社なんです。
手順から逸脱しているのはわかりながら、現実はこうしないと作業ができないからやっていたということを、上層部が理解していなかったこともあるのかもしれない」。
JR北海道で何が起きているのでしょうか。
現役の社員がHTBの取材に答え、保線現場の人手が足りていない現状を明かしました。
JR北海道社員) :
「現場の人が足りないのは実態ですが、若手が育たないから人数的にいてはいても戦力になる人は少ない」。
12年前の脱線事故を教訓に開かれている社員向けの安全教育についても、実効性がないと話します。
JR北海道社員) :
「表向きはやっていますよというだけで社員に浸透していないのが事実。
みんな面倒くさくて行きたくないって言っている。
根本的に幹部が変わらなければ現場は終わりますね」。
JR北海道は今回の臨時保安監査について、このようにコメントしています。
「全面的にご協力し、いただいた指示などを真摯に受け止め、今後の対策に生かしたい」。
道運輸局は、今回の監査結果や報告などを踏まえ、厳正に対処していくとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fce1c9031da77173973559bfbb20a0fed438396e
1月25日に起きたJR七尾線の列車火災。
幸い乗客にけが人はいませんでしたが、七尾線は7時間半にわたり運休しました。
原因は運転士の操作ミスだとわかりましたが、なぜあそこまでのトラブルにつながったのでしょうか。
実は事故があった区間特有の問題がありました。
1月25日土曜日の午後に発生した、JR七尾線、中津幡駅での列車火災。
乗客およそ150人にけがはありませんでしたが、屋根の一部を焼き、七尾線は普通列車17本・特急列車5本の合わせて22本が運休、およそ1710人に影響がありました。
この映像は発生からおよそ8時間後、救援列車に連れられ金沢駅に入線した事故車両です。
撮影した人によると、列車の屋根に着いている機械が溶けていて、焦げ臭かったそうです。
JR西日本がおととい発表した事故の原因、それは…
記者:
「JR七尾線では津幡駅から中津幡駅の区間に電流を切り替える区間がありますが、運転士は手動での切り替えを失念していたということです」
JRが発表した事故の原因は、交流と直流の切り替え操作のミスでした。
そもそも、なぜ電流を切り替えなければならないのでしょうか?
実は北陸線の電源は交流。
しかし交流の路線はコストがかかるため、七尾線などは、直流電源で走っています。
そのため北陸線と七尾線の接続部分にあたる津幡駅ー中津幡駅間に交流と直流を切り替える区間があるのです。
運転士が切り替え操作をしなかったことで屋根の上の機器に大きな電気が流れ出火したと見られています。
火災が発生した津幡と中津幡の区間を撮影した映像です。
うるさいくらいに交流と直流の切り替えをするようスピーカーから流れています。
さらに画面にも…
なのになぜ、切り替え忘れてしまったのでしょうか?
岩谷さん:
「もう中津幡の駅がまじかに迫っているから次のドアはどっちだっけとかお客さんが何人止まっているんだろうとか前に踏切があるけどなにか障害物ないかなとかいろんな確認をしながらの運行なので、相当神経を使うことは否めないです」
こう話すのは、小松市で列車保全などの活動を行う、鉄道に詳しい岩谷さんです。
岩谷さんが見せてくれたのは特急列車の運転席。
岩谷さん:
「もう一つ忘れないようにということでセクションを通過する前に表示が必ずあります。どこにあるかというと運転時刻表です。」
さまざまな注意喚起がある中で起こってしまった操作ミス。
実は同様のミスは、同じ区間で2016年にも発生していました。
さらに、おとなり、福井県にあるハピラインふくいでは、2024年だけで2回発生しているのです。
岩谷さんは、ワンマン運行にもかかわらず運転中に配慮すべき事項が多くあることもミスの原因の一つだと指摘します。
岩谷さん:
「ツーマンにしてこういう事故が未然に防げるであれば運転手の士気向上にもつながる車掌がひとり巡回しているだけでも客室衛生上は安心ですよね」
JRによると、今回火事が発生した列車の運転士は「切り替えの意識が一時的に低下していた」と話しているということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5ed97508dedf5d8a9dbe3b9851a8909ff76196d6
キーワード:ヒューマンエラー
2025年1月4日10時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12月31日に熊本市中央区花畑町で起きた市電の脱線事故について、市交通局は3日、レールと枕木をとめる釘が緩んでレール幅が広がっていたと発表した。
事故の影響で運転見合わせが続いていた一部区間(水道町―辛島町)も含め、3日朝から全線で運行を再開した。
会見した市交通局によると、事故が起きた区間(約20メートル)を挟んだ前後の場所では、昨年秋の定期検査で、基準を最大十数ミリ超えるレール幅が確認され、昨年12月に幅を調整する工事をした。
その後、今回脱線した区間のレールに両側から力が加わってひずみが生じ、さらに普段の電車の振動もあって、レールと枕木をとめる釘が緩み、レール幅が基準より数センチも超え、脱線につながったとみられるという。
脱線区間のレール幅を調整した上で3日始発から運転を再開。当面は同区間は時速15キロに制限する。
また、定期検査で数ミリ超えている場所が7カ所あり、来年度予定だった補正工事を今年度内に前倒しして対応するとしている。
会見した井芹・交通事業管理者は、「年末年始に大変ご不便をおかけしました。現在実施している安全対策がこのままでよいのかと感じた。信頼回復に努めたい」と謝罪した。
https://www.asahi.com/articles/AST1344JHT13TLVB001M.html
1月3日12時2分にNHK熊本からは、熊本市電では1年間の事故トラブルが今回で16件目など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本市交通局によりますと、線路の幅が基準よりも広がっている場所は、脱線事故が起きた現場以外にもこれまでに7か所で確認されているということです。
市交通局は、いずれも広がりの幅はわずかで、ただちに車両が脱線する危険性はないとしていますが、今回の事故を受けて、この7か所の点検を強化するとともに、来年度に予定していた線路の幅を直す工事を今年度中に前倒して始めることにしています。
熊本市電は、去年1年間に起きた事故やトラブルが今回で16件目となり、熊本市交通局の井芹和哉交通事業管理者は「トラブルが度重なり、安全対策が不十分だったと反省している。現在実施している安全対策を精査し、1日も早い信頼回復に努めたい」と陳謝しました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20250103/5000024176.html
※熊本市電で事故が多発しているという件、約3ケ月前の2024年9月21日10時0分に朝日新聞からは、トラブルが10件になった時点で交通局は九州運輸局から教育や管理体制見直しなどの改善指示を受けたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
脱線やドアが開いた状態での走行など、今年に入ってからトラブルが相次いでいる熊本市電。
運行する市交通局が、九州運輸局から運転士への教育や管理体制の見直しなどの改善指示を受ける事態となった。
20日、福岡市博多区の九州運輸局で改善指示文書を受け取った市交通局の井芹・交通事業管理者は「その都度改善してきたが、それでも同じ事象が重なり、食い止めることができなかったのは申し訳なく思っている。熊本市電の信頼回復に努めたい」と話した。
その上で、度重なるトラブルの要因について、退職者が多く出たことによる運転士不足と車両の老朽化を挙げ、「車両と人が疲弊したものと思っている。それがすべての要因ではないが、皆さんの声を聞きながら改善していきたい」と語った。
市交通局は10月21日までに改善措置の内容について九州運輸局に報告が求められている。
市交通局によると、今年になってトラブルは計10件。
車両をつなぐ連結棒が走行中に外れたり、運転士が赤信号を見落としたりするなどインシデントは7件で、そのうちドアを開けたまま走行した3件は重大インシデントに認定された。
他にも脱線事故が1件あり、人身事故も2件あったという。
相次ぐトラブルを受け、九州運輸局は7、8月に保安監査を実施した。
その結果、運転士に必要な教育が行われず、技能が基準に達していないケースのほか、視力が片目0.7以上、両目1.0以上の基準に達していないのに運転業務に就いていたケースなどが明らかになったという。
また、就業前後の点呼を実施していないのに完了した記録が記入されていたほか、軌道(線路)の間隔が基準値よりも広かったり狭かったりした箇所が複数見つかった。
https://www.asahi.com/articles/ASS9N53THS9NTIPE00PM.html
2024年12月15日7時37分に静岡新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
静岡鉄道(静岡市葵区)は、鉄道の線路保守作業員と列車の接触事故発生リスクを軽減するアプリケーション「トレりん」を全国で初めて導入した。
静岡県内では10日に、JR高塚駅(浜松市中央区)付近の線路上でレールの保守点検をしていた作業員が貨物列車と接触し死亡する事故が発生したばかり。
テクノロジーを駆使した新たな保安支援システムで、円滑な列車運行と作業員の安全確保の強化を図る。
アプリは、列車先頭車両に設置したスマートフォンの位置情報をGPS(衛星利用測位システム)で把握し、作業地点から一定の距離に列車が接近すると、安全を監視する列車見張り員のスマートウオッチが振動する仕組み。
2021年に東京都のIT企業「リアルグローブ」に開発を依頼した。
23年4月からテスト運用し、今月に本稼働を始めた。
リアル社は今後、静岡鉄道の導入実績を基に全国の鉄道会社へ利活用を呼びかける。
静岡鉄道では保線作業時に、1班あたり列車見張り員を1人か2人配置。
目視で列車接近を確認し、笛やメガホンで作業員に退避を促しているが、常に緊張を伴う作業のため見張り員の心的負担が課題だった。
アプリ導入で目視とのダブルチェックが整い、より早く確実な退避行動に移せる。
同社では近年、保線作業中の接触事故は発生していないが、急カーブなど見通しの悪い箇所では避難指示が遅れるヒヤリハット案件が報告されていたという。鉄
道部の高田保線区長は「振動による物理的な警告で心の準備ができるだけでも大きな意味がある」と話した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/486bd7ef97d41fd3ded5b7eab6af757861e108d4
2024年12月10日18時43分にNHK静岡から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午前3時ごろ、浜松市中央区のJR東海道線の高塚駅近くの線路上で、作業員と貨物列車が接触したとJR東海から警察に通報がありました。
警察によりますと、静岡市清水区草薙に住む作業員、糸井さん(男性、49歳)が下りの貨物列車にはねられ死亡したということです。
警察によりますと、糸井さんは、ほかの複数の作業員とともに、上りの線路のレールを取り替えるための溶接作業を行っていましたが、この作業中に1人で下りの線路に向かい、時速およそ80キロで走行していた列車にはねられたとみられるということです。
また、JRによりますと、当時、現場では安全を確保するため、見張りをつけて作業をしていたということです。
警察は、当時の詳しい状況を調べています。
国土交通省によりますと、貨物列車は、JR貨物が運行していたもので、機関車1両と貨車25両のあわせて26両編成だったということです。
都内の東京貨物ターミナル駅を出て大阪市にある百済貨物ターミナル駅に向かっていました。
この事故を受け、国の運輸安全委員会は10日、現在、貨物列車がある愛知県稲沢市に事故調査官2人を派遣し、列車の運転士から話を聞くなどして詳しい原因を調べています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20241210/3030026383.html
2024年11月28日19時19分にYAHOOニュース(熊本県民テレビ)から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
今年1月、熊本市電の乗車扉が開いたまま走行した重大インシデントについて、国の運輸安全委員会が調査報告書をまとめました。
この重大インシデントは今年1月5日午前10時頃、交通局前電停から味噌天神前電停に向かっていた熊本市電の車両が乗車扉を開けたまま走行したものです。
交通局前電停を出発した直後、乗客が運転士に知らせました。
市電は電停から74メートルの所で停止し、乗客と運転士あわせて12人にけがはありませんでしたが、事故につながりかねない重大インシデントとして、国の運輸安全委員会が調査を進めていました。
28日に公表された調査報告書によりますと、扉の開閉を検知するスイッチを押す棒が本来とは逆に取り付けれていたため、扉が開いていたにも関わらず閉まった状態として検知されていたと考えられるとしています。
なお、この開閉検知スイッチは故障すると交換していましたが、記録が残っていないため、いつ交換したかは不明だとしています。
その上で、運転士が扉を閉めずに出発したことについては、扉が閉まった状態と思い込み閉める操作をしなかったことや、車内にある鏡で確認を行わなかったことなどが関与したと考えられると指摘しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e61c609277970878979314eba5abccf4a629362
(ブログ者コメント)
タマタマの話ではなく、前回取り付け間違い後は、ずっと閉と開が逆表示だったはず。
誰も気が付かなかったというのもヘンな話だ。
報告書を確認しようと思ったが、まだ公表されていない模様。
2024年11月20日20時30分に朝日新聞から下記趣旨の記事が救助用渡り板の写真付きでネット配信されていた。
JR瀬戸大橋線で架線が断線し、快速マリンライナーが瀬戸大橋上で約6時間立ち往生した10日のトラブルについて、JR四国が20日、記者会見を開き、乗客が救援列車に乗り換える際に用いる非常用渡り板がマニュアルに定めていた場所で見つからず、救出が約2時間も遅れたことを明らかにした。
JR四国の説明によると、金属製の渡り板は長さ2.8~4.3メートル。
岡山側の児島駅と、香川側の坂出駅、宇多津駅の3カ所に保管していた。
当日は、児島駅から救援列車を横付けし、渡り板を使って乗客150人を救出した。
この検討段階で、児島駅の渡り板がマニュアルに定めた保管場所のポンプ室にないことが判明。
児島駅にいた同社社員が急きょトラックで坂出駅に向かい、渡り板を持ち帰るまでに約2時間かかったという。
渡り板はその後、児島駅のホーム下から見つかった。
2013年に移動させた記録も見つかったが、マニュアルに反映されていなかったという。
渡り板を使った救助訓練はしてきたが、児島駅で保管していた渡り板は1988年の瀬戸大橋線開業以来、一度も使われたことがなかった。
同社安全推進室の坂中副室長は「この2時間を重く受け止め、お客様が不安だっただろうと反省している。渡り板が発見できなかったことは非常に申し訳ない」と陳謝した。
四之宮社長は、渡り板の準備に時間を要したことと飲食物をいち早く乗客に届けることができなかったことについて「オペレーションに問題があったと考えており、マニュアルの改善や非常用設備の適切な管理などを進める」とコメントを出した。
一方、トラブルの原因については、何らかの要因で架線が切れた結果、パンタグラフなどが破損した可能性があるとの見方を示した。
詳しい原因はわからず、鉄道総合技術研究所に調査を依頼したことを明らかにした。
https://www.asahi.com/articles/ASSCN3H57SCNPLXB00BM.html?iref=comtop_National_03
11月27日16時52分に読売新聞からは、2つの救援方法が不可だったため渡り板救援方法になった、救出用列車の行き先についてJR西とJR四国の間で意見の相違があったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
JR四国は列車が自走できないことから、当初、同じ上り線で別の列車を連結し、運ぶ方法を検討。
過去にあった車両故障による橋上での立ち往生は、この方法で対応した。
しかし、今回は架線が切れて、同じ上り線が使えないことが約1時間30分後に判明し、断念した。
次に、乗客に車両から降りて橋上を歩いてもらい、最寄りの島でバスに乗り換える方法を考えたが、バスの手配などができなかった。
そこで、児島駅から走行可能な下り線で列車を向かわせ、快速に横付けして渡り板を通って乗客が乗り換え、運ぶ方法に決めた。
・・・
◆「訓練不足」
・・・
最終的な救出方法が決まるまで3時間かかったことについて、四之宮社長は記者会見で「お客様も救出できるため、列車の駅への収容を優先させたが、お客様の救済だけを優先すべきだったのではというのは後から思えば反省点だ」とした。
そのうえで、「いろいろな事例に対し、優先順位を判断する訓練が不足していた」とした。
また、同社は、立ち往生中に乗客へ食料、飲料を届けることができなかったことも課題としている。
◆行き先変更
現場はJR西日本管内との境目近くで両社が連携して救出にあたったが、救出した列車の行き先を巡っては意見の相違があった。
両社は3年に1度、合同で非常時対応訓練を実施。
13年には乗客の救出作業や現地確認作業を迅速に行うとする覚書を締結している。
児島駅からの救出用の列車に関してJR四国は元々、乗客の乗り換え後、香川へ向かう計画で準備をしていた。
これに対し、JR西は快速の行き先だった岡山側に向かうよう主張。
行き先は1時間後、岡山側に変更された。
JR西岡山支社の林支社長は11日の記者会見で、「運行管理権はJR四国にあるが、もっと早いタイミングでもう少し強く提言することができたというのは、反省点があったんじゃないかと捉えている。非常時のコミュニケーションの仕組み作りはJR四国と一緒にやり、訓練も拡大したい」と述べた。
四之宮社長も「今回のことを踏まえ、JR西とも改善点を協議したい」とした。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241126-OYT1T50198/
※以下は事故当時の報道。
(2024年11月11日21時20分 山陽新聞)
10日午前7時35分ごろ、JR瀬戸大橋線児島―宇多津間で、高松発岡山行き快速マリンライナー(7両編成、乗客約150人)が緊急停止した。
列車は児島から南へ約4キロの下津井瀬戸大橋上で立ち往生。
乗客は約6時間後に救援のための別列車に乗り換え、岡山方面に向かった。
けがや体調不良を訴える人はいないとしている。
JR四国によると、列車に電力を供給する架線が切れて垂れ下がっていた。
列車上部のパンタグラフ3基が全て損傷し、自力走行できない状態だった。
電圧がゼロになっている表示に運転士が気付き、車掌は異音を聞いて、ほぼ同時に緊急停止させた。
前日に四国で発生した大規模停電とは関係がないといい、原因を調べている。
瀬戸大橋上での架線切断は初めてという。
救援に向かった列車は下り線を使って停止した列車に横付け。
車両間に板を渡して午後1時半ごろまでに乗り換えてもらい、児島に向けて下り線を逆走した上で岡山まで運転した。
児島―宇多津間の上下線で運転を見合わせた。
架線の復旧を行った後に損傷した列車を児島に待避させ、午後8時ごろに運転を再開した。
特急を含む107本が運休・部分運休し、約1万5千人に影響した。
10日夜に記者会見した長戸鉄道事業本部長は「(乗客らの救助に)多くの時間がかかり、反省している」と謝罪した。損傷車両の一部を所有するJR西日本の林秀樹岡山支社長も11日の定例記者会見で陳謝し、「JR四国と一緒に原因調査に努める」と述べた。
JR瀬戸大橋線は11日始発から通常運行。
事故の影響で一部の列車は車両の編成数を減らしており、12日も続く見込み。
https://www.sanyonews.jp/article/1636268
(2025年3月29日 修正1 ;追記)
2025年3月28日19時10分に日本経済新聞からは、電線と金具間で原因不明だが異常発熱があり電線が切れた、電線と金具は電気抵抗を少なくするためそれぞれ磨くことになっていたが金具側を磨いたことの確認はしていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR四国は28日、2024年11月に起きた瀬戸大橋での列車立ち往生トラブルに関する調査結果を発表した。
電線と金具の間で異常な発熱があり、電線が切れたと判明した。
発熱の要因は特定できなかった。
別の列車に乗り換えるために必要な「渡り板」の紛失で乗客の救出が遅れたことが判明しており、作業時の確認リストを改めるなど再発防止策を示した。
トラブルは11月10日に発生し、列車が約6時間立ち往生した。
外部機関に依頼した調査によると、電線のうちパンタグラフを通じて列車に電気を送る「トロリ線」と、電気を供給するための電線・金具(フィードイヤー)の間で発熱があり、線が溶けて切れた。
トロリ線とフィードイヤーについて、同社は電気抵抗を少なくするためそれぞれ磨くこととしていた。
トロリ線側の作業確認はしていたものの、フィードイヤーの確認はしていなかった。
再発防止策ではこれらの確認リストを改めた。
トラブルを巡っては、JR西日本管内の児島駅(岡山県倉敷市)でJR四国が管理する「渡り板」が見つからず、乗客の救出が約2時間遅れた。
渡り板の取り扱いを含め、JR西との協力体制を見直すなどの対策も示した。
キーワード;変更管理
2024年11月19日6時41分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
渡島管内森町のJR函館線で16日未明に起きた貨物列車の脱線事故は、著しく腐食したレールが引き起こした可能性が高まった。
JR北海道は18日の記者会見で、通常15ミリの厚さがあるレールの「腹部」が腐食で5分の1まで減少していたと発表した。
運行の安全性が懸念される状態まで劣化していたが、JR北海道は事故2カ月前の点検で見逃していた。
なぜ事故は防げなかったのか。
「腐食がここまでひどい状況は会社発足以来初めて。今まで見たこともない」。
JR北海道の島村・鉄道事業本部長は18日の記者会見で脱線事故の原因の一つとなったとみられるレールの腐食についてそう説明した。
JRによると、腐食したレールは脱線した貨物列車から590メートル後方にある鷲ノ木道路踏切(渡島管内森町)内に敷設され、側面が敷板に覆われていた。
敷板は少なくとも14年間はがされたことはなく、何らかの原因でレールの腐食が進んだとみられる。
腐食によって細ったレールの腹部の厚さはわずか3ミリ。
「垂直方向の加重を受け止めることはかなり難しい」(島村本部長)状況だった。
JRは9月12日に事故現場付近で超音波によるレール検査を実施した際、異常を覚知していたが、敷板をはがしてレールの状態を確認することまではしなかった。
敷板に覆われた状態で見えるのは、列車の車輪と接触するレールの「頭部」のみで、目の届かない腹部の腐食は見つけられなかったという。
なぜ検査は徹底されなかったのか。
国土交通省は省令で鉄道各社にレールの定期検査を行うよう求めているが、具体的な検査周期や手法は各社の判断に委ねている。
JR北海道は1~4年に1回の頻度で探傷車を使ったレールの検査を行うと内規で定めているが、敷板を取り除いてレールを調べることまではルール化していなかった。
JR東海は過去の検査などで腐食が疑われた踏切のレールについて、5年に1度の頻度で敷板をはがして検査を行っているという。
レールの深刻な劣化が見逃されていた事態に専門家らは危機感を強める。
日本大の綱島均特任教授(鉄道工学)はレールの腐食について、塩害によって進んだと推測。鷲ノ木道路踏切は海岸沿いにあり、魚などを載せた漁業関係者の車両の通行も多いため「塩水が敷板の下にたまるなどし、長期間にわたってレールの腐食が進んだ可能性がある」という。
JRに対し「検査が表面的だったのではないか。これでは安全運行は絶対にできず、相当な責任が問われる」と早急な検査態勢の見直しを求める。
1996~2000年までJR北海道で保線などを担当した北見工大の白川龍生准教授(鉄道工学)は、塩害に加え、多くの大型車両や貨物列車の通行によって踏切内のレールに過重な負担が掛かり、劣化が進んだとみる。
「同様の条件がそろえば、レールの著しい腐食は他の場所でも起こり得る」と指摘し、海岸が近いなど類似の条件下にある踏切の点検を早期に実施すべきだと訴える。
今後、レール管理や点検に関する社内ルールの見直しを進めるJR北海道に対し、工学院大の高木亮教授(鉄道システム論)は注文する。
「今回の脱線事故は複合的な要因で起きたと考えるべきだ。ここまで劣化したレールを放置していたことは問題で、保線態勢の検証が急務だ」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1089798/
11月18日付の同社HPには、超音波検査結果の概要図など付きで説明資料が掲載されている。
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20241118_KO_3087lecture.pdf
11月21日20時36分にYAHOOニュース(北海道放送)からは、本来は15mmあるレール腹部厚みが3mmにまで減肉していた、これは塩害被害に関する過去の論文と符合するなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先週、北海道森町で発生した貨物列車の脱線事故は、私たちの身近に隠れていた危険を浮かび上がらせました。
・・・
脱線現場から見つかった鉄の塊。
腐食して、ボロボロ、バラバラになったレールです。
これは、レールの断面を表わしたもの。
上から順番に「頭部」、「腹部」、「底部」と呼ばれます。
そして本来「腹部」は15ミリの厚さがありますが、事故現場のレールは薄いところで3ミリにまでなっていました。
・・・
実はレールの塩害については、JR東日本新潟支社が調査した論文を発表しています。
今から12年前=2012年のことです。
日本大学(鉄道工学) 綱島均特任教授 ;
「その論文によれば10年間で4ミリ(レールの)腐食が進むと言われてるので、今回(事故が起きた踏切では)30年レールを使っているわけなんですけども、単純計算で言えば、12ミリ以上の腐食があってもおかしくはないということになると、今回の腐食量とも、かなり符合する」
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/4acc2262e80211fe232517909d155bdf931d686c
11月21日21時53分にYAHOOニュース(鉄道ライターの寄稿文)からは、事故の背景の一つとして大量の離職者が出続けていることも考えられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
事故現場となった鷲ノ木道路踏切では9月12日に超音波検査を実施したところ異常が検知されていたものの、目視により線路頭部の確認しか行われず、踏切の敷板を外してレール腹部の確認までは行っていなかったことから、レールの腐食を発見することができなかった。
JR北海道の内規でも確認は求めていなかった。
こうした状況に対して、「検査体制の不備がある」ことや「内規があいまいで作業員が未熟だった可能性がある」という有識者からの厳しい指摘も報道されていた。
有識者が指摘する「作業員が未熟だった可能性」の背景のひとつの要素としてあるのは、止まらない大量の離職者だ。
JR北海道が11月13日に発表した2024年第2四半期の報告書では4月から9月の自己都合退職者が89名になると公表されていた。
この数字は昨年度の同時期と比較して2名減少しているものの、昨年2023年度の自己都合退職者は236名で初めて200名を超えた。
ここ数年、JR北海道では例年200名近い自己都合退職者を出し続けており、その人数はこの5年間で約1000名にのぼる。JR北海道では、2024年10月入社の社会人採用と2025年4月の新卒・社会人採用で250名を確保するというが、採用した人数とほぼ同数の人数が自己都合退職していくという現実だ。
JR北海道の離職者が止まらない理由の一つには、給料の低さがあるようだ。
転職サイトに書き込まれたJR北海道の退職理由を見ると「独身だと結婚する気が起きないほど給料が低く、仕事に対するモチベーションが湧かない」といったものや、「30代から40代の働き盛りのベテランが少ないので技術継承が難しく、仕事を覚えるには根気がいる」、さらに「国鉄時代の悪しき風土が抜けきれておらず、社内の雰囲気がよくない」といった趣旨の書き込みも見受けられた。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/21eaa68075dd33a00410a48154ed02179f601615
(2024年12月1日 修正1 ;追記)
2024年11月30日8時15分にYAHOOニュース(STV)からは、漁港近くの踏切ゆえ通過する車の荷台から海水がこぼれていた、線路が曲線ゆえ踏切内に凹凸ができ、そこに水がたまりやすかった、緊急点検結果、海沿いの30年超踏切24か所では異常なかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
レール腐食の原因はわかっていませんが、脱線が起きたとされる踏切のすぐ近くには漁港があり、地元の人からは「塩害」の可能性が指摘されていました。
(地元の漁師):
「漁師だから塩水積んだ荷物を運んだら常に塩水がかかる。だから普通の踏切とはわけが違う」
踏切では、漁業関係者が荷台に積んだ荷物から海水がこぼれる様子も見られました。
さらにー
(宇佐美記者):
「列車が踏切を通過します。車両が大きく右に傾いています」
JRは塩害のほかにも、線路が曲線で傾いていたことがレールの腐食につながった可能性があると説明しました。
(JR北海道鉄道事業本部 進藤工務部長):
「傾きがついた線路になっていて、踏切内が凹凸がついた道路面になっているので、凹凸のくぼみに水がたまりやすかったのでは。
環境要因など、どれが鷲ノ木道路踏切(現場)で強く働いたか現段階では特定できていない」
JR北海道は事故をうけて、海沿いにあり敷設30年以上経過するなどした道内24の踏切を22日までに緊急点検し、異常がないことを確認しました。
さらに今後は点検範囲を拡大するとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9d8112d88ab564cf6834a68efe1686b1ce70e44
11月30日8時15分に同じYAHOOニュース(STV)からは、ほとんどの漁業関係者がこの踏切を利用していてトラックが段差を通るたびに海水がこぼれているなど、下記趣旨の記事が複数枚の写真など付きでネット配信されていた。
現場の踏切で何が起きたのか、検証しました。
・・・
■踏切を起点に脱線か 物流の大動脈で事故
・・・
■JRも「初めて見た」 踏切のレールが腐食
・・・
■漁港近くの踏切 トラックが通ると海水が…
問題の踏切を通り抜けると…
(宇佐美記者)
「目の前に港が見えます。たくさん船がとまっているのがわかります」
鷲ノ木踏切と目と鼻の先にある、森町の「鷲ノ木漁港」です。
地元の漁師に話を聞いてみると…
(宇佐美記者):
「どういう踏切?」
(地元の漁師):
「(利用するのは)主に浜の人」
「(漁師は)全員使っている」
さらに話を聞いてみると、多くの人が懸念していたことが浮かび上がってきました。
(地元の漁師):
「4トン車とか結構通るから、だんだんすれば(揺れると)水がこぼれる」
「漁師だから塩水を積んだ荷物を積んだら常に塩水がかかる。だから普通の踏切とはわけが違う。そういうのをJRは丹念にしていない。だからこういう事故になったんだ」
(宇佐美記者):
「海水でしょうか。漁港から来た軽トラックから少し水がこぼれているのが見えます」
ほとんどの漁業関係者がこの踏切を利用していて、段差で車が大きく揺れているのがわかります。
別のトラックも荷台に積んだ海水が線路に・・・。
普通の踏切とは、明らかに状況が違っていました。
(日本大学 綱島均特任教授):
「海風の影響によって塩分がレール腹部に付着し、それに加えて日常的に漁業関係者が通っていて、塩分がさらに付着しやすい影響があれば、腐食が進む可能性は当然考えられる」
■レールはわずか3ミリに…敷設から32年経過
・・・
■地元の漁師「なるべくしてなった」
(地元の漁師):
「1回も(レールを)取り替えているのを見たことない。これだけ塩水がかかるところでたったそれだけの点検で。なるべくしてなった」
・・・
(JR北海道 綿貫社長(20日)):
「現場の責任ではなく、そういうルールにしていたので、腹部の腐食に思い至らなかったルールの設定の問題と認識」
■「塩害の影響」踏切の特異的な構造も
・・・
■繰り返される脱線事故 修繕費は4割増加
・・・
■厳しい経営状況「国全体で考えるべき」
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/732f663c9e2983c53a3272604cbeec3a4297e3de
2023年10月17日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/13487/
(2024年10月18日 修正2 ;追記)
2024年10月9日19時0分に朝日新聞からは、社長である父親の指示で硫酸入りと硝酸入りのPETボトル2本を運んでいた、両名書類送検、座席の足元に置いていたボトルから硫酸が漏れたためデッキに移動させた、漏れ出た硫酸が硝酸入りボトルを溶かしたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
(新情報に基づき、タイトルも修正した)
東北新幹線車内で昨年10月、硫酸を漏らし、他の乗客にやけどをさせたとして、仙台中央署は9日、地質調査会社長の男性(42)=東京都台東区=と、父(81)=大分県=を業務上過失傷害の疑いで仙台地検に書類送検し、発表した。
起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。
署によると、硫酸は男性が父の指示でペットボトルの容器に入れて運んでいたが、溶けて漏れ出した。
捜査関係者によると、男性は「容器が溶けるとは思っていなかった」旨の話をしているという。
送検容疑は昨年10月9日午前11時50分ごろ、JR仙台駅に停車直前だった東北新幹線新青森発東京行きはやぶさ52号(10両編成)の車内で、ペットボトルに入った硫酸を漏らし、乗客の親子3人にやけどをさせたというもの。ともに容疑を認めているという。
署によると、男性は父親からペットボトルを手渡され、薬品を運ぶようにと指示を受けた。
青森県内の関連施設から薬品を持ち出し、別の関連施設がある大分県に向かうため、1人で新幹線に乗車した。
硫酸と硝酸が入ったペットボトル2本を6号車の座席の足元に入れていたが、他の乗客から「液体が漏れている」との指摘を受け、デッキに移動していたところ、通路に硫酸が漏れ出た。
液体で滑って転んだ男児(6歳)が尻に1カ月のやけどをするなど、親子3人がけがをした。
社長も両手足にやけどをして入院した。
ペットボトルはキャップ以外が溶け、原形をとどめていなかったという。
当時のデッキ付近は白い煙で充満した。
捜査関係者によると、漏れ出た硫酸が硝酸の入ったペットボトルを溶かし、二つの液体が混ざり合った結果、煙が出たという。
https://www.asahi.com/articles/ASSB93285SB9UNHB003M.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
10月9日22時8分に読売新聞からは、2.7ℓのPETボトルだったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
硫酸は適正な容器に入れる義務があるのに、2・7リットルのペットボトルに入れて運び、原形をとどめないほど溶けていたという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241009-OYT1T50215/
10月9日18時23分にYAHOOニュース(時事ドットコム)からは、硫酸は鉱物精製研究などに使うものだったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
仙台中央署によると、硫酸は鉱物精製の研究などに使用するもので、青森県内の会社関連施設から大分県内に運搬途中だった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/03da971de40daf48144519e3fb6625b18dc58d4a
2024年10月8日6時50分に読売新聞から下記趣旨の記事が、現場付近の枕木劣化状況などの写真付きでネット配信されていた。
いすみ鉄道(千葉県大多喜町)の車両が脱線した問題で、同社は7日、大多喜町役場で記者会見を開いた。
事故現場付近で線路の枕木が腐食していたことを明らかにし、脱線の原因との見方を示した。
問題の枕木を強度の強いコンクリート製に交換するため、今月中に作業に着手する予定だったという。
古竹社長が記者会見し、「事故を重く受け止める」と陳謝した。
脱線については「車両の問題ではなく保線の問題」「断定はできないが、枕木の劣化が事故の一因」と述べた。
列車は事故当時、規定の速度(時速42キロ)を守っていたという。
同社によると、事故現場に近い国吉駅から苅谷踏切までの区間では、枕木の腐食が進み、交換が必要な状態だった。
事故現場付近のレール1本(約20メートル)が外向きに横倒しになっていたが、同社は、列車の脱線後、線路が劣化した枕木から外れたとみている。
事故現場付近の線路と枕木。線路は外側に横倒しになっている。
同社は2013年12月にも、西畑―上総中野駅間で脱線事故を起こしている。
この時の原因は枕木の経年劣化だった。
枕木とレールの接続が緩むと軌道間が拡大し、脱輪するリスクが高まるという。
同社は過去5年間で毎年約300本ずつ、木製からコンクリート製のPC枕木に入れ替えを進めてきた。
今回の脱線で問題になった枕木は、11月20日までの工期で交換する計画だった。
事故は4日午前8時8分、いすみ市苅谷の国吉―上総中川駅間で起きた。
大原発上総中野行き普通列車(2両編成)が脱線。
高校生などの乗客104人と運転士1人にけがはなかった。
運輸安全委員会の鉄道事故調査官が調査を進めている。
同社は9日、重機で列車2両を線路脇に移動させ、枕木と線路を交換する。
10日以降に車両を大多喜駅まで移動させる予定だ。
大原―上総中野駅間の全線(26・8キロ)で安全を確認し、今月末の運転再開を目指す。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241007-OYT1T50218/
(ブログ者コメント)
経営厳しいローカル線ゆえ、一挙に枕木交換というわけにはいかず、劣化度合いによって優先順位をつけて計画的に交換を進めていたものと推察するが、結果的には交換寸前に事故が起きてしまった。
優先順位のつけ方に反省すべき点はなかったのだろうか?
ちょっと気になった。
2024年9月26日17時32分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
宮城県内の東北新幹線古川―仙台間で、時速約315キロで走行中の上り「はやぶさ・こまち6号」の連結器が外れた事故で、JR東日本は26日、こまちの運転台にある、列車同士を強制分離させるスイッチの裏側から、製造時の削りくずとみられる金属片が見つかったと発表した。
金属片が介在してスイッチを操作したのと同じ状態となり、分離したとみられるという。
JR東によると、強制分離は列車同士をつなげる作業で異常が起きた際にやり直すためのもの。
通常の分離は時速5キロ以下でないと作動しない仕組みだが、強制分離に速度条件はないという。
原因調査で、こまち6号の運転台パネルの裏側を確認したところ、最大約2センチの金属片が複数見つかった。
新車製造時にパネルをドリルで取り付けた際の削りくずとみられ、そのうちのひとつが強制分離スイッチの端子同士をつないでしまっていたという。
併合運転する全96編成のスイッチ裏を点検すると、こまちとして走るE6系のみ、計11編成で金属片が見つかった。
JR東は金属片を取り除くとともに、再発防止策として10月末までに全96編成の強制分離スイッチの配線を取り外して無効化するという。
分離事故は19日に発生。
乗客計320人にけがはなかったが、東北新幹線は全線が5時間以上ストップした。
走行中の新幹線で連結器が外れる事故は初めて。
池田・新幹線統括本部長は、「新幹線の安全に心配をかけたことを深くおわびする。フェールアウト(故障時に安全でなくなる)のものが他にもないか、検証を続ける」と述べた。
https://www.asahi.com/articles/ASS9V2S51S9VUTIL02FM.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
9月27日に日経クロステックからは、金属片を使った実験でも連結器分割動作が再現されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東日本は、東北新幹線を走行中の列車「はやぶさ・こまち6号」が分離した事故の原因について、連結器解放スイッチの端子間が金属片で短絡(ショート)したためとの推定を公表した。
同事故では2024年9月19日8時7分頃、はやぶさ・こまち6号(上り東京行き17両編成)が古川~仙台間を走行中、はやぶさ号とこまち号の連結部(10号車と11号車の間)が外れ、列車の分離時に自動動作するブレーキによって停車した(図1)。
連結器とその周辺には破損などの異常が見受けられず、JR東日本が原因を調べていた。
■ドリルくずのような金属片を発見
調査結果によれば、後方の編成であるこまち6号(E6系)の運転台にある連結器解放用のスイッチの端子部付近に金属片が発見された。
この金属片をスイッチの端子部に接触させる試験を実施したところ、連結器が分割する動作が「再現された」(JR東日本)という。
「本来、スイッチを扱うことで電気的につながる箇所が強制的につながり、連結器が外れたものと推定される」(同)としている(図1)。
スイッチ端子の短絡による回路誤動作により、こまち側の連結器には圧縮空気が送られ、カギの部分を解錠させる力がかかった。
前方の編成であるはやぶさ6号(E5系)側には空気圧がかかっていなかったため、こまち側に押し負けて解錠状態になってしまった。
連結器のカギ部分は、通常は空気圧がかからず、分割併合の作業時にのみ空気圧がかかるようになっている。
スイッチ端子付近にあった金属片は、ドリル加工によって生じる切りくずのように見える。
JR東日本が車両メーカーと調査したところでは、「車両の製造時に発生したものの一部が車体内部に残っていたと推定される」という。
JR東日本は新幹線車両のうち、2編成での併合(連結)運転に使うE2系、E3系、E5系、E6系、E8系の各型式全96編成について解放用のスイッチ端子部付近に金属片がないかを確認。
当該編成以外ではスイッチ端子部付近に金属片の付着はなかったが、E6系全23編成の中で当該編成以外の10編成でスイッチの裏面周辺に金属片を認めたため、これを除去したとしている。
暫定的な対策として、併合運転に使用する車両の当該スイッチから配線を取り外し、回路を無効化する。
このスイッチは、併合作業が完了しない場合に再度分割させるためのもので、通常の分割併合作業にかかわる回路とは別に設置されている。
E6系については2024年9月27日まで、その他の車両については2024年10月末までに完了するという。
恒久的な対策としては、連結器を解放する回路が走行中に動作しないよう、仕組みを見直す。
■分離時に自動ブレーキが動作
同事故では非常ブレーキ・緊急ブレーキが動作し、はやぶさ6号とこまち6号が約300m離れて停止したほか、下り線でも列車が停止。
事故発生後約5時間後の13時12分に全線で運転を再開した。
はやぶさ6号、こまち6号はそれぞれ仙台駅まで自走した。
上下合わせて72本が運休、同じく35本が最大351分遅れ、約4万5000人に影響した(図2)。
負傷者はなかった。
車両間の連結器が外れて列車が分離する事故は古くからしばしば発生しており、例えば1909年2月に北海道・塩狩峠で発生した事故は、文学作品の題材になるなどしてよく知られる。
以前、貨物列車を含めて列車後端に車掌が乗務していた理由の1つは、分離が発生したときに人力でブレーキ操作ができるようにするため。
その後、列車全体に空気管を引き通し、これが減圧するとブレーキがかかる仕組みにして、分離時に自動でブレーキがかかるようになった。
近年は、列車全体を往復する電線(回路)を引き通した上、復路側に降圧で動作するブレーキ装置を接続し、往路側の端を加圧する仕組みによって、やはり分離時に自動ブレーキがかかるようになっている。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/01561/
2024年9月30日16時53分にNHK山口から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
山陽新幹線は、今月23日、山口県内での架線の張り替え作業が遅れたうえ、作業を終えた車両が「埴生トンネル」内で動かなくなり、広島駅と小倉駅の間の上下線で、始発から午前11時半すぎまでのおよそ5時間半にわたって運転を見合わせました。
JR西日本によりますと、新幹線75本が運休し、遅延も含めて7万人余りに影響が出ました。
JR西日本は、30日、これについて、架線に通す金具の取り付け手順を誤ったことや、作業を終えた車両のブレーキが緩まず動かせなくなったのは、車両の非常停止ボタンを誤って押し下げていたことが原因だったと発表しました。
JR西日本は、再発防止策として、複数人による作業手順の確認や、ブレーキが緩まない場合の非常停止ボタンの確認を徹底すること、それに、非常停止ボタンの状態をわかりやすく確認できる仕組みづくりを検討するとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20240930/4060021335.html
9月30日23時0分に産経新聞からは、手順誤りで工事に時間がかかり、焦ってミスを重ねた可能性があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西によると、厚狭―新下関間の下り線で22日の終電後から架線を交換する作業をしていたが、予定通り終わらず、23日の始発から午前11時35分ごろまで運転を見合わせた。
上下75本が運休、121本が遅れ、約7万2千人に影響が出た。
要因について、作業員が架線の交換手順を間違え、通常より時間がかかったのに加え、保守用車両にブレーキがかかり、線路上で動かなくなるトラブルが重なった。
JR西の広報担当者は「作業員が架線交換の遅れに焦り、ミスを重ねた可能性がある」と説明した。
https://www.sankei.com/article/20240930-3DOBYPF4KZKZJGPIN5AANKOUIE/
9月30日付でJR西日本には、先に通すべき金具に架線を通していなかったなど、下記趣旨のプレスリリースが掲載されていた。
・・・
4.概 況
9月22日23時40分ごろより、厚狭駅~新下関駅間下り線において、保守用車を使用し、車両に電気を供給する架線の張替作業を実施していました。
23日の3時57分ごろ、(1)架線を接続する手順を誤ったため、復旧材料を手配し、作業時間を延伸して6時20分に現地での作業を終了しました。
その後、作業に使用していた保守用車を新山口保守基地に回送しようとしたところ、(2)保守用車のブレーキが緩まない事象が発生したため、新山口保守基地から救援の保守用車を手配し、11時32分に保守用車を新下関駅へ収容、11時36分に運転を再開しました。
5.それぞれの事象の原因と対策
(1) 架線の接続手順誤り
原因:架線を磁器がいしに接続するための金具の取付手順を誤ったまま作業を進めてしまいました。
対策:作業手順を複数人で確認すること、ならびに作業手順の誤りを想定し対応策(復旧材料の持ち込みなど)の準備を徹底します。
(2) 保守用車のブレーキが緩まない事象
原因:作業中に保守用車作業台にある非常停止ボタンを誤って押下げていたため、保守用車のブレーキ が緩みませんでした。
ブレーキが緩まないことに対して、ブレーキが取り付けられている台車付近の調査に集中してしまい、非常停止ボタンの状態確認ができていませんでした。
対策:ブレーキが緩まないときは非常停止ボタンの状態を確認することを徹底します。
非常停止ボタンを押下げしたことを分かりやすく確認できる構造を検討します。
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/240930_00_press_sanyoushinkansen.pdf
2024年8月1日23時9分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1日午後4時35分ごろ、大阪府寝屋川市木田元宮の京阪電鉄寝屋川車両工場で作業中に事故があったと、大阪府警寝屋川署に消防から通報があった。
同署によると、男性社員(54)が車体に取り付ける台車にひかれ、搬送先の病院で死亡が確認された。
同署によると、台車の重さは約10トン。男性は「トラバーサー」と呼ばれる重量物を平行移動させる大型装置を操作し、台車を車体まで移動させようとしていたという。
何らかの理由でトラバーサー上の台車が動き出し、止めようとしたところを巻き込まれたとみられる。
同署が、安全対策に問題がなかったかなど、詳しい事故原因を調べる。
https://www.sankei.com/article/20240801-POHPQQ7SARNAXOBDBB2BW3GZK4/
8月1日22時22分に朝日新聞からは、車輪取付け中に車輪が外れ、それを追いかけていて下敷きになったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1日午後4時半ごろ、大阪府寝屋川市木田元宮2丁目の京阪電鉄寝屋川車両工場で、作業員の男性(54)=京都市伏見区=が電車の車輪の下敷きになっているのを同僚が見つけ、119番通報した。
男性は病院に搬送されたが、約1時間後に死亡した。
府警寝屋川署によると、男性は当時、1人で電車の車輪の取り付け作業をしていた。
車輪は約10トンあり、通常は装置に固定して移動させるが、何らかの原因で装置から外れたとみられる。
他の作業員が、転がる車輪を追いかける男性の姿を見たとの目撃情報があり、その後、下敷きになった可能性があるとみて、府警は車輪が外れた原因などを調べる。
https://www.asahi.com/articles/ASS814D82S81PTIL00TM.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
8月2日9時12分にYAHOOニュース(mBS NEWS)からは、車輪がついた台車(10トン)を車体に取り付ける作業中、台車が荷台から落下、追いかけた男性が下敷きになった、ワイヤー固定不十分?など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によりますと、京阪電鉄の社員・藤本さん(54)が車輪がついた台車を電車の車体に取り付ける作業をしていた際、何らかの理由で台車を運んでいた荷台から重さ約10トンの台車が落下。
それを追いかけた藤本さんが台車の下敷きになり、その後病院に搬送されましたが、死亡が確認されたということです。
台車と荷台を固定していたワイヤーの接続が不十分だった可能性があり、警察は詳しい事故の原因を調べています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b8f17c9bf4521112729c44f3673bd211b59053a7
8月1日付で同社HPには、台車の下に倒れた状態で発見されたなど、下記趣旨のお詫び記事が掲載されていた。
・・・
2. 発生場所
寝屋川車両工場内 寝屋川市木田元宮 2 丁目 1 番 1 号
3. 状 況
上記場所において、16 時 20 分頃に作業員1名が台車(電車の車輪および、その取り付け部分)の下に倒れた状態で発見されました。
この作業員は救急隊により搬送されましたが搬送先の病院で死亡が確認されました。
・・・
https://www.keihan.co.jp/corporate/release/upload/20240801_owabi.pdf


















その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。