2015年12月2日0時42分に産経新聞から、『費用負担が阻む火山シェルター 政府が初の設置指針も自治体等の思惑が交錯』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
活火山の防災対策を検討している内閣府は、1日、噴火時に飛来する噴石から身を守る「退避壕」(シェルター)設置の手引をまとめた。
多くの人が噴石の直撃で亡くなった昨年の御嶽山噴火を受け、ハード面整備のため、政府が初めて具体的な指針を示した。
だが、県境にあることが多い火山は、主体となる各火山防災協議会に複数の自治体や地元の意向が絡み、意思決定が難しい状況もある。
手引では、気象庁の常時観測47火山などを対象に、発生頻度が高く、被害の出やすい小規模噴火を想定。
山小屋などの建造物がある場合、防弾チョッキに使われる「アラミド繊維」という特殊な布を屋根に敷くと、大きさ10cmの噴石が時速300kmで衝突しても貫通しないとの実験結果を紹介。
アラミド繊維は1m2当たり1万円と安価で、施工が簡単だという。
建物がない場合、鉄筋コンクリート製シェルターを設置。
資機材を搬入して現場で施工するタイプと、施工不要で安価なタイプがある。
広さは1m2当たり2人の計算で、最大40人が避難できる20m2が必要とした。
河野太郎防災担当相は、1日の記者会見で、「できることからやる。自治体はスムーズに対策できるはず」と自信を見せた。
総務省消防庁の昨年10月の調査では、退避施設があるのは全47火山のうち12だけ。
自治体にとって、難しい現実もあるようだ。
「登山道は長野県側にしかない。両県で費用負担するのか、国や市町村が負担してくれるのか…。設置主体が一番の問題だ」
浅間山のある群馬県の担当者は頭を抱える。
県内でも、車道のある草津白根山には13カ所設置しているが、浅間山は車道がない上、登山道も長野県側にあり、腰が引けているようだ。
手引が推奨する「既製ボックスカルバート型」のシェルターは、設置費約260万円だが、ヘリコプターで運ぶと運搬費込みで約2千万円以上に。
担当者は、「費用負担の方向まで示してくれればいいのに」とため息をつく。
一方、長野県小諸市は、浅間山に4基のシェルターを設置済み。
ただ、「景観面から慎重な意見もある」と長野県。
増設は、必要性も含めて検討するという。
設置自体に慎重な意見も根強い。
浅間山麓広域観光推進協議会(長野県東御市)では、「過剰な安全対策を取れば危険な印象を持たれかねない」とし、関係自治体が集まる会合で、安全と観光のバランスを取るよう意見したという。
焼岳(長野県・岐阜県)でもシェルター設置は検討されてきたが、実現に至っていない。
長野県は、「強度が不足すれば責任問題になる。国が基準を示したことで作りやすくなった」と歓迎する。
ただ、焼岳山頂は岩石が堆積しており、シェルターの新設は困難。長野県松本市所有の山小屋を利用する案もあったが、財政難から廃止を含めて議論されており、決着していない。
手引作成に関わった京都大学の石原和弘名誉教授(火山物理学)は、「火山防災は一朝一夕に進まない。と言って、次の発生まで進まないのは困る。万全の対策をした上で、安全だから来てほしいという姿勢が重要」と話した。
出典URL
http://www.sankei.com/affairs/news/151202/afr1512020001-n4.html
12月1日付で毎日新聞大阪版夕刊からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
内閣府は、1日、自治体、地域の火山防災協議会や山小屋など民間施設向けに、火山の噴火時に逃げ込むシェルターの整備に関する指針を初めて作成した。
指針では、気象庁が常時観測する50火山で起こる小規模噴火を想定して、火口から2km以内で優先的に整備を進めるよう指示した。
さらに、火山の特徴や登山道の位置などを踏まえ、当面は最も飛散することが多いこぶし大(10cm以下)の噴石に耐える強度を目指すよう促した。
内閣府によると、昨年9月の御嶽山噴火では、山小屋や岩陰に逃げた登山者の多くが噴石から身を守ることができた。
中央防災会議の作業部会は、3月に国に示した改善策で、シェルターについて「一定の効果があり、整備のあり方を検討すべきだ」と提言した。
ただ、現状で、常時観測火山でシェルターがあるのは、活動が活発な浅間山や阿蘇山など12火山にとどまっている。
このため内閣府は、有識者らの協力を得て、御嶽山噴火時の調査や石の衝突実験を実施した。
指針は、この結果を踏まえ、水蒸気噴火など頻度が高く突発的に起こる小規模噴火を対象に、登山客や観光客が集まりやすいルート、危険が及びやすい箇所をバランスよく選定して、既存施設の補強やシェルターの新設をするよう求めた。
シェルターのタイプは、噴石の大きさに応じて紹介した。
最も多くの飛散が予想される10cm以下の噴石への備えでは、山小屋なら屋根などに防弾チョッキに用いられる特殊繊維を敷いたり、地下溝などに使われる厚さ約20cmのコンクリートで箱形構造物を新設したりする。
比較的飛散の頻度が少ない10〜50cm程度の噴石への備えでは、必要に応じコンクリート構造物の補強や砂利など緩衝材の追加が有効とした。
50cm超の噴石や小規模を上回る噴火には、シェルターだけで備えるのは難しく、火山の活動の変化や前兆現象の観測・監視、噴火警戒レベルの変更による入山規制などで対応する。
出典URL
http://mainichi.jp/area/news/20151201ddf041010009000c.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。