2016年6月6日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5991/
(2016年7月9日 修正1 ;追記)
2016年7月1日付で朝日新聞愛知版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、第1報ともどもタイトルも修正した)
A社は30日、不完全燃焼で燃え残ったガスに引火したのが原因とみられると発表した。
刈谷工場での生産は、8月の復旧を目指す。
事故は5月30日、工場2階のブレーキ部品の塗装ラインで起きた。
部品を乾かす炉があり、そこの排気ファンが故障。
ガスが不完全燃焼を起こし、後になって引火したと推定した。
再発防止策として、排気ファンが止まったら炉が自動停止するようにする。
一つしかなかった排気の経路は、複数にする。
関連会社も含め、類似の設備で同様の対策を進めていく。
(ブログ者コメント)
A社のHPに、事故の経緯等が下記趣旨で掲載されていた。
(設備の概要)
ブレーキ部品の塗装ラインには、電着塗装部と焼付乾燥部があり、焼付乾燥部は、乾燥炉と脱臭炉から構成されております。
今回の事故が発生したのは、乾燥炉です。
(事故の経緯)
午前7 時10 分 週はじめの炉内換気作業の後、設備を起動
11 時5 分頃 故障により、脱臭炉の排気ファンが停止、脱臭炉も自動停止、乾燥炉は運転を継続
12 時0 分頃 脱臭炉の排気ファン修理を完了し、脱臭炉を再起動
12 時1 分頃 脱臭炉内で小爆発発生
12 時3 分頃 乾燥炉本体が爆発
(事故原因の推定)
設備の安全対策としては以下を導入済でした。
・週はじめ、炉内換気運転を実施する
・炉のバーナー点火時は、ガスを出さずに排気ファンを自動運転後に点火
・バーナーの炎は監視モニターで常時監視し、火が消えた時は自動でガスを遮断
今回の事故は、脱臭炉用排気ファンの故障という非定常作業のなかで、以下のような原因で事故が発生したと推定しております。
・脱臭炉用排気ファンの修理中も乾燥炉は運転を継続。排気が止まり、外気の取り込みが不足し不完全燃焼が起こった乾燥炉内に未燃ガスが滞留
・修理終了後、排気ファンを作動させたところ、乾燥炉内にたまっていた未燃ガスが脱臭炉内に導入され、炉内の高温部に触れ、引火
・さらに、乾燥炉内に外気が十分導入され、炉内未燃ガスが燃焼可能になり、引火し事故に至った
(復旧に向けた取り組み)
再発防止策として、不完全燃焼発生のリスクを洗い出し、以下を織り込む予定です。
・排気ファン停止時は、乾燥炉・脱臭炉ともにバーナーを自動遮断
・未燃ガス検知器を追加
・排気経路の見直しおよび循環・排気切り替え装置の自動化
設備フローもなく、状況がイマイチわかり難いが、文面から推察するに、以下のような状況だったのかもしれない。
○乾燥炉と脱臭炉は直列につながっており、両炉の排気を1つのファンで行っていたため、ファン再起動時に乾燥炉内の未燃ガスが脱臭炉に導かれて着火。
乾燥炉側に火が走り、ファン再起動に伴い未燃ガス中に空気が供給されていた乾燥炉が爆発した。
そう考えれば、「一つしかなかった排気の経路を複数にする」という対策は、乾燥炉と脱臭炉それぞれに排気ファンを設置する、ということかもしれない。
とまあ、そのようなことを考えているうち、福島第1原発事故を思いだした。
あの事故では、3号機と4号機の建屋爆発は、それぞれ、共通排気管から水素ガスが逆流したことが原因だった可能性が指摘されている。
2012年1月9日掲載
[福島原発事故] 3号機建屋の水素爆発はベント配管につながる配管を通って水素が原子炉建屋に逆流したことが原因か?
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/1198/
2011年5月16日掲載
[昔の事例の顛末] 2011年3月15日 福島第一原発4号機建屋の爆発は3号機水素の逆流が原因か?
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/377/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。