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2017年10月14日5時0分に朝日新聞からは、品質より納期優先だった可能性もあるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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13日の発表で、不正製品の納入先は、これまでの約270社から国内外の約500社に増えた。
不正を行った拠点も海外に広がった。
阪急電鉄やパナソニックが、不正製品を鉄道車両や自社製品に採用していたことも明らかにした。
神鋼はグループを含めた全社調査を急ぐが、新たな不正は今後も出てきそうだ。
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今回不正があった鉄鋼や銅、アルミの素材は自動車や鉄道、航空機などの部品向けが多く、取引相手はメーカーだ。
不特定多数の消費者の目にさらされ、品質がチェックされる製品とは異なり、決まった取引先とのつき合いの中で納入することが多い。
長年の取引関係の中で、メーカーとしての裁量を逸脱し、ルールを守る感覚がおろそかになった可能性がある。
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国際競争の激化で低コストや短納期の要求が強まり、品質が犠牲になった可能性もある。
神鋼の元首脳は、「納期や歩留まりへのプレッシャーが製造現場で当たり前になっていた」と指摘する。
不正なアルミ製品を出荷していた大安(だいあん)工場(三重県いなべ市)の元社員は、「『納期遅れの解消』が職場のスローガンだった」と話し、データ改ざんが約20年前にもあったと証言する。
品質より納期を守ることを優先する雰囲気があったという。
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市場の評価は厳しく、神鋼の株価は不正発覚前の6日終値に比べ4割下がった。
取引先は世界中に及び、今後も芋づる式に不正が出れば、事業継続そのものが危うくなりかねない。
取引先に疑心暗鬼が広がるのは、不祥事が今に始まったものではないからだ。
99年には総会屋への利益供与が明らかになり、09年には政治資金規正法違反も発覚。
16年にもステンレス鋼線の強度偽装が明るみに出た。
取引銀行の幹部は、「まだ全体像が見えないが、組織ぐるみの問題」。
別の銀行幹部も、「どんどん新しい不正が出てきて底が見えない」と話す。
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出典
『(時時刻刻)神鋼、不正底なし 海外に飛び火、対応後手』
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13179185.html?rm=150
(2017年10月20日 修正1 ;追記)
2017年10月16日5時0分に朝日新聞からは、品質保証担当者もデータを改竄していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
製品の品質を最終確認し、場合によっては出荷を差し止める権限を持つ品質保証担当者が自ら、検査データを改ざんしていた例があることがわかった。
製造部門から独立し、品質の維持を厳しく監視することが求められている立場の従業員が積極的に関わっていたことで、改ざんが組織ぐるみだった構図がさらに強まった。
同社関係者によると、国内の工場で品質保証担当者が自ら、端末に入力済みのデータを架空のものに書き換えたり、捏造したりしていた例があった。
改ざんに直接関与した担当者は複数おり、約10年前から続いていたとの証言もある。
製造部門の改ざんを黙認していた担当者もいるという。
品質保証担当者は、出荷前に行う検査のデータが検査証明書に正しく記載されているか、製品の品質が顧客との契約を満たしているかなどを最終的にチェック。
品質を満たさない製品と判断すれば、出荷が見送られる。
納期に追われ、製造や営業の担当が品質を後回しにするのを防ぐために、強い権限が与えられている。
一方、組織上は品質保証担当者も工場長の指揮下にある。
製造担当者が異動で品質保証担当になることも多く、「顔見知りに厳しいことを言いにくく、独立性を保ちにくかった」と同社幹部は話す。
神鋼では昨年6月、グループ会社の神鋼鋼線ステンレスの製品でJISの強度を満たしていない違反が発覚。
品質保証の責任者を兼ねる製造幹部が改ざんをしていたことから、神鋼は11月、本社に品質統括室を作って検査態勢の強化を進めていた。
出典
『最終関門の品質保証担当まで積極改ざん 神鋼不正品問題』
http://digital.asahi.com/articles/ASKBH4RNJKBHULFA004.html?rm=437
10月18日18時54分に産経新聞westからは、裏マニュアルのようなメモが品質担当者間で引き継がれていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸製鋼所のアルミ・銅部門で1990年代に働いていたOBが18日、共同通信の取材に応じ、仕様を満たさない製品を顧客に無断で納入しても問題とならない許容範囲をメモにして、歴代の担当者が引き継いでいたと証言した。
不正の手口を継承する事実上の「手引書」の存在が裏付けられた。
組織ぐるみのデータ改ざんが見つかった部門で、不正の常態化が明確になった。
軽微な性能不足など、顧客との間であらかじめ取り決めた仕様に満たない製品は、了解を得た上で「特別採用」として引き取ってもらうケースがある。
しかし神戸製鋼では、過去に納入して問題とならなかった不合格品の事例を「トクサイ(特別採用)範囲」と称するメモにして申し送りし、歴代担当が無断納入の判断基準に使っていた。
同じく90年代にアルミ・銅部門にいた別のOBは、無断納入を続けてきた背景に関し、顧客との取引長期化に伴って「大丈夫だろうと、なれ合いみたいなところがあった」と説明した。
さらに別のOBは、特別採用は40年以上前から業界の慣習として存在したと指摘した。
出典
『OB証言「不合格品納入、40年以上の習慣」 不正の手引書で引き継ぐ』
http://www.sankei.com/west/news/171018/wst1710180057-n1.html
2017年10月19日22時7分に毎日新聞からは、背景に関する社員などの見方が、下記趣旨でネット配信されていた。
神戸製鋼所の品質検査データの改ざん問題で、本社がある地元・神戸の社員や元社員にも動揺が広がっている。
毎日新聞が入手した社員向けの内部文書では、今回の問題を「創業以来の最大の危機」として全社一丸となるよう呼び掛け、悲壮感を漂わせている。
「今、世間からの『信頼』を失っている」「信頼回復には大変な努力が必要」。
ある部門で14日付で回覧された文書には、こんな言葉が並ぶ。
そして「誠心誠意をもって取り組めば、苦境は必ずや乗り越えられる」などと記されている。
文書を目にした50代男性社員は、「なぜごまかしていたのか。現場で働く者として理解できない。一生懸命仕事しているのに『なんでや』という気持ちです」と憤る。
1970年代に入社。
今回の改ざん問題に直接関わる部署ではないが、入社当時と比べて、近年は過度な成果主義になっていると感じる。
「管理職は(生産量などの)目標値を達成したという報告しか求めず、報告が上手な人が評価される体質があると感じていた。データ改ざん問題は、そこに原因があるのではないか」。若手にも不安が広がっているといい、「気付かなかった我々も会社全体を考え、変わっていかねばならない」と話し、責任を感じている。
OBからも心配の声が上がる。
神戸市内に住む50代の元社員は、「神戸製鋼は元々、高い技術を持っている。問題の背景には『取引先の要求通りにしなくても大丈夫』という甘えがあったのでは」と話す。
同業他社と比較して「野武士的」な社風があったと言い、「これ以上世間からたたかれるのはOBとしてもつらい」と心情を明かした。
出典
『地元で社員に広がる動揺「創業以来の危機」』
https://mainichi.jp/articles/20171020/k00/00m/040/060000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。