2017年6月27日付で朝日新聞北海道版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道大学理学研究院(札幌市北区)の実験室で昨年7月に火災があり、購入価格約4000万円の実験装置が使用不能になるなどの被害があったことが分かった。
北大は関係者を口頭注意としたが、事実関係を公表していなかった。
朝日新聞の情報公開請求で開示された札幌市消防局の資料などによると、昨年7月17日午後2時半ごろ、理学研究院の4階建て共同利用実験棟(極低温液化センター)2階実験室から出火。壁や天井、設備など、6m2が全焼した。
当時、室内に人はおらず、けが人はなかった。
この火災で、実験装置3台が全損した。
購入時の価格が最も高かったのは約3869万円の特殊な測定装置で、使用年数が耐用年数(5年)を1年過ぎていたため、損害額は10分の1の約387万円と算定された。
他の2台は購入額が計約357万円、損害額は計36万円。
北大によると、建物などの復旧工事費は約306万円だった。
出火原因は、水槽の水を温めるために使っていた電気式ヒーターが老朽化し、電源コード部分がショートしたためと断定された。
この実験棟では、低温のヘリウムを使った実験をしており、ヒーターはヘリウムを回収する際の加温用だった。
北大は、学内の各部署に文書で注意喚起するなどしたが、事実関係を外部には公表しなかった。
関係者の処分は、発生2日後の同月19日に、理学研究院長が施設責任者2人に口頭で厳重注意した。
北大は朝日新聞の取材に、各実験装置は減価償却後の簿価が「1円」だったとし、「同等の装置があり、教育研究を途切れなく継続した。研究への影響を最小限に抑えられた」と説明。
事実関係を公表しない理由については、「過去の事例と照らし合わせて、必要ないと判断した」としている。
一方、学内の研究者からは、こうした大学側の姿勢に疑問の声も出ている。
現場は「シールドルーム」と呼ばれる密閉性の高い実験室で、火災が起きると一酸化炭素などの有毒ガスが充満しやすいとされる。
ある研究者は、「室内に人がいたら重大な結果を招いた恐れがあり、危険な火災だ。老朽化したヒーターを使い続けていたのは、予算不足も一因だと思う。やましいことがないなら、公表したらいい」と批判する。
リスク管理や大学の広報に詳しい上野征洋・社会情報大学院大学長は、「国立大学の備品は、広い意味では国民の財産。研究の意義を社会に理解してもらい、再発防止を徹底するためにも、きちんと事故を公表し、説明責任を果たすべきだ」と話している。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。