2017年4月1日17時21分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東洋ゴム工業による免震ゴムの性能データ偽装事件は、大阪府枚方市の堀井市議(77)の告発から捜査が始まった。
元鉄道マン。
安全へのこだわりから、何度も大阪地検を訪ねて相談し、半年がかりで告発状を書き上げた。
府警は31日、不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで山本・前社長(60)ら18人を書類送検した。
2014年9月上旬、枚方市の枚方寝屋川消防組合の新庁舎建設工事に出荷した免震ゴム19基について、国土交通大臣の認定基準を満たしているように偽った疑いがある。
15年7月、議員控室。
同社が依頼した弁護士ら社外調査チームの約300ページの報告書をめくる堀井市議の手が止まった。
〈2014年9月の出荷判断〉の項目。
9月16日午前の会議で、問題のゴム製品の出荷停止と国交省への問題報告の方針を決めた。
しかし、午後に方針は覆り、予定通りに出荷されたことが記されていた。
「枚方市、だまされてるやんか。誰が出荷していいと判断したんや。命を預かっている自覚がまるでない」。
報告書は会議の出席者を匿名にしていた。
堀井市議は、当時、同消防組合の予算決定に関わっていた。
問題の製品が使われたのなら、自らにも責任がある。
命を守るための製品のデータを偽り、命を守る消防の施設に出荷されたのが許せなかった。
00年まで42年間、京阪電鉄で働いた。
もともと、車両の設計や整備をする「技術屋」。
車両が脱線を起こさぬよう、ミリ単位で図面を点検。整備の現場でも、車軸や歯車に損傷がないか、細かくチェックした。
「安全より優先することなんてない」と話す。
捜査のメスを入れてほしいと、15年秋に大阪地検を訪ねた。
それから月に1回ほど訪問。
検察官に相談を重ね、費用の面と「できるなら自分でやろう」との気概から、弁護士を立てずに何とか告発状をまとめた。
昨年2月に地検、3月には大阪府警に提出した。
免震ゴムの不正公表から2年足らずの今年2月、東洋ゴム工業は、船の配管用の製品の検査でも不正をしていたと明らかにした。免震ゴムの偽装と似た構図だった。
「何のために再発防止策を打ち出したのか。一から立て直さないとダメだ」
出典
『免震ゴム偽装、執念の告発状 元鉄道マン半年かけ提出』
http://www.asahi.com/articles/ASK3Z031LK3YPPTB00R.html
(ブログ者コメント)
〇社外調査チームの報告書(全336ページ)中、266ページに、堀井市議が目を止めたとされる記述がある。
表現が難しく、ブログ者が朝日新聞記事の内容を知ったうえで読んでも、問題の存在には気付かない。
堀井市議、よくぞ問題意識を持ったものだ。
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2014 年9 月16 日、同月11 日と同様に、甲F、甲G242らが出席してTR本社で会議が開催された243。
この会議は、中断を挟んで午前及び午後にわたってそれぞれ開催された。
当該会議では、同年9 月19 日にG0.39 の出荷を予定している物件について、出荷停止した場合に想定される顧客への申入れ、公表、国土交通省への報告それぞれの内容等が検討される予定であり、実際に、午前の会議においては、出荷を停止する方向で準備をすること、直ちに国土交通省に本件を報告すること等が確認されていた(別添証拠C)。
しかし、同日午後の会議において、兵庫事業所にいる甲Hらから、2 メガニュートンの試験機と26 メガニュートンの試験機との間には、それぞれの実測値を対比すると後者が前者の1.4 倍程度の差異が生じるとの試験結果が出た旨の報告があり244、0.015Hzで載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を行わない方法を採用し、かつ、試験機のこのような差異を解消するための補正及びその他必要となる補正を行うと、同年9 月19 日以降に出荷が予定されているG0.39 の性能指標を大臣認定の性能評価基準に適合させることが可能であるとの説明がなされた。
この説明を受け、甲Fらにより、午前の会議において確認されていた方針は撤回され、同年9 月19 日に出荷が予定されているG0.39 は、予定どおりに出荷されることとなった245。
以上が本調査において確認された2014 年9 月の出荷判断に至る経緯である。
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http://www.toyo-rubber.co.jp/uploads/2015/06/150623.pdf
〇問題の発覚から調査報告書が公表されるまでの経緯は、2015年7月9日付の日経ビジネスに詳しい。
『東洋ゴム免震偽装、3つの教訓 なぜガバナンスは機能しなかったのか』
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/070800019/?P=1
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。