2016年11月3日3時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県立近代美術館(高崎市)は2日、空調設備の配管からの水漏れが原因で、収蔵品の絵画に水滴が落ち、しみができたと発表した。
作品は、群馬を代表する画家山口薫(1907~68)が31年に描いた油絵(時価推定100万円)で、所有者が同館に預け、保管されていた。
同館などによると、水漏れに気づいたのは10月13日午前10時半ごろ。
学芸員が週1回の点検で、2階の収蔵庫に入った際、天井から水滴が落ちているのを見つけた。
収蔵庫の上の階には空調機械室があり、配管から水が噴き出して床にたまっていた。
その水が床に染みこみ、階下の収蔵庫の天井からもれて、下に置いてあった作品「猪狩先生像」(縦約46cm、横約38cm)にかかり、額縁や画にしみがついた。
他の作品に被害はなかった。
水漏れの原因は、半年前に交換した配管のストレーナーにサビなどの異物がたまり、水流の勢いで鋳鉄製のふたをこすり、穴があいたらしい。
美術館によると、このストレーナーは、設計で指定された国交省仕様とは違い、一般向けの製品だったという。
また、工事完成前の試運転も半日だけだった。
業者は、「発注の過程で手違いがあり、検品でも違う部品がきていたのを見落としてしまった」、「配管をクリーニングしており、半日の試運転でゴミが取り切れると思っていた」などと説明したという。
東京国立近代美術館工芸館でも、展示スペースの上階に空調機室があり、水が流れる配管があるため、水漏れ対策として、空調機室の床には、万一の漏水を検知して通報する装置を付けているという。
県立近代美術館も、再発防止のため、空調室の床の防水を施し、これまで週1回だった収納庫などの点検を、毎日するという。
工事をした業者には、配管の改修や絵画修復の費用を求めた。
作品は原状回復できるといい、同館は所有者に謝罪し、修復することで了解を得たという。
同館隣の県立歴史博物館でも、5年前に空調設備などの不具合があり、国指定重要文化財などにシミが付く問題が起きた。
博物館は全館を改装して、今夏に再オープンした。
県立近代美術館の館長を兼務する佐藤・生活文化スポーツ部長は、「今後は水漏れへの十分な対応をして、収蔵品への影響がないようにしたい。ご迷惑をかけた」と話した。
出典
『群馬)県立近代美術館の寄託作品にシミ 空調水漏れで』
http://www.asahi.com/articles/ASJC24QGLJC2UHNB007.html
11月4日9時53分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
群馬県立近代美術館は、2日、空調用の温水管から水が漏れ、収蔵庫に保管されていた油彩画1点が損傷したと発表した。
温水管の更新作業を行った業者のミスが原因といい、絵の修復費用などは業者が負担する。
損傷したのは、県を代表する画家、山口薫(1907~68年)の「猪狩先生像」(推定約100万円)。
所有者から同館に寄託され、2階の収蔵庫でラックにつるして保管していた。
10月13日、温度点検のため収蔵庫に入った学芸員が、天井から水がしたたって床に広がり、絵にもかかっているのを発見。
絵の左側に縦約20cmの水滴跡がつき、額縁も左上と左下部分がぬれた。
同館が調べたところ、収蔵庫のほぼ真上にある3階の空調機械室で、異物を濾過する温水管の部品に穴が開き、水が漏れていた。
この部品は、昨年10月から今年3月にかけて更新されたが、更新されなかった他の配管から流れてきた異物によって摩耗したとみられる。
工事は、K社(前橋市)が担当した。
同館によると、終了時に、既存の配管の劣化を点検する作業が不足していた。
また、穴が開いた部品は、同館側が指定した、摩耗しにくい国交省仕様でなく、一般仕様の製品が使われていた。
いずれも同社のミスという。
絵は、約3か月で修復される。
配管の修理に伴う臨時休館などの影響はない。
同館は、「通常では考えられない事故。十分な点検を行い、再発を防止したい」としている。
出典
『空調水漏れ、美術館の油彩画1点損傷…業者ミス』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20161102-OYT1T50148.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。