2017年1月24日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県成田市の「湘南動物プロダクション」で、23日午前、飼育されていたライオンが2人にかみつき、社長の女性(55)と取締役の息子(28)が手足や首に重傷を負った。
警察は、安全管理に問題がなかったか、女性らの回復を待って事情を聴く。
警察などによると、2人を襲ったのは、10頭飼っているライオンのうち、10歳の雄。
撮影準備のため、おりの中の洗い場に1頭だけ入れ、3人がおりに入ってライオン飼育担当の女性が体を洗っていたところ、突然、ライオンが息子にかみつき、続いて女性を襲った。
ライオンは約1mの鎖につながれており、外には逃げなかった。
このライオンは、秋ごろから体調不良が続いていたという。
同社は、テレビドラマやコマーシャルなどに出演する「動物タレント」の芸能プロダクション最大手。
ソフトバンクのテレビCMで「お父さん犬」として知られる北海道犬カイくんが所属している。
成田空港の北東約1kmに約1万m2の敷地を所有している。
出典
『ライオン 飼育員襲う 飼育の設備に不備なし 成田の芸能プロ』
http://mainichi.jp/articles/20170124/ddm/041/040/117000c
1月23日16時40分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1月24日付で千葉日報紙面にも、同趣旨の記事が掲載されていた。
事故は芸能活動用に動物を飼育している施設特有の事情があったと見られることが、徐々に明らかになりつつある。
ライオンなどの猛獣は、通常、体を洗浄することは少ないとされ、同プロダクションの特殊性を指摘する声も出ている。
事故は、飼育舎の中で飼育員がライオンの体を洗っているときに起きた。
この点について、2頭のライオンを飼育している千葉市動物公園(千葉市若葉区源町)によれば、けがの治療目的などでライオンにどうしても近づかなければならないときは、ライオンを狭いケージに移動させた後、麻酔を打つという。
同園の飼育員、古谷さん(52)は、「動物園ではライオンを『洗う』ことはない。ライオンの飼育方法に関しての共通のルールなどはなく、各園の方針次第」と説明。
「長い間、飼育していたので、ライオンと信頼関係が築けていたのではないか」と推察した。
出演準備のためにライオンの体を洗っていた可能性が高く、県は同日午後、現場に立入り調査に入り、麻酔を使わずに飼育員が対応していたかどうかも含め、猛獣を含めた飼育動物の管理に問題がなかったかどうか調べている。
古谷さんはさらに、「人になれていても、大きな音などに反応して突然暴れることもある。危険であるという意識を持つことが大事。ライオンを『大きな猫』と感じることもあるが、やはり猛獣だ」と指摘した。
出典
『「動物園ではライオンを『洗う』ことはない」と他園 プロダクションの特殊性指摘の声も』
http://www.sankei.com/affairs/news/170123/afr1701230018-n1.html
1月25日12時11分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
重傷を負った2人は、おりの中でライオンを水とシャンプーで洗っていた。
同業者らは、「ネコ科の動物は水が苦手。なぜ水をかけて洗ったのか」と疑問視する。
ライオン4頭の飼育経験がある「佐藤動物プロダクション」(横浜市金沢区)の佐藤社長は、「ネコでも水を嫌うのに、ライオンと同じおりに入って水で洗うのは信じがたい」と強調する。
佐藤社長によると、普段からおりの中を清潔にしておけば体の汚れを防ぐことができるため、撮影前でも体を洗う必要はないという。
「おりの清掃状況に問題はなかったのか。行政がきちんと確認していたかも気になる」と話した。
出典
『飼育員重傷 ライオンは水が苦手、なぜ洗った?同業者疑問』
http://mainichi.jp/articles/20170125/k00/00e/040/206000c
(ブログ者コメント)
おりの中に洗い場がある点から考えると、これまでに何回も、同じ方法でライオンを洗っていたのかもしれない。
もしそうだとすれば、危険を危険と認識しないまま作業が続けられていたことになる。
今回はライオン洗身という特殊な作業だったが、似たような作業が産業現場に残っていることは想像に難くない。
(2017年8月17日 修正1 ;追記)
2017年8月17日5時0分に千葉日報から、業務上過失致傷容疑での立件は見送られたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
成田署が業務上過失致傷容疑での立件を見送り捜査を終結していたことが、16日までに同署への取材で分かった。
同署でこれまで、事故の原因や動物の管理体制に不備がなかったかなどを任意で調べていたが、ライオンが逃走しておらず第三者に被害がないこと、行政的な問題も含め総合的に判断した。
2人はいずれも退院し、回復に向かっているという。
千葉県衛生指導課によると、管轄の保健所と県動物愛護センターの職員が事故当日、動物愛護法に基づき、施設に立ち入り検査を実施。
関係者から話を聞くなどし、ライオンの管理状況に問題がなかったかどうか調べたほか、これまで数回、再発防止を求める行政指導を行ってきた。
同課では、「施設は指導にきちんと従っている。原因は人がおりの中に入って直接ライオンに触れて作業したことで、再発防止はこれをしないことに尽きる」と話している。
出典
『業者の立件見送り ライオンかみつき事故 成田署』
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/431032
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。